「低反発枕の使用感が好きだから買いたいけど、肩こりの原因になると聞いて迷っています。」
このような意見をいただくことがあります。
枕選びの大事なポイント(高さ/硬さ/素材との相性)は、寝具ショップや情報サイトでも紹介されており参考にできるものが多いですが、1点見落とされがちな大事なポイントがあります。低反発枕は寝心地が独特なため、特別な配慮が必要なのです。
そこで本日は、その「低反発枕が肩こりを悪化させるたった1つの理由」をご紹介します。
Contents
1. 低反発枕で肩こりになる理由
どの素材の枕でも、肩こりの原因になることはあります。
しかし、低反発枕は性質上、肩こりを起こしやすい特徴があります。
肩こりの原因は「筋肉の緊張」と「血行不良」
まずは肩こりになるメカニズムを知りましょう。
後の理解が楽になります。
主な原因は、首や肩、背中の筋肉の疲労です。肩の周辺には僧帽筋や肩甲挙筋、棘下筋などの筋肉がありますが、これらの筋肉が疲労して固く緊張し、血行不良になると「乳酸」などの疲労物質が筋肉中に蓄積してきます。その結果、こりや痛みが起こります。
(引用:『腰痛、肩こり、手足のしびれ 「背骨」がかかわる症状の診断・治療ガイドブック』 伊藤達雄・戸山芳昭監修)
つまり、肩と首周りの筋肉が疲労、緊張、血行不良を起こすことで、肩こりになるのです。
頭の寝返りができないため肩こりになる
低反発枕が肩こりを悪化させる理由。
それは頭が枕に沈み込んでしまって、睡眠中に頭を左右に動かす程度のちょっとした頭の寝返りができなくなるためです。
例えば、どんなに整形外科学的に優れた椅子に正しい姿勢で座っていても、30分も同じ姿勢を維持できません。
疲れてしまいます。
飛行機の中で長時間座り続けるとエコノミー症候群になるように、体は動かさなければなりません。そのため、頭が沈み込んでしまい頭の寝返りができないと、肩・首周りの筋肉が疲労、緊張を起こし、結果的に肩こりになってしまうのです。
2. 肩こりを起こす低反発枕を避ける3つの方法
しかし、全ての低反発枕が上記のような、沈み込み過ぎてしまうものではありません。
見分ける方法をご紹介します。
①安価なものは避ける
安価な低反発枕は低反発ウレタン素材の密度が低いため、頭が沈み込みすぎる傾向があります。
もし低反発枕同士で比較できるなら、重さを持ち比べてみましょう。明らかに軽いものは、ウレタンの密度が低いと断定して良いです。また、密度が低いウレタン素材は耐久性も悪いため、長く使うことも期待できません。
メーカー直販の低反発枕でも、価格が3,000円以下の場合はこの傾向が顕著ですのでおすすめできません。
②ボリューミーで柔らかいものは避ける
枕の形状が大きめで非常に柔らかい低反発枕もオススメできません。
大きくて柔らかい分、頭の沈み込みの高低差が大きくなり、結果として、頭の寝返りがしにくくなります。
③試し寝をしてみる
やはり、実際に使って試すことが大切です。
上記2点について実際にマットレスの上に寝転がりながら検証すると、ご納得いただけると思います。お試しになっている低反発枕で頭の寝返りがスムーズにできる場合、次に紹介する理想的な寝姿勢をとれるかどうか確認しましょう。
頭の寝返りがしやすく、その上、理想的な寝姿勢ができれば、その低反発枕は「買い」です。
理想的な寝姿勢ができるか確かめる
試し寝をする際、理想的な寝姿勢になるか確認しましょう。
仰向き寝の際は以下の2点がポイントです。
- 肩口から頭が10~15度の傾斜
この角度だと、頚椎(ケイツイ:首の7つの骨)のカーブを自然なまま保っていられます。肩と首の筋肉が強張ることなく、リラックスした状態を維持できます。 - 顔面が5度の傾き
顔が若干うつ向く程度だと、気道の通りが最も良くなり、睡眠中の呼吸がとてもラクになります。
この2点を満たしているならば、快適に使えると考えて良いでしょう。
また、もしあなたが低反発枕以外の素材の枕でも、しっくりくる自分に合う枕を見つけたいと考えているなら、以下のページで正しい枕の選び方を紹介しているのでご一読ください。
関連記事最後に
頭の寝返りはとても大切な生理現象です。
安価なものや柔らかくボリューミーで沈み込みやすい低反発枕を避けつつ、頭の寝返りがしやすいものを探しましょう。また、理想的な寝姿勢がとれるかどうかも同時に確認しましょう。
これらの点を踏まえれば、快眠できる低反発枕を選べられます。
また、枕に関するページを以下にまとめましたので、気になるトピックがあればあわせてご参考にしてください。
■あわせて読んでおきたい「枕」の記事一覧
・【熟睡できる安眠枕のおすすめ10選】選び方の目安は3つ
・素材と形状にこだわって選ぶ!抱き枕のおすすめ6選
・枕を正しくオーダーメイド!【失敗談から学ぶ7つの注意点】
・肩と首を楽にする!イラストで分かる枕の正しい使い方
・【枕サイズ一覧】標準からロング枕、あなたに合うサイズは?
・枕なしで快適に睡眠できる人が持つ3つの条件とは
・【横向き枕で快眠する方法】姿勢の安定性に秘訣が!
・うつ伏せ寝を極楽に!おすすめの枕の使い方
・しっかり熟睡できる!寝返りがしやすい枕の特徴とは
・写真で分かる!首のためのタオル枕の作り方と使い方
・睡眠時無呼吸症候群なら枕を変える前にするべき3つのこと
・首スッキリ!ストレートネックを改善させる枕テクニック3選
・肩と首をスッキリ快調に!枕の肩こり改善4ステップ
・頚椎(首)ヘルニアならするべき3つの枕対策
・枕から後頭部へ圧迫感がある3つの原因と対処法
・首こり枕とお別れ!爽快な目覚めを手に入れる7つの解消方法
・いびきを枕から改善!寝姿勢への工夫で静かに安眠
・もう寝違え無用!熟睡枕を選ぶ3つのポイント
・手軽に清潔な洗える枕!洗濯機・乾燥機対応のおすすめ品
・浮いた腰をサポートする「腰枕」の腰痛への効果は?
・※要注意!足枕の正しい高さと、足の置き方(姿勢)
・大人気の大きい枕で快適ベッド生活!おすすめの使い方
・低い枕の弊害?!低めの枕を選ぶ時の注意事項
・【快眠の方程式】理想的な枕の高さ=理想的な寝姿勢
・枕が高いと最悪!悪影響とすぐに枕にするべき処置
・肩甲骨のコリと痛みの原因は枕?ケース別の対策を!
・避ければ快眠!低反発枕が肩こりを起こす、たった1つの理由
・整形外科医による枕外来って?概要、相場、注意点など
・硬い枕は頭痛の元?!購入時のチェックポイント
・首と肩にやさしい!柔らかい快眠枕を選ぶ方法
・安眠枕とマッチング!枕の素材13種類を徹底比較
・熟睡できる高反発枕を選ぶための7項目とおすすめの枕
・ラテックス枕の評判は?熟睡のためのおすすめの選び方
・パイプ枕で快眠するコツ&上手に洗濯する方法
・爽やかに快眠!そばがら枕のおすすめの選び方とお手入れ方法
・羽毛枕を選ぶ5つの目安、黄金比、上手な洗い方
・※要確認!羽根枕をおすすめできない2つの理由
・他素材との比較でわかる!マイクロビーズ枕の寝心地と選び方
・13種類の素材と比較|ひのき枕の寝心地と注意点
・ひんやり&あたたか!小豆枕の効果と寝心地は?
・塩まくらは効果なし?!気になる使用感は?
・寝起きの肩こりがひどい…考えられる原因と対策は?
・枕のクリーニング料金の相場、洗い方・素材などの注意点とは
・※水洗い禁止※ラテックス枕の洗濯&お手入れ方法
・低反発枕は洗濯厳禁!汚れをキレイにする方法とは
・もう買い換え時?枕の寿命の目安とは