「枕を高くして寝る」ということわざは「安心して眠れる」という意味です。
そのため、高い枕で眠ることは良いことだと思われがちです。
そんなことはありません。
枕が若干高いだけなら良いですが、枕が必要以上に高いと体に多くの悪影響が生じることになります。
そこで本日は、
- 高すぎる枕により生じる悪影響
- 枕が高すぎる際の応急処置
などについてご紹介します。ぜひ参考にしてください。
Contents
1. 枕が高すぎることによる悪影響
私の意見ですが、高すぎる枕は最悪です(ワースト2は硬すぎる枕です)。
体に支障をきたす恐れがあります。そこでまずは、代表的な悪影響を2つご紹介します。
1-1. 頸椎が不自然な形状になり肩こり・首こりの原因に
高すぎる枕を使って眠ると、頸椎(ケイツイ:首の7つの骨)が1晩中不自然な形状になってしまうため肩こり・首こりの原因になります。
ヒトの首は元来「く」の字のカーブを描いたような形状をしています。もちろん、この首のカーブには意味があります。
約6kgもある重い頭を能率的に支えるために、真っ直ぐではなく湾曲しているのです。
そのため眠っている時も、頚椎(ケイツイ:首の7つの骨)の形状が目覚めている時と同じように自然な湾曲を保っていられると、首に極力負担をかけずにいられます。
しかし枕が高すぎると頚椎の形状が不自然になるため、首と肩の筋が緊張し続けてしまいます。そのため、1晩中首と肩が力んだ状態になり翌朝の肩こり・首こりになることになります。
この症状がひどくなると頭痛を感じたり、頸椎の不自然な形状が慢性化してしまうとストレートネックの原因にもなります。
※高い枕はストレートネックの原因にもなりえます。
実際に、高い枕で寝ている姿勢のレントゲン写真を撮ったところ、多少大袈裟だと思っていたイラストと同じくらいだったのですが、
そのレントゲン写真を縦向きに見てみると、かなりストレートネック状態になっていることがお分かりいただけると思います。
この状態で毎日6~7時間過ごしてしまうと考えると、とても体に悪いことだとお分かりいただけると思います。
1-2. 気道が圧迫されていびきの原因に
枕が高すぎるとアゴが引けた寝姿勢になるため、いびきをかく原因になります。
なぜなら、睡眠中にアゴが引けた状態になると上気道が狭くなるためです。上気道が狭くなった状態で呼吸をするといびき音が生じます。
睡眠中の呼吸が十分でなくなるため、満足いく熟睡感が得られなかったり、疲れがしっかりとれなかったりします。また、騒音によりパートナーの睡眠を妨害することにもなります。
このように多くの弊害があるので枕の高さが原因でいびきをかいているのなら、早急に次章以降を読み対策を取りましょう。もし枕の高さ以外でいびきをかいているのならこちらの記事で「いびきのメカニズムを大公開|8つの原因とピンポイント対策」で対策を紹介しているのでご一読ください。
2. 枕の最適な高さとは
枕が高すぎると多くの弊害があるため、あなたに合った高さの枕を使う必要があります。しかし、個々人の体型により枕の最適な高さは変わります。
そのため枕の高さではなく、枕で「理想的な寝姿勢」がとれるかどうかを指標にしましょう。理想的な寝姿勢をとれる枕があなたにとって最適な高さの枕です。
2-1. 理想的な寝姿勢をとれる枕が最適な高さ
理想的な寝姿勢とは何かと言うと、以下のイラストのような寝姿勢です。
この寝姿勢のポイントは2つです。
- 肩口から頭が10~15度の傾斜
この角度だと、頸椎の自然なカーブ形状を保つことができます。そのため、肩と首の筋を強張らせることなくリラックスしたまま快適に眠ることができます。 - 顔面が0~5度の傾き
顔が若干うつ向く程度(5度)傾いていると、気道の通りが最も良くなり、睡眠中の呼吸がとてもラクになります。しかし太り気味だったりアゴの下に脂肪がついている場合は、顔が床と水平(0度)の方が呼吸がしやすく眠りやすい、との報告があります。なので0~5度であなたが眠りやすい傾斜を見つけましょう。
横向き寝の場合の理想的な寝姿勢は、頸椎が床と水平に真っ直ぐになる姿勢です。
これは感覚的に納得できると思います。
この寝姿勢で眠ると、頸椎の自然な形状を維持できます。
しかし顔が傾くほど枕が高すぎたりすると、眠りにくくなりますし首を悪くしやすくなります。
※快眠枕を選ぶには「高さ」だけでなく、「素材があなたに合っていること」と「適切な硬さ」であることも大切です。以下のページで枕を正しく選ぶ方法(素材/硬さ/高さを吟味)と、おすすめの枕をご紹介しているのでご参考にしてください。 関連記事 |
3. 高さにうるさいなら枕選びの際に注意すること
枕素材は大きく2つに分けられます。
- モルダブル素材:独立した細かい素材です。羽毛やポリエステルわたなど。
- ノンモルダブル:1つの塊としての素材です。ウレタンフォームなど。
モルダブル | ノンモルダブル | |
イメージ | ||
フィット性 | ◎ | ◯ |
高さ調整 | ◎ | △ |
耐久性 | ◯ | ◎ |
3-1. モルダブル素材は高さを合わせやすい
モルダブル素材は流動的です。
頭にフィットさせやすく高さも合わせやすいです。
フィット感や高さへのこだわりが強い方におすすめです。
3-2. ノンモルダブル素材なら高さ調整ができるもの選ぶこと
シートを抜き差しすることで高さが変えられる枕があります。
こちらも簡単に自分で高さを調整することができます。
ノンモルダブル素材のまくらを選ぶなら、高さ調整できるものを選びましょう。
4. 枕が高すぎる場合の応急処置
「枕が高すぎるかも。どうにかして対処したい。」とお考えかもしれません。
そこで、あなたがご使用中の枕が高すぎる場合にできる応急処置を3つご紹介します。
4-1. 中材を取り出して低くする
まず1つ目が、枕の中材を取り出す方法です。枕内部の素材の量を減らすことにより、枕の高さを下げられます。
少しづつ枕の中材を取り出して、理想的な寝姿勢がとれる高さまで調整しましょう。
取り出した素材は保存しておきましょう。
というのも、どの枕にも言えますが1年、2年と使っていくに従い中材がへたるためです。中材のヘタリは避けられません。そのため、枕の中材がへたった時に、保存していた中材で補完できるように捨てずに保管しておきましょう。
4-2. タオルを敷き体の位置を底上げする
枕の中材を取り出すことができない場合、あなたの体の下にタオルなどを敷いて体の位置を底上げしましょう。
そうすることで、相対的に枕を低くすることができます。
コツがあります。枕と首の間、マットレスと首の間にスキマを作らないことです。首の下にスキマができるということは、首へのサポートがないことを意味します。そのため、肩や首の筋肉が強張ります。
イラストのように枕と首の間、マットレスと首の間のスキマがしっかりと埋まるようにタオルを敷きましょう。
4-3. タオルで代替の枕を作る
最終手段がタオル枕です。寝心地は通常の枕より劣りますが、あなたに合った高さの枕をタオルで簡単に作られます。
ホテル・旅館の枕が高すぎて合わない、という時などにとても便利です。
1. まずはベッドの上にバスタオルを広げてください。そして、長い辺を半分にたたみます。
2. もう一度、長い辺をたたみます。
3. 長い辺をコロコロと丸めます。
4. 下のように丸まったら完成です。
通常の枕と見比べてください。低めにできているのが分かると思います。
このタオル枕のような形を「ヒトコブ形状」と呼びます。枕の上に頭をのせるのではなく、首のカーブに沿わせてお使いください。
枕としての高さが調整しやすいタオル枕ですが弾性は物足りず、使用に応じて硬く感じられます。そのため、あくまで緊急用の枕と捉えて使いましょう。
まとめ
高い枕を使うことで、肩こりや首こり、いびきの原因になるので気をつけましょう。
そのための対策として、あなたの寝姿勢が「1. 肩口から頭が10~15度の傾斜」であること、「2. 顔面が0~5度の傾き」であることを意識しましょう。
また、枕に関するページを以下にまとめましたので、気になるトピックがあればあわせてご参考にしてください。
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