こんにちは、加賀照虎です。
この記事は、睡眠不足の恐ろしさを理解してもらうために書いています。
- 「運転中、ハッと気づいたら前の車とぶつかり事故」
- 「いつもイライラして、伴侶とのささいな喧嘩が絶えない」
- 「肥満&高血圧だけど、食べたいものが食べられない」
自分には関係のないことと思うかもしれません。
しかし、睡眠不足の生活を続けていると、知らぬ間にこのようなリスクを高めているのです。
とはいえ、いきなりは信じられないかもしれません。
ということで本日は、睡眠不足で生じるさまざまな症状や解消方法などについてご紹介します。
全体像をパッと把握してもらえるように、重要なポイントだけをピックアップする構成になっています(詳細はそれぞれのリンク先をご参考ください)。
Contents
- 1. 睡眠不足で生じるさまざまな症状
- 1-1. 生産性(ワーキングメモリ)が低下する
- 1-2. 集中力が低下してミスが400%増加する(反応スピードが下がる)
- 1-3. 記憶力が落ちる(睡眠で記憶定着)
- 1-4. 運動パフォーマンスが低下する
- 1-5. イライラ・不安に駆られやすくなる
- 1-6. 食欲が暴走して太りやすくなり、脂肪が落ちにくくなる
- 1-7. 顔のしわ・シミが増加する&魅力が低下する
- 1-8. 性ホルモンが乱れる
- 1-9. 自律神経が乱れる可能性がある
- 1-10. 睡眠不足で鬱になりやすくなる
- 1-11. 風邪のリスク増加、ワクチンの効果減少
- 1-12. さまざまな病気のリスク増加
- 1-13. アルツハイマー型認知症リスク増加
- 1-14. 睡眠不足で細胞レベルで老化する
- 2. 睡眠不足の解消方法
- 3. 睡眠不足かどうかチェックする方法
- 4. 睡眠不足を解消する方法(睡眠時間を最適化する方法)
- 5. 睡眠の質を上げるための方法
- 最後に
1. 睡眠不足で生じるさまざまな症状
まずは睡眠不足があなたの体をどのように蝕んでいるかを知りましょう。
1-1. 生産性(ワーキングメモリ)が低下する
睡眠の質(睡眠の短さも含む)が悪くなるにしたがって、一時的に覚えられていることが減っていきます。
作業記憶(ワーキングメモリ)の低下とも呼ばれています。
また、反応スピードも遅くなっていきます。
これだけではありません。
パッと見たものを認識して理解する認知能力も下がります。
全体的に能力が低下していますね。
作業記憶の低下 + 反応スピードの鈍化 + 認知力低下 = 生産性の大幅な低下、と言っても差し支えないでしょう。
関連記事1-2. 集中力が低下してミスが400%増加する(反応スピードが下がる)
たった6時間睡眠でも10日間続けていると、8時間睡眠の人よりも約4倍ものミスをすることになると報告されています。
机上の空論ではありません。
実際にイギリスでサマータイム開始1週間で交通事故率10.8%増加したことを考えると、睡眠不足によりミスが増加しやすいことは事実として受け止められるかと思います。
関連記事1-3. 記憶力が落ちる(睡眠で記憶定着)
記憶にはいくつか種類がありますが、睡眠不足により全て低下すると考えられます。
睡眠中に記憶の定着が促されると言われていますが、この機会がなくなってしまうからです。
なお、記憶の定着には「眠り始めの3時間が大事」と言われることがありますが、睡眠の終わりのほうに現れる眠りによって処理される記憶もあるので、いくら眠り始めの3時間を良質なものにしても睡眠が短いと弊害が出てくる恐れが大いにあります。
関連記事1-4. 運動パフォーマンスが低下する
運動技能の定着は、睡眠の終わりのほう(4周期目のノンレム睡眠第2段階)にされると報告されています。
そのため、睡眠時間が短いと練習した内容がが定着しにくくなるので、パフォーマンスを上げるのが難しくなります。
さらに、睡眠時間が短いと運動中に怪我をしやすくなるとも報告されています。
関連記事1-5. イライラ・不安に駆られやすくなる
睡眠不足になると脳の感情をコントロールする前頭前野の働きが弱まると報告されています。
これにより、
- イライラしやすい
- 不安な気持ちになりやすい
- 面倒くさく感じやすい
などの反応になりやすいのです。
研究では30%も強く不安を感じやすいことが分かったと報告されています。
関連記事1-6. 食欲が暴走して太りやすくなり、脂肪が落ちにくくなる
睡眠不足だとホルモンバランスが乱れて食欲が暴走し、さらには、判断力も低下するので太りやすくなります。
その結果、例えば、買い物で高カロリーで大きなものを買いやすくなります。
また、食事制限をしても脂肪が落ちにくくなるとも報告されています。
関連記事1-7. 顔のしわ・シミが増加する&魅力が低下する
8時間睡眠をとった翌日、6時間睡眠を5日間続けると、
- しわの数が45%増える
- シミの数が13%増える
- 赤みが8%増える
- 自分自身の魅力が33%減ったと感じる
- 自尊心が20%減ったと感じる
などなど美容への悪影響があり、自分への魅力を失ってしまうほどとのことです。
また、別の実験では、睡眠不足になると他人からの評価が、
- 健康:8.4%減
- 魅力:3.8%減
- 疲れ:12.4%増
などのように悪くなってしまうとも報告されています。
関連記事1-8. 性ホルモンが乱れる
女性は睡眠時間が短いとホルモンバランスが乱れて、排卵や受精にも悪影響が出てくると考えられています。
過去40年にわたる働く女性を対象にした調査を総合し、分析した研究がある。対象になった女性は10万人以上だ。その調査によると、夜勤のある看護師など、時間が不規則で、夜遅くまで働くことが多い女性は、睡眠の質が下がり、昼間の決まった時間に働いている女性に比べ、生理不順の確率が33%高くなる。
(引用:『睡眠こそ最強の解決策である』 マシュー・ウォーカー 著)
また、ホルモンの影響かは不明ですが、出産時のリスクが増すとも報告されています。
例えば、睡眠時間が短い人は、
- 帝王切開をする可能性が高まる
- 分別時間が長くなる
などの報告があります。
男性も油断できません。
男性が睡眠不足になると、男性ホルモンの一種とされるテストステロン値が下がると報告されています。
シカゴ大学の研究では、8日間の5時間睡眠で約10年分男性力を衰えさせるほどだったと報告されています。
関連記事1-9. 自律神経が乱れる可能性がある
- 目覚めているときは交感神経
- 休むときは副交感神経
このような自律神経のあるべき切り替えが、睡眠不足により乱れる可能性があります。
そして、自律神経の乱れにより、頭痛、吐き気、胃もたれ、肩こり、首こり、火照り、動悸などの症状が引き起こされることもあります。
なお、血圧は、たった1晩の睡眠不足でも翌日に5~10%上昇すると報告されています。
関連記事1-10. 睡眠不足で鬱になりやすくなる
睡眠時間が短い人ほど、うつ状態である傾向があると報告されています。
なお、睡眠不足によりうつ状態になる原因は定かではありませんが、下記のような可能性が有力とされています。
関連記事①不眠になった人はもともと体質的に、あるいは性格的にもうつ病になりやすい可能性があること
②うつ病が起こるときは、前ぶれとして不眠が出現するかもしれないこと
③不眠によって生じるさまざまな心身の不調が重なって、うつ病を引き起こすこと(引用:『眠りの新常識』 内山 真 著)
1-11. 風邪のリスク増加、ワクチンの効果減少
睡眠時間が短いほど、風邪ウイルスに感染しやすくなると報告されています。
また、睡眠不足だと、予防接種の効果が半減すると報告されています。
関連記事1-12. さまざまな病気のリスク増加
上記で述べた、睡眠不足の悪影響(自律神経の乱れ、肥満、イライラ、疲れなど)が重なると、
- 高血圧
- 高血糖
などの生活習慣病に行きつきます。
そして、血圧や血糖値が高いと、動脈硬化のリスクが高まります。
このような背景からか、睡眠時間が6時間未満の人はそれ以上眠っている人に比べて、心疾患リスクが48%も高くなると報告されています。
関連記事1-13. アルツハイマー型認知症リスク増加
スウェーデンでの40年の追跡調査によると、睡眠に問題があると感じている人は、問題ないと感じている人よりも、
- 認知症:33%
- アルツハイマー病:51%
と、それぞれ発症リスクが高かったと報告されています。
104名の大学生を対象にした実験でも、たった一晩睡眠時間を5時間にするとだけで、認知が大きな歪みが生じたと報告されています。
関連記事1-14. 睡眠不足で細胞レベルで老化する
カリフォルニア大学ロサンゼルス校が行った研究から、たった一晩睡眠不足になるだけで老化が早まると報告されています。
たった1日4時間睡眠になることでDNAの損傷反応(≒老化)が約3倍になっています。
しかも、その翌日、通常どおり眠ってもらい回復をはかっても、DNA損傷反応は高止まりをしたままで実質的にあまり回復できていないことも報告されています。
関連記事2. 睡眠不足の解消方法
睡眠不足の解消方法は「眠ること」に尽きます。
休日の寝溜め、昼寝、仮眠などでとにかく眠って、不足している睡眠を補いましょう。グッズや栄養ドリンクは一時しのぎでしかなく、本質的な解決にはなりません。とにかく眠りましょう。
上手な寝溜め方法については、下記のページをご参照ください。
関連記事3. 睡眠不足かどうかチェックする方法
もし、下記の2つのことに当てはまるなら、あなたは睡眠不足だと考えられます。
- 日中に強い眠気を感じる
- 夜眠るとき5分以内に入眠できる
そして、睡眠不足の解消を進めていくにつれて、日中の眠気は弱まり、入眠にかかる時間も長くなっていくはずです。
とはいえ、午後の眠気は生理的なもの(セミサーカディアンリズム)や食事による影響もあるので、0にすることは難しいです。
4. 睡眠不足を解消する方法(睡眠時間を最適化する方法)
たった数十分の睡眠不足であっても、それが積み上がっていくと立派な睡眠負債です。
睡眠不足を解消するには、たくさん眠りつつ、眠りすぎにならないようにあなたにとって適切な睡眠時間を把握することが重要になってきます。
その方法論は下記のページをご参考ください。
関連記事5. 睡眠の質を上げるための方法
睡眠不足を解消し、適切な睡眠時間眠れているなら、睡眠の質の向上も目指しましょう。
睡眠の質を上げる方法はたくさんあります。
たくさんありすぎて何をすればいいのか困るくらいです。
私のおすすめの取り組み方は「簡単にできることから小さく始めること」です。
そしてさらに、「睡眠の質を上げることを新しく始める」よりも「睡眠の質を下げる習慣でやってしまっていることを止める」のを優先することのがおすすめです。
新しいことを始めるよりも、今やってしまっていることを止める(控える)ほうが負担が少なく続けやすいからです。
睡眠の質を上げる&下げる習慣については、下記のページで詳しく解説していますので、是非、ご紹介の視点を持ちながら取り組んでみてください。
関連記事最後に
睡眠不足の症状を理解して、改善するための手立てを考えるための一助になっていれば幸いです。