睡眠不足でバカになる。
そう断言できるほど、脳機能が低下します。
もちろん、生産性も落ちてしまうので、仕事の効率やアウトプットの質が悪くなるのは言うまでもありません。
ということで本日は「睡眠不足で生産性が落ちる仕組み」についてご紹介します。
※こちらのページ『睡眠不足の悲惨すぎる症状一覧と、改善のための方法』で睡眠不足による心身へのデメリットの総まとめをしました。睡眠不足が気になる方はあわせてご参考にしてください。 |
Contents
1. 睡眠不足で生産性が低下する3つの原因
睡眠不足で生産性が下がるのは、ワーキングメモリ(作業記憶)、脳の反応スピード、認知能力が悪くなるからです。
それぞれ解説していきます。
1-1. ワーキングメモリが低下する
2019年に行われたカリフォルニア大学リバーサイド校の研究によると、睡眠不足だとワーキングメモリの容量が減ると報告されています。
【ワーキングメモリ(作業記憶)】 何かを考えているときなどに一時的に保存しておくタイプの記憶です。例えば、4+4+7+3という計算をするとき、一気に4つの数字を足さずに、まず4+4=8と7+3=10をやりますよね。そして次に、8+10をして18と答えを出します。このとき、最初に計算した4+4の答えを、必要なときまで覚えておくのがワーキングメモリの仕事です。 |
睡眠の質(睡眠の短さも含む)が悪くなるに従って、覚えられている量が減っているのが示されています。
つまり、睡眠不足だと「あれ、さっき考えてたアレなんだったっけ」のような思考のつまづきが頻発することになるのです。
こうなってしまっては生産性が落ちるのも納得ですよね。
1-2. 反応スピードが遅くなる
アメリカのウォルター・リード陸軍研究所の実験から、睡眠不足になると反応スピードが遅くなることも報告されています。
目で見たものに対してどれくらい早く反応できるか(PVT法)、睡眠時間別のグループで測定されました。
睡眠時間が短ければ短いほど、反応スピードが落ちていっていることが分かりますね。
反応が遅いとなると、生産性が低くなるのは当然ですよね。
ちなみに、この実験のコアの部分は、その後の回復日に8時間睡眠をしても、反応スピードが完全には回復していないということです。つまり、睡眠不足になって一度生産性が落ちると、なかなか回復しづらいということです。
1-3. 認知力が低下する
ハーバード大学医学部が行った研究によると、睡眠時間が短いと認知力が低下すると報告されています。
【認知能力とは】 パッと目で見て捉えた映像を解釈する能力。商談中の相手の顔の表情や仕草を捉えるようなことです。そこからどのような解釈をして活かすかは別の話ですが、まず状況を適切に捉えることが生産性を高めるのには必須ですよね。 |
この実験では、下のような画像を1.7秒だけ見せられ、真ん中のローマ字が「T」か「L」を覚えつつ、画面のどこかに現れる斜線「///」が縦ならびか横ならびかを捉える、認知能力が測定されました。
なお、この実験では、まずこのテストの練習が行われました。
そしてその後、睡眠を挟むグループと挟まないグループで比較の本テストが行われました。
その結果、睡眠時間が短ければ短いほど、スコアの向上率(識別から反応までの時間の短縮)が低かったとされています。
つまり、目で見たものを認識するパフォーマンスが悪くなっているということなのです。
※感情処理能力が落ちる
さらに、カリフォルニア大学バークレー校の研究では、睡眠不足になると脳の前頭前野というエリアの働きが弱まると報告されています。
このエリアは感情のコントロール、思考や集中などの活動を(ワーキングメモリなどの機能も)担っています。
そのため、睡眠不足だと、
- イライラしやすくなる
- 不安な気持ちになりやすい
- 面倒くさく感じやすい
- 考える作業が続かない
- 集中力が続かない
などのような状態になりやすくなります。
イライラしやすかったり、面倒に感じるとき、生産的ではいられないですよね。つまり、こういったメンタル的な背景からも、生産性が下がると考えられるのです。
睡眠不足による日本の経済損失
なお、睡眠不足により生産性が下がることで経済的にも大きな損失が出ていると報告されています。
このような睡眠不足に起因する作業ミスや事故の発生は多くみられ、その社会的損失は、我が国では年間3兆4千億円に達するとの試算もあります。
(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)
非常に勿体ないですね。
睡眠不足にならないように気を付けましょう。
最後に
睡眠不足で生産性が下がるのは勿体ないことです。
しっかり眠るようにしましょう。
何時間眠ればいいんだ?と疑問の方は、下記のページをご覧ください。
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