週末の寝溜めはダメ、と言われますがモノは使いようです。
睡眠不足が続いている人にとっては、その不足分を週末に補うのは仕方がないことです。むしろ、寝溜めがなければ破綻してしまいますよね。しかし、下手に寝溜めをしてしまうと、その破綻を加速させるだけです。
効果的にするにはどうすればいいか。生体リズムを理解した計画性がキモとなります。
活用できれば、まさに金棒になります。どのように寝溜めのスケジュールを組めばいいのか、分かりやすく解説します。
※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。 |
Contents
1. 週末の寝溜めがダメと言われる理由|体内時計が乱れ睡眠不足の原因になるから
そもそもなぜ、週末の寝溜めがダメと言われているのか。
根本的な原因を知りましょう。そうすると後の理解が早まります。週末の寝溜めがダメな理由は、起床時刻が遅くなることで体内時計が後退し、その結果、就寝時刻が遅れることになる。しかし、それにもかかわらず、週明けの朝に起きなければならない時刻(えてして早い)は変わらないため、睡眠不足の状態になってしまうからです。
具体例を用いて説明します。
これはダメな寝溜めが習慣になっている人の1週間を簡略化したモノです。
何が問題なのかというと、日曜日から月曜にかけての睡眠時間が5時間になってしまっていることです。
このような寝溜めだと、せっかく週末にたくさん眠っても週明けはまた寝不足状態になってしまいます。これを俗にブルーマンデーと呼びます。下手な寝溜めにより週明けの疲れがひどくなるのです。
これには体内時計の働きも関わっています。朝起きると目に光の刺激が入ってきます。この刺激により体内時計の「朝」が始まり、その瞬間から14~16時間後に睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が増え「夜」となります。そのため、朝11時に起きると、深夜2時頃にやっと眠くなるのです。
このように、寝溜めによる遅起き → 体内時計の後退 → 就寝時刻の後退 → (起床時刻が後退できないため)睡眠時間の短縮 → 睡眠不足というようにしてブルーマンデーが引き起こされるのです。そのため、寝溜めはダメだと一般的に言われているのです。
1−1. 睡眠不足解消に効果的な寝溜め方法
しかし、この体内時計のポイントを押さえて計画を練れば、上手に寝溜めすることも出来ます。
一例としては下記のようになります。
ポイントは起床時刻と就寝時刻が早まっていることです。
「寝溜め量」の観点からいうと週末に取れる睡眠時間はどちらも同じく合計24時間で変わりません。しかし、日曜から月曜にかけて7時間眠れるので、月曜日のパフォーマンスがより良くなるのは言うまでもありませんよね。
大変なのは土曜日の朝です。8時間も眠れれば十分ですが、睡眠不足が続いている人にとってはやや短く感じるかもしれません。しかし、この朝頑張って起きることで体内時計の後退を避けることが出来るのです。そうすれば、自然と早寝早起きができるので週明けの調子が良くなるのです。
1-2. 睡眠負債が過度な人は、週末にたくさん眠るほうが良い
もちろん、上記の理論は教科書的な話です。
寝溜めをしている多くの人にとって、週末の朝9時に起きるのは不可能だと思います。
さらにいうと、週末の朝11時に目覚めたとしても、夜の24時には難なく眠れることと思います。
それはあなたが極度の睡眠不足で、睡眠負債がかなりたまっている状態だからです(私もそうでした)。
つまり、このような人は、ギリギリの綱渡りをしているようなもので、週末の寝溜めがあるからなんとか現状維持出来ているように見えるのです(実はまったく出来ていない)。もちろん、こういう人は眠るしかありません。眠って眠って睡眠負債を返していくしかありません。正直、週末の寝溜めだけでは足りないはずです。平日の睡眠時間も増やしましょう。
するとどうなるか。
1−1で紹介した人の気持ちが分かるレベルにまでなります。つまり、週末の朝11時に目覚めると、夜24時には眠れなくなるようになります。そこで初めて、1−1で説明した「上手な寝溜め方法」を実践していける段階になります。過度な睡眠不足な人は、まずはそこから始めなければなりません。
睡眠負債を返しきるには長い道のりが待っています。ある実験では、返済当初の4日は12時間以上の睡眠、10日経っても10時間以上の睡眠、そして3週間経ってやっと睡眠時間が落ち着いたと報告されています。もちろん、睡眠不足のときに傷ついた体が回復するのにはもっと時間を要します。
とにかく、寝溜めからでいいので睡眠不足を補うことを始めましょう。
※寝溜めの定義
過去の睡眠不足を補うことも「寝溜め」としてお話ししました。
しかし、本来、「溜める」とは現在の余剰を将来に使うことを意味します。そういう意味では、「寝溜め」は出来ません。過去の睡眠不足をやや補うこと(キャッチアップ)しか出来ません。食い溜めが出来ないことと似ていますね。
2. 週末の寝溜めで脳の回復は限定的|寝溜めはないのが理想
ここまでお読みいただくと、うまく活用することができれば寝溜めのある生活でもOKだと思われるかもしれません。
しかし、それは誤解です。寝溜めなしで生活ができるのが理想です。毎日、適切な時間きちんと眠り続けられると、もっとも脳のパフォーマンスを高く維持できるからです。
ウォルター・リード陸軍研究所の実験が参考になります。
- 被験者は平均43歳の男女66名
- 4つの睡眠グループ(3時間、5時間、7時間、9時間)を作る
- 7日間、その睡眠時間で過ごしてもらう
- その後3日間、8時間睡眠で過ごしてもらう
その結果、睡眠時間が短いほど反応スピードが遅くなっているのは当然として、8時間睡眠をとった回復日でもスコアが悪いままになっています。
同じテストの、そもそも反応できなかった回数でも同様の結果となっています。
寝溜めをしてもその場しのぎの回復にしかなっていないですよね。
なので、私からおすすめできるのは、まずは土日も平日もたくさん眠ることです。その過程では寝溜めを活用しましょう。しかし、最終的には、寝溜めが必要ないくらい毎日適切な時間きちんと眠れることが理想です。
最後に
寝溜めの上手な活用方法をご理解いただき、最終的にあなたが寝溜めなしでも生活できるようになれれば幸いです。
そして、睡眠時間が十分になってきたら、睡眠の質を高めることも同時に始めましょう。以下のページでこれまで紹介してきた、数々の研究で実証された良質な睡眠のために「するべきこと」と「してはいけないこと」を網羅的にまとめています。美味しいところ(結論)だけをつまみ食いできる構成になっています。是非ご一読ください。
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