こんにちは、加賀照虎です。
「気持ちが晴れないのは眠れないからだろうか」と考えたことはないでしょうか。
睡眠と心は大きな関係があります。
詳しく理解することで、睡眠を適切に捉えなおすことができます。
ということで本日は、「睡眠不足でうつ病発症リスクが2倍に。その研究データと原因」についてご紹介します。
※こちらのページ『睡眠不足の悲惨すぎる症状一覧と、改善のための方法』で睡眠不足による心身へのデメリットの総まとめをしました。睡眠不足が気になる方はあわせてご参考にしてください。 |
Contents
1. 睡眠不足でうつ病発症リスクが2倍に
日本大学医学部が2006年に25,000人を対象に行った調査では、睡眠時間が短い人はうつ状態である傾向があると報告されています。
こういったデータから睡眠不足だとうつ症状発症リスクが2倍になると考えられるのです。
なお、この2倍という数値は大袈裟なものでなく、海外の研究では4~6倍と報告されていることもあります。
1989年にアメリカで約8000人を対象にして行った研究では、不眠症状のある人のうつ病になるリスクは、不眠症状のない人に比べなんと約40倍になるという結果が示されています。
(引用:『睡眠レッスン』 穂積 桜 著)
なお、単に睡眠時間が短いだけなく、不眠という要素も加わるとうつ病発症リスクが40倍になるとも報告されています。
リスクが何倍になるかはさておき、睡眠時間が短い(or眠れない)ことでうつ症状になりやすいことは確かなので、きちんと眠れるようになることを目指しましょう。
1-1. 睡眠不足や不眠でうつ状態になる原因
睡眠時間が短いことや不眠があることでうつ発症リスクが数倍にもなると聞くと、気になるのが原因ですよね。
これについては何か1つ絶対的な原因があるというよりも、下記のような複数の原因が絡み合って起こっていると考えられています。
①不眠になった人はもともと体質的に、あるいは性格的にもうつ病になりやすい可能性があること
②うつ病が起こるときは、前ぶれとして不眠が出現するかもしれないこと
③不眠によって生じるさまざまな心身の不調が重なって、うつ病を引き起こすこと(引用:『眠りの新常識』 内山 真 著)
例えば、睡眠不足だと、体が疲れやすくなったり、ストレスや不安を感じやすくなったり、記憶力・集中力などの脳のパフォーマンスが下がります。
すぐに気を取り直せる人ならこういった状況でもなんとか切り盛りできるかもしれませんが、「眠れないことで人に迷惑をかけてしまうなんて私はダメな人間だ」などと考えてしまう人は(原因の①に該当)、そういった思考がうつへの後押しとなる恐れがあるのです。
1-2. うつになると睡眠不足(不眠)になる原因
そしてさらに厄介なのが、うつ状態になると眠りにくくなるため、さらに悪いサイクルに突入してしまう可能性があることです。
というのも、うつ状態になるとストレスや不安で頭が一杯になってしまうからです。
その結果、自律神経のバランスが乱れ、交感神経がオンのままになり続ける「過覚醒」という眠れない状態になってしまうのです。
なお、家から出られないほどの状況になると、より深刻です。
というのも、眠るための2つの要素(体内時計と疲れ)が満たせなくなるからです。
1-3. うつ気味による睡眠不足(不眠)を改善するには
もし下記のことに心当たりがあるなら、病院へいきましょう。
- うつっぽくて眠れない
- 眠っても気持ちが晴れない
- 食欲がない
- 物事が楽しめない
日本人は世界的に不眠を軽視しがちと言われています。
不眠のために病院へ行く人はかなりの少数派です。
もし「睡眠薬が怖い」とか「病院に行くと薬漬けにされると噂で聞いたことがあるから怖い」と思っているなら、認知行動療法を実践しているクリニックに行くことをおすすめします。
不眠の認知行動療法の目的は、不適切な睡眠習慣の変容と、睡眠に対する否定的で偏った思考(自動思考)や態度、偏った信念(スキーマ)を取り除くことである。つまり、睡眠に良好な習慣を獲得するとともに、、、(割愛)、、、極端な考え方や受け止め方を修正することを目指している。
(引用:「睡眠心理学」 堀 忠雄 編著)
考え方の矯正だったり、眠りによい行動を通して睡眠改善を目指すものです。
もちろん、その途中で睡眠薬が使われることもありますが、主治医と相談して調整してもらうことも出来るはずです。
「認知行動療法 睡眠 うつ ◯◯(お住まいの地域)」などのようにして信頼できる専門医を探してみてください。
最後に
睡眠とうつ症状の関係についてご理解いただけていれば幸いです。
症状に心当たりがある方は、早いうちに病院で改善されるようにしてください。