睡眠

【睡眠改善の手順】睡眠時間を正して、質を高める

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「睡眠改善への道標が見えました!」

睡眠セミナーを行なっていると、嬉しい反応をよくいただきます。

そのような中でも、先日ある労働組合様向けに行った「睡眠改善セミナー」が非常に好評でした。

かなりの力作でしたので「もっと広めたい」という思いがあり、このページでその内容を書き起こすことにしました。

  • そもそも適切な眠りとは?
  • 睡眠改善のための2ステップ
  • 適切な睡眠時間の探し方
  • 睡眠の質を高めるための方法(一覧&進め方)

などについてお話ししていきます。

睡眠にお悩みの人には役立てる内容があるはずです。

ぜひご参考にしてください。

(※アップデートした内容を動画で制作しました!)

著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。2,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。
取材依頼はお問い合わせから。
インスタグラムでも情報発信中⇒フォローはこちらから。


0. そもそも適切な眠りとは?

まずは大前提から。

そもそも適切な眠りとはどういう状態か、イメージできていますでしょうか。

結論、睡眠には5つの指標があり、それぞれ次のようになっていれば眠りが適切だとされています。

  1. 睡眠時間:適切な長さ(人それぞれ)
  2. 入眠時間:10~15分で眠れる
  3. 睡眠の持続性:夜中や早朝に目覚めない
  4. 起床時の睡眠感:スッキリ熟睡感がある
  5. 日中の調子:眠気や疲れがない

この状態がゴールです。

とはいえ、加齢に応じて夜間に目覚めるようになってしまったり、早朝に目が覚めるようになるのは仕方がないことです。

自然の摂理と受け止めましょう。

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加齢に応じて睡眠は短く浅くなる (出典:(社)日本睡眠教育機構)

なお、入眠時間にはよく誤解があります。

ベッドに入ってすぐに眠れるほうが良いと考える人がいますが、10分未満(特に5分未満)で眠れるのは睡眠不足の証拠と考えられます。覚えておきましょう。


1. 睡眠改善のための2ステップ

さあそれでは、睡眠改善の手順について。

結論、まずは睡眠時間を正し、その次に睡眠の質を高めるようにしましょう。

【前提知識】睡眠の質より睡眠時間を優先したほうがよい理由

「質よりも量?」と疑問を持たれた方もいるかもしれません。

そうです。

睡眠改善においてはまずは量を優先しましょう。

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その理由は次の3つです。

  1. 睡眠時間が足りなければ質を高めても改善の見込みが薄いため
  2. 睡眠時間は数値だから改善の指標にしやすいため
  3. 睡眠時間を正す過程で質の問題点が見えてくるため

また、そもそも「睡眠の質」という言葉にも誤解があります。

乱用されているために「私の睡眠の質って低いのかな?」と感じてしまっている人も多くいらっしゃいますが、そもそも「睡眠の質が低い」とは、例えば、睡眠時無呼吸症候群により睡眠中に10秒以上にわたって呼吸が何度も止まるような人のことを指します(これはかなり睡眠の質が低いケースですが)。

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こういう状態ではない一般的な人は、まずは量を優先しましょう。

「普通の人は普通に眠れば必要十分な質の眠りを取れる」と考えていただければ結構です。

ステップ1: 睡眠時間を正すための方法

それでは次に、睡眠時間を正すための方法について。

私が所属している日本睡眠教育機構理事長の宮崎総一郎が提唱している方法を紹介します。

とてもシンプルです。

  1. 好きなだけ眠る生活を5日間続ける
  2. 6日目に入眠時刻から自然に目が覚めた時刻までの時間を調べる

5日間夜は眠くなったら眠り、朝目覚まし時計は使わず自然に起きる生活を続けます。これにより睡眠不足は充分に解消されます。そうして、5日間好きなだけ寝たのち、眠りに入った夜の時刻から、自然に目が覚めた朝の時刻までの経過時間-それが、あなたの最適な睡眠時間と言うことです。(引用: 病気の原因は「眠り」にあった 宮崎総一郎 著)

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就寝時刻と起床時刻の例。この場合、7時間半が適切な睡眠時間と考えられます。

たったこれだけです。

「好きなだけ眠るなんて余裕ねーよ!」という声が聞こえてきそうですが、これを行わないことには睡眠改善ができないので、連休や有給などを駆使してぜひともお時間を作っていただければと思います。

睡眠時間を正す上での失敗&例外パターン

挑戦には失敗がつきものです。

睡眠時間を正そうとしても上手くいかない場合があります。

よくある失敗と例外の6パターンでの対処法は次のようになります。

  1. まだ睡眠不足
    6日目になっても起床時に熟睡感がなかったり日中に眠い場合、まだ睡眠不足の可能性があります。試験をしてみたものの「忙しくて好きなだけ眠れない日があった」という方はこうなりやすいです。試験期間を延長しましょう。(※もしくはパターン6のこともあります)
  2. 眠りすぎ
    試験の途中で「寝つきに20分以上かかるようになった」「夜中に目覚めるようになった」という場合は、眠りすぎているために眠れなくなったと考えられます。睡眠時間を短くしましょう。
  3. ショートスリーパー
    「好きなだけ眠ろうとしても短時間しか眠れない。しかし、睡眠感も日中の調子も良い」という方はショートスリーパーだと考えられます。羨ましいです。
  4. 不眠症
    「好きなだけ眠ろうとしても短時間しか眠れないし、睡眠感も日中の調子も悪い」という方は不眠症だと考えられます。睡眠外来を受診しましょう。
  5. ロングスリーパー
    「6日目になっても9時間以上眠れていて、それでいて今までにないほど調子が良くなった」という方はロングスリーパーだと考えられます。自分には長時間睡眠が必要だということを受け入れて、その睡眠時間を確保した上で生活を送れるようにしましょう。
  6. 睡眠障害
    「6日目になっても9時間以上眠れるが睡眠感も日中の調子も悪い」という方は睡眠障害があると考えられます。睡眠外来を受診して専門医に診てもらいましょう。

睡眠負債は必要悪

「とにかくたくさん眠ればいい」

余談ですが、これもよくある誤解です。

睡眠時間が長すぎることで眠れなくなるからです。睡眠負債というと借金のようなイメージがあり「負債を0にするためにとにかくたくさん眠らないと!」と考えられる方がいますが、実際はそれとは逆です。睡眠負債が少しあることで眠りにメリハリがつくのです。

事実、睡眠負債(sleep debt)という言葉の生みの親であるウィリアム・デメント教授もそうおっしゃっています。

この実験(注:睡眠負債を無くす実験)からは、もうひとつ重要な原則が明らかになった。それは、眠りを効率的に得るために、多少の睡眠負債は必要だということだ。睡眠負債が少なくなるにつれて被験者が寝つくまでの時間は長くなった。

(引用:『ヒトはなぜ人生の3分の1も眠るのか?』 ウィリアム・C・デメント 著)

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デメント教授の本。内容は古いですが睡眠に興味のある方はご一読を。

正直、睡眠時間の調整は難しいです。

とはいえ、非常に大事なポイントですので、適切な眠りの5つの指標と照らし合わせながら睡眠時間を適切にしていきましょう。

ステップ2: 睡眠の質を高めるための方法

睡眠時間を適切にする方法についてご理解いただけましたか?

それでは次に、睡眠の質です。

結論、睡眠の質を高めるには、睡眠にとって良いことを行い、悪いことを控えるだけです。例えば、以下のような事例があります。

  • 午前中に太陽の光を多く浴びると睡眠時間が伸びて活動的になる
  • 軽い運動を行うだけで日中の疲労感&集中力が45%改善
  • 食物繊維が豊富で低脂肪・低糖な食事をした人は、入眠が早く眠りが深くなった

(※詳細については以下のページでまとめています。詳しく知りたい方は、ぜひ合わせてご参考に。)

関連記事

正直、「睡眠の質を高める方法」などの情報は溢れています。

何度も見聞きしたことがあるかと思います。

それでも睡眠に満足できていない方が多々いらっしゃいます。

それはなぜでしょうか。

問題は「進め方」にあると考えられます。

自分に合わないことをやることで無理が生じて、三日坊主になってしまうのです。

睡眠の質を高めるための方法(進め方)

そこで紹介したいのが、広島国際大学の田中秀樹教授が考案した方法です。

チェックシート形式でやれそうなことからコツコツ取り組んでいく内容になっています。

らくに習慣化できるでしょう。

まずは次の18の項目を読みながら、現状できていることに◯、現状できていないけど頑張れば出来そうなことに△、現状できていないけど頑張っても出来さなそうなことに✕、の印をそれぞれ付けてください(※30、40代向けにやや修正してあります)。

  1. (    )朝、太陽の光をしっかり浴びる。
  2. (    )夜間、室内の明かりを暗めにする。
  3. (    )生活に運動を取り入れる。
  4. (    )お風呂や運動は就寝2時間前に済ます。
  5. (    )ポリエステル100%の寝具・パジャマは使わない。
  6. (    )寝床の温湿度を適切に調整する。
  7. (    )朝食はよく噛みながら食べる。
  8. (    )低脂肪・低糖な食事を心掛ける。
  9. (    )夕食は就寝時刻の3時間前までに済ます。
  10. (    )夕方以降、コーヒーやお茶を飲まない。
  11. (    )寝床でテレビを見たり、仕事をしない、スマホを使わない。
  12. (    )就寝1時間前はタバコを吸わない。
  13. (    )寝るためにお酒を飲まない。
  14. (    )静かな環境で眠る。
  15. (    )眠くなってから寝床に入る。
  16. (    )寝床で悩み事をしない。
  17. (    )昼寝は20分以内、15時までに済ます。
  18. (    )週末に寝だめをしない。

そして次に、あなたの現在の睡眠の満足度を100点満点で点数付けしましょう。

  • (          点)寝付きの満足度は?
  • (          点)熟睡の満足度は?
  • (          点)寝起きの満足度は?
  • (          点)日中のスッキリ感は?

◯△×を記入しましたか?

次に、改善点を選んでいきます。

△の中から3つ、改善目標を決めましょう。

これらの改善に2週間取り組みましょう。

  1. ( △  )朝、太陽の光をしっかり浴びる。
  2. ( △  )夜間、室内の明かりを暗めにする。
  3. ( △  )生活に運動を取り入れる。
  4. ( ◯  )お風呂や運動は就寝2時間前に済ます。
  5. ( △  )ポリエステル100%の寝具・パジャマは使わない。
  6. ( ◯  )寝床の温湿度を適切に調整する。
  7. ( ◯  )朝食はよく噛みながら食べる。
  8. (  ✕  )低脂肪・低糖な食事を心掛ける。
  9. ( △  )夕食は就寝時刻の3時間前までに済ます。
  10. ( ◯ )夕方以降、コーヒーやお茶を飲まない。
  11. ( △ )寝床でテレビを見たり、仕事をしない、スマホを使わない。
  12. ( ◯ )就寝1時間前はタバコを吸わない。
  13. ( △ )寝るためにお酒を飲まない。
  14. ( ◯ )静かな環境で眠る。
  15. ( ◯ )眠くなってから寝床に入る。
  16. ( ◯ )寝床で悩み事をしない。
  17. ( ◯ )昼寝は20分以内、15時までに済ます。
  18. ( △ )週末に寝だめをしない。

頑張りすぎると三日坊主になります。

なので、✕はひとまず✕のままでいいです。△の取り組みやすいものから進めていきましょう。もし、◯と✕しかなければ、◯を◎にすることを目標にしましょう。また、目標を3つ設定するのが難しそうであれば、2つで結構です。

とにかく、小さな成果でいいので前に進めることが大切です。

仕事と一緒ですね。

そして2週間後、もう一度、睡眠の満足度の点数を付けてみましょう。

睡眠の質が上がっていることを実感できるはずです。そして、さらなる睡眠改善のために、残っている△を◯に(もしくは◯を◎に)できるように、新しい目標に取り組んでいきましょう。


最後に

「なんか普通なことしか書かれてない」

このように感じられた方もいるかと思います。

ただ、睡眠改善に魔法はありません。

そもそも、睡眠は生理現象です。30~40代の人であれば、普通にしていれば普通に眠れるものです。

しかし、現代社会で生きているとその普通ができなくなり、睡眠に問題が生じるわけなのです。なので、ご安心ください。特別なサプリなどは要りません。普通のことを行うだけで自然と睡眠はよくなっていくはずです。

ぜひお試しください!

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