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【失敗しないマットレスの選び方】硬さ、厚さ、密度、線材を吟味

※当ページで解説しているマットレスを選ぶ手順(型→素材→個別商品)をもとにこちらのページ「マットレスのおすすめ11選|専門家が教える自分に合うものを絞り込む手順」でおすすめのマットレスを紹介しています。具体的な商品をお探しの方はあわせてご覧ください。

いきなり特定のマットレスの品定めをしてはいけません。

失敗のもとです。

マットレス選びで後悔しないためには、まず「あなたの生活スタイルに合った型」を理解し、その後「好みの寝心地に合った素材」を検討、そして最後に「商品の品質を吟味する」。

この手順で進めることが重要です。

 

ところで、「高価なマットレスは、さずかし高品質なんだろうな」と考えたことはないでしょうか?

正直、マットレスの「品質」と「値段」は必ずしも一致しません。

高反発マットレスでは19,800円ものと50,000円のものが同等の品質だったりしますし、スプリングマットレスでは60,000円のものと150,000円のものが同等の品質だったりします。そして、値段にかかわらず、熟睡できるものから腰・背中を痛めるものまであります。

 

そして問題は、その品質が分かりにくいことです。特に2018年の業界ルール変更により、品質を開示する義務がなくなり、マットレス選びが一層困難になりました。

しかし、心配いりません。

本日は、これら全ての点を理解していただき、後悔しないためのマットレスの選び方として、

  • 選び方の手順(型→素材)
  • マットレスの品質を吟味する6つのポイント
  • 後悔しないマットレス選びのための16のチェックリスト

について網羅的に解説していきます。

専門的な説明が多いうえに長くなってしまいましたが、最後までお読みいただければ自信を持ってマットレス選びを始めていただけるはずです。ぜひ指針としてお役立てください。

著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。2,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。
取材依頼はお問い合わせから。
インスタグラムでも情報発信中⇒フォローはこちらから。

Contents


1. マットレス選びの手順(型と素材から絞り込む)

4種類の型と、数ある素材の中からどのようにマットレスを絞り込んでいくのか。

順を追って説明していきます。

1-1. あなたに合うマットレスの型の種類とは

まず初めに、マットレスには次の4つの型があります。

  • ノンコイル薄型マットレス
  • 脚付きマットレス
  • ノンコイルベッドマットレス
  • コイルスプリングベッドマットレス
 ノンコイル
薄型マットレス
脚付き
マットレス
ノンコイル
ベッドマットレス
コイルスプリング
ベッドマットレス
画像thin-non-coil-mattress1mattress-with-legsthick-non-coil-mattress1coil-mattress1
厚み7~10cm前後10~20cm前後15~25cm前後20~35cm前後
重量4~7kg前後10~30kg前後10~20kg前後20~30kg前後
寝心地
耐久性
揺れ&音
使用環境床&ベッドベッドベッドベッド
手入れ
クリーニング××
処分
価格

メリット・デメリットの比較を見てもらうと分かるように使い勝手が大きく変わります。

まずは一旦、寝心地のことは置いておいて、あなたの生活に合う種類のマットレスは何か考えてみてください。ベッドの有無、取扱い、手入れなど大きく変わってくるからです。

  • ノンコイル薄型マットレス
    ベッド不要で床に直置きできる。軽くてコンパクトなため手軽に使える。三つ折りだと布団のように収納可能。搬入、設置、処分が手軽。
  • 脚付きマットレス
    ベッドと一体化したマットレス。コンパクトで部屋に圧迫感が生まれにくい。安価で寝心地に難があるものが多い。
  • ノンコイルベッドマットレス
    ベッドが必要だが重すぎないので扱いは手軽。搬入、設置、処分も手軽。
  • コイルベッドマットレス
    ベッド必要。大きく重たいため手入れが大変。搬入、設置、処分なども大変。

どの型が合うかピンとこない方はこちらのページ「敷布団とマットレス、ベッドマットレスの比較。素材ごとの併用の相性とおすすめ」で詳細に解説しているのでご参考にしてください。

1-2. 好みのマットレスの素材を考える

あなたに合う型のマットレスは決まりましたか?

決まりましたらその次に、素材について考えます。

下記の数ある素材から選ぶことになります。素材選びは楽しいところでもありますよね。

種類イメージ体圧分散反発弾性 横揺れ  通気性 お手入れ










高反発ウレタン
フォーム
high-resiilience-foam
ラテックスlatex-foam
TPEポリマーTPE-polymer

一般ウレタン
フォーム
regular-foam
ファイバーair-fiber×


低反発ウレタン
フォーム
memory-foam
繊維わたpolyester-fiber




ハイブリッド3-layers-hybrid-mattress


ボンネルコイルbonnel-coil
ポケットコイルpocket-coil
※コイルスプリングマットレスの体圧分散性はコイルの上の詰めもの(ウレタンフォーム やわたなど)の量と品質により大きく左右され、単体での評価が不可能なため「 – 」としています。また、それぞれ加工・品質により△が◯になったり、◎が◯になることがあります。

それぞれ体圧分散性や反発弾性がさまざまですよね。

これらは寝心地に大きく直結するポイントです。なお、通気性は良いに越したことはありませんが、シーツやパッドなどでどうにかできるので優先順位は低めで結構です。横揺れは二人で寝るなら無いほうが良いです。

それぞれの素材の特徴を一言でまとめると、下記のようになります。

種類特徴
高弾性ウレタン柔軟性がありフィット感が高いながらも反発弾性も高いので寝姿勢が崩れにくく、
寝返りがしやすい。通気性はそこそこ。高反発ウレタンよりやや重くやや高価。
ラテックス高弾性ウレタンと似ていてフィット・サポートのバランスが良い。
天然素材のためエコだが高価。密度が高くかなり重いがその分耐久性に優れる。
TPEポリマー上記2つよりはやや劣るものの体圧分散性と弾力性がそれぞれバランスよく高い。
通気性が圧倒的に高いため蒸れづらい。非常に重いのがやや難点。
一般ウレタンやや硬めでしっかりした寝心地。サポート性十分で寝姿勢が崩れにくい。
通気性は良くないのでパッドの併用必須。軽くて扱いやすい。安価。
ファイバー硬めの寝心地。サポート性は十分。通気性抜群で洗えるため、ダニ・カビなどの
衛生面を気にする人にぴったり。高反発ウレタンよりはやや重く、値段が高め。
低反発ウレタン体圧分散性はピカイチで最高のフィット感だが反発弾性が低いので寝姿勢が崩れたり、
寝返りがしにくい。通気性はあまり良くない。表面に薄く使用するのに向いている。
ハイブリッド素材の組み合わせ次第で寝心地が変わるが、基本的には長所を引き立たせて
短所を抑える設計のため寝心地・使い勝手のバランスが良いものが多い。
ボンネルコイル頑丈な作りではあるが面で支える寝心地であることや、コイル同士が繋がっていて
横揺れしやすかったり、軋み音がしやすかったりなど欠点が多いので非推奨。
ポケットコイルノンコイル素材が受け止めた体をバネの力で柔軟にサポートする寝心地。
点で支える構造のため横揺れしにくく、軋み音も少ないのでコイルならポケット一択。

繰り返しになりますが、素材で寝心地が決まります。

どの素材が自分に合うか理解することがマットレス選びのキモです。それぞれの素材の特徴をより細かく理解したい人はこちらのページ「マットレスの4種類8素材を比較|特徴と選び方、おすすめできる人」で解説しているのであわせてご覧ください。


2. マットレスの品質と寝心地を確かめる6つのポイント

ここまで読んでいただけると、「床置きで三つ折り仕様の高反発ウレタンフォームマットレス」とか「ベッドで使えるノンコイルの高弾性ウレタンフォームマットレス」などのように欲しいマットレスのイメージがある程度絞り込めているかと思います。

となると次は、特定の商品を試して選んでいく段階です。

ここで大事なのが、あなたが検討しているマットレスの寝心地やスペック、品質、サイズなどが適切か、あなた自身でチェックできることです。一見、難しそうに思えるかもしれません。が、意外に簡単です。分かりやすく解説していきます。

2-1. 硬さ(体圧分散性)は適切か

適切な硬さ=適切な寝姿勢であること

万人にたいして完璧な硬さ/柔らかさのマットレスはありません。

とはいえ、下記のイラストのように、適切な姿勢で寝られていれば、あなたにとってそのマットレスの硬さは適切であると言えます。

理想的な寝姿勢
理想的な寝姿勢

硬さはマットレス選びでもっとも大事だといっても過言ではありません。

硬さが合わないことで体を痛めたり、寝疲れして、睡眠の質がカンタンに下がるからです。

硬さイメージ評価
硬すぎtoo-hard-mattress1
  • 腰などを圧迫する
  • 背中へのサポートなし
  • 腰痛の原因になる
適度right-hardness-mattress1
  • 圧迫が少ない
  • 適切な寝姿勢になる
  • 快適に眠れる
柔らかすぎtoo-soft-mattress1
  • 寝姿勢が悪化する
  • 筋肉や骨に悪影響がある
  • 腰痛の原因になる

マットレスの硬さをチェックする方法(試し寝できる場合)

まずはマットレスと背中の間にスキマが出来ていないか確認しましょう。

  • やや硬い:背中の下にスキマがあるようには感じられるものの手が入るほどのスペースではないなら、やや硬めだと考えられます。腰などへの圧迫が気になるならそのマットレスは選ばないようにしましょう。
  • 硬すぎる:手がスポスポ入るほどのスキマが背中の下にあるなら、そのマットレスはあなたにとって硬すぎです。避けるようにしましょう。
mattress-is-too-firm
敷寝具の腕で腰が浮いている状態

なお、これとは反対に、マットレスに寝たときに腰が沈み込むように感じられるなら、そのマットレスは柔すぎです。同じく、避けるようにしましょう。

マットレスの硬さをチェックする方法(試し寝できない場合)

ネットで購入するなら下記のような工夫がされているか確認しましょう。

  • 多層構造で一層目に80~100N以下の柔らかいウレタンフォームがあるか
  • 多層構造じゃないなら表面がプロファイルカットなどの加工で柔らかくされているか
  • もしくはわたの詰めものなどで当たりを柔らかくしているか
ニュートン値硬さ
110以上かため
75~110ふつう
75未満柔らかめ
二層構造凸凹プロファイル7ゾーンプロファイル
2-layers-surfaceprofile-surface7-zones-profile-surface
波型カットデクビトスカットピンホール加工
horizon-cut-surfacedecubitus-cut-surfacepin-hole

硬さ選びには「体型」と「寝方」と「慣れ(好み)」も勘案すること

大きな体型の人はマットレスに体が沈み込みやすいのでやや硬めのものが合いやすいです。

その一方、細めの体型の人は圧迫を感じやすいのでやや柔らかめのものが合いやすい傾向があります。

体型BMI値寝心地の相性
太めhuman-body-big-and-fat25以上
  • 体が沈み込みやすい
  • 硬めのほうが合いやすい
ふつうhuman-body-middle18.5〜25未満
  • 体型による調整の必要なし
細めhuman-body-slim-and-light18.5未満
  • 脂肪や筋肉が少なく圧迫を感じやすい
  • やや柔らかめのほうが合いやすい

また、仰向けの人は普通からやや硬めの相性が良く、横向きの人は普通からやや柔らかめとの相性が良い傾向があります。

 仰向け横向き
イメージsleep-on-the-back2side-sleep
体の湾曲浅い深い
接地面積広い狭い
硬さ相性普通~硬め普通~柔らかめ

しかし、同時に忘れてはいけないのが、慣れ親しんだマットレスの硬さです。

寝心地が大きく変わると、違和感が生まれます。例えば、柔らかい低反発マットレスで5年間寝ていた太り気味の人が、いきなり教科書どおりに硬めなマットレスに変えると硬すぎるように感じやすいことがあるのです。そのため、マットレスの硬さチェックをするときには、あなたにとって適切な硬さから「体型」と「慣れ」の2つの要素でさらに微調整するようにしてください。

2-2. サポート性(反発弾性)は十分か

反発弾性は、快適に寝るうえで大切な要素です。

マットレスに適度に沈み込んだ体が、正しい寝姿勢のまま崩れないようサポートし、さらに、スムーズな寝返りを促すのが弾力性の役割です。これについては寝返りがしやすいかをチェックポイントにしてください。

もちろん、素材によっても弾力性はある程度推し量ることができます。例えば、ノンコイルマットレスでは、ウレタンフォームやラテックスなどの詰めものの反発弾性がそのままダイレクトに影響してきます。

「低反発ウレタンフォームは体圧分散性は最高なものの反発弾性がなくてサポートが不十分になりやすいから、高弾性フォームやラテックスなどと組み合わせるといい」というのはこういった背景によるものです。

なお、コイルスプリングマットレスのサポート性はやや複雑で、特にポケットコイルマットレスは、詰めものに加えて、コイルスプリングのストローク(長さ)や巻き数、形状などにも左右されます。

 円筒型樽型円錐型砂時計型
イメージpocket-coil-cylinder-shapepocket-coil-barrel-shapepocket-coil-cone-shapepocket-coil-hourglass-shape
特徴平均的な寝心地柔らかめの寝心地硬めの寝心地柔軟な寝心地

しかし、コイルの細部についてこだわり出すとキリがありません。

組み合わせが膨大なうえ、すべての組み合わせが自分の理想通りのものが存在するとも限らないからです。メーカーを信じましょう。市販のマットレスは各メーカーが膨大な組み合わせの中から「これがいい」とはじき出した答えです。

そのため、詰めものの種類くらいは理解しておくべきとは言いつつ、コイルの細部についてはそこまで根掘り葉掘り調べなくても良いのではないかと私は考えています(とはいえ、耐久性に直結する線材の品質については絶対に知らなくてはいけないので2-4で詳述します)。

2-3. 厚さに過不足はないか

マットレスにはいろいろな厚さのものがありますが、必要最低限の厚さは絶対に守るようにしましょう。

種類厚み評価
マットレス
トッパー
3cm
  • 一般的なマットレストッパーの厚み
  • 分厚いパッドと同等のサポート性
  • これ一枚で寝るのはやや不十分
5cm
  • 厚めのマットレストッパー
  • 体圧分散改善◎
  • 体重30kg前後の子供ならこれで十分
敷布団/
ノンコイル
薄型
マットレス
7cm
  • やや薄めの敷布団などの厚み
  • 体重60kg前後の人向き
  • 横向き寝だと底つき感の心配あり
10cm
  • 敷布団・床置きマットレスの厚み
  • 体重80kg前後人向き
  • 折り畳んだり、収納できる限度の厚み
ノンコイル
ベッド
マットレス
15cm
  • 体重の重い人でも快適に寝られる厚み
  • 折り畳んだり収納するのは困難
  • ベッドでの使用に向いている
20cm
  • 分厚いノンコイルマットレスの厚み
  • 薄めのコイルマットレスの厚み
  • コイルの上の詰めものが不十分なことがある
コイル
スプリング
ベッド
マットレス
25cm
  • 標準的なコイルマットレスの厚み
  • シングルサイズでも20kg以上の重さになる
35cm
  • ベッドマットレスとしては分厚い部類
  • 両面仕様のものが大半
  • ものによっては厚すぎることも

床置きマットレスの必要最低限の厚さ

床に置いて使えるマットレスを購入しようと思っているなら、あなたの体重をもとに必要最低限の厚さがあるものを選ぶようにしましょう。

使用者の体重必要最低限の厚さ
ウレタンフォームファイバー
30kg5cm3cm
60kg7cm5cm
80kg10cm7cm
100kg13cm10cm

(※低反発などの柔らかめのマットレスの場合、上記のウレタンフォームの厚みよりもさらに1~2cmほど厚さがあると安心です)

もしこの厚さに満たないマットレスを使って寝ると、床の硬さが腰に感じるようになります(いわゆる底つき感)。

圧迫によって腰が疲れるだけでなく、腰痛の原因にもなるので気をつけてください。

 底つき感のイメージ
仰向け底つき感_仰向け
横向き底つき感_横向き

コイルマットレスの必要最低限の厚さ

コイルマットレスでも同様です。

コイルの上の詰めものの厚さが少なくとも4cm以上あるものでないと、腰にコイルの硬さを感じられることがあります。安価なものは厚さ1cmのウレタンフォームが一枚あるだけだったりと詰めものが極端に少ないのでご注意ください。

低品質なスプリングマットレスは詰め物が少なすぎることが多い
低品質なスプリングマットレスは詰め物が少なすぎることが多い

なお、スプリングマットレスで厚さが35cm以上のものの中には無駄に分厚いものもあります。

厚いほど見た目が豪勢になりますが、ウレタンフォームやわたが多すぎてスプリングの弾性が感じられない勿体ない作りになっているので避けるようにしましょう。

2-4. 適切な耐久性があるか

耐久性を決める大事なポイントが「ウレタンフォームの密度」と「コイル線材の品質」です。概要とチェック方法をお伝えします。

ウレタンフォーム・ファイバーは密度で耐久性が決まる

ウレタンフォームやファイバーの素材の密度と耐久性は、以下のような関係です。

密度(kg/㎥)耐久性の評価
高反発ウレタン低反発ウレタンファイバー
20D以下30D以下35D前後
  • 数ヶ月~1年程度の耐用年数
  • 1万円をきる安価なマットレス向け
25D前後35D前後45D前後
  • 3~5年程度の耐用年数。
  • リーズナブルなマットレス向け
30D前後40D前後55D前後
  • 5~8年程度の耐用年数。
  • 国内・海外ブランドの有名マットレス向け
40D以上50D以上65D前後
  • 8年以上の耐用年数。
  • 高価で高品質なマットレス向け

密度の低いスカスカのものはヘタリやすく、高密度のつまったものは頑丈で長持ちすると簡単にイメージしていただけるかと思います。

商品ページに「密度30D」などと記載されているので、その数値を目安にしましょう。密度の記載のないマットレスの品質は、あまり良くないことがあるので避けることをおすすめします。

コイルは線材の炭素保有量で耐久性が決まる

次に、コイルスプリングの線材の品質です。

品質表示の内容を図解すると、以下のようになります。

コイルスプリングの品質表示の見方
コイルスプリングの品質表示の見方

耐用年数の目安は以下のようになります。

  • ピアノ線は10年以上の使用に向いている。
  • 線材が硬鋼線で②の炭素の保有量が:
    60台のものは安価な3~4年前後の耐用年数のものに多い。
    70台前半のものは5~7年前後の耐用年数のものに多い。
    70台後半以上のものはそれ以上の長期間の使用が見込める。
線材の種類炭素保有量値耐用年数の目安
ピアノ線SWRS77~9210年前後
硬鋼線SWRH82
72~776~7年前後
62~673~4年前後

ただ、マットレスの耐用年数は使用環境(ベッドパッドの有無など)にも大きく影響されることもご承知ください。

注!:大変残念なことに、平成29年3月30日よりスプリングマットレスの品質表示法の改定があり、表示内容が大幅に簡素化されることになりました。
今後はこのような表示内容になるため、品表ラベルを見てスプリングの数、大きさ、材料の種類、品質などを知ることができなくってしまいました。とはいえ、メーカーも販売店も今まで通り上記のスペックを参考に売買をしているので、あなたが店頭でマットレスの線材と品質を質問すれば教えてくれるでしょう。優れた一品を選び抜くため使える知識ですので、品質表示に記載はされていないとしても、知っておくに越したことはありません。

2-5. 蒸れにくい設計になっているか

寝苦しくならずに爽やかに眠るには通気性などが大事なポイントになります。ウレタンフォームなどの詰めものにより差が出るところですので、こだわって選ぶようにしましょう。

ウレタンフォームは構造・加工で通気性が変わる

ウレタンフォームは通気性があまり良くありません。

ただ、内部構造が開いているオープンセル構造のものや、穴が開けられたピンホール加工が施されたものは通気性が高くなります。そのため、このようなウレタンフォームが採用されているものを選びましょう。

オープンセル構造ピンホール加工
open-cell-construction-of-polyurethane-foam1pinhole-processing-latex-foam1

汗を吸い取れる厚さのある生地か

ノンコイルマットレスの生地は本当にピンキリです。

ポリエステル100%で100g/m2くらいのシーツのような薄い生地のものすらあります。そのような生地だとウレタンフォームの上に直接寝るような寝心地になってしまい蒸れやすさを感じやすくなります。

types-of-fabrics

三層ニットやジャカード織などのような汗を吸収することのできる厚さのある生地を選ぶようにしましょう。また、高反発ファイバー素材のマットレスなら3Dメッシュのような通気性の高い生地だと相性が良いのでおすすめです。

吸水性・吸放湿性のある生地素材か

生地や生地内の詰めものの素材によっても蒸れやすさは大きく変わってきます。

ポイントは吸水性と吸湿性です。これらの性質がある素材が生地に使われていると寝汗がきちんと吸い取られるので、爽やかな寝心地になります。

素材イメージ柔らかさ滑らかさ 吸湿性  放湿性  耐久性  洗濯性 





綿
(コットン)
cotton1

(リネン)
linen1



(シルク)
silk1
羊毛
(ウール)
wool1




レーヨンlayon1

ポリ
エステル
polyester1

なお、「レーヨン35% ポリエステル65%」や「綿65% ポリエステル35%」などのように、ポリエステルが多少使われているものをよく目にするかと思いますが、これは合理的な配合です。

生地の表面にレーヨンや綿などのような素材が出てくるようになっていて吸水性・吸湿性を持たせつつ、内部や裏にポリエステルがあることで耐久性を高くしているのです。ポリエステル=悪、ではないのです。

【注意】側生地素材は大事なポイントですが、マットレスの上にパッドなどを敷くとなるとその違いは目立ちにくくなります。そのため、パッド併用されるなら側生地素材について考える優先順位は低くして結構です(例: マットレスの品質 → シーツやパッド → 側生地)。

2-6. 適切なサイズの考え方

体の大きさ、人数、部屋の広さをもとに考える

  • 体の大きさ(肩幅+40cm前後)
  • 使用人数
  • 部屋の広さ

まずはこれらを元にマットレスサイズを考えましょう(以下のイラスト内の人は、身長170cm体重60kg想定です)。

名称幅寸法イメージ寝室目安用途
セミシングル80cmmattress-semi-single-size14畳1人(子供・小柄な方)
シングル97cmmattress-single-size14畳1人(中柄な方)
セミダブル120cmmattress-semi-double-size16畳1人(大柄な方)
ダブル140cmmattress-double-size18畳1~2人(小柄な方2人)
クイーン160cmmattress-queen-size18畳2人(中柄な方)
キング180cmmattress-king-size110畳2人(大柄な方)

どのサイズのマットレスをどのように置くかで寝心地・住み心地が変わってくるので、事前にしっかりとシミュレーションしておきましょう。

mattress-in-6jou-room
6畳間にベッド・マットレスを置いたイメージ
mattress-in-8jou-room
8畳間にベッド・マットレスを置いたイメージ

ダブルサイズには注意

くれぐれも気をつけて欲しいのは、ダブルサイズ=二人寝用ではないことです。ダブルサイズのマットレスを二人で使うと、かなり狭く感じられるのでご注意ください。二人で寝ることを想定しているならクイーンサイズ以上がおすすめです。

ショート・ロングサイズもある

なお、定番サイズではありませんが、マットレスの縦の長さが180cm前後のショートサイズや、215cm前後のロングサイズもあります。

名称ショート通常ロング
イメージmattress-short-length1mattress-normal-length1mattress-long-length1
長さ寸法180cm195cm215cm
用途小柄な方向け一般向け大柄な方向け

ほぼ大抵、特注になるため納期が長くなります。そのため、計画的に注文するようにしましょう。


3. 後悔しないマットレス選びのための16のチェックリスト

マットレスを購入する際、あなたの生活スタイルや環境も考慮にいれることで、さらに適切なマットレスを選べられます。

Q1: 引っ越しの予定はあるか


将来的に引っ越しの予定があるのなら、三つ折りタイプなどの軽くコンパクトなマットレスだと楽なのでおすすめです。スプリングマットレスやラテックスマットレスは嵩張るし重いです。引っ越し費用を増加させることにもつながります。

Q2: 赤ちゃんを持つ予定はあるか

ベッドの購入はおすすめできません。赤ちゃんと一緒に寝ることを考えて、床にマットレスを敷いて寝ることをおすすめします。

Q3: 柔らかめかふつうの硬さで迷ったら


ふつうの硬さを選ぶのが無難です。トッパーを買い足して寝心地を柔らかくすることはできますが、その逆を行うのは少し無理があるからです。

Q4: 主に横向き寝なら


主に横向きで寝られるならやや柔らかめがおすすめです。くびれにフィットし腰に体圧が集中しすぎないか、試し寝の時にしっかりとチェックしましょう。

Q5: 主にうつ伏せ寝なら

胸への圧が強いと呼吸がしづらくなるのでやや柔らかめがおすすめです。また、呼吸がしやすいようにホコリのない衛生的な環境作りを目指しましょう。

Q6: 腰痛で硬さに迷っているなら

腰痛の人には硬いマットレスよりもふつうくらいの硬さのほうが良いと報告されているので、硬いマットレスは避けることをおすすめします。研究データについてはこちらのページをご参照ください。

Q7: 三つ折りマットレスを買うなら

三つ折りマットレスは8cm未満になると壁に立てかけるのが困難になるため、実際の使用状況などをイメージして選ぶことをおすすめします。詳しくはこちらのページをご参照ください。

三つ折りマットレス
厚み長所短所
10cm以上
  • 自立しにくい
  • ソファ使用可能
  • 底つきしにくい
  • 軽くはない
  • やや大きい
8cm未満
  • 軽くて持ちやすい
  • コンパクト
  • 収納しやすい
  • 自立しない
  • ソファには不向き
  • 底つきしやすい

Q8: パッドは買うべきか


寝汗の汚れ、湿気によるへたれを防止することでマットレスを長持ちさせられるので併用をおすすめします。敷きパッドがあればベッドシーツの必要性はほとんどないです。詳しくはこちらのページ『敷きパッドがあればシーツは要らない?不要となる3ケース』をご参考にしてください。

Q9: 側生地にはこだわるべきか


高品質なものは自然といい素材の側生地のものが多いですが、マットレス選びをする上での評価対象にはしなくてもよいです。それよりもシーツや敷きパッドの生地にこだわることをおすすめします。

Q10: マットレスを床で使うなら

マットレスを床に直置きするとカビが生えやすくなります。除湿シート、すのこ、コルクマットなどを必要に応じて使い分けるようにしましょう。詳しくはこちらのページで解説しています。

Q11: 夫婦で使うなら


横揺れが気にならないか2人で試し寝をしてチェックしましょう。また、クイーンサイズ以上だとゆったりと眠れるのでおすすめです。もしくはシングルサイズを2枚並べて寝るのもありです。お互い好みの寝心地のマットレス、敷きパッド、シーツをそれぞれ使い分けられる利点があります。

Q12: 子供が使うなら


おねしょ、病気による嘔吐の可能性を考えて、水洗いのできるマットレスにするかマットレスプロテクターを併用するようにしましょう。また、転落のことを考えると、床に置いてお使いいただくことをおすすめします。

Q13: 高齢者が使うなら

マットレスが硬すぎると圧迫感により褥瘡の原因になります。体圧分散性の高い柔らかめのマットレスがおすすめです。詳しくはこちらのページをご参照ください。

Q14: 一人暮らし用マットレスなら

まずは生活スタイルや間取りに合うベッドを選び、その次に、そのベッドに合うマットレスを選ぶことをおすすめします。詳しくはこちらのページをご参照ください。

Q15: 空調にこだわりがあるなら


夏の熱帯夜でもクーラーを使わないのなら、低反発マットレスやラテックスマットレスは蒸れやすいのでおすすめできません。

Q16: 海外ブランドを買うのなら


日本仕様のサイズになっているか確認しましょう。また、ネット通販に出品されている海外製の低価格マットレスの中には品質管理が(日本人の要求水準から見ると)杜撰なものがあるのでご注意ください。


最後に

ご紹介の内容であなたのマットレス選びの参考になっていれば幸いです。

なお、以下のページでおすすめのマットレスブランドを紹介しています。「どんなものがあるのか知りたい」という方はご参考にしてみてください。

関連記事

 

なお、マットレスに関するページを以下にまとめましたので、気になるトピックがあればあわせてご参考にしてください。

■あわせて読んでおきたい「マットレス」の記事一覧
 – 選び方編
○マットレスのおすすめ11選|専門家が教える自分に合うものを絞り込む手順
○敷布団とベッドマットレスの比較。素材ごとの併用の相性とおすすめ
○【失敗しないマットレスの選び方】硬さ、厚さ、密度、線材を吟味
○マットレスの3種類7素材を比較|特徴と選び方、おすすめできる人
○低反発と高反発の違い、あなたに合うマットレスはどっちか
○【快眠の方程式】マットレスの理想の硬さ=理想の寝姿勢
○マットレスの正しい厚み(高さ)は「用途と目的」を軸に考える
○【マットレスの通気性】素材・加工ベースで比較評価
 – 使い方編
○【マットレスの使い方】シーツ、パッドの正しい順番とは
○マットレスにすのこは必要か?おすすめの選び方
○マットレスの上に布団を敷いてはいけない2つの理由と代替策
○マットレスの正しいダニ退治方法、二度と繁殖させない予防法
○マットレスのカビ除去方法と、再発を防ぐ予防対策
○ベッド・マットレスがずれる?それなら滑り止め対策を
○長生きでお得に!マットレスの寿命を判断する5つの目安
○賢い節約術!マットレスの処分方法を考えるべき順序

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