こんにちは、加賀照虎です。
「高反発マットレスで腰痛が治った!」という口コミを見て、
「本当にそんな効果があるのかな…?」と、疑問に思ったことはありませんか?
残念ながら、高反発マットレスで腰痛が確実に治るとは限りません。むしろ、選ぶモノによっては腰痛が悪化することもあります。しかし一方で、実際に腰痛が改善したという人がいるのも事実です。
そこで今回は、
- 高反発マットレスで腰痛が悪化する原因
- 高反発マットレスで腰痛を悪化させないためのポイント
- 高反発マットレスで腰痛が改善する可能性についての私の見解
について詳しく解説していきます。
腰痛に悩んでいる方や高反発マットレスを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
1. 高反発マットレスで腰痛になる原因と避けるためのポイント
- 高反発マットレスで腰痛になる原因
- 腰痛を避けるためのポイント
- どのような状態を目指せばいいのか
をそれぞれ順に説明していきます。
1−1. 硬すぎること(=体圧分散性が悪い)
高反発マットレスとは何かというと、
- 高反発ウレタンフォーム
- 高反発ファイバー
などの素材で作られたマットレスです。
種類 | イメージ | 体圧分散 | 反発弾性 | 横揺れ | 通気性 | お手入れ | ||
ノ ン コ イ ル | 高 反 発 ・ 高 弾 性 | 高反発ウレタン フォーム | ◯ | ◎ | ◯ | △ | ◯ | |
ラテックス | ◯ | ◎ | ◯ | △ | ◯ | |||
TPEポリマー | ◯ | ◎ | ◯ | ◎ | ◯ | |||
中 間 | 一般ウレタン フォーム | △ | ◯ | ◯ | △ | ◯ | ||
ファイバー | × | ◯ | △ | ◎ | ◎ | |||
低 反 発 | 低反発ウレタン フォーム | ◎ | △ | ◎ | △ | △ | ||
繊維わた | ◯ | △ | ◎ | ◯ | ◯ | |||
詰 め 物 次 第 | ハイブリッド | – | – | – | – | – | ||
コ イ ル | ボンネルコイル | – | ◯ | △ | ◯ | △ | ||
ポケットコイル | – | ◎ | ◎ | ◯ | △ |
※コイルスプリングマットレスの体圧分散性はコイルの上の詰めもの(ウレタンフォーム やわたなど)の量と品質により大きく左右され、単体での評価が不可能なため「 – 」としています。また、それぞれ加工・品質により△が◯になったり、◎が◯になることがあります。 |
そもそも論ですが、これらの素材はやや硬めです。
さらに、低価格なものになると、低い耐久性を高く見せるために必要以上に硬めに仕上げられるため、寝心地が硬すぎるものがあったりします。
そのため、体の重い部位(主に腰)に体重が集中してかかるため、腰を痛めやすくなりますし、また、背中にサポートがなく浮いてしまったままの寝姿勢になるため、背中への負担も大きくなります。
このような説明をすると、「なんでそんなマットレスが売られているの?」と驚かれますが、意外にも激安マットレスに限らず、ある程度有名な会社がそこそこの値段で販売していたりするのが現状です。ずっと煎餅布団に慣れ親しんでいて「やや硬すぎるくらいの寝心地」じゃないと違和感がある人にのみ向けて設計されているのかもしれません。
硬すぎる高反発マットレスを避けるには
寝心地が硬すぎる高反発マットレスを避けるために、マットレスの表面に下記のような加工が施されているものを選びましょう。
二層構造 | 凸凹プロファイル | 7ゾーンプロファイル |
波型カット | デクビトスカット | ピンホール加工 |
なお、高反発ファイバー素材にはこのような加工ができずに寝心地がやや硬すぎるものが多いため避けることをおすすめします。
寝心地が硬すぎるかチェックする方法
マットレスが硬いかもしれないということは、仰向けに寝たときに背中とマットレスの間にスキマができているはずです。
このときのスキマの出来具合でマットレスの硬さの目星をつけることができます。
- やや硬め:背中の下にスキマができてはいるが手が入るほどではない。
- 硬すぎる:手がスポスポ入るほど背中の下にスキマができている。
マットレスが硬すぎるのなら買い換えるか、マットレスの上にトッパーを敷いて体圧分散性を改善させましょう。
マットレストッパーの選び方については下記のページで解説しているので、必要そうであればあわせてご確認ください。 関連記事 |
1−2. へたっていること(=寝姿勢が乱れている)
へたったマットレスは腰の辺りが陥没してしまいます。そうすると腰が落ち込んだような悪い姿勢で寝ることになってしまいます。
一見、このような寝姿勢がそんなに悪いものなのか分からないかもしれませんが、この寝姿勢を立ち姿勢で再現すると、かなり腰が曲がっている悪い姿勢であることがわかるかと思います。
腰が沈み込みすぎている 悪い寝姿勢 | 左の寝姿勢のまま立たせてみると 悪い立ち姿勢に |
この姿勢のまま立っていようとすると、一分もしない内に腰がツラくなってくるはずです。
この状態で一晩6~7時間も寝るなんて、腰をいじめているとしてか言いようがありません。だから、ヘタッたマットレスを使い続けるのはダメなのです。
へたりにくい高反発マットレスを選ぶ方法
高反発ウレタンフォームのマットレスであれば、ウレタンフォームの密度を知ることで大まかな耐用年数を推し量ることができます。
密度(kg/㎥) | 耐久性の評価 | ||
高反発ウレタン | 低反発ウレタン | 高反発ファイバー | |
20D以下 | 30D以下 | 35D以下 |
|
25D前後 | 35D前後 | 45D前後 |
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30D前後 | 40D前後 | 55D前後 |
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40D以上 | 50D以上 | 65D以上 |
|
低密度のスカスカのウレタンフォームはへたりが早く、高密度のしっかりしたものは丈夫で長持ちしやすいです。
例えば、もしあなたが3年しかマットレスを使う予定がなければ、密度が25Dのマットレスでもよいのです(環境には悪いですが)。ただ、ある程度長く(7~8年)使うことを想定しているのなら、それに見合った耐久性(密度30D以上)のあるマットレスを選ばないと、へたったマットレスで寝ることになり腰を痛める恐れがあります。
1−3. 薄すぎること(圧迫があること)
高反発マットレスにはいろいろな厚みのものがあります。
薄すぎるもので寝てしまうと底つき感(腰がマットレスの下のフローリングやベッドの天板に当たること)があり、腰に圧迫が生まれてしまいます。硬すぎるマットレスで寝ているのと同じように、腰に違和感があったり、最悪、痛みにつながります。
底つき感のイメージ | |
仰向け | |
横向き |
必要最低限以上の厚さのものを使うこと
あなたの体重をもとに適切な厚みのあるマットレスを選ぶようにしましょう。
使用者の体重 | 必要最低限の厚さ | |
ウレタンフォーム | ファイバー | |
30kg | 5cm | 3cm |
60kg | 7cm | 5cm |
80kg | 10cm | 7cm |
100kg | 13cm | 10cm |
もちろん、これは必要最低限の厚さですので、例えば、体重60kgの方が厚さ20cmのマットレスで寝るのはまったく問題ありません。
種類 | イメージ | 厚み | 評価 |
マットレス トッパー | 3cm |
| |
5cm |
| ||
敷布団/ ノンコイル 薄型 マットレス | 7cm |
| |
10cm |
| ||
ノンコイル ベッド マットレス | 15cm |
| |
20cm |
| ||
コイル スプリング ベッド マットレス | 25cm |
| |
35cm |
|
なお、ウレタンフォームが高密度だったり、フローリングの上でなく畳の上で寝る場合などは、上記で述べている厚みより若干少なめに見積もっても可能です。
2. 高反発マットレスで腰痛が改善するのか?
よく聞かれることなので、あなたも興味があるかと思います。
高反発マットレスで腰痛が改善したとの体験談を耳にされることがあると思いますが、私が思うにこれは「新しく買った高反発マットレスが素晴らしい」のではなく「前のマットレス(もしくは敷布団)がひどすぎただけ」というケースがほとんどです。
実際、弊社が販売している2万円弱ほどの高反発マットレス(私からすると80点の寝心地)を購入された方から「腰痛が治った」「背中の痛みが和らいだ」などのお声をいただくこともあります。稀に◯◯◯から買い換えたと商品名を出されている方がいますが、やはり業界内ではあまり評価の高くないマットレスだったりします。他にも、敷布団(薄いため寝心地が硬すぎることが多い)から買い換えられた方の寝心地の満足度は総じて高いです。私からすると80点ほどの寝心地のマットレスでここまで寝心地に満足していただけると、以前の敷寝具はどんな状態だったんだろうと心配になってしまうほどです。
ただ、誤解しないよう注意してほしいのですが、もしあなたの腰痛の原因がヘルニアなどの腰椎を元とするものであったり、骨の損傷、炎症や内臓の病気などの場合は、いくら素晴らしいマットレスを使っても改善を期待することはできません。事実、弊社の2万円ほどのマットレスを購入した方から「御社のマットレスには期待していたが、腰痛が治らなかったから返品させてほしい」と問い合わせを受けたことが2,3回ほどあります。もちろん、返品には応じましたが、このような方々は寝具以外に腰痛の原因があるはずです。
「マットレスを変えて腰痛対策だ!」と行動に移す前に、あなたの腰の痛みの原因は何か、事前に考えてみることをおすすめします。以下のページで詳しく解説しています。ご参考にしてください。
関連記事最後に
ご紹介の3つのポイントを押さえて、あなたが適切な高反発マットレスで腰のお悩みを解消できれば幸いです。
なお、以下のページであなたに合った高反発マットレスを選ぶポイント(硬さ、厚み、生地、耐久性など)とおすすめブランドを紹介しているのであわせてご参考にしてください。
関連記事
なお、マットレスに関するページを以下にまとめましたので、気になるトピックがあればあわせてご参考にしてください。
■あわせて読んでおきたい「マットレス」の記事一覧
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○敷布団とベッドマットレスの比較。素材ごとの併用の相性とおすすめ
○【失敗しないマットレスの選び方】硬さ、厚さ、密度、線材を吟味
○マットレスの3種類7素材を比較|特徴と選び方、おすすめできる人
○低反発と高反発の違い、あなたに合うマットレスはどっちか
○【快眠の方程式】マットレスの理想の硬さ=理想の寝姿勢
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