※自分に合ったマットレスを選ぶ手順(型→素材→個別商品)と値段別におすすめできるマットレスについてこちらのページ「マットレスのおすすめ11選|専門家が教える自分に合うものを絞り込む手順」で徹底解説しています。手入れのしようがないほどマットレスが汚れていて買い替えも考えているなら、ぜひご参考にしてください。 |
こんにちは、加賀照虎です。
寝具メーカーに携わっていると、
「マットレスの手入れってどうすればいいの?」
「面倒だから、もっと簡単にできる方法はない?」
といった質問をよくいただきます。
確かに、マットレスのお手入れは手間がかかりますよね。
でも、手入れや掃除を怠ると不衛生になるだけでなく、最悪の場合、ダニやカビが繁殖してしまうこともあります。さらに、間違った手入れをするとマットレスやベッドを痛めてしまうこともあるので注意が必要です。
そこで今回は、
- ベッド・マットレスの手入れや掃除で意識すべきポイント
- 【頻度別】マットレスのお手入れ方法と注意点
- マットレスのお手入れでやってはいけないこと
- 【問題別】マットレスの掃除・対処方法
- 手軽にできるマットレスのお手入れ方法
などについて、分かりやすく解説していきます。
ぜひ参考にして、清潔で快適な睡眠環境を保ちましょう!
Contents
0. ベッド・マットレスの手入れ・掃除で意識すること
「そもそも何のために手入れをするの?」
このように聞かれることがありますが、結論、湿気と汚れ(皮脂やフケ、アカなど)をなくすためです。
- 湿気:ダニ・カビ繁殖の原因、へたりの原因
- 汚れ:ダニ・カビ繁殖の原因、不衛生なため
ダニ・カビ繁殖三大原因 | 発生源 | |
温度 |
| |
湿度 |
| |
エサ |
|
湿気と汚れがたまることでダニ、カビ、細菌などが繁殖して不衛生になったり、マットレスがへたりやすくなります。
これを避けるためのお手入れです。
これをご理解いただくと「だからお手入れをするのか!」と感じていただけるかと思います。
1. 頻度別|マットレスのお手入れ方法と禁止事項
では次に、お手入れ方法について。
まずざっくりと、ベッドとマットレスに対してどのようなお手入れをすればいいのか(またはしていけないのか)列挙すると、以下のようになります。
- 朝起きたら布団をめくっておく【毎日】
- ベッドシーツを交換する【週に1~2回】
- マットレスを壁に立てかけて通気する【2~3週間に1回】
- ベッドとマットレスに掃除機掛け【1ヶ月に1回】
- パッドを洗濯する【2~3ヶ月に1回】
- マットレスをローテーションする【半年に1回】
- ウレタンフォームの位置を変える【必要があれば】
- マットレスの天日干しは禁止
- ベッドを濡れタオルで拭くのは要注意
それぞれ分かりやすく解説していきます。
1-1. マットレスのお手入れ方法
朝起きたら布団をめくっておく【毎日】
まず毎朝起きたら掛け布団をめくりましょう。布団の内側とマットレスの表面は寝汗により湿気っています。お互いの湿っている箇所が乾きやすいようにしましょう。
ベッドシーツを交換する【週に1~2回】
ベッドシーツというよりもマットレスの一番上に敷いてるものは、週に1~2回のペースで洗濯をしてキレイにしましょう。もしあなたが敷きパッドをベッドの一番上に敷いているのなら、週に1~2回洗えると理想的です。
なお、ベッドシーツなどを交換するとき、ベッドシーツの上には剥がれた落ちた皮膚、フケ、ホコリなど目に見えにくい汚れがたまっていることを意識しましょう。
特に、タンパク質の汚れはダニの格好の餌です。急ぎで乱雑にベッドシーツをめくり上げて撒き散らかさないよう、そーっと丁寧に交換しましょう。
マットレスを壁に立てかけて通気する【2~3週間に1回】
- 寝室の湿度環境が高め
- ベッドの天板がすのこ形状でない
- ノンコイルマットレスを使用している
などに該当するなら、マットレスを壁に立てかけるようにして底面を空気に当てるようにしましょう。マットレスが重いなら本などで片側を上げてそこから空気を送り込むのもありです。
ベッドとマットレスに掃除機掛け【1ヶ月に1回】
ベッドシーツやパッドを使っていても、やはりベッドとマットレスに汚れがたまっていきます。月に1度を目安に掃除機がけをするようにしましょう。
- 頭と上半身の辺り
- キルティングの谷間
- ベッドとマットレスの溝
これらの部分が汚れがたまりやすいです。重点的に掃除機をかけるようにしましょう。なお、ベッドクリーナーなどの専用のものでなく、普通の掃除機で構いません。ただ、床掃除をするヘッドをそのまま使うのは不衛生なので、専用ヘッドがあると理想的です。
パッドを洗濯する【2~3ヶ月に1回】
寝汗はベッドシーツを通り越してベッドパッドにも浸透して汚していきます。とはいえ、そこまで神経質になるほどの汚れではありません。2~3ヶ月に1度のペースで洗濯ができれば、十分キレイに維持できます。
マットレスをローテーションする【半年に1回】
いわゆるマットレスのローテーションです。
片面仕様ならマットレスの天地をひっくり返し、両面仕様のマットレスなら下記のイラストように天地と上下をひっくり返してメンテナンスすることで、マットレスに負荷がかかる場所を変えてへたりにくくすることができます。半年に1回を目安に行うようにしてください。
ただ、ローテーションについては思うところがあるので、これからマットレスを買おうと考えている方は2−4をご覧になってから両面仕様にするか考えていただければと思います。
ウレタンフォームの位置を変える【必要があれば】
三つ折りマットレスを使っている方にのみ該当しますが、腰のウレタンフォームがヘタってきたときに脚のウレタンフォームとの位置を変えることで寝心地を復活させることができます。必要があれば試してみましょう。
1-2. マットレスのお手入れ禁止事項
マットレスの天日干しは禁止
稀に「定期的にマットレスを日光晒して殺菌しましょう!」と言われることがあります。が、これはおすすめできません。
- かなり晴れた日でないと効果が薄い
- 窓越しではなく直射日光でないと効果なし
- 生地を痛めるため寿命を縮める
などなど、効果があまり見込めない上に、マットレスの寿命を短くする恐れがあるからです。そもそも、マットレスを外に運び出すのはかなり手間です。マットレスが湿気っているなら壁に立てかけたりするほうがおすすめですし、ひどい場合でも布団乾燥機で乾かすほうがおすすめです。
ベッドを濡れタオルで拭くのは要注意
ベッドフレームを湿ったタオルで掃除されることもあると思いますが、これは湿気らせてカビを発生させてしまわないか注意が必要です。タオルは硬く絞ったものを使用しましょう。
また、タオルで拭いたら窓を開けて換気したり、扇風機で風を当てたり、エアコンの風を当てたりし、ベッドがなるべく早く乾くようにしましょう。そうでないと、ベッドフレームにカビが生える恐れがあります。
1-3. 素材別|マットレスの掃除方法
マットレスの掃除は種類・状況ごとに異なります。
お使いのマットレスに合う掃除方法で行いましょう。
素材の種類と条件 | 掃除方法 | |
| 水洗いOK | ①側生地洗濯 ②ウレタン水洗い |
水洗い不可 | ①側生地洗濯 ③濡れタオルで掃除 | |
| ①側生地洗濯 ④ファイバー水洗い | |
| 小さな汚れ | ③濡れタオルで掃除 |
大きな汚れ | ⑤クリーニング |
具体的な掃除方法は下記のページでお伝えしているので、必要な方はあわせてご参考ください。
関連記事1-4. 問題別|マットレスの掃除・対処方法
ダニやカビやおねしょなどの問題についてはそれぞれ別ページで解説しています。該当するものがあれば個々のリンク先を参考にしてください。
マットレスにダニが繁殖した場合
ダニは退治するだけでなく、退治→除去→予防の3ステップで対策をしないとイタチごっこになります。また、ダニ退治方法にも向き不向きがあるので、あなたに合う方法で行うようにしましょう。
関連記事マットレスにカビが繁殖した場合
カビ被害が小さければあなた自身で対処可能ですが、ひどい場合には出張クリーニング業者に依頼するようにしましょう。
関連記事マットレスにおねしょをした場合
おねしょのアンモニア臭はクエン酸を使うことで取ることができます。温度にも気をつけて掃除するようにしましょう。
関連記事マットレスのへたりがひどくなってきた場合
マットレスがへたったら基本的に買い換えるのが鉄則ですが、マットレスの種類や状態によっては延命させることも可能です。
関連記事2. マットレスの手入れを簡単にする方法
上記のお手入れを真面目にやるのは、やや面倒ですよね。
そこで、ベッドマットレスの手入れを楽にする方法がいくつかありますので、取り入れられそうなものがあれば試してみてください。
2-1. ベッドシーツに加えてパッドやプロテクターを併用する
寝汗などはシーツを通り越していきます。
そのため、マットレスにシーツだけ敷いているとマットレスが汚れやすくなりお手入れの手間が増えます。以下のようにしてマットレスを使いましょう。
- 【除湿シート→マットレス→敷きパッドorベッドパッド→シーツ】
このようにして使うとマットレスが汚れることを減らせます。また、シーツを洗うのは1週間に1~2回程度で、パッドを洗うのは2~3ヶ月に1回程度です。お手入れの負担もそこまで多くなくできます。 - 【除湿シート→マットレス→プロテクター→敷きパッドorベッドパッド→シーツ】
上の使い方にさらにマットレスプロテクターを加える方法です。この使い方ではマットレスが汚れる可能性がほぼ0になります。高品質なマットレスを新しく購入する方におすすめの使い方です。マットレスをずっとキレイに長持ちさせられます。
2-2. 除湿シートをマットレスの下に敷く
マットレスを壁に立てかけるのも簡単とはいえやや面倒ですよね。それならマットレスの下に除湿シートを敷きましょう。手間を減らすことができます。
とはいえ、湿度が高い部屋ならやはり除湿シート自体を2~3週間に1回程度乾かしたほうが湿気対策としては安心できます。一般的な湿度環境の部屋なら除湿シートがあればマットレスの立て掛けは1~2ヶ月に1回程度に減らしても問題ないかと思います。
2-3. ノンコイルマットレスを選ぶ
重いマットレスは何かと手間ですよね。そのような方におすすめなのがノンコイルマットレスです。コイルマットレスと比べてサイズ・重量が控えめなので扱いやすいです。
ノンコイルマットレス | コイルマットレス | |
イメージ | ||
厚み | 10~20cm前後 | 20~35cm前後 |
重量 | 7~15kg前後 | 20~30kg前後 |
寝心地 | – | – |
耐久性 | ◯ | ◎ |
揺れ&音 | ◎ | △ |
取扱い | ◯ | △ |
廃棄 | ◯ | △ |
クリーニング | × | ◯ |
価格 | ◯ | △ |
また、マットレスを処分するのも簡単ですので、手軽さを重視されているならノンコイルマットレスがおすすめです。
2-4. 両面仕様のものは選ばない
両面仕様は以下のような観点からおすすめできません。
- 部材が増えるので重くなる
- 部材が増えるので高くなる
- 自重でわたがへたることがある
むしろ、片面仕様でも採用されているウレタンフォームの密度(耐用年数の目安)が高いものを選んできちんと手入れをするほうが、結果的に、少ない手間で長持ちすることもあります。
ウレタン密度(kg/㎥) | 耐久性の評価 | |
高反発 | 低反発 | |
20D以下 | 30D以下 |
|
25D前後 | 35D前後 |
|
30D前後 | 40D前後 |
|
40D以上 | 50D以上 |
|
とはいえ、私はそもそもコイルマットレスはお手入れがしにくいと考えているので、簡単な取扱いを重視するなら、ノンコイルマットレスで片面仕様で高密度のウレタンフォームのものが理想かと思います。
最後に
- マットレスのお手入れで意識すること
- マットレスのお手入れ方法
- 簡単にするためのコツ
などについてご理解いただけていると幸いです。
なお、もし「マットレスの汚れがひどいから買い換えようかな」とお考えでしたら、以下のページで寝心地が素晴らしいマットレスを選ぶためのポイント(体圧分散性、弾力性、耐久性など)とおすすめのブランドについて徹底的に解説しているので、是非あわせてご参考にしてください。
関連記事
また、マットレスに関するページを以下にまとめましたので、気になるトピックがあればあわせてご参考にしてください。
■あわせて読んでおきたい「マットレス」の記事一覧
– 選び方編
○マットレスのおすすめ11選|専門家が教える自分に合うものを絞り込む手順
○敷布団とベッドマットレスの比較。素材ごとの併用の相性とおすすめ
○【失敗しないマットレスの選び方】硬さ、厚さ、密度、線材を吟味
○マットレスの3種類7素材を比較|特徴と選び方、おすすめできる人
○低反発と高反発の違い、あなたに合うマットレスはどっちか
○【快眠の方程式】マットレスの理想の硬さ=理想の寝姿勢
○マットレスの正しい厚み(高さ)は「用途と目的」を軸に考える
○【マットレスの通気性】素材・加工ベースで比較評価
– 使い方編
○【マットレスの使い方】シーツ、パッドの正しい順番とは
○マットレスにすのこは必要か?おすすめの選び方
○マットレスの上に布団を敷いてはいけない2つの理由と代替策
○マットレスの正しいダニ退治方法、二度と繁殖させない予防法
○マットレスのカビ除去方法と、再発を防ぐ予防対策
○ベッド・マットレスがずれる?それなら滑り止め対策を
○長生きでお得に!マットレスの寿命を判断する5つの目安
○賢い節約術!マットレスの処分方法を考えるべき順序