
こんにちは、加賀照虎です。
ポケットコイルを買おうと思っている方に、注意です。
中途半端なポケットコイルマットレスを選んではいけません。
その構造上の特徴から腰を痛めやすかったり、処分に苦労することがあります。
とはいえ、いきなりそんなこと言われても納得できないですよね。
そこで本日は、「良質なポケットコイルマットレスを選ぶ3つのポイント」についてご紹介していきます。
Contents
1. ポケットコイルマットレスの特徴
ポケットコイルマットレスの特徴は以下のようになります。
同じくコイルマットレスであるボンネルコイルマットレスと比較しながらだと、よりその特徴が分かりやすいです。
ポイントを列記すると、
- 面で体を支えるボンネルコイルとは異なり、点で支える構造のため体圧分散性がより高い。
- コイルが不織布で包まれているため通気性はそこそこ。蒸れやすいわけではないが、湿気対策は必要。
- コイルが独立しているため横揺れしにくい。
- コイルスプリングのため弾力性があり寝心地がよい。
- 良質な線材を使ったものでないと、早期劣化により腰の沈み込みがひどくなりやすい。
- コイルが1つ1つ不織布袋で包まれる構造のため、居住地域によっては処分の手続きが煩雑になることがある。
このようなポケットコイルマットレスの特徴上、良質なものの寝心地は素晴らしいです。
しかし、低品質なものは寝心地が悪いだけでなく、体を痛めやすく、処分にも手間がかかり大変です。
そのため、ポケットコイルマットレスを購入するのなら、ある程度の予算を組んで良質なものを選ぶことをおすすめします。
※その他のマットレス(7種類)との比較情報が知りたい場合、こちらのページ『絶対後悔したくない人向け!マットレスの上手な選び方』をご参考にしてください。 |
良質なポケットコイルマットレスを選ぶ3つのコツ
- 良い寝姿勢ができること(≒適切な硬さ)
- 良質なコイルであること(≒良い寝心地・高い耐久性)
- 良質なウレタンであること(≒良い寝心地・高い耐久性)
この3つのポイントを満たした、良質なポケットコイルマットレスを選ぶようにしましょう。
それぞれ解説していきます。
①適切な寝姿勢がとれること
適切な寝姿勢がとれる = 硬さが適切、ということになります。
理想的な寝姿勢とは、腰、背中、首の骨が自然な形状でいられる姿勢のことです。

下記のように寝られれば、寝姿勢は適切であるといえます。
- 仰向け寝:よい立ち姿勢のまま寝転んだ状態
- 横向き寝:背筋が真っ直ぐに伸びている状態
筋骨が不自然な姿勢のまま一晩中眠ると、骨を歪めてしまったり、筋肉を強張らせて疲労をためてしまったりして、気持ちよく休息することができなくなってしまいます。
またこの時、スムーズに寝返りができるかどうかもあわせて確認しましょう。
寝返りは体の一定の部位にのみ負荷がかからないようにするための無意識的な調整機能です。
若干の柔らかみと反発弾性の優れるマットレスであれば、少ない力で楽に寝返りができます。
②コイルの品質が一定以上なこと
コイルの反発力・耐久性が低いと、数年も経たないうちに腰の部位の沈み込みがひどくなります。
その結果、寝姿勢が悪くなり、腰痛の原因になったりします。
確かな品質のコイルが使われていることを確認しましょう。
そんなコイルの品質を見抜く方法が2つ目のポイントです。
とはいえ大それた方法ではなく、「品質表示ラベルに記載されれているコイルスプリングの材料と種類」を見るだけです。
以下、図解のイラストです。

(品質表示ラベル引用:消費者庁HP(表示方法の改定後、引用元ページが無くなりました))
品質の目安をざっくりと説明すると、②の炭素の保有量が
- 60台のコイルは安価なものに
- 70台のコイルはミドルからハイエンドの商品に
使用されることが多いです。
例えば、ポケットコイルの有名ブランドのサータは、SWRH82B-Cの最高品質のコイルを使っているとウェブサイト上で名言しています。
一定以上の品質のポケットコイルマットレスを買う場合、②の数値が70以上のものをお選びになることをおすすめします。
注!:大変残念なことに、平成29年3月30日よりスプリングマットレスの品質表示法の改定があり、表示内容が大幅に簡素化されることになりました。![]() |
寝心地・品質を変えるコイルの要素
寝心地、品質を変えるコイルの要素は他にもたくさんあります。
- 線材の太さ:細いほど柔らかい寝心地。
- コイルの数:コイルが多いほど細かな点で支えるためフィット性が高まる。
- コイルの配列:コイル数が多いと互いの動きに干渉しやすくもなるので硬めの使用感になる。
- コイルの形状:円筒型、樽型、錐型、砂時計型など硬さや反発力が変わる。
- 焼入れ:コイルの耐久性(使用期間)をさらに高める。

他にもコイルの高さの圧縮率やコイルを包む袋生地の種類など色々な要素がありますが、こだわりすぎると選びきれなくなってしまいます。
また、上記の要素についても深く考える必要はなく、1~4の要素をトータルした答えを各メーカーが製品として販売しているので、あなたの好みの寝心地で理想的な寝姿勢がとれるマットレスを選ぶようにしましょう。
ただ、10年以上の使用を考えてポケットコイルマットレスを購入するなら、焼入れされた線材のものを選ぶことをおすすめします。
③詰め物(特にウレタン)が良質なこと
ポケットコイルの上にはウレタンフォームなどが詰められています。
このウレタンの品質にもこだわって選んでいただきたいです。
- 厚みが4cm以上:あまりにもウレタンが薄いと、コイルの硬さを背中に感じてしまうことがあるため。
- 密度が30D以上:密度の低いスカスカのウレタンだと、すぐにへたってしまうため。
特に、見た目が豪華な分厚いマットレスは、ウレタンの品質を確認するようにしましょう。
「コイルはまだまだ使えるのにウレタンがヘタったから交換」となってしまっては勿体無いですし、環境にも優しくありません。
ウレタンの密度については、下記のチャートをご参考にしてください。
密度 | 評価 |
20 前後 | 数ヶ月~1年程度の耐久性です。1万円以下の安価なウレタンマットレスに使用されることが多いです。 |
25 前後 | 3~5年程度の耐久性です。2万円前後のリーズナブルなマットレスの密度がこの辺りです。 |
30 前後 | 5~8年の耐久性です。国内・海外ブランドの有名高反発マットレスの密度がこの辺りになります。 |
40 前後 | 8年以上の耐久性です。高品質なマットレスやベッドマットレスの中材には、高密度のウレタンが使用されます。 |
10年くらい使うことを想定しているのであれば、40D以上の密度のウレタンが使われていると理想的です。
良質なポケットコイルマットレスを長く使うコツ
良いものを買うなら、きちんとお手入れをしましょう。
そうすることでより長く、マットレスをお使いいただけます。
①使う面をローテーションする
定期的にマットレスの使用面を変更しましょう。
同じ箇所にばかり負担をかけていると、へたりが早まります。
3~6ヶ月に1度を目安にローテーションさせられると理想的です。

とはいえ、ポケットコイルマットレスはただでさえ重い(シングルサイズで20kgは優にあります)ので、体力に自信のない方は年に1度すら難しいと思います。
その場合、両面使用ではなく片面使用のポケットコイルマットレスを選び、尚且つ、以下の2つの方法を必ず行うようにしましょう。
②パッド・プロテクターを使用する
ポケットコイルマットレスの詰め物がへたる理由は、(1)負担がかかり続けること、そして(2)寝汗による湿気があります。
これを防ぐには、ベッドパッドやマットレスプロテクターを使用することが効果的です。
ベッドパッドを寝汗による湿気の緩和と寝心地の向上の役割を果たします。
マットレスプロテクターは、寝汗からマットレスを完全にガードするだけでなく、ダニ対策の役割も果たします。
より長くマットレスを使用するためにどちらも使用されることをおすすめします。
③除湿シートで湿気対策をする
ポケットコイルマットレスの通気性は良いです。
高品質なものはマットレスの側面に通気を促すベンチレーターが付いておりさらに通気性を高めています。
それでも、日本の気候を考えると除湿シートを使用して湿気対策をすることをおすすめします。特に両面使用可能なマットレスでしたら必須です。
こちらのページ「カビ対策!ベッド&布団に効果的な除湿シートの使い方・選び方」に詳細は譲りますが、下のイラストのようにして湿気はたまります。

夏は寝室の湿度と寝汗によりマットレスに湿気がたまります。
冬は、布団内とマットレス底面の温度差により、夏場の冷たいグラスにできる水滴のように、湿気が発生します。このように、マットレスの湿気は1年中無視できない存在なのです。なので、除湿シートをしっかり活用して、マットレスを長く使えるようにしましょう。
(追記)ポケットコイルマットレスの処分について
「ポケットコイルマットレスは他のマットレスと比べてどう面倒なのでしょうか?」というお問い合わせがありました。
まず何よりも問題となるのが、シングルサイズでも20kg以上あるため指定廃棄場まで運ぶのが大変という点です。
一人で運ぶのはほぼ困難です。夫婦二人で力をあわせるとしても、ダブルサイズとなると140×200×20cmで30kg前後くらいが平均的なサイズですのでどちらにせよ相当大変です。
もし、あなた自身では対応できないため業者に任せるとなれば、少なくとも数千円の引き取り費用が発生します。また、そもそも地方自治体によってはスプリングマットレスを粗大ゴミとして回収していない地域もあるので購入前にこの点を確認する必要もあります。
詳しくはこちらのページ『知ればお得!スプリングマットレスの処分方法を考える順序』でご説明しているのであわせてご参考にしてください。
2. おすすめのポケットコイルマットレス3選
上記でご説明したポイントを踏まえて、おすすめできるポケットマットレスを3つご紹介します。
2−1. 東京ベッド Rev.7 N ブルーラベル
サイズ:97×195×27cm
価格:70,200円
【販売ページ@楽天】
高さ18cmのたる型ポケットコイルに上下ともにクッション材を詰めた本格的なベッドマットレスです。体圧分散性にも弾力性にもすぐれた快適な寝心地です。両面使えるため定期的にローテーションをすれば、10年以上の長い付き合いができ、存分によさを味わえます。
2−2. ドリームベッド ドリームポケットトルネード

価格:105,840円
サイズ:97×196×27cm
【販売ページ@amazon】
アメリカのベッドブランドの中でも有名なSerta(サータ)の製造を手がけるドリームベッド社のマットレスです。ポケットコイルにしてはなかなかお目にかかれないハードタイプです。円錐形のコイルを順向き・逆さ向きと交互に並べることにより、スプリングの動きに制限が生まれ、しっかりとした硬さを実現しています。パートナーと一緒に寝ていてマットレスの揺れが気になる方におすすめです。
2−3. 東京スプリング アワーグラス1

価格:128,800円
サイズ:97×195×30cm(シングル)
【販売ページ@amazon】
スプリングメーカーの東京スプリング工業がスイスのスプール社から製造販売許可を取得した特殊形状スプリング「アワーグラスポケット®」を施したポケットコイルマットレスです。砂時計(アワーグラス)のような形状のスプリングが、荷重に対して臨機応変に対応するため、仰向き寝でも横向き寝でも柔軟に体をサポートします。また、柔らかく弾性をもつ中材をふんだんに使用しているため、体圧分散性は抜群です。
まとめ
今回の話をまとめると、ポケットコイルマットレスは構造上、低品質なものは劣化しやすく、処分も手間なので高品質なものを選ぶようにしましょう。
そのためにはご紹介の3つのポイントを押さえてお選びください。
- 良い寝姿勢で寝れること
- コイルの品質が良いこと
- 詰め物の品質が良いこと
また、「ポケットコイルマットレス以外のマットレスも検討してみたいな」とお考えであれば、以下のページで寝心地が素晴らしいマットレスを選ぶためのポイント(体圧分散性、弾力性、耐久性など)とおすすめのブランドについて徹底的に解説しているので、是非あわせてご参考にしてください。以下のページで寝心地が素晴らしいマットレスを選ぶためのポイント(体圧分散性、弾力性、耐久性など)とおすすめのブランドについて徹底的に解説しているので、是非あわせてご参考にしてください。
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記事を拝見させていただきました。
とても参考になりました。
一点ご質問よろしいでしょうか。
ポケットコイルマットレスにウレタンが表面に付いているタイプのものは、ウレタンの密度はどの程度気にした方がよろしいでしょうか。やはり30D以上が良いのでしょうか。
お手隙の際にご返信いただけると幸いです。
鈴木様
コメントありがとうございます。
そうですね、ウレタン密度は30D以上のものがおすすめです。
コイルに問題はないのにウレタンがへたってしまい寝心地が悪くなることがあるからです。
想定されている使用期間にもよりますが、少なくとも5年程度を考えているのならなおさらですね。
加賀照虎