※自分に合ったマットレスを選ぶ手順(型→素材→個別商品)と値段別におすすめできるマットレスについてこちらのページ「マットレスのおすすめ11選|専門家が教える自分に合うものを絞り込む手順」で徹底解説しています。良いマットレスを選ぶための情報収集をしているなら是非ご参考にしてください。 |
こんにちは、加賀照虎です。
「マットレスって本当に必要なの?」
「原始人は地面に直接寝ていたって聞くし、実際どうなんでしょうか?」
こういった質問をよくいただきます。
確かに、過去の環境から考えると、マットレスは現代の贅沢品のように思えるかもしれません。
そこで今回は、「マットレスなしで床に寝ると睡眠の質にどう影響するのか?」について研究データをもとに詳しくお伝えします。
1. 高級マットレスvs床、睡眠の質を比べた実験
興味深い実験があります。
マットレスとコンクリート床でそれぞれ寝比べて、睡眠の質にどのような違いが出るかを調べた実験が非公式ながらも存在するのです。
この研究はウィリアム・デメント教授(睡眠界の世界的権威。1970年にスタンフォード大学に世界初の睡眠障害センターを設立した人)により行われました。
アメリカのあるマットレスメーカーから依頼を受けて、そのメーカーが作っている(1960年代当時の)ハイテク高級マットレスと一般的なマットレスで睡眠の質にどのような違いが現れるかを調べることとなったとのこと。
しかし、デメント教授はマットレス同士を比べても結果に大きな差がでないのではと思い、コンクリートの上で寝る条件も加えて実験を行ったそうです。
- ハイテク高級マットレス
- 普通のマットレス
- コンクリート床
そして、この3つの比較実験がどうなったかと言うと、3つとも睡眠の質(睡眠の長さと持続性)においてまったく差がなかったと報告されています。
高級マットレスとコンクリートで寝るのが同じ睡眠の質(睡眠の長さと持続性)だったなんて、寝具製造をしている私としては、当初とても受け入れ難い事実でした(ちなみに、実験の依頼元であるメーカーにこの結果を伝えたところ、早々に研究が打ち切られたとのことです)。
ただ、悔しい思いもあり、この実験について調べていくにつれ、実験を行ったデメント教授本人が後日談として下記のように伝えていることを知りました。
しかしいま考えれば、おかしな話ではないことがわかる。手がかりは、被験者が大学生だったことだ。しかも時期は最終試験が終わったばかりの春休みで、学生たちは睡眠不足が最高潮に達していた。若い彼らは、どこだろうとぐっすり眠れる状態だったのだ。もし被験者が中年で、睡眠負債がもっと少なかったら、全く違う結果が出ただろう。
(引用:『ヒトはなぜ人生の3分の1も眠るのか?』 ウィリアム・C・デメント 著)
どういうことかというと、睡眠不足の20歳くらいの若い人だったからこのような実験の結果になったのだろうということです。
つまり、若さと疲れがあれば、寝具環境が悪くても(良い眠りなのかは別として)眠ることは出来るのです。
1-1. マットレスなしで寝た私の体験談
私自身、同じような経験があるので納得出来ます。
というのも、遡ること10年ほど前、大学入学のために上京した当初数日ほど、私はマットレスがないワンルームで寝ていたことがあるからです。
タオル枕だけ作ってそのまま床(フローリング)の上に寝ていました。確かに、腰や肩甲骨がフローリングにゴリゴリ当たって寝心地は悪いし、眠りにくかった覚えはありますが、夜中に目覚めることなく朝まで眠れていました。
若さと引越し疲れがあったからこそのことでしょう。
ただ、だからと言って、フローリングで寝るのをおすすめ出来るかといえば、まったくおすすめ出来ません。というのも、毎朝起きると背中が痛かったからです。これは個々人の背中の筋肉量にもよると思いますが、ほとんど大半の方に当てはまることかと思います。
なので、寝具メーカーとしてのポジショントークにもなりますが、マットレスや敷布団の上で寝られることをおすすめします。
1-2. 原始人はマットレスなしでも快眠していた説について
ちなみに、原始人は地面で寝ていても活発に狩りをするなどしてした言われることがありますが、これについて私は以下のように考えています。
- 草などを敷いて寝ていた
そもそも硬い地面の上に直接寝ていたのかが疑問です。というのも、地面に草などを敷いて寝ていたという痕跡が考古学者により報告されているからです。原始人にとっても地面に直接寝るのは硬すぎて寝心地が悪かったのだろうと思います。
- 筋肉量が多かった
原始人は現代人よりも筋肉力が多いとされているため、地面の上でもある程度は快適に眠れていたと考えられます(筋肉量が多い人ほどマットレスが硬くても問題ないのは現代でも同じこと)。 - 常にやや飢餓気味だった
狩猟採集時代の人類は、飽食の時代に生きる現代人とは違い、常にやや飢餓状態で生きていたため睡眠時間が短かったと考えられます(空腹だと睡眠時間は短くなりがち)。現代人よりは活動的でパワフルなイメージですが、寿命は短いですし健康的なのかは疑問です。
ちなみに、日本でもつい200年くらい前までは農民はわらに潜って眠っていたと言われています。
最後に
正直、どのような敷寝具環境で寝るのがベストかはまだ解明されていませんが、少なくとも背中が痛くなることがあるため、床の上に直接寝るのは良くないかと思います。
また、寝心地が素晴らしいマットレスを選ぶためのポイント(体圧分散性、弾力性、耐久性など)とおすすめのブランドについて解説しています。「床じゃなくてマットレスの上で寝よう」と思い直していただけていれば、是非あわせてご参考にしてください。
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○マットレスのおすすめ11選|専門家が教える自分に合うものを絞り込む手順
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○低反発と高反発の違い、あなたに合うマットレスはどっちか
○【快眠の方程式】マットレスの理想の硬さ=理想の寝姿勢
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○【マットレスの通気性】素材・加工ベースで比較評価
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○【マットレスの使い方】シーツ、パッドの正しい順番とは
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結果、寝具はそれほど重要ではないことがわかった。あるに越したことはない程度のもの
蓮見様
おっしゃる通り、精神や肉体が健康的であることが、
質の良い睡眠に一番大切です。
ご参考になっていれば幸いです。
加賀照虎