※自分に合ったマットレスを選ぶ手順(型→素材→個別商品)と値段別におすすめできるマットレスについてこちらのページ「マットレスのおすすめ11選|専門家が教える自分に合うものを絞り込む手順」で徹底解説しています。ニュートン(硬さ)だけでなく、より網羅的なマットレス選びの情報をお探しでしたらあわせてご参考にしてください。 |
- 「え!?なんでですか!?」
- 「なぜ弊社の高反発マットレスのニュートン値が、200Nにもなっているんですか!?」
私は試験機関からの報告が信じられませんでした。
高反発マットレスの硬さの目安として「ニュートン値」が用いられています。
色々なマットレスを比較検討している方は、商品ページに記載されているこの数値を硬さの参考にされていることと思います。
しかし、残念なことに、試験機関がきちんと測定していたとしても、的外れな数値が出てしまうことがあり、ニュートン値がアテにならないこともしばしば。
ということで本日は「高反発マットレスのニュートン数をアテにしたらダメな理由」についてご紹介します。
Contents
1. 高反発マットレスのニュートン(N)とは硬さの目安
そもそもニュートン数がどのように測定されているか、あなたはご存知でしょうか。
試験方法から理解しないと、なぜアテにならないか説明できないので少々お付き合いください。
日本工業規格(JIS)として指定されている測定方法は、以下のようにされています。
製品から50×380×380mmの試験片を切り出して、φ200mmの加圧板で垂直方向に始めの厚さの70%ひずみ量まで押し込む操作を3回繰り返した後、直ちに始めの厚さの40%ひずみ量まで押し込み、静止後30秒経過した時の荷重を読み取る。
(引用:日本ウレタン工業協会)
つまり、人の体が横たわったときにマットレスが押し戻そうとする力を硬さとして測っているのです。
そして、測定された数値に応じて、以下のように硬さが決められます。
ニュートン数 | 硬さ |
110以上 | かため |
75以上 110未満 | ふつう |
75未満 | やわらかめ |
一見、何の問題も感じられないかと思います(私もそう思っていました)。
1−1. ニュートン数をアテにしてはダメな理由
しかし、この試験方法の「厚さの40%まで押し込み」というところに問題があるのです。
- 表面にプロファイル加工が施されている
- 硬さの異なる多層構造になっている
- 厚みが10cm以上ある
などのマットレスとなると、測定結果がブレてくるのです。
※注意 試験方法には50×380×380mmの試験片と記載されていますが、多くのウレタンマットレスは表面にプロファイル加工があったり、硬さの異なるウレタンフォームの多層構造になっているため、最終製品で試験が行われることがほとんどだという背景があります。 |
例えば、弊社が販売している厚み14cmのマットレス。
やや硬めのウレタンフォームに凸凹プロファイル加工を施して「ふつうの硬さ」(適切な寝姿勢になる硬さ)に仕上げています。
しかし、日本工業規格(JIS)の試験方法に従うと200ニュートンというあり得ないほどの硬さになってしまいます。
なぜこんなおかしなことになっているのかというと単純に、「厚さの40%まで押し込み」というのが実態にそくしていないからです。
14cmのマットレスに寝たときにここまで体が沈み込むことなんてまずないですよね。
しかも、凸凹プロファイル加工によって表面を柔らかく仕上げたのがまるで無視されています。
実際の使用を想定すると、このマットレスなら「厚さの20%程度の押し込み」だと実態に則したニュートン数が出るのではと考えています。
とはいえ、それぞれのマットレスに別々の試験方法を適用するのもおかしな話です。
単純に、個性のあるものを一律の試験で測定するのに無理が生じているだけです。学校の教育みたいですね。
他社メーカーの高反発マットレス(厚み14cm前後、プロファイル加工なし)のケースですと、300N近くの数値になっているものがありました。
この高反発マットレスは「やや硬め」くらいを目指して開発されたのだと思いますが、試験結果のまま表記するとありえないほどの硬さになってしまっていました。
このメーカーもこの結果には不服なはずです。
こういった理由から、ニュートン数はあまりアテにならないということなのです。
【注意】実はこの試験方法2018年に改定されたばかりなのです。以前は「厚さの25%まで押し込む」ものでした。ただ、この時はこの時で、同じような理屈から、薄いマットレス(特にプロファイル加工がされたもの)がやけに柔らかく測定されてしまっていました。試験方法を決めるのはとても大変だろうと思います。今後の改善に期待です。 |
1−2. ニュートン数よりもメーカーの声、自分自身の声を聞こう
ではどうすればいいのかと言うと、メーカー(もしくは販売店)がそのマットレスの硬さをどのように伝えているかです。
つまり、硬めなのか、普通なのか、柔らかめなのかです。
もちろん、我々メーカーはニュートン値がアテにならないことを承知のうえで、硬さの記載をしています。
また、「体重」と「慣れ親しんだ硬さ」も一緒に考えましょう。
- 体重:太り気味の人はやや硬め、痩せ気味の人はやや柔らかめ。
- 慣れ:今お使いの敷寝具の硬さ。慣れた寝心地からいきなり大きく変わるのは違和感が出ることが多い。
さらにその上で、検討中のマットレスに実際に試し寝が出来れば言うことはありません。
自分自身がどう感じるかが大切です。以下のページ試し寝方法をお伝えしています。
関連記事2. 高反発マットレスの硬さについてよくある質問
よくいただく質問についての私なりの考えをご紹介します。
2−1. 使用に応じて柔らかくなる?
ポリウレタンフォームは使用に応じて柔らかくなります。
しかし、かなり徐々に柔らかくなっていくため、なかなかその変化には気づきにくいかと思います。
2−2. 硬めと柔らかめ、どっちがいいの?
どちらかが優れているといったことはありません。適切な寝姿勢が取れるのなら後は好みの問題です。
ただ、その上で「ふつう」か「かため」で迷うのなら、かためのものを選ぶことをおすすめします。
上記の通り、ウレタンは使用に応じて徐々に柔らかくなりますし、最悪、ベッドパッドなどで柔らかさを足すことができるからです(と同時に、硬くすることは困難だからです)。
2−3. プロファイル加工はあったほうがいい?
高反発ウレタンフォームマットレスならプロファイル加工がされているものがおすすめです。
「ふつう」の硬さで表面がフラットなものは味気のない寝心地ですし、「かため」の硬さで表面がフラットなものはやや硬すぎて体圧分散性に疑問を感じることがあるからです。
まとめ
試験方法にやや無理があるため高反発マットレスのニュートン数はあまりアテになりません。メーカーの声とあなたがどう感じるかを軸に硬さについて考えるようにしましょう。
なお、以下のページであなたに合った高反発マットレスを選ぶポイント(硬さ、厚み、生地、耐久性など)とおすすめブランドを紹介しているのであわせてご参考にしてください。
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なお、マットレスに関するページを以下にまとめましたので、気になるトピックがあればあわせてご参考にしてください。
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ニュートン値があてにならない?
製品から50×380×380mmの試験片を切り出して)と書いてあるので素材の厚みを50ミリに揃えて検査しているのでしょう。
だから製品の厚みは関係なしで、もとの材料の硬さを単純に測定しているのである程度参考になると思う。同じ硬さでも製品レベルでは厚みの違いの影響を受けて硬さに違いを感じるだけでは。
ポケロ様
ご指摘ありがとうございます。
誤解を促すような書き方失礼いたしました。
早急に修正いたします。
※追記
JIS規定の試験方法では試験片のサイズを規定していますが、表面の加工、多層構造などの製品ごとの性質により結果にブレるが出ることが多く、そのため、最終製品で試験が行われることとなり結局測定結果がブレてしまうこととなっております。この点について文中に付記しておきました。この度はご指摘ありがとうございました。
加賀照虎
しかし、この試験方法の「厚さの40%まで押し込み」というところに問題があるのです。
表面にプロファイル加工が施されている
硬さの異なる多層構造になっている
厚みが10cm以上ある
などのマットレスとなると、測定結果がブレてくるのです。
ニュートン数値をアテにしてはならない理由を求めて読み始めましたが、「ブレる」という言葉遣いが与える誤った印象のため、この部分で読むのをやめてしまいました。
「測定結果がブレてくる」というのを、「同じ商品を個人で追検査した時の数値が元の数値と違う=ブレる」と解釈してしまいました。日本ウレタン工業協会の測定方法について詳しくは存じ上げませんが、ある程度の誤差も勘案して、複数回測定した時の平均値を測定結果として公表していると思うところ、「協会の公表数値はXXXだけど、私の測定数値はAAAだから、ブレるのだ」と、そこを指摘しても仕方がないのかなと感じました。
おそらくおっしゃりたいのは、タイトルの通りニュートン数値をアテにして、試しに寝る前に硬すぎる/柔らかすぎる、と判断するのは早計だ、ということなのだと思いましたが、、、。
また、ポケロさんという方も指摘されてましたが、製品の厚みは関係なしで、もとの材料の硬さを単純に測定しているのである程度参考になる、と私も思います。
USO様
誤解を招く記載がありまして失礼しました。
測定方法によっては数値のばらつきがあるため、
同じニュートン数であっても寝心地が変わってくるという
意味合いをお伝えしようとしておりました。
分かりづらく申し訳ございません。