睡眠

ついに納得!冬になると寝汗がひどくなる原因と7つの対策

「夏場は寝汗なんて気にならない程度だけど、冬になると寝汗がひどくなる。」

このような冬にだけ寝汗が気になる方は、意外と多くいます。寝汗がひどいと寝床がムレて睡眠の質が低下するだけでなく、起きた後の処理(シャワー・シーツの洗濯)も大変です。

そこで今回は、「冬の寝汗の原因と対策」をご紹介します。寝汗で寝苦しい睡眠とはオサラバし、スッキリ爽快な快眠を目指しましょう。

※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。
著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。2,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。
取材依頼はお問い合わせから。
インスタグラムでも情報発信中⇒フォローはこちらから。


1. 冬に寝汗がひどくなる原因

冬に限って寝汗がひどくなる場合、「就寝前の行動」「睡眠環境」「冬という環境的要因」により発汗がひどくなることがあります。

具体的にご説明します。

1−1. 眠るまえに身体を温めすぎる

寒いがために就寝前に身体を温めすぎてしまうことが原因で、睡眠中に大量に汗をかくことになります。というのもそもそも、睡眠中の発汗とは、体温を下げるためのシステムだからです。

体温を下げるために寝汗をかく
体温を下げるために寝汗をかく

通常、睡眠中に深部体温が1.5度低下します。脳と身体を休ませるために体温がこんなに下がります。しかし、もしあなたが寒いがために身体を温めすぎていたとしたら、より体温を下げなければならないので、さらに多くの汗をかくことにつながるのです。

あなたは就寝直前に以下のようなことをしていませんか?

  • 熱めのお風呂に浸かる。
  • 長時間こたつの中にいる。
  • 暖房で部屋を暖かくし過ぎる。

身体を温めるのは良いことですが、眠るときにも体温が高いままだとひどい寝汗につながるので注意しましょう。

1−2. 冬用の寝具の繊維素材が不適当

また、寝具製品の使い方が間違っていたり、寝床を過剰に暖かくしていたり、適切な繊維素材の寝具を使っていないと寝汗がひどくなる原因になります。

以下の3点をチェックしてみてください。

  1. 羽毛布団、冬用パッド、毛布、パジャマなど暖かい寝具アイテムを全て使っている。
  2. 電気毛布、電気あんか、ゆたんぽなどで睡眠中の寝床を温めている。
  3. 吸水性、吸湿性のあまり良くない暖か寝具アイテムを使っている。

1と2は先にご説明した「身体を温めすぎる」点と同じです。寝具が身体を温め過ぎるために、寝汗を大量にかく原因になります。

3は繊維素材の性能の話になります。汗には身体から液体として出る汗と、蒸気として出る汗(気化熱)があります。「吸水性が悪い」=「液体の汗を吸収しにくい」、「吸湿性が悪い」=「蒸気としての汗を吸収しにくい」となります。

そのため、寝具の素材が不適切だと、寝汗が吸収されないために多く感じられることもあれば、熱・ムレ感がこもりやすくなるために寝汗がさらにひどくなることもあります。

1−3. 精神的刺激が強くなる

また、汗には緊張・不安・恐怖などのストレス(精神的刺激)が原因で出る「精神性発汗」というものがあります。精神性発汗には2のタイプがあります。

  1. 一次的なストレス
  2. 発汗を意識しすぎることによるストレス

冬になると寝汗がひどくなる人の中には、一次的なストレスが冬に溜まりやすいことがあります。「冬季うつ」という症状があるように、冬に気分が塞ぎ込みやすい、疲れやすい、イライラしやすい方は、精神的な理由により寝汗がひどくなっている可能性があります。

冬は日照時間が短くなるので、日光を浴びることにより体内で生成される「幸福ホルモンのセロトニン」の分泌が少なくなります。そのため、精神が不安定になりやすく、寝汗がひどくなる原因と考えられます。

1−4. 女性ホルモンが乱れやすくなる

さらに女性の場合、冬は女性ホルモンのバランスが乱れやすくなることも、寝汗をひどくする原因になります。

寒さと冷えによってホルモンバランスが乱れることもあれば、日光を浴びる量が減ることでセロトニンの分泌が減ることで自律神経が乱れ、ホルモンバランスが崩れることもあります。


2. 寝汗がひどくなる他の原因

これらの寝汗の原因は冬に限ったものでないですが、先に紹介した原因と組み合わさることにより、寝汗をひどくすることがあります。

2−1. 就寝前のアルコールの摂取

寝酒など眠るまえに飲酒をすることで睡眠中の発汗がひどくなる原因になります。

なぜかと言うと、アルコール摂取の2~3時間後に体内でアルコールが分解されると「アセトアルデヒド」という物質になるのですが、この物質は人体にとって有害なため、身体は汗や尿として体外へ出そうとするのです。

冬は寒くて眠りにくいから、身体を温めるために寝酒をしていたりしていませんか?

そうすると寝始めて1~2時間経過した辺りで、暑さと汗のムレ感で寝苦しくて目覚めてしまうことになりかねません。

2−2. 更年期、妊娠、生理による女性ホルモンの乱れ

女性に特有の原因です。

2大女性ホルモンと言われる、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があります。「エストロゲンは美肌ホルモン」として、「プロゲステロンは妊娠をサポートするホルモン」として知られています。

これらのバランスが乱れたとき、寝汗をかきやすくなります。

更年期にホルモンバランスが乱れやすくなる

女性が50代に近づくとエストロゲンの分泌量が急激に減少し始めます。このとき、女性ホルモンのバランスが崩れやすく、自律神経が乱れがちになります。そのため、普段、自律神経がコントロールしていた器官(体温、血圧、発汗、呼吸)が支障をきたします。そのうちの1つの症状が、ひどい発汗や寝汗なのです。

妊娠・生理によりホルモンバランスが乱れやすくなる

妊娠中や生理前、生理中は、女性の体内でプロゲステロンが優位になります。プロゲステロンは睡眠作用があるといわれ、眠気を催したりします。しかし、基礎体温が高くなるため、睡眠中の寝汗が通常よりも多くなりやすくなります。

2−3. 病気が原因でないか症状をチェック

病気の症状により寝汗がひどくなっている可能性もありえます。上記の原因に該当しない場合、以下のような症状がないかチェックしましょう。

  • 首の腫れ、動悸、イライラ、眼球突出
    →甲状腺の病気のバセドウ病の可能性があります。内科もしくは内分泌科を受診しましょう。眼球が突出している場合は、眼科へも受診しましょう。
  • 異常に口が乾く、尿の量が多い、急激な体重の減少
    →糖尿病の可能性があります。糖尿病内科もしくは内科に受診しましょう。
  • 疲労、めまい、頭痛、動悸、肩こり、吐き気
    →自律神経失調症かもしれません。精神科もしくは心療内科を受診しましょう。

もしこのような症状に心当たりがあるのなら、なるべく早く医療機関に受診されることをオススメします。


3. 冬の寝汗を抑える7つの対策

それでは次に、冬の寝汗対策をご紹介します。寝汗を極力かかないように抑えつつ、被害・不快感を最小限にとどめましょう。

3−1. 寝具の積み減らしと繊維素材をチェックする

ひどい寝汗の原因が寝具から生じている場合は、寝具アイテムを見直してみましょう。以下の2点をチェックしましょう。

  1. 暖かさ対策が過剰なら減らす
  2. 繊維素材を確認

例えば、機能性の良い羽毛布団を使いつつ厚手のパジャマを着用していれば、電気毛布を使い身体をさらに温める必要はありません。温めすぎることで発汗がひどくなります。

また、繊維素材は極力、天然繊維のものが良いです。なぜなら、化学繊維より天然繊維のほうが汗(液体・蒸気共に)をよく吸収するからです。そのため、多少寝汗をかいても不快感をあまり感じることなく眠ることができます。

characteristics-of-fabric-materials

寝汗が気になる方に最も気を配ってもらいたいのが、布団カバーとシーツです。睡眠中、体に最も近い存在なので素材をこだわってお選びください。こちらのページ『布団カバー・ベッドシーツを上手に選ぶ/扱うための体系的知識』をご参考にしてください。

3−2. 除湿パッドに汗を吸収させる

寝汗のベタベタ感が気になるのであれば、敷布団やマットレスの上に除湿パッドを敷いて、汗を徹底的に吸収させましょう。

kaimin-times-mattress-pad
除湿・消臭敷きパッド

製品:快眠タイムズ 除湿・消臭敷きパッド
価格:5,980円
【購入ページはこちら】

自社製品で恐縮ですが、コーミング加工をした高品質な綿100%の敷きパッドです。お菓子の袋の中によく入っている除湿剤のシリカゲルを中材に詰めているため寝汗をとてもよく吸収します。熱帯夜でもカラッと爽やかに眠れます。また、シリカゲルには消臭効果もあるので、汗臭、加齢臭、タバコ臭などもスッキリ除去します。

warm-dry-bed-pad
あったかドライミング敷パッド

製品:あったかドライミング敷きパッド
価格:
5,000円
【購入ページはこちら】【商品紹介ページはこちら】

またもや自社製品で恐縮ですが、あたたかフランネル生地にシリカゲルを挟んだ冬用の除湿敷きパッドもおすすめです。「布団の中を暖かくしたいけど、寝汗で蒸れないようにしたい」という方におすすめです。もちろん、消臭機能もありますので、多少汗をかいてもニオイも安心です。

3−3. 冬用のパジャマはパイル・ガーゼ生地がオススメ

寝汗にお悩みであれば、冬用のパジャマといえど暖かさよりも汗の吸収に優れたものを選びましょう。汗がしっかりとパジャマに吸収されないとベタベタして気持ち悪くなります。

私のオススメのパジャマ生地は以下の2つです。

パイル生地

タオル地とも呼ばれます。毛羽立った繊維が熱を閉じ込めるため、暖かく感じられます。吸湿・吸水性も非常に高いので、汗の吸収にも優れています。基本的に綿(コットン)をメインの素材としています。

多重ガーゼ生地

暖かさはパイル生地と比べると若干劣りますが、汗の吸収には非常に優れています。使用開始時は若干ガサガサするため気になるかもしれませんが、使用に応じて肌に馴染んできます。

無添加3重ガーゼパジャマ

gauzepajama2

メーカー:松並木
生地:3重ガーゼ
素材:綿100%
価格:15,000円
【当製品の販売ページ】

無添加素材にこだわって作られたガーゼ素材です。私は夏にこちらの会社が手がけるガーゼケットを使用しています。値段は張りますが、ガーゼの肌への馴染みがとても良くムレ感がほとんどないので、予算に都合がつく方にはオススメです。

3−4. 眠るときに体温がスムーズに低下できるようにする

寒いままでは眠れないから身体を温める、それは良いのですが、眠るときに体温がスムーズに下がれる必要があります。以下の表を参考にして、身体を温めるようにしましょう。

時間帯適切な運動時間
就寝3時間前体温の上昇が激しい運動。
動き回るスポーツ、筋力トレーニング、ランニングなど。
就寝2時間前体温がやや上がる程度の運動。
ジョギング、水泳、サイクリング、汗ばむ程度のエクササイズなど。
就寝1時間前若干ぽかぽかする程度の運動。
ウォーキング、ストレッチ、ヨガ、簡単なエクササイズなど。

例えば、42℃以上の熱い風呂に長く(10分以上)浸かると、入浴後も体温が高いまま維持されます。そのため、体温が下がる準備が出来てから就寝できるように、少なくとも就寝の3時間前に熱い湯に入るようにしましょう。

3−5. リラックスをして自律神経を整える

多様なリラックス方法がありますが、冬に1番オススメできるものが足湯(足浴)です。足湯にはリラックス効果があり、自律神経を整える効果があると、山梨大学医学部付属病院の研究チームにより報告されています。

…実際に足浴は入眠効果があると考えられる。その根拠として、本実験での足浴後の変化は、副交感神経活動の指標であるHFの増加、自律神経系の調節能力を示すBRSの増加、足部の皮膚温の上昇と血流量の増加、その維持といったものをあげることができる。

(引用:『日本看護技術学会誌 Vol. 8,No. 3』内「足浴が生体に及ぼす生理学的効果」金子健太郎、熊谷英樹、尾形優、竹本由香里、山本真千子 著)

 足湯は以下のように行います。

・足湯の方法
42℃前後の少し熱めのお湯に、くるぶしまで足を入れましょう。たった10分ほどでも身体全体が温まり、とてもリラックスできます。口の広いバケツにお湯を入れ、リビングの椅子やソファに座りながらの足湯でも大丈夫です。就寝の1時間前に行いましょう。

寝汗の原因がホルモンバランスの乱れから生じていると考えられる女性にはとてもオススメの方法です。

3−6. 冬こそ日光浴をして精神を安定させよう

ひどい寝汗の原因は精神面から生じているかもしれない、とあなたが思うのならば、午前中に日光を浴びましょう。

光とメラトニンの関係と仕組み
光とメラトニンの関係と仕組み

というのも、午前中に日光を浴びると体内で「幸せホルモンのセロトニン」が生成されるためです。

セロトニンとは神経伝達物質の1つで、他の神経伝達物質のドーパミンやノルアドレナリンをコントロールすることから精神を安定させる働きがあるので「幸せホルモン」と呼ばれるのです。

(※また、このセロトニンは夜間になると、「睡眠ホルモンのメラトニン」に変化するので、日光を浴びると睡眠の質を上げることにもつながります。)

視覚で日光を感じられれば十分なので、日焼けを気にする必要はありません。冬場は夏よりも日照時間が短くなるので、もしあなたの精神面が不安定になる傾向があるのならオススメします。寝汗への効果も期待できます。

3−7. 飲酒は用量と時間帯を守る

ひどい寝汗の原因がアルコールの可能性であるのなら、極力飲酒は控えた方が良いです。特に寝酒は厳禁です。付き合いや仕事の関係上どうしても飲む必要があるのなら、以下2点を守りましょう。

  1. 飲酒は就寝の3時間前に終える
  2. 節度ある摂取量を守る(以下参照)
お酒の種類アルコール度数適量
ビール5%中瓶1本 500ml
日本酒15%1合 180ml
ウィスキー43%ダブル 60ml
焼酎25%0.6合 110ml
ワイン14%1.5杯 180ml
缶チューハイ5%1.5缶 500ml

(参考:厚生労働省(一部改変))

この程度の飲酒なら、眠っている間にアルコールが代謝される量を僅かにできるので、寝汗への影響を大きく軽減できます。もちろん、この数値は一般的なものなので、お酒が弱い方や高齢者は、この数値よりも少なめが適量と認識しましょう。


最後に

もしあなたが「寝汗のせいで布団・マットレスにシミができてる…!」と汚れにもお困りでしたら、クリーニングを利用することをおすすめします。睡眠環境はキレイでないとダニやカビが発生する原因になってしまいます。

『まとめ洗いは効果薄?!布団クリーニングでダニ退治の注意点』
『汚れたマットレスの洗浄クリーニング!概要と費用、注意点』

しかしもし現状、「寝汗のせいで布団にダニ、カビが発生しているかも」と疑われる場合は、早め早めに退治・掃除を行うことをおすすめします。

『手軽で効果抜群!布団の正しいダニ退治方法』
『低刺激で安心!敷布団のカビを20分で除去する方法』

睡眠改善のためのメール講座

どうしたらいいか分からず、悩ましいですよね。
とはいえ、問題点さえ把握できれば、意外と簡単に改善させることが期待できます。

そこで当ブログが開発したのが「睡眠改善無料メール講座」です。
研究により実証されている睡眠改善のための方法を、具体的に分かりやすくお伝えしていきます。

ぜひ、あなたの睡眠改善にお役立てください。

SNSでもご購読できます

コメントを残す

*

快眠タイムズ