16種類の素材と比較|低反発枕の寝心地と注意点

Memory-foam-pillow

2000年頃から大ブームになった低反発枕。その柔らかな寝心地には、今でも根強い人気があります。

ただ、市場にある低反発枕は玉石混淆のため

「低反発枕で肩こりになった…」

などの意見がときおり散見されるのも事実です。

低反発枕といっても作りによりかなり寝心地が変わってくるのです。

そこで本日は「16種類の素材と比較|低反発枕の寝心地と選ぶときの注意点」についてご紹介します。

著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。2,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。
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1. 16種類の素材と比較|低反発枕の寝心地・注意点

まず始めに、低反発枕の特徴です。

他素材と比較してどうなのかというと、以下のチャートのようになります。

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それではポイントとなる点について個別に解説していきます。

1-1. 他素材の中でも群を抜くフィット感

低反発枕の最大の特徴がこのフィット感です。

頭を置くとむにゅーっと沈み込んでそのままピタッとフィットする性質は他の素材では味わえません。余談ですが、頭のカタチに応じてフィットしたままになるため英語ではメモリーフォーム(形状記憶)ピローと呼ばれるのです。

柔らかめの高反発ウレタンやラテックスフォームも頭を置くと同じようにピタッとフィットします。が、反発力があるので寝心地に差が出てきます。これは好みが別れるところです。

とはいえ、あまりにも反発力が高いと後頭部に圧迫感がありますし、反発力が低すぎる上に柔らかいと頭が沈み込みすぎてしまうのでそれはそれで問題ですが。

このように枕の硬さや反発力についてはある程度は好みで決めても良いですが、正しい寝姿勢で安定して寝られることは絶対条件として目指しましょう。

ideal-sleeping-posture
理想的な寝姿勢 仰向け寝

理想的な寝姿勢については下記のページで詳しく説明しているのでご参照ください。

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1-2. やや蒸れやすいので素材の見極め、使用環境を調整が大切

低反発枕は通気性が悪いので蒸れやすいです。

この点も枕素材の中ではピカイチです(悪い方にですが)。高反発ウレタンフォームやラテックスも同じく通気性が良くありませんが、ピンホール加工(穴開き加工)がなかったりフィット感が高いことから体感上の蒸れやすさは低反発枕のほうが高くなります。

 

通常フォーム

無膜構造

オープンセル構造

ピンホール加工

画像regular-foamopen-cell-construction-of-polyurethane-foam1pinhole-processing-latex-foam1
通気性

そこで大事になるのが以下の3点です。

  1. オープンセル構造であること
    高品質な低反発ウレタン素材は内部構造が独特で通気孔が張り巡らされているようになっているので、通気性が若干改善されています。
  2. 側生地の素材
    側生地の素材がレーヨン系(テンセル™、リヨセル、バンブーなど)や綿などの吸水性のある素材が使われているものを選びましょう。肌に直接触れる側生地の素材がポリエステル100%なのか、吸水性のある素材なのかで蒸れやすさは大きく変わってきます。
  3. 涼しめの使用環境で使うこと
    上記2点を満たしていても20℃後半の暖かい環境で低反発枕を使うと、やはり蒸れやすさについては否めません。特に、暑がりの人は尚更です。夏場はエアコンを使って温度環境を整えられるようにしましょう。

1-3. 低反発ウレタンは洗濯不可!手入れを怠らないこと

低反発ウレタンフォームは洗えません。

水に濡らすと加水分解という化学反応が起こり、脆くバラバラになってしまうからです。

その代わりからか、側生地はきちんと洗える仕様になっているものが多いです。汚れたら側生地を取り外して洗うようにしましょう。なお、このような特性があるため、低反発枕はなるべく汚れないように枕カバーをきちんと併用するか、枕プロテクター(防水枕カバー)で汚れないように保護して使うことをおすすめします。

(ここ最近、洗うことのできる低反発ウレタンフォームも世に出始めています。もちろん、大半の低反発ウレタンフォームまくらは洗えませんが、洗えるものは洗濯可能と記載があるので探してみてください。)


2. 低反発枕の選び方・扱い方の注意点

流行った商品には必ずと言っていいほど低品質な類似商品も現れます。

そのようなものを選ばないためのポイントをご紹介します。

2-1. 海外(特に南国系)ブランドは低温で硬化するものがあるので注意

低反発素材には温度依存性というのもあります。

どういったものかというと、温度が低い環境では素材が硬くなり、温度が高い環境では素材が柔らかくなることです。

どんな低反発素材にもこの特性はあるのですが、その耐性はものにより異なります。低品質なものは寒いところでかなり硬くなります。

「え?これって低反発じゃなかったっけ?」と思ってしまうほど、全く沈み込まなくなってしまいます。

沈み込むことを前提として枕の高さが設計されますが、沈み込みがなくなると枕が高すぎてしまいかなり寝心地がかなり悪くなります。

too-high-pillow
高すぎる枕

私がテスト的に購入した南国系ブランドの低反発枕はまさにこのような使用感だったため、冬の日に一晩使っただけで(眠る前からある程度想像できていましたが)首をかなり痛めてしまいました。

そう、南国系ブランドは寒くなることを想定していないことが多いため、低反発素材の温度依存性を考慮することなく製品化されてしまうことがあるのです。

「この低反発素材は温度依存しにくいです」などのような表記があるものを選びましょう。

2-2. 柔らかすぎる大きなものは寝返りがしにくく肩・首こりの原因になるので注意

また、低反発枕の中には柔すぎるものもあります。

head-is-too-fixed
頭が枕に固定され過ぎる

このような状態になってしまうと頭の寝返りがしにくくなってしまいます。

頭が固定されたまま寝てしまうと首に疲れが溜まってしまいます。例えば、たとえ5分でも同じ姿勢で椅子に座り続けるのが困難なことを考えると分かりやすいかと思います。

購入前に少しの力で頭が動かせるか確認することをおすすめします。

2-3. 臭いが少ないものを選ぶならOeko-Tex認証のあるものを選ぶ

低反発枕に限らずウレタンフォーム製品は独特の化学臭をもったものがあります。

これは製造時に使用される原料の品質が悪いことが大きな原因です。原料の中でももっともニオイに影響を与えるとされているのが「アミン」です。

軟質ポリウレタンフォームの臭いの主成分は触媒として使用されている第3級アミン類です。これはポリウレタンフォーム製造時0.05~0.5%の濃度で添加され、製造時の熱により大半は揮発しますが一部フォーム中に残存し、これが軟質ポリウレタンフォームを開梱した時に臭いとして残っていることがあります。

(引用:日本ウレタン工業協会

対策としては「エコテックス規格」の認証をパスしている製品を購入することです。

第三者機関が使用される原料をチェックした上で作られた製品ならまず安心です。

私自身、サプライヤーを探すときはエコテックス認証をパスしているかいないかをチェック項目に入れています。ほとんどのケースで品質にかなりの差が生まれるので購入前にチェックすることをおすすめします(認証のある製品は価格もやや高くなりがちですが)。

2-4. 寿命はウレタン密度を目安にすること

低反発枕の寿命は3~5年です。

高反発ウレタン枕と同じくウレタンフォームの品質(主に密度)により耐用年数が変わります。

ただ、高反発素材より柔らかい分へたりやすいので、低反発素材の密度は高めに設計されます。

ウレタン密度(kg/㎥)耐久性の評価
高反発低反発
20D以下30D以下
  • 数ヶ月~1年程度の耐用年数。
  • 1万円をきる安価なマットレスに使用される。
25D前後35D前後
  • 3~5年程度の耐用年数。
  • リーズナブルなマットレスに使用される。
30D前後40D前後
  • 5~8年程度の耐用年数。
  • 国内・海外ブランドの有名マットレスに使用される。
40D以上50D以上
  • 8年以上の耐用年数。
  • 高価で高品質なマットレスに使用される。

密度が高いものはその分重くなります。

と言っても数百グラムくらいですが。

ウレタンフォームは重いもののほうが素材がしっかりとしていて耐久性が高いと覚えておきましょう。

2−5. 高さのある山のほうを首に当てる向きが正解(なことが多い)

低反発枕の大半はネックフィット形状のものです。

そして、「この形状の枕によくある疑問がどっちを首に当てて使う向きが正しいの?」というものです。

これに対する絶対的な答えはありませんが、一般論でいうと山の高いほうを首に当てて使うのが正解です。つまり、下記の写真の使用例は間違いとなります。

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低反発枕の正しい向き

最後に

低反発枕はピンからキリまで様々です。

ブームになったため粗悪な品が多いのも事実です。ご紹介の内容であなたがきちんとした品質ものを選んで快適な睡眠ライフを送られれば幸いです。

なお、以下のページでおすすめブランドを紹介しています。低反発枕のご紹介もあるので是非ご参考にしてください。

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