- 羽毛布団って何年くらい使えるんだろう?
- 良いものを買えば一生ものって本当かな?
とのお声をよく聞きます。
羽毛布団は一般的に10~15年の寿命ですが、良いものが必ずしも長持ちするとは限りません。
むしろ、高級品ほど繊細で劣化が早いこともあります。
誤解があると期待通りの買い物ができなくなってしまいます。
そこで本日は「羽毛布団の寿命と長持ちさせる秘訣」についてご紹介します。
※羽毛と羽根の比率、ダウンパワー、充填量などのスペックを比較した選び方についてこちらのページ「羽毛布団の選び方とおすすめ9選【専門家直伝】」で徹底解説しています。羽毛の充填量だけでなくより網羅的に羽毛布団選びを進めたい方はぜひご参考にしてください。 |
Contents
1. 羽毛布団の寿命とは
羽毛布団の寿命を正しく理解するには「羽毛」と「側生地」について別々に考える必要があります。
それぞれのポイントを順に紹介していきます。
1−1. 羽毛の寿命は10~15年
羽毛布団の羽毛自体の寿命は10年、適切に使えば15年でも使い続けられます。
天然物であるため優しく扱いきちんとこまめに手入れをすることで、より長くお使いいただけます。とはいえ、ダウンパワーの低い未熟な水鳥から採取された羽毛だと、ダウンボールの羽枝のコシが弱くヘタレやすかったり、ちぎれやすかったりし寿命は短くなります。
また最近ですと、偽装羽毛の問題もあります。
マザーダウンと表記されていても未熟なダックな羽毛が混ぜられている可能性もあり、そのような羽毛布団ですと到底10年を経たずしてヘタれてしまいます。
これは日本の羽毛布団メーカー自体が海外の羽毛サプライヤーに騙されていることもあるので、対策が困難な根深い問題なのです。そのため、きちんと長持ちする羽毛布団を買うには、信頼できるメーカーから購入するというのが大事になるのです。
1−2. 側生地の寿命は良いものほど短い
実は、羽毛よりも側生地のほうが先に寿命が尽きやすいのです。
しかも、より高品質な側生地であればあるほど、短命になります。繊維がより細く繊細であるからです。
生地素材 | 生地重量 | 通気度 | 評価 |
綿100% (100番手) | 800g前後 | 3.0cc以上 |
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綿100% (80番手) | 950g前後 | 3.0cc前後 |
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綿100% (60番手) | 1100g前後 | 2.0cc前後 |
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綿100% (40番手) | 1300g前後 | 1.5cc前後 |
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ポリエステル30% 綿70% | 900g前後 | 0.5cc前後 |
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ポリエステル85% 綿15% | 750g前後 | 0.5cc前後 |
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シルク生地だったら5年ほど、レーヨンが混紡された生地や細番手の綿生地だったら7年ほどだとお考えください。美人薄命とはまさにこのことです。
さらに、高級羽毛布団は羽毛の吹き出しも少なかず発生しやすいものがあります。というのも、快適な寝心地を追求するために、羽毛布団が吹き出しにくい中でより高い通気性を再現しようとギリギリのところを攻めているからです(日本でも羽毛の吹き出しイコール即クレームになるので少ないですが、吹き出しに寛容な海外ではままあります)。
その一方、ポリエステルは丈夫な繊維なので長持ちします。ただ、蒸れて寝苦しくなりやすいのでおすすめしません。安価で長持ちしても肝心の眠りをおそろかにしてしまっては何のための寝具かと思います。側生地は出来れば綿100%、妥協をしてもポリエステル30%綿70%にしておきましょう。
1−3. 羽根が多い羽毛布団は短命
羽毛70%羽根30%などのような羽毛布団はあまり長持ちしません。
ものにもよりますし扱い方にもよりますが、羽根が多いため羽軸が側生地を傷めやすいからです。
羽毛(ダウン) | 羽根(フェザー) | |
画像 | ||
風合い | ふわふわ | 芯がある |
保温性 | ◎ | ◯ |
重量 | ◎ | △ |
フィット性 | ◎ | ◯ |
獣臭 | ◯ | △ |
価格 | △ | ◎ |
羽根が多い羽毛布団は保温性や肌心地が特別優れる訳でもないので、個人的にはあまりおすすめできません。
2. 羽毛の寿命を伸ばすためにやること&やってはダメなこと
以下の5つのことを守っていただければ羽毛布団をより長くお使いいただけます。
2−1. 洗濯はクリーニング業者へ依頼する
羽毛布団を洗濯するとなると、クリーニング業者、コインランドリー、自宅の洗濯機の3通りの方法が浮かぶと思いますが、クリーニング業者へ依頼することをおすすめします。
不慣れなあなたがコインランドリーで羽毛布団を洗うとなると洗いすぎ乾かしすぎで、羽毛布団を痛ませたり羽毛から不必要に油脂を取ってしまったりする恐れがあります。自宅で洗うのはもってのほかです。羽毛布団は乾かすのに大変苦労します。以下のページで羽毛布団のクリーニングについて紹介しているので、どんなものかお見知りおきください。
関連記事2−2. 布団カバーをかけて使うこと
羽毛布団にカバーを掛けることで羽毛が寝汗によって湿気りにくくなりますし、側生地が汚れにくくさせられます。また、汚れにくいということは、クリーニングなどで洗濯をする頻度を少なくできることからも長持ちにつながります(クリーニングは多くとも2~3年に1度がよいです)。
2−3. 湿気を溜らせないよう手入れをする
布団カバーをしていても羽毛が全く湿気らないことなんてありません。そのため、適度に羽毛布団から乾かすためのお手入れが必要です。日々のお手入れとしては、以下の3つのことが出来るようにしましょう。
- 毎朝、羽毛布団をめくったままにしておく
- 週に1度、羽毛と空気と馴染ませる
- 月に1~2度、日陰干しをする
以下のページで詳しく羽毛布団のお手入れについて紹介しているので必要があればご参考にしてください。
関連記事2−4. 乱暴に扱わない
ここまでお読みいただいたのならお分かりと思いますが、羽毛布団(特に高品質なもの)は丁寧に扱わなければなりません。
羽毛布団の上に乗ったり引っ張ったりしないようにしましょう。また、日光で傷まないように天日に晒すのも避けましょう。ふかふかの羽毛布団だとついついバサっと飛び込みたくなりますが、よい状態を保って長く使うためにもお控えください。
2−5. 圧縮収納は絶対ダメ
羽毛布団が不要となる暖かい時期になると、収納しなければなりません。
が、絶対に圧縮収納袋は使わないようにしましょう。圧縮率の高い羽毛布団こそ圧縮したくなると思いますがお控えください。ダウンボールが潰れてしまい次シーズンにふわっとした復元力を保てられなくなりますし、フェザーの羽軸により側生地を傷つけてしまうことがよくよく起こるからです。
羽毛布団の収納方法については以下のページでまとめていますのでご参考にしてください。
関連記事3. 寿命が来ている羽毛布団は打ち直し(リフォーム)で復活させる
10年使って生地が傷んだ羽毛布団、羽毛のふかふかさに衰えを感じる羽毛布団、それらは打ち直しをして復活させることができます。
打ち直しとはなにか簡単に言うと「新しい側生地に仕立て直しつつ羽毛を補填するサービス」のことです。100%完全に新しいものになる訳ではありません。よく「打ち直しが出来るから羽毛布団は一生物」と言われますが、実際、打ち直しは(10年に1度行うとするなら)1枚の羽毛布団に対して2回まで3回出来れば御の字です。補填された羽毛はいいとしても、初期からの羽毛は20年、30年後には使い物にならなくなってしまうからです。
羽毛布団の打ち直しについては以下のページで詳しく説明しているので、お使いの羽毛布団に打ち直しが必要な方はご参考にしてください。おすすめの打ち直し事業者も紹介しています。
関連記事最後に
羽毛布団の寿命についてご理解いただけていれば幸いです。せっかく羽毛布団を買うならよいもの長く使えるようにしましょう。
なお、以下のページで最高の羽毛布団を選ぶために考えるべきポイント(ダウン率、ダウンパワー、充填量、水鳥の種類、側生地の品質など)とおすすめの羽毛布団について解説しています。是非あわせてご参考にしてください。
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