羽毛布団の打ち直し(リフォーム)にかかる費用の相場は2~4万円です。
「相場の幅が広いな」と思われたかもしれませんが、打ち直し内容(洗浄方法)やオプション(羽毛や側生地の品質)が幅広く用意されているのがその理由です。
そこで大事になるのが、あなたに必要なサービス内容をあなた自身が把握することです。
重視するところは奮発しつつ、抑えられるところは抑えることで、より満足のいく打ち直しが可能となります。
そこで本日は「羽毛布団の打ち直しの料金相場とよくある質問」についてご紹介します。
※羽毛と羽根の比率、ダウンパワー、充填量などのスペックを比較した選び方についてこちらのページ「羽毛布団の選び方とおすすめ9選【専門家直伝】」で徹底解説しています。羽毛の充填量だけでなくより網羅的に羽毛布団選びを進めたい方はぜひご参考にしてください。 |
1. 羽毛布団の打ち直し(リフォーム)の料金相場を変える5つのポイント
以下の5つのポイントで打ち直しの料金が変わってきます。
- 3種類の打ち直し方法
- 足し羽毛の品質
- 足し羽毛の量
- 側生地の素材
- 側生地のキルティング構造
それぞれ順にどういうことか説明していくので、あなたにとってどの程度こだわりたいのかお考えください。
1-1. 3種類ある打ち直し方法(洗い方、リフォームとリベアの違い)
まず最初に知っていただきたい点です。
羽毛布団の打ち直しとひとくちに言っても、以下の3つの種類がありそれぞれ内容と価格がまったく違うということです。
- プレミアムダウンウォッシュ仕上げ(リフォーム)
布団から羽毛を取り出し洗浄し、乾燥させてから、新しい生地で仕立て直しします。羽毛を直接洗うので細かな汚れまで落とせます。費用は高いです。 - ダウンウォッシュ仕上げ(リフォーム)
羽毛布団のまま羽毛を洗浄。その後、取り出して乾燥させてから仕立て直しをします。プレミアムほどではありませんが、羽毛の汚れを取ることができます。費用はやや高めです。 - ふとん生地交換仕上げ(リペア)
羽毛を洗浄せずに取り出して、新しい生地で仕立て直します。費用は安めです。
内容 | 洗浄対象 | 費用 | |
プレミアムダウンウォッシュ | リフォーム | 羽毛 | 高い |
ダウンウォッシュ | リフォーム | 羽毛布団 | 高め |
ふとん生地交換 | リペア | なし | 安め |
どれがいいという話ではなく、あなたの羽毛布団の状態によって決めることをおすすめします。
例えば、10年以上使っている羽毛布団ならだいぶ汚れていると考えられるのでプレミアムダウンウォッシュ仕上げがよいですが、使い始めてからまだ数年程度でひどい汚れがないのであればダウンウォッシュ仕上げで事足ります。
また、「買ってから1~2年しか経っていないけど不慮の事故で側生地が破れてしまったから打ち直しをしたい」といった場合には、側生地の交換のみをしてもらうとリーズナブルでちょうどよいでしょう。
1-2. 足し羽毛の品質(ダックorグース/ダウンパワー)
羽毛は使用に応じてダスト化するため、羽毛布団は徐々に嵩がなくなりへたっていきます。
そのため、打ち直しの際に、羽毛を足して仕立て直しをします。
そこで問題となるのが、足される羽毛の品質です。
ここでは深くは言及しませんが、羽毛とひとくちに言っても水鳥の種類と成長具合(親鳥か否か)によって、希少性と保温性が変わってくるので価格が変わってきます。
アイダーダック | マザーグース | レギュラーグース | マザーダック | レギュラーダック | |
羽毛サイズ | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ | △ |
獣臭 | ◎ | ◎ | ◎ | △ | △ |
価格 | △ | △ | ◯ | ◯ | ◎ |
羽毛の宝石とまで言われるアイダーダックが足し羽毛に使われることはありませんが、料金が高めの打ち直しサービスではマザーグースが使用されていることがあります。
ダック | グース | |
画像 | ||
体のサイズ | 小さめ | 大きめ |
羽毛のサイズ | 小さめ | 大きめ |
保温性 | 普通 | 高い |
食事 | 雑食 | 草食 |
獣臭 | 強い | 弱い |
反対に、格安の打ち直しサービスの足し羽毛は、大体がレギュラーダックです。ただ、羽毛の詳細についての記載があればまだ親切といえます。足し羽毛の詳細が明示されていない事業者のサービス内容は、、、推して知るべしと言ったところでしょうか。
また、水鳥の種類に加えて、足し羽毛のダウンパワー(羽毛のかさ高を数値化したもの)が記載されていたり、オプションで好みのダウンパワーのものを選べられることがあります。
ラベル | ダウンパワー (フィルパワー) | かさ高 | ダウンの混率 | 清浄度 | 酸素計数 |
プレミアムゴールド | 440dp (807fp) | 18cm以上 | 93%以上 | 500mm以上 | 4.8mg以下 |
ロイヤルゴールド | 400dp (733fp) | 16.5cm以上 | 90%以上 | 500mm以上 | 4.8mg以下 |
エクセルゴールド | 350dp (642fp) | 14.5cm以上 | 80%以上 | 500mm以上 | 4.8mg以下 |
ニューゴールド | 300dp (550fp) | 12cm以上 | 50%以上 | 500mm以上 | 4.8mg以下 |
あなたの羽毛布団のダウンパワーに近いものを、もしくは、ラベルに相当するダウンパワーの羽毛を足すと、買ったときの使用感に近い状態に復活させられます。
もしどちらも分からなければ、ざっくりなので恐縮ですが、15万円以上の羽毛布団には440dp前後、10万円以上の羽毛布団には400dp前後、5万円以上の羽毛布団には380dp前後の羽毛を足すとよいでしょう。
1-3. 足し羽毛の量
どのような羽毛を足すのかに加えて、どれくらい足すのかも価格に影響してきます。
足し羽毛の量は300gとされていることが多いですが、やはり事業者によって分量が変わるので比較対象をする上での大切なチェックポイントになります。
1-4. 側生地の素材
羽毛布団を仕立てるための新しい生地もこだわりだすと料金が大きく変わってくるポイントです。
そもそも、羽毛布団は細かな羽毛のダストが吹き出さないように、高密度に織った生地が使用されています。そのため、もっとも一般的な40番手(糸の太さを表す単位/数値が高くなるにつれて糸が細く高価)の綿生地でも通気性が悪く、ガサガサして硬く感じられるのです。
そこで、「よい羽毛だから生地も気持ちいいものにしよう」となると、値段がどんどん上がっていくことになります。
生地素材 | 生地重量 | 通気度 | 評価 |
綿100% (100番手) | 800g前後 | 3.0cc以上 |
|
綿100% (80番手) | 950g前後 | 3.0cc前後 |
|
綿100% (60番手) | 1100g前後 | 2.0cc前後 |
|
綿100% (40番手) | 1300g前後 | 1.5cc前後 |
|
ポリエステル30% 綿70% | 900g前後 | 0.5cc前後 |
|
ポリエステル85% 綿15% | 750g前後 | 0.5cc前後 |
|
10万円以上の羽毛布団には80番手以上の細い綿や、綿とテンセル™(リヨセル)が混紡された高品質な生地がおすすめです。
5万円以上の羽毛布団には60番手の上質なものが相応しいでしょう。
「でも、羽毛布団にはカバー掛けるし、そこまで生地にこだわる必要ってあるの?」と思われるかもしれません。もちろん、肌触りについてはカバーが大切です。が、側生地の繊維がより細いものだと、蒸れにくく快適に暖かく、体にふわっと馴染みます。ややマニアックな世界になりますが、快適な寝心地を追及するなら是非こだわっていただきたいポイントです。
1-5. 側生地のキルティング構造
また、側生地の素材に加えて、構造によっても多少価格が変わってきます。
羽毛布団には以下のような構造があります。
- 市松キルト
- 一層式立体キルト
- 二層式立体キルト
市松キルト | 一層立体キルト | 二層立体キルト | |
イメージ | |||
保温性 | △ | ◯ | ◎ |
厚み | 薄い | 中間 | 厚い |
重量 | 軽い | 中間 | 重い |
ドレープ性 | ◎ | ◯ | △ |
羽毛布団の打ち直しで市松キルトが採用されることほぼないので、一層式か二層式のどちらかを選ぶことになります。
二層式の構造のほうが保温性にすぐれるので、暖かさを重視される方には向いています。ただ、羽毛の品質がよければ一層式でも十分暖かいので、本当に寒さにお困りの方にのみ二層式をおすすめします。
また、他にも、人の体にフィットしやすいようにキルティングが設計されているものもあります。
四角キルト | 変形型キルト1 | 変形型キルト2 | |
画像 | |||
特徴 | 同じサイズのマス目が並んだ 定番のキルティングです。 スタンダードなキルトです。 羽毛と生地がよければ これで十分です。 | 襟元に布団がフィットしやすく マス目の長さが短くなっています。 首元から隙間風が入りにくく 設計されています。 | 布団が体にフィットしやすく 保温性がより高くなります。 寝返りの時に入り込む隙間風も やや減らせられます。 一人寝用のキルティングです。 |
これもまたややマニアックな世界になります。
もちろん、側生地の繊維が高品質(綿なら60番手以上)であれば布団の体へのフィット感が悪いことはほとんどありませんが、さらなる寝心地の良さを追及される方にはよいかと思います。
ただ、変形型キルト2のようなデザインは一人の体に対してフィットしやすく設計されているので、二人で1つの羽毛布団を使うといった機能が意味をなさなくなる点ご了承ください。
2. 羽毛布団の打ち直しでよくある質問
次に、よくある質問についてご説明します。
2-1. 打ち直しの宅配サービスの流れってどうなってるの?
お店に持ち込んで打ち直しをするのと異なり、宅配サービスはどういう流れなのかいまいちピンと来ないと思います。
ざっくりと説明すると、以下のような流れになります。
- STEP1:希望の打ち直し内容を行える事業者をピックアップ。
- STEP2:見積もりと納期を勘案して依頼先を決定&支払い。
- STEP3:配送キットが送られてくるので、羽毛布団を入れて郵送。
- STEP4:打ち直し→納品(約1ヶ月)。
ご覧の通りとても手軽です。
2-2. 打ち直し不可の羽毛布団もあるのか?
あります。打ち直し事業者によりやや誤差がありますが、
- 羽毛充填量1.0kg未満
- ダウン比率が70%未満
- 羽毛の状態が著しく悪い
などに該当する布団は、依頼をお断りされることがあります。
そのため、夏用肌掛け羽毛布団(羽毛充填量0.3kg前後)、春秋用合掛け布団(羽毛充填量0.7kg前後)、羽根布団(羽毛混用率50%以上)は打ち直し対応されていないことが多いのです。
羽毛の状態が悪いものについては、打ち直し事業者も布団を解体してみるまで分からないので、状態を見て判断する流れになります。布団の側生地に破れがあったりして羽毛が少なすぎる場合には、足し羽毛の量を増やさないといけないので、その分費用が増します。
2-3. 羽毛布団の打ち直しをするタイミングの目安は?
羽毛布団は3年に1度クリーニングをし、10年に1度打ち直しをするのが理想です。
ただ、以下のような劣化が目に見え始めたら、購入から10年経っていなくても打ち直しをされることをおすすめします。
- 側生地が傷んでいる
- 羽毛が噴き出している
- 布団がぺちゃんこにへたっている
2-4. 羽毛布団の打ち直しにかかる日数はどれくらい?
打ち直しにかかる納期も事業者により差がありますが、平均すると1ヶ月程度になります。
羽毛布団引き取り後2~3週間というところもあれば、羽毛布団が工場に着いてから4~5週間というところもあります。
あなたの依頼先が自社工場で打ち直しのすべての工程を行なっているかどうか、まとめて洗浄するために一定数の羽毛布団が集まるまで工程が止まるのか、などの点により各事業者の納期が変わってきます。
2-5. 自分で打ち直しはできないか?
ご家庭にミシンがあり縫製の腕に自信がある方でも、自ら打ち直しをおすすめできません。
羽毛を各キルトマスに均等に分けた上で縫製をしていくのはかなり大変ですし、その間に羽毛の噴き出しでロスが出てしまい費用が余計にかかってしまう恐れがあります。
2-6. 羽毛布団を買い換えるか、打ち直しをするかの判断の目安
羽毛は限りある資源なので、基本的には打ち直しをしましょう。
あなたの羽毛布団のスペック通りに仕立て直してもらうといくらかかるか、費用対効果を計算すると納得できると思います。
例えば、あなたの羽毛布団が8万円、グースダウン93%、ダウンパワーが400dp、側生地が超長綿100%(80番手サテン織り)、一層式立体キルトだとします。このスペックを元にプレミアムウォッシュ仕上げをしてもらうとすると3~4万円の費用にはなります。新しく同等のレベルの羽毛布団を購入するよりは安価になるので、打ち直しする方がお得だと考えられます。
もちろん、打ち直し後の羽毛布団は新品よりはやや劣ります(足し羽毛以外は経年劣化が進んでいるため)し、新しいものに買い替えるよりは時間と手間がかかりますが、費用と環境面への配慮の観点から打ち直しがおすすめです。
2-7. 追加料金が発生することはない?
依頼をしてから追加料金が発生することは通常ありませんが、以下のようなケースは例外です。
- 品質表示ラベルと中身の羽毛が異なる場合
- 羽毛が少なすぎて300g以上充填しないといけない場合
このような場合は、事業者からあなたに電話での確認があると思いますので、内容を確かめた上でどうするか判断する他ありません。
3. おすすめの羽毛布団打ち直しサービス
それではいくつかおすすめの打ち直し事業者をご紹介します。
- 事業者:白鳥製綿所
- ダウン:フランス産ホワイトダックダウン93%
- 足し羽毛量:300g
- 生地:60番手サテン立体キルト
- 納期:工場到着後40日
- 価格:14,800円
打ち直しの費用の安さから考えると白鳥製綿所はピカイチです。自社工場で打ち直しのすべての工程を行なっているのでとにかく安いです。もちろん、グレードの高いダウンを充填すること、足し羽毛量を増やすこと、より品質のよい生地を選ぶことなどのオプションもあります。ただ、納期が羽毛布団が工場についてから40日後となっており、1ヶ月半かかってしまうのでお急ぎの方には向きません。
- 事業者:すやすや
- ダウン:ヨーロピアンホワイトグース93%
- 足し羽毛量:300g
- 生地:60番手超長綿サテン立体キルト
- 納期:工場到着後3~4週間
- 価格:21,384円
こちらも自社工場で打ち直しのすべての工程を行なっているので安くておすすめです。上記の白鳥製綿所よりもやや高いですが、足し羽毛がレギュラーグース、そして、生地には通常の綿ではなく超長綿が使用されることが標準設定になっていることが一因と考えられます。納期がやや早く、羽毛布団が工場に着いてから3~4週間で仕上がりです。すやすやの凄いところはアイダーダックの羽毛布団も対応可能なところです。料金が16万円からですが、購入価格を考えると割に合うかと思います。
- 事業者:ねむの木
- ダウン:ホワイトグースダウン93%
- 足し羽毛量:相談
- 生地:60番手スーピマ超長綿サテン立体キルト
- 納期:工場到着後2~3週間
- 価格:40,000円
「羽毛布団業界は偽装ばっかりだし、変な羽毛を混ぜられないか心配だ」と疑心暗鬼になっている方には、ねむの木に打ち直しを依頼することをおすすめします。こちらは立会いのもと羽毛診断と打ち直しを行なってもらうことができますし、店舗(京都)まで行くことができない依頼者にはビデオ撮影をしながら作業を進めてもらうことができます。その分、料金はやや高くなりますが、信頼性を重視される方にはよい選択肢になるかと思います。
最後に
羽毛布団の打ち直しの料金の目安について理解する一助になっていれば幸いです。
しかしもし「今の羽毛布団を打ち直しするくらいなら買い換えようかな」とお考えでしたら、以下のページで最高の羽毛布団を選ぶために考えるべきポイント(ダウン率、ダウンパワー、充填量、水鳥の種類、側生地の品質など)とおすすめの羽毛布団についてまとめて解説しています。是非あわせてご参考にしてください。
関連記事