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不眠の原因を徹底特定!本当に必要な対策とは?!

ヒトは繊細な生き物なので、人間関係、環境の変化、生活習慣などで簡単に不眠になってしまいます。

眠れない夜が続くと、「いつまでこの状態が続くんだろう」と不安になりませんか?

そのような時、まずはあなたの不眠の原因を徹底的に特定しましょう。そうすることで先ずは、気持ちを落ち着けられます。そして、不眠の原因に即した対策を取ることで、不眠を乗り越えて快眠生活に戻ることが期待できます。

それでは、あなたの不眠の原因を特定し、対策を練っていきましょう。

※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。
著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。2,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。
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インスタグラムでも情報発信中⇒フォローはこちらから。


1. あなたの不眠の症状・程度・原因を特定する

先ずはあなたの不眠の実態を理解しましょう。

不眠の3つの症状|どれに該当するか確認しましょう

不眠には3つの症状があり、症状のタイプ別に対策が変わります。

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しかし、これら3つの症状は、別々のものではありません。

例えば、明け方に目が覚めてしまう(早朝覚醒)だけでなく、夜中にも目が覚める(中途覚醒)症状の場合もあるからです。

対策を考える時は、あなたにとって最も悩ましい症状をターゲットとして、改善をしていきましょう。(※もしあなたの不眠がどのタイプなのかハッキリとしない場合は、こちらのページでセルフチェックを行ってみてください。)

不眠の3つの程度と不眠症|程度を確認しましょう

不眠には3つの程度があり、対策が変わります。そして、不眠が一定の条件を満たすほど深刻だと、不眠症となります。

まず知ってほしいのが、一過性不眠・短期性不眠の場合には対策など深く考えなくて良い ことです。ストレスの元がなくなれば自然と不眠も解消されます。眠れなくて辛い気持ちは察しますが、割り切ることも大切です。

もしあなたが長期不眠に該当する場合は、原因に対応した改善策をとる必要があります。次に紹介する不眠の5つの原因をご覧ください。

※「不眠」≠「不眠症」
この2つが混同されることが多いので、興味がある方は読んで下さい。「不眠」は眠れない症状、「不眠症」は睡眠障害です。早い話、不眠により日中に支障をきたすと不眠症になります。睡眠障害国際分類(ICSD)という、睡眠障害の分類と基準の国際的なガイドラインによると、以下のような場合に「不眠症(睡眠障害)」となります。「不眠症状がひどく1週間に3回以上あり、3ヶ月以上続いており、これが原因で日中に眠気を感じたり、生活に支障が出ている。」

不眠の5つの原因|どの要因が最も強いか確認しましょう

睡眠学上、不眠の原因「5つのP」とまとめた考え方が主流です。

不眠と一口に言っても、各原因ごとに全く性質が異なります。行うべき対策もバラバラです。そのため、まずあなたがどの原因に該当するのか理解する必要があります。

1. 身体的原因(Physical)
2. 生理学的原因(Physiologic)
3. 心理学的原因(Psychologic)
4. 精神医学的原因(Psychiatric)
5. 薬理学的原因(Pharmacologic)

(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)

なんとなく分かるような分からないような感じだと思うので、次に各原因についてもう少し分かりやすく解説します。

全く該当しない原因は飛ばして、該当する原因への理解を深めましょう。

①身体的原因

外傷や病気(腫瘍、呼吸器疾患、皮膚疾患など)による体の痛み、痒み、咳、睡眠中の呼吸の乱れなど、体に対して生じる不快な刺激が原因となるものです。他にも、中高年女性特有の「更年期障害」による火照りや発汗が原因となったり、眠ろうとすると脚がむずむずとして落ち着かない感覚になる「むずむず脚症候群」が原因となることもあります。

②生理学的原因

環境が原因で眠れなくなること、と捉えると分かりやすいです。例えば、交代制勤務のシフトの変更に伴う環境の変化によって生活リズムが崩れたり、食事のバランス・睡眠環境が悪化したりすることで、眠れなくなることです。

③心理学的原因

精神的ストレスを原因とするものです。不安、心配、緊張などで眠れなくなることは、大なり小なり、誰でも経験していると思います。

④精神医学的原因

うつ病、アルコール依存症、統合失調症など精神疾患が、不眠の原因となることです。

⑤薬理学的原因

アルコール、カフェイン、ニコチンなどの作用や、処方薬の副作用により睡眠に影響が現れることを原因とするものです。


2. 不眠の原因別|8つの対策

あなたの不眠の原因はどれに該当するか分かりましたか?

該当する箇所の対策をお読みください。

身体的原因への対策

刺激の原因となっている外傷や病気を治療することを最優先しましょう。

例えば、咳や呼吸の乱れにより睡眠が妨げられる場合は「呼吸器科」、更年期障害が疑われる場合は「婦人科」、夜間に脚がむずむずする場合は「神経内科」を受診しましょう。

生理的原因への対策

環境の変化により眠れなくなってしまった時は、以下の3つの方法で改善できないか試してみましょう。

①生活リズムの乱れを光で改善する

ヒトの生体リズムと日光には密接な関係があります。光を上手に活用することで、あなたの生活リズムのズレを調整させられます。

起きたら光を浴びる

まず、起きたら光を浴びることを習慣にしましょう。交代制勤務のため夜間に目が覚める人は、明るい光を視覚で感じましょう。

なぜなら、光を浴びてから14~16時間後に、体内で「睡眠ホルモンのメラトニン」が分泌されるためです。このメラトニンの作用により、寝付きが良くなったり眠りが深くなったりと睡眠の質を改善させられます。入眠障害、熟睡障害タイプの方にオススメです。

眠る前は光を浴びない

反対に、眠る前は極力光を浴びないようにしましょう。例えば、夜間の家庭の明かりを暗めにしたり、ベッドの中でスマホ・パッドを使う人は画面の明るさを最も暗くしたり、明け方に仕事場から帰宅する人はサングラスを着用するなどして、視覚で感じる光を弱めましょう。

なぜなら、夜間や眠る直前に明るい光を浴びると、メラトニンが抑制され眠気が遠ざかり眠れなくなるためです。入眠障害タイプの方にオススメです。

②朝食はきちんと食べる

適切な朝食は、夜間にメラトニンが分泌されるためのガソリンのような存在です。

なぜなら、朝食に含まれる栄養分のトリプトファン(必須アミノ酸の一部)が、日中に光を浴びることで、セロトニンに合成され、夜間になるとセロトニンからメラトニンが合成されるためです。

何を食べればいいの?と思われるかもしれませんが、タンパク質を多く含む食品にトリプトファンも多く含まれるので、肉、魚、豆類などを朝食のメニューに入れると良いです。個人的なオススメは納豆です。

③寝具も快適なものをきちんと揃える

寝具環境が悪いがために不眠になることもあります。劣化してへたったマットレスだと腰を悪くしたり、枕が合わないと肩こりになったりして、それが理由で、夜中に目が覚めたり熟睡感を下げてしまいます。例えば、「枕がしっくりこないな」と思うのであれば、こちらの記事「【枕が合わない方へ】図解!枕が合っている状態3つの条件」を読んでいただくと、枕への不満を解消できるかもしれません。是非、参考にしてください。

心理学的原因への対策

精神的ストレスが原因で眠れない場合、精神的ストレス自体を無くすことが最重要です。ストレスを耐えていると身も心もパンクすることがあるので、ストレスを回避できることを目指しましょう。

ストレス回避とは別に、ストレスを解消しつつ眠りやすい状態に導く方法があるのでご紹介します。

④ぬるま湯、足湯でリラックス

ぬるま湯と足湯は①それ自体にリラックス効果があるだけでなく、②体温を睡眠に相応しい状態にするために、ストレスで眠れない方にオススメです。

睡眠と体温の関係
睡眠と体温の関係

どういうことかというと、ヒトの深部体温は入眠の直前から下がり始めるようになっています。そのため、入眠の2時間前に体温を上げておくことで、体温の低下にメリハリがつき眠りやすくなるということです。

なので、就寝時刻の2時間前を目安に以下のようにぬるま湯と足湯をお試しください。

・暗闇ぬるま湯の入浴方法
就寝の2時間前に38℃前後のお湯に15分ほど半身浴をする。湯温を熱くせずに、気持ちの良い温かさをキープしましょう。その際に、浴室の電気を消して、お風呂場の外の照明やバスキャンドルで浴室内を照らします。眠る前なので光の刺激を少なくすると良いです。

また、入浴できない・したくない時には、足湯がオススメです。

・足湯の方法
42度前後の少し熱めのお湯に、くるぶしまで足を入れましょう。たった10分ほどでも身体全体が温まり、とてもリラックスできます。口の広いバケツにお湯を入れ、リビングの椅子やソファに座りながらの足湯でも大丈夫です。

足湯のリラックス効果、睡眠導入の効果は実験でも証明されており、山梨大学医学部付属病院の研究チームにより以下のように報告されています。

…実際に足浴は入眠効果があると考えられる。その根拠として、本実験での足浴後の変化は、副交感神経活動の指標であるHFの増加、自律神経系の調節能力を示すBRSの増加、足部の皮膚温の上昇と血流量の増加、その維持といったものをあげることができる。

(引用:『日本看護技術学会誌 Vol. 8,No. 3』内「足浴が生体に及ぼす生理学的効果」金子健太郎、熊谷英樹、尾形優、竹本由香里、山本真千子 著)

特に冷えに敏感で、ベッドの中で寒さに震えて眠りづらい思いをする方にオススメです。

⑤筋弛緩法

ストレスで心も体も緊張してしまっている場合、寝る前にベッドの中で筋弛緩法をお試しすることをオススメします。入眠障害タイプの方にオススメです。

筋弛緩法とは、「筋肉を意図的に緊張させてから緩める」リラックス法です。不眠指導の現場で紹介されるリラクゼーション法の代表的なものです。

筋弛緩法は以下の3つのステップで簡単にできます。

1. 身体の特定の部位に、ぎゅ〜っと力を入れる。
(全力ではなく、70%程度の力で行ってください。)
2. そのまま5~6秒キープする。
3. スーッと脱力し、10秒ほど力の抜ける感覚を味わう。

「脱力を思いっきり感じる」ことが大事なポイントです。脱力感を意識することで、リラックス効果がさらに高まります。

それでは体の各部位での行い方をイラストでご紹介します。参考にしてみてください。

筋弛緩法で手と腕のリラックス
手と腕の筋弛緩法
手と腕の筋弛緩法

①拳をぐ〜っと握りながら、手首をゆっくり返していきます。②そのまま5~6秒キープ。③脱力。10秒ほど力の抜ける感覚を味わう。

筋弛緩法で脚のリラックス
脚の筋弛緩法
脚の筋弛緩法

①脚を伸ばした状態で、アキレス腱をぐ〜っと伸ばします。②そのまま5~6秒キープ。③脱力。10秒ほど力の抜ける感覚を味わう。

筋弛緩法で肩のリラックス
肩の筋弛緩法
肩の筋弛緩法

①肩をすくめるようにして力を入れます。②そのまま5~6秒キープ。③脱力。10秒ほど力の抜ける感覚を味わう。

精神医学的原因への対策

精神疾患による不眠の場合、専門の医療機関を受診されることをオススメします。

精神科医、もしくは、精神疾患による不眠の改善を得意とする睡眠外来を受診しましょう。お力添えできず申し訳ないです。

薬理学的原因への対策

アルコール、カフェイン、ニコチンは摂取量・タイミングを管理すれば改善できますが(以下参照)、処方薬が原因で不眠が疑われる場合、担当医に不眠の状況を説明し、その上で、処方薬をどうするべきか助言をもらうようにしましょう。

⑥アルコール摂取|容量とタイミング

眠れない時にアルコールを摂取して、酔って眠ろうとする人がいますが、これは悪手です。

一時的には眠りやすい状態になりますが、睡眠が浅くなり熟睡感が得られにくくなるためです。

また長い目で見ると、アルコールによる酩酊感がないと眠りにくくなりますし、アルコール耐性が強まっていくにつれて摂取量が増えていきますし、ひどい場合、依存症にもなりうるためです。

⑦カフェインは夕食以降控える

夜間にカフェインを含む飲食物を摂取して眠れなくなっている場合、夕食以降の摂取を控えましょう。

もしかすると、あなたが知らずにカフェインを摂取している場合があるため、参考までに、

  • 栄養ドリンク、エナジードリンク
  • コーラ、ココア
  • お茶(煎茶・烏龍茶・ほうじ茶・玄米茶)
  • チョコレート

これらの飲食物もカフェインを含んでいるので、夕食以降は控えましょう。

⑧ニコチンでも眠れなくなる

ニコチンの摂取は覚醒作用があります。なので、就寝の1~2時間前には吸い止めしましょう。

また、眠れないときにリラックスのためにタバコを一服すると、逆に目が覚めてしまうので気をつけましょう。


まとめ

不眠の症状、程度、原因を分解することで、あなたがとるべき対策がハッキリしました。

また反対に、不眠が軽度の場合は、不眠対策についてあまり気にしなくて良いということも分かっていただけたと思います。

ご紹介の内容であなたが不眠を克服できれば幸いです。

なお、以下のページでこれまで紹介してきた、数々の研究で実証された良質な睡眠のために「するべきこと」と「してはいけないこと」を網羅的にまとめています。美味しいところ(結論)だけをつまみ食いできる構成になっています。是非ご一読ください。

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