眠れないなら「刺激制御法」。
不眠指導の現場でよく使われる不眠の行動療法の1つです。
具体的にどのように行うものなのかご説明していきます。
※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。 |
Contents
1. 刺激制御法のやり方
ガイドラインに書かれている刺激制御法のやり方は、下記のようになります。
- 眠くなったときのみに寝床に就く。
- 寝床を睡眠とセックス以外の目的に使わない。寝床で本を読んだり、テレビを見たり、食べたりしない。
- 眠れなければ(たとえば20分間)、寝室を出て別の部屋に行く。本当に眠くなるまでそこにいて、それから寝室に戻る。もしすぐに眠くならなければ、再び、寝室から出る。この間、時計を見てはいけない。また、ホラー映画を見るなど刺激の強いことはしない。
- もしまだ眠れないのなら、夜通し3を繰り返す。
- その晩いかに眠れなくても、目覚まし時計をセットして、毎朝同じ時間に起きる。起床時刻を一定にすることは、体に一定の睡眠覚醒リズムを身につけるのに役立つ。
- 日中、昼寝はしない。
(引用:睡眠障害の対応と治療ガイドライン 内山真 著)
堅苦しそうな内容ですよね。
ただ、ピンと来ないかもしれませんが、睡眠改善に大事なポイントがたくさんです。
1-1. 刺激制御法が不眠に良しとされている理由
なぜ上記の行動で不眠の改善が期待できるのか気になりますよね。
つまるところ、「ベッドは眠るところ」と脳に覚えさせるからです。
眠れなかった…というイヤな体験を覚えてしまい「ベッド=眠れない場所」と頭に定着してしまう恐れがあるからです。それによりさらに不眠のスパイラルに陥っていく可能性があるのです。
だから、眠れないならベッド(寝室)から離れるのです。
そして実際に、顕著な効果ありと報告されているほどです。
1-2. 刺激制御法を行う5つのポイント
①性行為は寝床でしても大丈夫
「ベッドでは眠るだけでそれ以外は一切ダメ」と説明されることがありますが、性行為は問題ないとされています。
性行為自体が寝床でされることであるため認知に悪影響を与えないと考えられますし、睡眠に良いホルモン状態に整えられるからとも考えられています。
オキシトシンはオーガズムによって増える。……主要な腺や臓器と密接につながっているため、オキシトシンの分泌が契機となって、気分を高めるもう一つのホルモンであるエンドルフィンの分泌などの作用が体内に生まれる。エンドルフィンが分泌されれば、健やかな眠りにつく準備は整ったも同然だ。
(引用:「Sleep 最高の脳と体をつくる睡眠の技術」 ショーン・スティーブンソン著 )
②焦りを生むので時計は見ない
眠れないときに時計を見ても良いことはありません。
「あ、もう2時だ…。明日早いのに…。」と気持ちが焦ってしまいますよね。そうなってしまうとリラックスしづらくなり、余計に眠気が遠のいてしまいます。
そのため、時計は見ないようにしましょう。
③光の刺激を減らす
「眠れないから寝床から出た」
「でも、何をして時間を潰せば良いのか」
私のおすすめは、暗がりで本を読むことです。
明るい光の刺激を浴びると睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が抑えられてしまい、眠気を遠ざける原因になります。
そのため、テレビはスマホはもってのほかですし、照明器具などもできるだけ暗くできると理想です。
「眠れないとき眠るための方法が知りたい」という方は、下記のページで眠りを促すための認知行動療法「筋弛緩法」を紹介していますので、あわせて参考にしてください。
関連記事④朝光を浴びて生体リズムを整える
夜眠れなくても朝だらだら眠るのは避けましょう。
生体リズムが乱れる原因になります。
人の体内時計は、朝に光を浴びることで毎日リセットされ、その14~16時間後に睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が始まり、眠くなり始めるようになっています。そのため、朝寝坊して光を浴びるタイミングが遅くなると、「夜になっても眠くならない…」なんてことになりやすくなるのです。
⑤昼寝は深い睡眠に入る前に終わらす
「夜遅くまで起きていたのに、朝いつも通り起きる」
このような日は、お昼頃に眠たくなりますよね。そういったときは昼寝でささっと眠気を解消しましょう。しかし、20分以内に終えるようにしてください。
というのも、昼寝が20分以上になると深い睡眠に入っていくため、起きるのが困難になりますし、起床後に頭がボーッとツラくなりやすいからです。
また、眠気が取れ過ぎてしまい、夜に眠気がやってくる時刻が遅くなる原因にもなります。
昼寝は20分以内が鉄則と覚えておきましょう。
最後に
刺激制御法のやり方について深くご理解いただけたかと思います。
眠れないときの一助になれば幸いです。