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【睡眠時間制限法】眠れないなら眠らずに睡眠改善を目指す

こんにちは、加賀照虎です。

「寝つきに1時間以上かかる」
「夜中に目が覚める」

こういった眠りのお悩みがある方、あえて眠らないようにしてみてください。

そうすることで睡眠の満足度を高めることが期待できます。

これは睡眠時間制限法という睡眠改善の手法です。

眠る時間を管理するだけなので、取り組みやすそうですよね。

ということ本日は「睡眠時間制限法の概要、やり方、注意点」についてご紹介していきます。

著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。2,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。
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1. 睡眠時間制限法とは

睡眠時間制限法とは一言でいえば、下記のようなものです。

■睡眠時間制限法とは
ベッドの中にいる時間を制限することにより断眠効果を起こし、不眠の改善を目指す方法です。睡眠への欲求と睡眠圧を高めるため、寝つきの改善や、浅い眠りによる夜中の目覚めを防ぐことを期待できます(睡眠圧とは、いわゆる眠気のこと)。

もちろん、眠らなければそのうち眠れるでしょ、といった短絡的なものではありません。

睡眠時間制限法とは、不眠指導の現場でも使われる認知行動療法の1つで、実際に効果が見込めるとされています。

■認知行動療法の種類
・身体的弛緩法(筋弛緩法)
・認知的弛緩法
・刺激制限法
・睡眠時間制限法など
Cognitive-behavioral-therapy
各認知行動療法の効果

そもそも睡眠は、三大欲求の1つとして数えられるくらい本能的なものです。

それなのに眠れなくなってしまうのは、よほどの問題(睡眠障害や病気)か、何かしらの歯車が乱れているからと考えられます。

その歯車の乱れによくあるのが、睡眠への誤解だったりします。

そんな睡眠への誤った認識などを正したり、補ったりするのが、認知行動療法なのです。

不眠の認知行動療法の目的は、不適切な睡眠習慣の変容と、睡眠に対する否定的で偏った思考(自動思考)や態度、偏った信念(スキーマ)を取り除くことである。つまり、睡眠に良好な習慣を獲得するとともに、、、(割愛)、、、極端な考え方や受け止め方を修正することを目指している。

(引用:「睡眠心理学」 堀 忠雄 編著)

つまり、睡眠を正しく理解して、その通りに行動するということなのです。

言われてみれば当たり前のことですよね(とはいえ、睡眠のことを勉強しないと正しく知れないので、当たり前といってもそれが難しいのですが)。

なので、睡眠時間制限法というのは「睡眠時間」についての理解を正して、睡眠時間が適切になるように行動して、不眠を改善していくこととも言えるのです。

そのため、睡眠時間制限法を行うために知ってもらいたいのが次の知識です。

  • 適切な睡眠時間は年齢により変わる
  • 寝つきにかかる適切な時間は15分前後
  • 20分以上の昼寝、夕方の仮眠は夜間の眠りを悪くする
  • 平日と休日の起床時刻を同じにする
sleep-changes-by-aging
人の睡眠時間は加齢により短くなる

それでは次に、睡眠時間制限法のやり方についてご説明していきます。

1-1. 睡眠時間制限法のやり方

睡眠時間制限法をどうやって進めていけば良いのかというと、下記のようになります。

1. ここ1週間の平均睡眠時間を計算する。(※ベッドの中にいる時間ではなく、眠った時間の平均。)
2. 平均睡眠時間+15分をベッドの中にいる時間に設定する。(※5時間未満になる場合は、5時間に設定する。)
3. 日中に仮眠をとらない。
4. 起きる時刻を、休日を含めて一定にする。
5. 起きたとき、何時間眠れたか記録する。
6. 睡眠効率が90%以上の日が5日間継続したら、ベッドの中にいる時間を15分増やす(※睡眠効率とは、ベッドの中にいる時間の内、眠っていた時間の割合)。
7. 反対に、睡眠効率が85%未満の日が5日間継続したら、ベッドの中にいる時間を短く設定する。

(引用:『睡眠学II』 宮崎総一郎・大川匡子・山田尚登 編著 一部改変)

それではステップ別に具体的に説明していきます。

①1週間の平均睡眠時間を計算する

例えば、あなたが以下のような睡眠状況だとします。

22時にベッドに入り、6時半に起床。寝付くのに1時間ほど時間がかかる。夜間に1~2回中途覚醒があり、1時間くらいは目が覚めた状態。

この場合の睡眠時間は、6時間30分とします。

②平均睡眠時間+15分をベッドにいる時間に設定する

平均睡眠時間が6時間30分なので、ベッドにいる時間を6時間45分に設定します。

起床時刻は仕事や家事の関係でズラしにくいと思うので、起床時刻と新しいベッドにいる時間をベースに就寝時刻を設定します。

そうすると以下のようになります。

  • ベッドにいる時間:6時間45分
  • 起床時刻:6時30分
  • 就寝時刻:23時45分

③&④昼寝なしで起床時刻を統一する

昼寝をすると夜の眠りを浅くするので控えましょう。どうしても眠いときは20分を限度に15時前までに昼寝が終わるようにしてください。そして、生体リズムが崩れないように、平日も休日もなるべく同じ睡眠スケジュールを維持するように心掛けましょう。

⑤起床時に眠れた時間を記録する

目が覚めたら、眠れていた時間を記録しましょう。

眠れるまでにかかった時間や、夜中に目が覚めていた時間は差し引いて計算してください。例えば、就寝時刻が23時45分で、寝つきに30分かかり、夜中に1度20分目覚めて、起床時刻が6時30分だとします。

この場合、睡眠時間は5時間55分となります。

なお、寝つきにかかった時間や、夜中に目が覚めた時間はアプリなどで計測すると目安になります。

⑥&⑦睡眠効率を測定して調整

睡眠効率とは、ベッドの中にいる時間のうち眠っていた時間の割合です。

上の例でいうと、6時間45分(405分)ベッドにいて、睡眠時間が5時間55分(355分)ですので、355÷405=0.8765….となるので、睡眠効率は87.6%となります。

5日間続けて睡眠効率が85%以上90%未満でしたらそのまま継続してみましょう。

睡眠効率が5日間連続で90%以上でしたら、ベッドにいる時間を15分伸ばしてみましょう(遅くまで起きているのが大変、起床時刻を送らせたい、日中の眠気が強いなどの問題がなければ、このまま新しい睡眠スケジュールを固定してもらっても結構です)。

その一方、睡眠効率が85%未満の日が5日連続で続く場合、逆にベッドにいる時間を短く設定してみましょう。就寝時刻を15分ほど遅らせてみてください。

※最終的に目指す状態

日中に眠気が感じられない状態になれることがゴールです。

誤った理想には気をつけましょう。

例えば、「ベッドに入ってすぐに眠れるようになりたい」というのはそもそも入眠時間は10~15分くらいが通常という認識からズレていますし、「夜中にまったく目覚めないようになりたい」というのは加齢などにより避けられないこともあります。「昔のように7時間眠れるようになりたい」というのも加齢によって睡眠時間が短くなることを無視した考えです。

メリハリのある睡眠スケジュールで、日中に眠気が出ないことを目指しましょう。

1-2. 睡眠時間制限法のの注意点

①短時間睡眠を推奨しているわけではないこと

睡眠時間を短くすることを目指しているわけではありません。もしあなたの睡眠時間が睡眠時間制限法により短くなったとしたら、ただ単純に今までが長すぎただけということです。睡眠時間には個人差や、年齢による変化があること理解しましょう。

②専門医の指導のもと行うこと

寝つきの悪さ、夜中の目覚めの原因がそもそも、睡眠障害である可能性もあります。その場合、睡眠時間制限を行っても効果は期待できません。まずは専門医に確認してから、睡眠時間制限法に取り組むようにしましょう。

③生活習慣が悪いなら一緒に改善すること

もしあなたに睡眠の質を下げるような習慣があれば、睡眠時間制限法を行っても大きな改善は見込めません。下記のページで睡眠の質を下げる習慣について説明しているので、一緒にご確認ください。

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最後に

睡眠時間制限法についてご理解いただけていれば幸いです。

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