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【覚醒・睡眠ホルモンがカギ】睡眠に良い食事、悪い食事

睡眠の質は食事で大きく変えられます。

「だいたい毎日昼過ぎに眠くなっちゃう」とお悩みの方も、食事の内容を見直すだけで眠りの質と日中のパフォーマンスの劇的な改善が期待できます。

知っていただくと人生がガラリと変わります。

そこで本日は「【覚醒・睡眠ホルモンがカギ】睡眠に良い食事、悪い食事」についてご紹介します。どういうメカニズムなのかから分かりやすくご説明していきます。

※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。
著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。2,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。
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1. 覚醒・睡眠ホルモンを高める食事を心がける

根本的に考えると、何を食べるかとはどのような栄養を摂取するのかということです。

そのため、覚醒(起きていること)と睡眠にかかわる物質にプラスに作用する栄養素を含む食事を摂ればいいのです。

チャート内の10の脳内物質で最も注目されているのが、上から2つ目のメラトニンです。

メラトニンは「睡眠ホルモン」とも呼ばれるほど人の眠りの質を高めます。

メラトニンとは、松果体より分泌される脳内ホルモンで、トリプトファンからセロトニンを経て合成される。昼間は少なく夜間睡眠時に分泌が上昇する。メラトニンは直接的に睡眠作用を持つほか、概日リズム(体内時計)に深く関係し、深部体温を低くする作用があり、睡眠・覚醒リズムの調整に重要な役割を果たしている。

(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)

ただ、メラトニンは食事から摂取できるものではありません。

やや複雑なのですが、食事から摂取している栄養素に「トリプトファン」というものがあります。このトリプトファンが人が午前中に受けた光の刺激により「セロトニン」を産生し、そして、夜間になるとセロトニンがメラトニンに変わることで体内で増えていくのです。

光が睡眠の質を高めるメカニズム

1−1. 朝食はトリプトファンを含むものを食べる

つまり、朝食はトリプトファンを含むものを食べ、その後、午前中は光をなるべく多く浴びられるようにすることで睡眠の質を高められるのです。

では、トリプトファンを多く含む食べ物が何かというと、以下のものになります(トリプトファンをメラトニンに合成するためにビタミンB6が必要になるので、一緒に摂取できると理想的です)。

栄養素多く含む食材
トリプトファン乳製品(ヨーグルト)、バナナ、大豆製品(納豆、豆腐、味噌)、卵、くるみ
ビタミンB6バナナ、のり、魚類、肉類、白米

これらの食材をバランスよく食べるようにしてみてください。

1−2. 食物繊維が豊富で、低脂肪、低糖の食事は睡眠によい

また、コロンビア大学の研究者グループが行った実験から考えると、睡眠の質を上げたいのなら「食物繊維が豊富で低脂肪、低糖な食事」がベストだといえます。

【実験内容】いつも7~9時間眠っている30~45歳の男女26人に4日間研究室で指定された健康的な食事を食べてもらい、5日目に自由に食事を摂ってもらい食事内容によって個々人の睡眠にどのような差が生じるか観察されました。

その結果、5日目に食物繊維が豊富で低脂肪、低糖な食事をした人は、入眠が早く眠りが深くなった。それに対して、高脂肪で糖分の多い食事をした人は、寝つきが悪い上に眠りが浅くなったと報告されました。

いわゆる健康的な食事が睡眠によいと再確認できる実験ですが、それ以上に、たった1日の食事の内容で眠りの質が変わってしまう恐ろしさが分かりますね。

1−3. 高脂肪の食事は眠りの質を下げ、翌日の眠気につながる

また、他の実験からも高脂肪の食事が睡眠に悪いことが報告されています。

オーストラリアのアデレード大学が1815人のオーストラリア人を1年間追跡した調査なのですが、全員の食事を綿密に記録してもらいつつ装置により睡眠の状態を測定しつづけた結果、高脂肪の食事を摂っていたグループはそうでないグループよりも79%も昼間に眠くなりやすいことが分かりました。

やはり、ですね。

コロンビア大学の実験から高脂肪の食事は寝つきを悪くし眠りを浅くすることが分かりましたが、それはやはり、翌日の眠気の強さに影響するということです。揚げ物やラーメンなど脂肪分の多い食べ物にも魅力的なものが多いですが、睡眠の質を高めるために控えるよう努力しましょう。

余談ですが私は大学生の頃、たった三ヶ月間ですがこのアデレード大学が主催する通信授業を受けていたので、当サイトで母校(?)の研究結果を発表できるのは感慨深いものがあります。

1−4. 睡眠に悪い高脂肪食で起こる魔の不眠スパイラル

この記事を書きながら「これは厄介だな」と悲劇に気づきました。

というのも、高脂肪の食事によって睡眠不足になると、それを繰り返してしまう負のスパイラルに陥ってしまう可能性があるからです。なぜかと言うと、人は寝不足になると食欲が増加する上に、満腹感が得られにくくなり、しかも高カロリー食を摂る傾向があるからです。

シカゴ大学の研究チームは、実験的に健康な成人の睡眠時間を4時間に制限して2日過ごさせた。私たちの生活の中で起こりうる条件だ。こうした生活をさせると、食欲増強作用の強いグレリンが血液中で増加し、食欲が上昇した。同時に、血液中のレプチンが減ってきて、満腹感が得られなくなった。

(引用:『睡眠のはなし』内山真 著)

つまり、「高脂肪食」→「睡眠の質低下」→「寝不足」→「食欲増加」→「高カロリー食(≒高脂肪食)摂取」→「たくさん食べてしまう」→「睡眠の質低下」→「さらに寝不足」…(以下ループ)となってしまうのです。

健康を壊す恐れすらある恐怖の不眠スパイラルです。

脂肪分の多い食事を摂られている方は是非今日から食事改善をするようにしましょう。なお、睡眠不足状態だと高カロリー食を購入しがちだという実験については以下のページで詳しく説明しているので興味のある方は合わせてお読みください。

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まとめ

睡眠の質を高めるには「トリプトファン」と「ビタミンB6」を多く含む食材をバランスよく朝食に摂りましょう。また同時に、食物繊維が豊富で、低脂肪、低糖の内容でもあることも心掛けましょう。

なお、以下のページでこれまで紹介してきた、数々の研究で実証された良質な睡眠のために「するべきこと」と「してはいけないこと」を網羅的にまとめています。美味しいところ(結論)だけをつまみ食いできる構成になっています。是非ご一読ください。

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