こんにちは、加賀照虎です。
「瞑想で睡眠の質が上がる」
「瞑想をすれば睡眠時間が濃縮される」
そういったメディアの情報を聞いて、瞑想に興味を持った方も多いと思います。
これらはある意味事実ですが、きちんと経緯を理解しないと瞑想と睡眠の関係の本質を見誤ってしまいます。
ということで本日は「瞑想により睡眠の質が高まるとされる背景」について研究データをもとに解説していきます。
※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。 |
Contents
0. 瞑想とは心と脳のトレーニング
「瞑想ってそもそもなんやねん」と感じている方もいるかと思います。
なので最初に、瞑想とは何かについて簡単に説明します。
瞑想には色々とありますが、下記で紹介する研究に出てくるので、マインドフルネス瞑想で説明します。次のようなイメージです。
- マインドフルネス:他人の評価に囚われず、こだわりを捨てて、いまここに注意を向けて、自然な意識を保った状態。
- 瞑想:その状態を目指し、強化するための訓練。
つまり、瞑想とはトレーニングのようなものなのです。
筋トレで筋肉が鍛えられるように、瞑想で心や脳が鍛えられるのです。
※瞑想で脳を休めることも出来る
さらには、瞑想には脳を休める効果もあります(専門的な話なので飛ばしても結構です)。
人間の脳には、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN: Default Mode Network)と言って、無意識のうちに物事を考えるシステムがあるのですが、このせいで体は休んでいても脳が休めていないことが大半です。
本を読んでいてページをめくろうとしたときに「あれ、他事考えちゃってたから内容が頭に入ってないわ」というのが正にDMNによる思考です。
そこで、瞑想です。
何も考えないことに集中することでDMNによる思考を抑えられるので、脳を休めることが出来るわけなのです。
1. 瞑想が睡眠の質を高める研究結果
1-1. 瞑想が睡眠の質を高める背景
瞑想はそもそも、心と脳へのメリットがありすぎることで生活の質が上がり、結果的に睡眠の質が上がるようになっているとも考えられています。
例えば、下記のようなことです。
- 不安の改善
- リラックス効果
- ストレス耐性強化
- 感情的疲労の軽減
- 幸福感の増加
- 満足感の増加
- 集中力の向上
- 記憶力の向上
- 学習能力の向上
- 脳機能(大脳皮質)の向上
本当に文字通り、心と脳へのメリットがありすぎますよね。
特に、現代社会で生きている人には凄まじい恩恵です。
実際、睡眠の質を下げる原因には色々ありますが、プレッシャーやストレス、忙しさ(自分のパフォーマンスと理想の乖離)などのネガティブ要因を補ってくれるのが瞑想なのです。
例えば、「ストレス解消に瞑想」と言われることがありますが、瞑想でストレスが消えるわけではありません。
瞑想を通してストレスをどう捉えて、どう反応するのかを変えることで、ダメージを受けにできるのです。その結果、感じられるストレスが減って、睡眠に良い影響が出てくるというわけなのです。
【お断り】当ブログは睡眠専門のため上記の詳細にはあえて言及いたしません。気になる方は2章で紹介している書籍などお読みください。 |
1-2. 入眠に良い効果
そしてまさにこのような流れで瞑想が睡眠に良い影響を与えると、2013年アメリカのユタ大学の研究から報告されています。
この研究の被験者は20~45歳の大学生38人で、マインドフルネス瞑想を行ってもらう実験期間は2日。その間測定器により心臓の動きがモニターされました。
その結果、よりマインドフルネス状態にある人は、
- 感情の安定性が向上していた
- 睡眠前の覚醒度が低下していた
などの評価があり、瞑想の熟練(≒マインドフルネス状態)が睡眠の質を高めることになりえると報告されています。
1-3. 短時間睡眠でも回復効果はそのまま
さらに、2010年ケンタッキー大学の研究から瞑想をすれば睡眠時間を短くしても脳の回復を補えるのかもと考えられる報告があります。
この実験では瞑想初心者10人に、
- コントロール群(通常状態)
- 昼寝(40分)
- 瞑想(40分)
- 睡眠不足状態で瞑想(40分)
という4つの課題パターンの前後で集中力を測るテストをしてもらい、それぞれどれくらいパフォーマンスが上がるのか調べられました。
その結果、瞑想後には脳のパフォーマンスがかなり上がることが分かりました。
睡眠不足状態で瞑想をしたグループがもっとも向上率が高くなっていますが、これは元々の睡眠不足状態で行ったテストの結果が悪いことが主な理由です。とはいえ、ポジティブに捉えると、睡眠不足により下がっていたパフォーマンスがある程度補えられていると考えられます。
そのため、この論文では瞑想が何かしらの回復的な役割を果たしているのではと述べています。
なお、昼寝によりパフォーマンスが下がっているとの結果になっていますが、これはそもそも40分の昼寝が長すぎることが原因です。
40分も昼寝をすると深い睡眠に入ってしまい起床後10分に試験をすると、頭がまだ眠りを引きずっている(睡眠惰性のこと)ため、テストのパフォーマンスが悪くなるのです(個人的には20分の昼寝で比較して欲しかったところ)。
さらに、この研究では、1日2~3時間の瞑想を長期的に行っているその道の人と、瞑想をしたことのない人の睡眠時間を比べてもいます。
もちろん、非瞑想グループの被験者たちは、瞑想のプログループの年齢や生活習慣などに合わせて似たような人がピックアップされているとのことです。
これはかなり圧倒的な睡眠時間の違いです。
が、何よりも驚きなのが、瞑想のプロの睡眠時間が平均5.2時間でしかないのに、睡眠負債がまったく見られなかったり、瞑想中に脳波を測っても眠気が検出されることがないという点です。
こういったことから、瞑想には睡眠を補う脳の回復効果があり、その道のプロともなると睡眠時間が短くなることにも繋がっているのではと考えられるのです。
2. 瞑想と睡眠についてのよくある質問
2-1. どれくらい瞑想すれば睡眠に良い効果が現れるのか
上記の2つの試験では瞑想を始めていきなり良い結果が出ていますが、実際のところこんなに早く結果が出るかについては少々疑問です。
多くの実験では4~8週間続けることで心と脳に良い傾向が出てくると報告されています。
私自身瞑想で睡眠が良くなったとはそこまで感じられません(元々問題を感じていないので、上がり幅が少ないのかもしれませんが)。ただ、集中力UPについては、瞑想を始めてからすぐに感じられました。人によって差はあると思いますが、たった10分でこのメリットは大きいと思うので本当におすすめです。
2-2. どういうふうに瞑想を始めれば良いのか
- 背筋を伸ばして座る
- 目を瞑る
- ゆっくり腹式呼吸をする
- 他ごとを考えないように呼吸を数える
というのがベーシックな瞑想方法ですが、初心者の私から学ぶより書籍を読まれるほうが良いでしょう。
製品:頭を「からっぽ」にするレッスン
価格:1540円
【購入ページはこちら】
(アフィリエイトではありません)
これはビル・ゲイツ氏のおすすめ本にも選ばれたくらい有名な書籍でして、瞑想中に他ごとを考えてしまったときの意識の戻し方だったり、瞑想中に体の感覚を探るためのスキャン方法だったり、役に立つテクニックが紹介されているので、瞑想を始めてみようかなという方におすすめです。
欧米の書籍によくあることですが話がやや冗長に感じられるところがあります。ただ、筆者が実際に僧院で修行した実体験が刻々と綴られているので全体としては非常に学びが深いです。
最後に
瞑想の睡眠への効果について参考になっていれば幸いです。
不安やストレスのせいで睡眠の質を下げているかもという方はぜひ瞑想を始めてみてください。