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【不眠改善】朝の光で寝つきの時間が50%改善との報告

なかなか寝付けずにお悩みの方、朗報です。

朝、光を浴びると睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が促されることはすでに知られて始めていますが、それにより不眠の症状(夜更かし型・精神生理性)が大きく改善するとも専門家の研究を通して報告されています。

一体どれくらいの効果があったのか、そして、あなたの生活にどう落とし込めば良いのかについてご説明いたします。

※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。
著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。2,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。
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1. 夜更かし型不眠が2500lxの光で改善

まず最初に紹介したいのは、オーストラリアのフリンダース大学の研究。なんと、2500lxの光(≒晴れた日の窓際の光量)を一週間浴びると、夜更かし型(睡眠相後退型)不眠が改善すると報告されています。

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身近な光の例

この実験の対象者は平均29歳の男女16名。下記のような不眠の症状はあるものの、睡眠障害や薬物使用がなく(本人の申告では)病気などもない健康的な人たちです。

  • 寝付くのに45分以上かかっている
  • しかも12ヶ月以上が続いている
  • 眠れるのは深夜0時過ぎ
  • 30分未満の夜中の目覚めがある
  • 目覚めたい時刻に起きられない
  • 日中に疲れやイライラがある

そして実験では、彼らに朝起きたら光を放つ特殊な箱の前に座って1時間光を浴びることを1週間続けてもらいました。比較のために2500lxの光を浴びるグループAと、100lxの光(≒暗い飲食店での光量)を浴びるグループBの2つのグループが設けられ、睡眠にどのような効果があるか調べられました。さらに、毎朝1時間光を浴びる習慣がなくなった後、その効果がどう変化するのかを調べたるために3週間目にも効果測定が行われました。その結果が下記のチャートです。

light-helps-insomnia1

すごい効果です。上から解説していきます。

メラトニン分泌時刻とは、睡眠ホルモン「メラトニン」が体内で増えて体内時計が「夜だ!もうすぐ眠る時間だ」と知らせるタイミングです。Aグループはかなり早寝になっています。

次の入眠潜時とは、ベッドに入ってから寝付くまでにかかる時間です。Aグループは眠るのにかかる時間がなんと半分に短縮されています(とはいえ、入眠潜時は15~20分が理想的なのでまだまだ改善の余地はありますが)。

そして、Aグループは入眠時刻がかなり早まっていますが起床時刻は若干の早まりのため、トータルの睡眠時間が35分も長くなっています。たった1週間でここまで改善するのは素晴らしいです。Bグループと比べると、その効果のほどがよく分かります。さらにすごいのが、光を浴びる習慣をやめてから2週間経っても持続している点です。体内リズムレベルで夜更かしが改善がされているのが分かります。

なお、被験者はアンケートや睡眠日誌で自分自身の調子についての評価を行うようにも同時に要請されていました。それによると、日中の眠気や疲れも減って調子が良くなっていることが優位にわかり、しかも、試験中の1週間よりも三週間目のほうがより評価が高まっていたそうです。

1−1. 心理的不安による不眠が10,000lxの光で改善

次に、同じく不眠と光についてですが、やや異なる角度からスタンフォード大学で行われた研究です。なんと、10,000lxの光(曇り空の日の野外の光量)で精神生理性不眠(心理的不安から眠れなくなる症状)が改善すると報告されています。

こちらの実験の被験者は、下記の条件に当てはまる平均60歳の男女29名です。

  • 睡眠の質に4ヶ月以上問題を感じている
  • 寝つくのに30分以上かかる
  • 寝つきの問題は週3回以上感じている
  • 睡眠障害や治療薬摂取などはない
  • 事前に睡眠衛生指導を受ける

被験者は朝起きたら5分以内に10,000lxの光を放つ箱の前に座るよう指示され、それを60日間続けました。ただ、Aグループは20分で、Bグループは45分と、同じ光の量でも浴びる時間の長さが変えられました。そして、試験開始から3ヶ月目と6ヶ月目にどのような違いが出るか調べられました。

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どちらのグループも睡眠が改善されていますが、Bグループは圧倒的です。

被験者は60日間の光を浴びた後は、事前に行われていた睡眠衛生指導に沿って各自生活の中でやれることをやっていたそうですが、光による睡眠改善の効果が続いているのが一目瞭然です。被験者の年齢が平均60歳ということを考慮すると、この数字のすごさが改めて実感できます(加齢にしたがい寝つきは悪くなるし、睡眠時間は減るもの)。

Bグループの平均睡眠時間が5時間20分からほぼ7時間にまで伸びているのはかなりの驚きです。

なお、こちらの実験でも睡眠とともに日々の疲れ具体が記録されていたそうですが、どちらのグループでも改善されていました(もちろん、Bグループのほうが改善の幅が大きい)。

1−2. 光の効果をあなたの生活でどのように活用するか

肝心なのはこのような情報があるなかで、あなたが実生活でどのように活用するかですよね。

さきほどの2つの実験結果から、下記のことが分かります。

  • 午前中に明るい光を浴びるのが大事
  • しかし、ある程度長い時間浴びないと効果が薄い

というのも、10,000lxの光を浴びていても20分だと効果はあるもののいまいちでしたよね。しかし、2500lx程度の光でも1時間浴びていればかなりの効果でした。

この点を踏まえておすすめできることと言うと、

  • 通勤・通学のある方なら日当たりの良い道を20分歩くようにする
  • 在宅ワークの方なら日当たりの良いところで30分ほど朝の時間を過ごす
  • ベッドから出られない方ならカーテンを開けて流れる雲を1時間くらい眺める

光を浴びながらウォーキングのような運動が出来ると、相乗効果も期待できるので理想的です。ただ、無理をすると挫折しやすいので、簡単に出来る範囲でスタートすることがおすすめです。

このようにあなたの生活習慣の上に「日光浴をトッピング」するところから始めてみてください。

ただ、光を多く浴びるのは午前中に制限しましょう。夕方以降に強い光を浴びると逆にメラトニンの分泌が抑制されてしまうからです。一般的な住宅の明かり(300lx前後)ですらそうです。夕食後は部屋の明かりを落とすようにしましょう。


最後に

あなたの不眠症状が改善する一助になれば幸いです。

なお、睡眠の改善に光が有効なことはすでにご理解いただいたと思いますが、体温管理や食事など他にも大切なことがあります。下記のページでまとめておりますので是非あわせてご参照ください。

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