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【データで実証】運動(筋トレ)をすると睡眠の質が上がる!

昨今、「運動や筋トレをすると睡眠の質が上がる!」とよく言われていますが、

  • 一体どれくらい効果があるんだろう?
  • 大人にも子供にも効果あるの?
  • 朝?夜?いつ運動するのがベストなの?

などの疑問を感じることと思います。

そこで本日は「運動(筋トレ)と睡眠の関係」について実験データをもとにご紹介していきます。

※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。
著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。2,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。
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1. 運動をすると睡眠の質が上がる

運動が睡眠に良いということは多くの人が自分自身の経験談として語っていますが、実際にどれくらい効果があるのか疑問ですよね。

2011年にオレゴン州立大学のブラッドレー・カーディナル教授がそれを裏付けるレポートを公表しました。2,600人の18~85歳の老若男女のアメリカ人に1週間に150分超の活発な運動を行ってもらったところ、なんと睡眠に非常に良い影響があったことが分かりました。

  • 睡眠の質が65%改善
  • 日中の眠気が65%減少
  • 睡眠中に足をつることが68%減少
  • 日中の疲労感&集中力は45%改善

日中の気分が大きく改善していることが睡眠の質が高まったことの何よりの証左ですね。

ちなみに、活発な運動(vigorous activity)と述べられていますが、ウォーキングや軽いジョギングも該当するとのことです。そのため、1日20分ちょっと歩くことを取り入れて1週間生活するだけで、ここまでの睡眠の質を高めることが期待できます。

少し遠回りして通勤したり、ランチの後に散歩の時間を設けるなど、工夫してみましょう。

1−1. 筋トレはあらゆる面から眠りを改善する

また、一昨年2017年には、筋トレが睡眠に効果的だと発表されました。

筋トレと睡眠に関する13の実験に対してシステマティック・レビュー(データを批判的に再評価すること)が行われ、その結果、以下のように結論づけられました。

筋トレは睡眠のあらゆる面を改善し、睡眠の質を大いに高める。(Chronic resistance exercise improves all aspects of sleep, with the greatest benefit for sleep quality.)

(引用:The effect of resistance exercise on sleep

睡眠の質が高まるとはどういうことか論文を購入して確認してみたところ($33もしました)、

  • 睡眠時間を延ばすことはほとんどない
  • 深い睡眠(徐波睡眠)が若干増えた
  • 夜中の目覚め(中途覚醒)が減った
  • 浅い眠りが減った

文字通りあらゆる側面から睡眠が改善されていることが実証されていました。

また、詳細なメカニズムは不明ですが、筋トレにより不安や心配事などが頭から薄れ精神状態が安定することからも睡眠が改善している可能性があるとも述べられています。「筋トレをすれば万事上手くいく」のようなタイトルの本を書店で見かけましたが、睡眠に限っていえば本当にそうなのかもしれません。私自身、ジム帰りは必ず「筋トレハイ」の状態になっているのでとても納得できます。

なお、筋トレは中強度よりも高強度のほうが睡眠への効果が高いとのことです。

【注意】
「就寝前に体温が上昇したことが、深い睡眠の増加に寄与した」とこの論文に書かれていますが、ここは誤解の起こりやすいところなので詳しくは1−3をご確認ください。

1−2. 睡眠のための運動(筋トレ)は徐々に負荷を増やすこと

「運動と筋トレで睡眠の質が高まるのはわかった。でも年取った大人でも大丈夫?」と疑問に思われているかもしれません。

正直に言うと、これは分かりません。というのも、上記にシステマティック・レビューに「筋トレをすることで若い大人よりも年配の大人により大きな睡眠改善が見られた」と報告されている実験がいくつかあるのに対し、別の研究(運動(エアロバイク)をした人に対して主観的に睡眠の質を記録(OSA睡眠調査票)してもらった)では「若年者に対して運動は睡眠の質を上げた(起床時のスッキリ度、寝入りの良さ、疲労回復などが良くなった)が中年者には効果がなかった(むしろ得点が下がった)」と報告されているからです(引用:「若年者と中年者における有酸素運動が睡眠に及ぼす影響」)。

中年者に効果がなかった理由は、運動から遠ざかっていた人がいきなり運動することで急激に疲労が溜まったからではないかと推測されています。そのため、これらのことを考えると、少しずつ体を動かして徐々に負荷を増やした運動なり筋トレをするのが理想かと考えられます。

1−3. 運動をする適切なタイミング

「よし、じゃあ睡眠のためにも運動を始めるか!」と思っていただければ光栄ですが、1日の内いつ運動をするかも考えなくてはなりません。

足利工業大学の吉田弘法教授の行った実験により「夜間の運動が最も睡眠に良い効果がある」と報告されています。

【実験内容】
運動習慣のない男子大学生5名が60分の辛くない程度の有酸素運動(50分のエアロビクスと前後に5分のストレッチ)を行う。朝(07:40 – 08:40)に運動を行う週、夕方(16:30 – 17:30)に行う週、夜間(20:30 – 21:30)に行う週、の3パターンで睡眠にどのような違いが現れるかを実験。実験の間、学生は大体23時30分に就寝し7時30分に起床。

その結果が、驚きです。

その結果は、夜の運動で入眠潜時が有意に短縮して、睡眠前半の徐波睡眠(ジョハスイミン: 睡眠段階3と4の深い睡眠を指す)が有意に増加しました。睡眠の心理的評価でも、入眠感(寝つき感)や熟眠感が有意に改善されました。さらに、図に示すように、翌日の日中の眠気を見ると、夜の運動は朝や夕方の運動よりも有意に低下しており、日中の眠気が改善されていました。これらのことから、夜の運動はその後の夜間睡眠を改善する効果があると考えられます。

(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)

つまり、夜の運動が最も「寝付きを良くし、熟睡感を高め、翌日のスッキリ感を高める」のです。

ただ、一点気をつけていただきのが体温です。就寝前、人の体の体温は下がっていくものです。

睡眠と体温の関係
睡眠と体温の関係

図の中にあるように、体の表面の温度は就寝前に上がりますが、体の内部の体温は下がっています。

もしあなたが就寝前に運動をして体温を上げてしまうと、このメカニズムを崩してしまい眠りにくくなってしまいます。そのため、就寝前には体温が下がるようにするためにも、運動は就寝3時間前に終わるように心掛けましょう。

※運動を通して肥満者が痩せられれば大きなメリット

肥満はいびきの8大原因の1つです。

もしあなたが肥満体型でいびきをかいているのなら、運動(筋トレ)を通して脂肪を落とすことも一つの目標にしましょう。

いびきは、熟睡感の欠如、疲れ・倦怠感、日中の眠気、集中力の低下、起床時の頭痛などの原因になる上に、生活習慣病(糖尿病/肝臓病/高血圧/心臓病/脳血管障害)のリスクをそれぞれ1.5~4倍も高めると報告されています。

いびきは万病の元です。

運動を通して改善する1つの目標にしましょう。


最後に

運動をすることで睡眠が良くなれば、日中の生活の質を高まるはずです。是非、あなたの生活に運動を取り入れることをおすすめします。

なお、以下のページでこれまで紹介してきた、数々の研究で実証された良質な睡眠のために「するべきこと」と「してはいけないこと」を網羅的にまとめています。美味しいところ(結論)だけをつまみ食いできる構成になっています。是非ご一読ください。

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