子供の夜更かしは百害あって一利なし。
この考えには同意いただけると思います。ただ、なかなか寝付いてくれなかったり、夜なのに元気のままだったりして、思う通りにならなくて悩むことはないでしょうか。
私自身、睡眠健康指導士であるとともに二児の父親でして、子供の睡眠にはとても気をつかっています。睡眠学の理論を生活習慣に落とし込むようにしています。本日はその内容について「子供が自然と早寝早起きになる5つの習慣」としてお伝えさせていただきます。
※当記事内の子供とは主に小学生以降の子供を指します。
Contents
1. 子供が自然と早寝早起きになる5つの習慣
私が大事だと考えている順に紹介していきますが、どれも難しいことではないので全て習慣化していただければと思います。
1−1. 夕食後は部屋を暗くする
夜間の光は体内時計を乱します。
専門的にいうと、光の刺激により夜間に分泌されるはずの睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を妨げて、眠たくなる時刻が後退してしまうのです。
一般的な家庭の照明(300lx前後)でも十分、体内時計を乱してしまいます。コンビニやスーパーなどのもっと明かりが強いところだと、さらに体内時計を乱すことになります。
もちろん、夜間に光を浴びると眠気が遠ざかるのは子供だけでなく大人に対しても言えることなのですが、子供は大人よりも強くこの影響を受けると言われています。2018年コロラド大学のラミーゼ・アカセム教授が実験によると、1,000lxの光を1時間当てられた子供はメラトニンの分泌量が通常よりも87.6%減り、しかも、照射から1時間経っても通常より50%少なかったと報告されています。
- 夕食後は部屋の照明を暗めにする
- 間接照明器具に変えてみる
- 夜間はスーパーやコンビニに行かない
- パソコンやスマホの影響画面の照度を下げる
などご家庭で実践されてください。
部屋を暗くするというと「暗いところで読書をしたりすると目が悪くなるのでは?」と気になるかと思いますが、この説は間違いだったと報告されているのでご安心ください(近くずっと見続けるのが悪いそうです)。
1−2. 子供の生活リズムに配慮する
小学生以下のお子様がいる家庭は要注意です。
というのも、子供が睡眠不足になる理由に「家族みんなの寝る時間が遅いので寝る時間が遅くなる」というのがランクインしているからです。
例えば、夕食の時刻。小学生は10時間前後の睡眠が必要です。つまり、朝7時に起床するなら、21時には就寝しなければなりません。となると、夕食の時刻は就寝の2~3時間前の18~19時が理想的です。大人にとっては早すぎる夕食になるかもしれませんが、子供に合わせるとこの時刻が適切になります。
他にも例えば、テレビの音。子供を寝かせてから、テレビや映画を楽しむこともあると思います。そのようなとき、音量に配慮しましょう。40デシベル以上の音は睡眠を妨害すると報告されています。
一度、いつもと同じボリュームでテレビを付けたまま、子供部屋へ行きどれくらい音が聞こえてくるかチェックしてみてください。内容がわかるくらい聞こえるとしたら、改善の余地ありです。
1−3. 夕方の仮眠はさせないようにする
夕方以降の仮眠は、夜の寝つきを悪くします。
眠気を取りすぎてしまうため夜眠ろうとしても眠れなくなってしまい、夜更かしにつながってしまうのです。専門的には、睡眠圧がなくなり眠れなくなると言います。
仮眠(というか昼寝)をするなら下記2つのルールを守るようにしてください。
- 仮眠は就寝9時間前までにする
21時に眠るなら12時には昼寝を終えているとベストです。学校の休憩時間などに昼寝をするようにさせましょう。そうすれば夜の睡眠に悪影響を与えません。
- 仮眠は15分以内にする
15分以上眠ると睡眠が深くなり、目覚めるのが困難になりますし、夜の寝つきを悪く恐れがあります。
しかしそもそも、夜の睡眠がしっかりしていれば基本的に昼寝は不必要です(3歳から昼寝が不要になる子が増える)。子供が恒常的に昼寝をしたがるようでしたら、早寝早起きの前に生活の全般的な見直しをするようにしましょう。
1−4. 就寝前は頭が落ち着くようにさせる
脳がリラックス出来ていないと夜になっても眠たくなりません。
専門的な言い方になりますが、自律神経が一時的に乱れてしまうのです。夜になると副交感神経が優位になり休息モードになるべきところが、なんらかの刺激によって交感神経が優位になりアクティブなままで眠れなくなってしまうのです。ブレーキをかけたいのにアクセルが踏まれたままになっている、というと分かりやすいかもしれません。
例えば、上記でお伝えした光の刺激もそうですが、
- ゲームやテレビによる脳の興奮
- 暑いお風呂に入ることでの体温の上昇
- 運動をすることでの体温の上昇・脳の活発化
などは、就寝前には出来るだけ避けられると無難です。入浴は運動は就寝2時間前には済ませられていると理想的です。
1−5. 休日の起床時間が遅くならないようにする
休日の朝はゆっくりしたいところですが、平日の起床時刻と2時間以上遅れないようにしましょう。そうでないと、体内時計が乱れて夜更かししやすくなってしまうからです。
というのも、人は朝起きて太陽の光を浴びることで体内時計がセットされるからです。例えば、朝7時に起きて太陽の光を浴びると、それから14~16時間後に睡眠ホルモン「メラトニン」が分泌されて眠くなるからです。もし、休日の起床時刻が10時になってしまうと、メラトニンの分泌が始まるのが24時頃からになってしまいます。早寝なんて到底出来ませんよね。
一度、体内時計が狂って夜更かししてしまうと、(起床しなければならない時刻は変わらないため)翌日は睡眠不足になってしまいます。そうすると当然、学校での勉強にも身が入りませんし、もしかすると長めの仮眠が必要になります。しかし、長めの仮眠をとると今度は夜間の眠りに悪影響が出てきます。そうすると翌日はまた睡眠不足になり、、、と負のスパイラルに陥ることもあります。
就寝時刻だけでなく、起床時刻にも気をつけるようにしましょう。
2. 子供の睡眠について知っておいてほしいこと
子供の眠りについて再確認しておきましょう。
2−1. 子供の適切な睡眠時間
人の眠りには個人差があります。ただ、子供には大人よりも長い睡眠が必要なのは間違いのない事実です。
2−2. 睡眠時間が足りてない子が多い
睡眠時間が足りていない子供は意外と多くいます。
2−3. よく眠る子のほうが成績がいい
1998年にアメリカの中高生3,120人の睡眠時間と就寝時刻、学業成績の関係性が調べられました。その結果、よく眠る子のほうが学業成績が良いと報告されています。
大雑把ですが、まとめると下のようになります。
- A評価の学生: 睡眠時間7時間35分、就寝時刻22時25分
- B評価の学生: 睡眠時間7時間30分、就寝時刻22時30分
- C評価の学生: 睡眠時間7時間15分、就寝時刻22時50分
- D評価の学生: 睡眠時間6時間45分、就寝時刻23時20分
睡眠の主な役割は、脳の開発、修復、活動です。そのため、睡眠不足になってしまうと、下記のようなデメリットが生じて学業成績にも悪影響が出たと考えられます。
- 集中力の低下
- 記憶力の低下
- 課題処理能力の低下
- 注意力の低下
きちんと睡眠時間を確保したうえで子供が早寝早起きになれるよう実践していきましょう。
事実、東北大学東北メディカル・メガバンク機構の研究から、睡眠時間が十分である子供はそれが短い子供に比べて脳の海馬(記憶や空間学習能力を司る部位、大脳の一部)の体積が大きくなっている傾向があると報告されています。
このような結果から、適切な睡眠時間を確保した上で、習い事などのスケジュールを組むことをおすすめします。睡眠あっての成長です。
最後に
子供がきちんと眠ることは健やかな成長にとても大切なことです。
ご紹介の内容を実践していただきあなたのお子様の睡眠、そして日常生活が良くなる一助になればと思います。