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眠れない原因は6つ。ぐっすり眠るための対処法

眠れない原因は大きく分けるとたったの6つです。

そして、あなたが該当する原因を取り除くことで、あなたの睡眠の問題を解決することを期待できます。

なので本日ご紹介する「眠れない6つの原因」の中から心当たりのあるものへの対処法を始めてみましょう。そうすることで、あなたの睡眠をきっと良質化させられます。

※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。
著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。2,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。
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1. 眠れない6つの原因

それでは先ずは眠れない原因をご紹介します。あなたに該当するものがあれば、それに対する対処法から行うようにしましょう。

①ストレス

眠れない最大の原因は、ストレスを代表とする精神的問題(不安・心配・怒りなど)です。

ストレスが過度になると、「自律神経が乱れ、交感神経が優位になる」ため眠れなくなります。専門的に説明をすると、

・自律神経、交感神経、副交感神経とは?
「自律神経」とは、あなたが「意識しなくても活動している身体の器官」をコントロールしています。例えば、心臓のポンプ機能、食事の消化などです。そして、この自立神経は、「交感神経」と「副交感神経」という2つの神経から成り立っています。この2つの神経は表裏一体の関係で、正反対の働きをします。「交感神経」は、活動時や興奮・緊張しているとき、ストレス下で働きます。瞳孔が広がる、心拍数が増える、覚醒度が上がる、という反応が身体に現れます。「副交感神経」は、休息、リラックス時に働きます。脈拍を抑える、消化を促す、覚醒度を下げる、という反応が身体に現れます。

通常、夜に眠るときに「副交感神経」が優位になるため、リラックスして休息できます。しかし、ストレス過剰のときは、「交感神経」が優位のままになるので、夜間になっても興奮・覚醒状態が続きます。その結果、眠れなくなってしまいます。

もし眠れたとしても、夜中に目覚めやすくなります。

②脳・身体が疲れていない

人が眠くなるメカニズムは、たった2つだけです。以下の2つのバランスで眠りの質・量・タイミングが決まっています。

  1. 疲れたから眠くなる(恒常性維持機構)
  2. 夜になると眠くなる(生体時計機構)

オフィスワーク、ルーティンワーク、家事(特に子供が巣立った後)など、そこまで疲労を感じない活動が生活の大半を占めると、夜に眠りにくくなります。

また、「長い昼寝や夕方の仮眠」は疲れを取りすぎてしまうので、やはり夜間に眠れない原因になります。

③睡眠ホルモン「メラトニン」が不十分

メラトニンとは脳内で分泌されるホルモン、睡眠に大きな影響を与えます。

メラトニンとは、松果体より分泌される脳内ホルモンで、トリプトファンからセロトニンを経て合成される。昼間は少なく夜間睡眠時に分泌が上昇する。①メラトニンは直接的に睡眠作用を持つ ほか、②概日リズム(体内時計)に深く関係し、深部体温を低くする作用 があり、睡眠・覚醒リズムの調整に重要な役割を果たしている。

(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)

つまり、以下の2つの働きのため「睡眠ホルモン」と呼ばれます。

  1. 直接的に睡眠作用がある。
  2. 深部体温を下げ、眠りをスムーズにする。

このメラトニンの量が少なくなると、眠れない原因になってしまいます。そして、メラトニンの分泌量が減少する原因は、多くの人の行動に共通しています。

  • 日中、光に当たっていない。
  • 夜間、明るい光を受けている。

この原因を踏まえて意識的に行動をすると、メラトニン量の増加が期待でき入眠しやすくなります。2章で具体的な方法をご紹介します。

④脳が「覚醒モード」になっている

現代生活の中では、脳が覚醒するような面白い、興味深い、興奮するコンテンツが身の回りに溢れています。

テレビ、スマホ、ネット、SNS、ゲームなどはその代表格です。恋をして心がドキドキして眠れなかったり、カフェインを摂取したせいで眠れないのも、似たような状況です。

このようなとき、交感神経が優位になりやすいので、眠れなくなります。そのため、眠るためには1度そのようなコンテンツから離れ、あなたを落ち着かせる必要があります。

それでは次に、私オススメの入眠効果の高いリラックス方法を2つご紹介します。

⑤体温が「眠りモード」になっていない

ヒトの眠りと体温には、密接な関係があります。眠るまえに以下のような状態だと、寝つきが悪くなります。

  • 熱めのお風呂から出たばかりで体温が上がっている。
  • 眠るまえに運動したせいで身体が温まっている。
  • キンキンに冷えた部屋にずっといて、身体が冷えている。

以下のグラフをご覧ください。ヒトが眠るときの体温の動きを表したものです。

体温と睡眠の関係
体温と睡眠の関係

このグラフのポイントは2つです。

  1. 指先皮膚温が19時から23時(睡眠開始時)まで上昇。
  2. 眠りに入る1時間前から深部体温が低下。

つまり、眠るまえに手足の温度を上げることで、身体の内部の温度を下げているのです。先の3つの状態だと、なぜ眠れないのか分かりますね。

  • 熱めのお風呂から出たばかりで体温が上がっている
    → 眠るまえなのに深部体温が上がってしまっている。
  • 眠るまえに運動したせいで身体が温まっている
    → 同じく、就寝前に深部体温が上がってしまっている。
  • キンキンに冷えた部屋にずっといて、身体が冷えている
    → 寒くて眠れにくくなる。また、布団の中が暑く感じ、体温が上がることも。

2章の対策では睡眠前の具体的な体温調整方法をご紹介します。

⑥眠れないことへの過剰な意識

大勢の前でスピーチをするとき「緊張しないぞ、絶対緊張しないぞ!!」と、緊張を意識しすぎると、緊張してしまいます。

睡眠への意識も同じです。眠れないことを過剰に意識すると、眠れなくなります。そのため、最後の対処法は、「眠れないことをあまり意識しすぎないこと」です。

しっくりこないかもしれませんですが、とても大切な心構えです。


2. 眠れない原因への対処法

それでは次に、対処法をご紹介します。対処法とはいえ、あまり強制的に自分に習慣として課してしまうと、ストレスの種になりうるので、できる範囲から取り組んでいきましょう。

ストレスへの3つのアプローチ

ストレスが原因で眠れない場合、以下の3つのアプローチが重要です。

(1)ストレスを発散させる

趣味に没頭したり、運動で汗を流したり、ストレスの内容を紙に書き出すだけでもストレスは発散されます。他にも、旅行、グルメ、アロマテラピー、エステ・マッサージなど、ストレスを忘れられるような時間を作ってみましょう。

(2)睡眠環境を変えてみる

睡眠環境を整えて、気分を変えることも大切です。特に、「眠れない」というマイナスの感情と寝床が結びついている場合は効果的です。 アロマで寝室の雰囲気を変えてみるのも良いです。

(3)ストレス自体を解消する

最も大切で根本的なことです。難しいこともあると思いますが、ストレスの元となっている原因を改善するよう取り組みましょう。原因を変えられない場合、あなたの考え方・捉え方を変えると効果があることもあります。

何か1つでも良いので、取り組んでみましょう。私のイチオシはジョギング(ウォーキング)です。

脳・体が疲れていない場合の2つの対処法

単純にあなた自身を疲れさせることでも良いですし、日中の仮眠で体の疲れを取りすぎている人はコツを押さえて仮眠を取りましょう。

(1)快眠のために適度に疲れさせる

この場合の対処法はとてもシンプルで、身体と脳を(良い意味で)疲れさせることです。 例えば簡単に始められる運動なら、

  • 朝の通勤通学の際にエスカレーターを使わず階段を使う。
  • 歩くときは早歩きをする。歩幅を広くする。
  • テレビを見るときはエクササイズをしながら。
  • 食後にウォーキング(ジョギング)をする。

また、新しい習慣にチャレンジすることも頭が疲れるので効果があります。

  • 家庭菜園をしてみる。
  • 新しい料理の献立に挑戦してみる。
  • 話題の書籍をじっくり読む。
  • 家具のDIYに挑戦してみる。

ちなみに難しい内容を理解しようと努力すると、ストレスを排除するためにβエンドルフィンという脳内麻薬が分泌され、結果的に眠くなるということが起こります。

(2)快眠のための仮眠の2つのコツ

「仮眠は健康に良い」と流行っていますが、以下の2つのポイントを理解した上で行いましょう。そうでないと夜に眠れない原因になります。

  1. 仮眠は20分以内にする
    20分以上眠ると疲れが取れすぎてしまい、夜間の眠りに悪影響を及ぼします。
  2. 就寝の9時間前までに仮眠を済ます
    あなたの就寝時刻が23時なら、14時以降は仮眠を控えましょう。夕方に仮眠をとってしまうと、夜間に眠るときの疲労が軽くなってしまい、睡眠が浅くなってしまいます。

難しい内容でないので、是非、快眠のためにお守りください。

メラトニンを増加させる光と上手に付き合う2つのコツ

生活の中で光と上手に付き合うことで、睡眠ホルモン「メラトニン」を快眠に活用できます。

(1)日中は太陽の光を浴びよう

一般的なヒトの身体のサイクルは、光を浴びてから14~16時間後に、体内でメラトニンの分泌量が増え始めます。つまり、朝の7時頃に太陽の光を浴びると、21~23時ごろにメラトニン量が増え、眠たくなります。

「午前中に浴びる日光は僅か30分の量で、睡眠薬1錠分に当たる」 という睡眠学者がいるほど、太陽の光は睡眠の質を上げてくれます。是非、お試しください。

(2)夜間は明るい光を避ける

反対に、夜間の明るい光はNGです。なぜなら、夜間の光はメラトニンの分泌を抑制する働きがあるためです。下の表をご覧ください。

日本の一般的な家庭の明かりの照度は300~500ルクスですが、この程度の明るさでもメラトニンの分泌を抑制してしまいます。

そのため、夜間は家庭の明かりの照度を落としましょう。夜間は照明を落とす

その他にも、以下の取り組みを実践していただければ、眠りやすくなります。

  • 家庭の照明を調節できなければ、間接照明を使う。
  • コンビニ・スーパーなどの明るいところへ行かない。
  • テレビ・パソコン・スマホの画面照度を下げる。

たったこれだけでも大きな効果が見込めます。是非、お試しください。

気分を落ち着かせるリラックス法3選

おすすめのリラックス方法があるので、あなたに向いているものをお試しください。

(1)筋弛緩法でリラックス

 筋弛緩法とは「筋肉を意図的に緊張させてから緩め」心と身体をリラックスさせる方法です。不眠指導の代表的な技法として知られ、入眠を促す効果が高いので、眠れないときの対処法にぴったりです。

 ベッドの上で寝転がりながらできます。次の3ステップで行います。

  1.  身体の特定の部位に、ぎゅ〜っと力を入れる。
    (全力ではなく、70%程度の力で行ってください。)
  2.  そのまま5~6秒キープする。
  3. スーッと脱力し、10秒ほど力の抜ける感覚を味わう。

大切なポイントは「脱力を思いっきり感じる」ことです。脱力感を意識することで、リラックス効果がさらに高まります。

・筋弛緩法で手と腕のリラックス

手と腕の筋弛緩法のやり方
手と腕の筋弛緩法のやり方
  1. 拳をぐ〜っと握りながら、手首をゆっくり返していきます。
  2. そのまま5〜6秒キープ。
  3. 脱力。10秒ほど力の抜ける感覚を味わう。

・筋弛緩法で脚のリラックス

脚の筋弛緩法のやり方
脚の筋弛緩法のやり方
  1. 脚を伸ばした状態で、アキレス腱をぐ〜っと伸ばします。
  2. そのまま5〜6秒キープ。
  3. 脱力。10秒ほど力の抜ける感覚を味わう。

筋弛緩法の詳細に関してはこちらのページ『筋弛緩法でリラックス!イラストでわかるやり方3ステップ』で詳しく紹介しています。別の部位のやり方も紹介しているので、気に入った人はご一読ください。

(2)深呼吸でリラックス

アリゾナ大学医学校で教鞭をとるかたわら、健康医学研究者としても知られるアンドルー・ワイル氏が広めた呼吸法の「4-7-8呼吸法」を以下の理由からオススメします。

  • 呼吸をしながら秒数を数えるので、集中しやすい。
  • 動作が秒数で区切られているから、手順を覚えやすい。

やり方は簡単で、以下のように行います。

  1. 息を吐き切ります。
  2. 鼻から息を4秒吸い込みます。
  3. 息を7秒止めます。
  4. 息を8秒で吐き切ります。 

これを1セットとし、3回行いましょう。1分間でもとてもリラックスできます。

是非、お試しください。

(3)足湯でリラックス

足湯のリラックス効果、睡眠導入の効果は実験でも証明されており、山梨大学医学部付属病院の研究チームにより以下のように報告されています。

…実際に足浴は入眠効果があると考えられる。その根拠として、本実験での足浴後の変化は、副交感神経活動の指標であるHFの増加、自律神経系の調節能力を示すBRSの増加、足部の皮膚温の上昇と血流量の増加、その維持といったものをあげることができる。

(引用:『日本看護技術学会誌 Vol. 8,No. 3』内「足浴が生体に及ぼす生理学的効果」金子健太郎、熊谷英樹、尾形優、竹本由香里、山本真千子 著)

以下のように足湯をお試し下さい。

・足湯の方法
42度前後の少し熱めのお湯に、くるぶしまで足を入れましょう。たった10分ほどでも身体全体が温まり、とてもリラックスできます。口の広いバケツにお湯を入れ、リビングの椅子やソファに座りながらの足湯でも大丈夫です。

特に冷えに敏感で、ベッドの中で寒さに震えて眠りづらい思いをする方にオススメです。

眠るまえの体温の上手なコントロール方法

この体温リズムを上手に活用すると、スムーズに眠りやすくなります。

以下の表を参考にして、運動、エクササイズを行ったり、お風呂・シャワーを浴びていただければ、スムーズに寝つきやすくなります。

体温は睡眠に大きな影響を与えるので、是非、頭に入れておいてください。


まとめ

眠れない原因を6つの中から特定して、その原因に対処するだけのとてもシンプルな内容です。魔法のようにすぐに眠れるような内容はありませんが、しっかりと対策を行いましょう。そうすればきっと快眠生活を取り戻せられます。

なお、以下のページでこれまで紹介してきた、数々の研究で実証された良質な睡眠のために「するべきこと」と「してはいけないこと」を網羅的にまとめています。美味しいところ(結論)だけをつまみ食いできる構成になっています。是非ご一読ください。

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