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夜中にトイレが近い「夜間頻尿」の原因と対策

「近頃、夜中のトイレが近くなり、ぐっすり眠れなくなった。」

それはもしかすると、夜間頻尿の症状かもしれません。なるべく早く専門医に診てもらうべきですが、原因がわからないことには何科に受診をするべきかすらわからず、行動に移しにくいと思います。

そこで本日は「夜間頻尿の原因と対策」についてご紹介します。

著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。2,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。
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1. 「夜間頻尿」の原因

まず最初に、夜間頻尿の原因は、夜の1回の尿量が多いか少ないかで大きく分けられています。1回の尿量は約150~200mlが目安です。

この量を上回る場合は「多い」に、下回る場合は「少ない」に該当します。また、尿の出が悪くトイレに行ってもスッキリしないような場合も「少ない」に該当します。

それでは、それぞれの原因についてご説明していきます。

1−1. 加齢(内臓機能・抗利尿ホルモン分泌量の低下)

夜間頻尿というと高齢者の症状とイメージされることが多いですが、実際に公表されている数字をみると以下のようになっています。

70代以上の高齢者となればほぼ半数の人が、1晩に2度以上トイレにいきます。しかしこれはある意味自然なことで人は加齢にしたがって

  • 内臓機能が低下
  • 抗利尿ホルモンの分泌量が低下

するため夜間の排尿が増えるのです。

どういうことかというと、1つ目に、内臓機能が低下することで、尿を作るために機能している心臓や腎臓が、昼間のうちに作りきれなかった尿を、やむをえず夜に作るようになるためです。

そして2つ目に、抗利尿ホルモンという睡眠中の尿をコントロール(凝縮)するホルモンが減ることで、通常は多少尿が作られても凝縮して朝まで我慢できるように抑えられていたのですが、尿意をもよおすようになってしまうのです。

1−2. 薬(降圧薬・強心剤)の副作用

高血圧に使われる降圧薬や、心臓病に使われる強心剤には、尿の量を増加させる利尿作用があります。

そのため、このようなお薬をあなたが服用しているのなら、それが夜間頻尿の原因となっている可能性があります。とはいえ、勝手に薬の服用を中断するのは良くないので、主治医に夜間頻尿の状況を伝え、薬の飲み方に工夫ができないか相談してみましょう。

1−3. 水分の取りすぎ

1日1.5ℓ前後の水を摂取すれば十分と言われていますが、水分を過剰に摂取しているがために夜間頻尿の原因になっていることがあります。

女性に多いケースとしては、自宅で知らず知らずのうちにお茶を飲みすぎてしまっていること。

一方、男性に多いのは、糖尿病を抱えているためノドが乾きやすく、ついつい水分摂取が過剰になってしまうケースです。糖尿病は放っておくと危険です。

それに、怖いのは糖尿病が進行すると、膀胱の神経に不具合が起こって、膀胱の感覚が鈍かったり、尿をしっかり出しきれなくなることがあるのです。

(引用:『トイレが近い人の読む本』 本間之夫 著)

心当たりがあるのなら早急の対策が必要です。

1−4. 過活動膀胱

「急に強い尿意をもよおすことが増えた」という方は過活動膀胱が原因となっている可能性があります。過活動膀胱とは字の通り、尿を貯める器官であるである膀胱が過敏に働いてしまうことです。

以下の問診票に点数をつけてみてください。3つ目の質問のスコアが2点以上で、同時に、合計が3点以上の場合は、過活動膀胱の疑いがあると考えられます。

(過活動膀胱症状質問表、引用:『過活動膀胱診療ガイドライン』)

中高年男性に多いケースでは、前立腺肥大症です。大きくなった前立腺のせいでスムーズに排尿ができないことで膀胱に負担がかかり続け、膀胱が過剰に反応するようになってしまうのです。

一方、中高年女性では、原因不明なケースが多いと報告されています。

、、、実は、最も患者さんの数が多いのは、原因が特定できない突発性の過活動膀胱なのです。この状態は、一般に女性の患者さんにより多くみられます。

(引用:『トイレが近い人の読む本』 本間之夫 著)

排尿をコントロールしている神経系にトラブルがあるのでは、と考えられていますが、明確な答えはまだ見つからないままとなっています。

1−5. 残尿

尿の出が悪く出し切ることができず膀胱に尿が残ってしまうことで、その後またすぐにトイレに行きたくなるのも夜間頻尿の原因の1つです。

前立腺肥大症、前立腺がん、尿道狭窄、糖尿病による神経系のトラブルなどが根本的な原因となりえます。

糖尿病により尿量が増えているにもかかわらず尿を出し切ることができない、という2つの原因からひどい夜間頻尿にお困りになるケースもあります。

1−6. 膀胱が小さい

生まれつき膀胱が小さめというパターンもありますが、歳をとるにしたがって膀胱が徐々に小さくなることもあります。

また、膀胱の炎症状態が続くことでも膀胱が小さくなることがあるそうです。それにより貯められる尿量が減り、夜間頻尿の原因となります。

1−7. その他の原因

また、上記以外にも夜間頻尿の原因となりえることは多くあります。

  • 塩分の取りすぎ
    体内の塩分濃度が高くなることでそれを中和しようと水分摂取量が増え、排尿が多くなります。
  • アルコール、カフェイン
    利尿作用があるので排尿が多くなります。
  • 細菌感染(膀胱炎、尿道炎、前立腺炎など)
    尿意が強くなりトイレが近くなります。
  • 心因性(ストレス)要因
    精神的な何かが尿意を起こすことがあります。

また、「尿意で目が覚める」という人の中には、排尿がしたくて目が覚めたのではなく、睡眠が浅くなっており目が覚めているだけでのケースもあります。この場合は夜間頻尿対策というよりも、睡眠を深めることが大切です。こちらのページ『今日からできて効果抜群!睡眠の質を高めるチェックシート』をご参考にしてください。


2. 「夜間頻尿」の対策

それでは次に、夜間頻尿を改善するための対策をご紹介します。

2−1. 夜間頻尿で病院を受診するなら泌尿器科へ

まず何よりも病院を受診し、専門医にあなたの夜間頻尿の原因を適切に突き止めてもらうことを優先しましょう。

上記でご覧の通り非常に様々な理由により夜間頻尿は起こりうるため、原因がはっきりしなければ適切な薬剤の投与もできませんし、場合によってはより適切な専門医に診てもらうことを判断されることがあるためです。

病院を受診する目安

夜間頻尿は1晩に1度以上トイレに行くことと定義されていますが、もしあなたがそれにより睡眠や生活に支障をきたして困っていない限りは、特に問題ないと判断してもよいとされています。

特に、眠りの浅くなった高齢者が夜中に目が覚めたついでにトイレに行くことはよくあることですので、不安を煽って病院へ連れて行く必要はありません。

2−2. 自宅でできる対策

あなた自身が自宅でできる対策もあります。

どのタイプの夜間頻尿にも効果があるというわけではありません。主治医の指示の元、行うようにしましょう。

飲食制限

  • 夜間の水分摂取量を減らす
  • 塩分の多い食事を摂らない
  • カフェインは夕方以降摂取しない
  • アルコールは極力控える

ただ、1つ気をつけていただきたいのが、水分の管理です。お薬の副作用などにより喉が乾きやすくなっている場合などを含めて、必要以上に水分摂取を抑えるのは問題ですので専門医と二人三脚になり、摂取量を決めるようにしましょう。

排尿制限

尿意をもよおしたときにすぐに排尿せずに我慢することで小さくなってしまった膀胱の容量を元に戻す方法があります。

すぐに排尿せずに3分、5分、10分と我慢し、当初は100cc弱の排尿量を200cc、300ccと増やしていくことを目標にするものです。

尿道・膀胱周りの筋肉トレーニング

この対策は、体の衰えを感じている初老の人におすすめです。

肛門をギュッと締めるように力を入れると、尿道・膀胱周りの筋肉に力が入りトレーニングになります。無意識的に尿が漏れてしまうことの対策になります。まずは、「10秒間力を入れ続け1分休憩」を1セットとして1日に5回行いましょう。慣れてきたらだんだんとセット数を増やしてください。

グッズでの対策

「夜尿をしてしまったらどうしよう…」という不安のために眠りにくいのであれば、オムツや尿取りパッド、防水シーツを活用して安心できるようにしましょう。

以下のページで使用環境別に相応しいものの選び方をご紹介しているので参考にしてみてください。

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最後に

あなたの夜間頻尿の原因が知る1つのきっかけになっていれば幸いです。

まずは専門医への受診をおすすめします。

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