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大人なのにおねしょ。9つの原因別やるべき対策

ある朝、小学生ぶりのおねしょで目を覚まし、驚きとともに不安を感じたことはないでしょうか?

家族はおろか、お医者さんに相談すらできていない方もいるかと思います。

子供のおねしょと異なり、大人のおねしょは自然に治るとは限りません。

しかもその上、原因が分からないまま放置しておくと、悪化する可能性も考えられます。

そこで本日は「大人のおねしょの9つの原因」をご紹介します。あなたのおねしょの原因を突き止め、適切な対策をとるようにしましょう。

著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。2,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。
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1. 大人のおねしょ9つの原因

大人のおねしょの原因を細かく分類すると、それはもう数え切れないほどになります。

そこで、多少大雑把ですが似ている要素をまとめると、以下の9つになります。

  1. 膀胱が小さい(発育の遅れ)
  2. 抗利尿ホルモンの不足
  3. 水分、塩分、たんぱく質、アルコールの過剰摂取
  4. 疲労・ストレス
  5. 妊娠・出産
  6. 更年期によるホルモンの乱れ
  7. 加齢
  8. 冷え
  9. 病気・怪我

さらに、これらが原因となりおねしょをしてしまう年齢をグラフで表すと、以下のようになります。

5歳20歳30歳40歳50歳60歳
膀胱が小さい妊娠・出産更年期 
 疲労・ストレス加齢
抗利尿ホルモン異常
水分、塩分、たんぱく質、アルコールなどの過剰摂取
冷え
病気・怪我

グラフからお分りいただける通り、おねしょは様々なことが引き金となり、青年、壮年、中年、高年のどの世代にも起こりうるのです。

多くの人が経験している症状なのです。それでは次に、具体的な原因とやるべき対策をご紹介していきます。

①膀胱が小さい(発育の遅れ)

膀胱の発育が遅れている青少年や、膀胱容量が小さめの大人は、貯められる尿量が少ないためにおねしょをしやすいです。

  • 幼いころからおねしょが続いている
  • おねしょの卒業が遅かった
  • 1度の排尿量が200mlを大きく下回る(成人の平均200~400ml)

などに心当たりがある場合は、膀胱容量が小さめと考えられます。しかし、悲観することはありません。身長と同じように、膀胱容量にも個人差があります。膀胱容量に適した飲水習慣を身につけましょう。

②抗利尿ホルモンの不足

抗利尿ホルモンとは何かと言うと、睡眠中の尿をコントロール(凝縮)するホルモンです。

約7時間の睡眠の間、尿は貯まる一方にもかかわらず人はトイレに行くことができません。そのため、抗利尿ホルモンの作用で、尿を凝縮して朝まで貯めるのです。朝一番の尿の色が濃いのはこのためです。

しかし、抗利尿ホルモンが不足していると、睡眠中の尿量が多くなってしまいます(夜間多尿)。そして、膀胱容量以上になるとおねしょに至ってしまうのです。抗利尿ホルモンの分泌が不十分となる原因は、脳疾患、内臓疾患、精神疾患、飲食物の影響など様々です。水分摂取の管理、治療薬の利用などで対策をしましょう。

行動療法、治療薬、グッズなどの詳細をこちらのページ『【図解】夜尿症の原因から治療までの体系的知識』で総括しているので併せてご参考にしてください。

③水分、塩分、たんぱく質、アルコールなどの過剰摂取

たくさん水を飲むと尿量が増えておねしょの原因になる。

このような理屈もありますが、水分の過剰摂取により抗利尿ホルモンの分泌が抑制されておねしょの原因になる、とも考えられています。

これ(多尿)はおもに就眠中の抗利尿ホルモン(antidiuretic hormone:ADH)の分泌低下によるとされるが、夜間の尿中へのカルシウムの排泄の増加や、糸球体濾過量の日内変動の異常、飲水過剰や塩分・たんぱく質の摂取過多が関与しているという報告がある。

(引用:『夜尿症診断ガイドライン2016』 日本夜尿症学会 編集)

そして、塩分、たんぱく質、アルコールを過剰に摂取すると、体内濃度を薄めるために水分の過剰摂取につながり(アルコールはその上、利尿作用からも)おねしょの原因となります。

流れを箇条書きすると以下のようになります。

  1. 塩分、たんぱく質、アルコールの過剰摂取
  2. 濃度を薄めるために多飲へ
  3. 水分の摂取過多
  4. 体内から水分を出すため抗利尿ホルモンの分泌を抑制
  5. 抗利尿ホルモンの低下
  6. 睡眠中の尿が凝縮されず夜間尿量増加
  7. おねしょ(夜尿)

様々な要素が絡み合っていることがお分かりいただけると思います。塩分、たんぱく質、アルコールの摂取を抑えて対策しましょう。

④疲労・ストレス

近年、20~30代に増えているおねしょの原因が、疲労とストレスです。

極度の疲労・ストレスにより自律神経が乱れ、頻尿(過活動膀胱)になり、それがさらに悪化するとおねしょとなります。他にも、疲労・ストレスが原因で睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害になり、それがおねしょを引き起こす原因となることもあります。

このように、極度の疲労・ストレスを原因とする病気が原因となりおねしょに至るケースは多々あります。病気の治療と併せて、ストレスの元に対処する必要があります。

⑤妊娠・出産

女性特有の原因に、妊娠・出産があります。

妊娠中、お腹がどんどん大きくなっていくにつれて、膀胱が子宮に圧迫されていくため、頻尿気味になったりおねしょをしやすくなります。

また、出産時に骨盤が緩み、産後3〜4ヶ月程度、元に戻るのに時間を要します。その間、骨盤の緩みが原因となり尿漏れ、おねしょをしやすくなります。この場合はおねしょ対策グッズなどで事後的に対策を取るしかありません。

⑥更年期によるホルモンの乱れ

更年期はホルモンバランスが乱れやすいため、おねしょ以外にも様々な疾患のリスクがあります。

おねしょがどのようにして起こるのか専門医の言葉を借りると、

しかし、閉経後に女性ホルモンが減少してくると、血行が悪くなることによって骨盤内の臓器に『しなやかさ』がなくなります。尿道は硬く狭搾し、膀胱は萎縮した結果、尿が出にくかったり漏れやすくなってしまうのです。

(引用:『女性泌尿器科へようこそ』 奥井 識仁 著)

もちろん、【更年期→ホルモンバランスの乱れ→自律神経の乱れ→過活動膀胱】という流れでおねしょに至ることも考えられます。

この原因に該当する場合は婦人科で適切な対策を仰ぐことをおすすめします。

⑦加齢

50代を過ぎた辺りからの加齢によるおねしょの原因も、事細かに例をあげるときりがありません。代表的な例をあげると、

  • 抗利尿ホルモンの低下
  • 排尿機能の衰え
  • 加齢に伴う疾患

抗利尿ホルモンが加齢に伴って低下していくと言われていますし、排尿をコントロールする筋肉(尿道・膀胱括約筋)が衰えていくことで意識的にも無意識的にも尿が漏れやすくなります。

また、加齢に伴う疾患がおねしょの原因にもなります。例えば、前立腺肥大症(中高年男性)や認知症(高齢者)などです。肛門をギュッと締めるなどの尿道・膀胱括約筋の強化トレーニングを日課にして対策を取りましょう。

⑧冷え

冷えは直接的な原因なのか、おねしょを悪化させる原因なのか判断が難しいところですが、冷えもおねしょに大きな影響を与えます。

具体的には、以下のような流れでおねしょに至ります。

  1. 冷え
  2. 血管縮小
  3. 血行悪化
  4. 膀胱萎縮&尿量増加
  5. おねしょ

「体が冷えただけでおねしょになるの?」と思われるかもしれません。子供におけるケースで恐縮ですが、「夜尿症の子供には冷え性が多い」との報告があります。

この冷え症状は、夜尿のない子どもと比較して、夜尿症児に3倍近く多くみられます。

(引用:『新おねしょなんかこわくない』帆足英一 著)

大人のおねしょのケースでも関係すると考えられるので、心当たりがある方は、眠る前と睡眠中に体を暖めるようにしましょう。

⑨病気・怪我

夜尿症診療ガイドラインによると、以下のような病気や怪我も原因になるとまとめています。

夜尿の病因基礎疾患
夜間尿量増大腎尿路疾患先天性腎尿路異常
(低張尿)
低形成腎、異形成腎、水腎症
心因疾患神経性多飲症(低張尿)  
内分泌疾患尿崩症(低張尿)
糖尿病(高張尿)
  
膀胱容量低下腎尿路疾患膀胱疾患排尿筋過活動、膀胱容量増大、
排尿筋-尿道括約筋協調不全、
慢性尿路感染症
脊椎疾患脊髄破裂、脊髄髄膜瘤、
脊髄腫瘍
  
内分泌疾患高カルシウム尿症  
その他腎尿路疾患先天性腎尿路異常異所性尿管
神経疾患てんかん  
耳鼻科疾患睡眠時無呼吸症候群  

(引用:「夜尿症診療ガイドライン2016」 日本夜尿症学会 編集)

例えば、糖尿病だと、血液中の糖の濃度が高いため大量の水分を摂ることになり、夜間多尿となりおねしょに至ります。

また例えば、極度の便秘により膀胱が圧迫されて膀胱容量が低下し、おねしょの原因になることがあります。このように、重大な疾患のためにおねしょになっていることがあるため、おねしょが続くのであれば恥ずかしがらずに速やかに病院を受診することをおすすめします。


2. 一過性のおねしょと夜尿症の違い

小学生以来のおねしょをたった一回しただけであれば、一過性のおねしょとなるので大きな問題ではないと思いますが、頻繁におねしょをする場合、それは「夜尿症」となります。

夜尿症診断ガイドライン2016年によると、

5歳以降で、1ヶ月に1回以上の夜尿が3ヶ月以上続くもの、さらに、1週間に4日以上の夜尿を頻回、3日以下の夜尿を非頻回…

と定義付けられています。

おねしょがあまりにも頻繁になると、外泊を困難に感じたり、他者と寝るのが億劫になったり、後始末が面倒だったりと生活の質に支障をきたすことにもなります。

また、原因によっては日中の失禁につながる恐れもあるので、早めに治療を受けるようにしましょう。

2−1. 夜尿症は珍しい症状ではない

「大人なのにおねしょで病院に行くなんて恥ずかしい」と思われるかもしれませんが、夜尿症は珍しいものでないので恥ずかしがることもありません。

東京女子医科大学病院泌尿器科のHPによると、

成人したあとでも0.5%つまり200人に1人ぐらいは夜尿症が完全にはなくなりません。

と言われています。

これに加えて、大人になってから夜尿をするようになった人の存在を考えると、100人に1〜2人は夜尿患者がいると推測できます。

このように考えると、夜尿はそれほど珍しいことではなく、意外と多くの人が経験していることだとご実感いただけないでしょうか?病院へ行く心理的ハードルがだいぶ下がっていれば幸いです。

2−2. 医療機関の診療科を選ぶ考え方

病院へ行くとしたら何科を受診すればいいのか、疑問に感じると思います。

妊娠・出産に関する原因なら産婦人科、内臓疾患に関する原因なら内科というように、原因が明確であればその専門医を受診すれば良いです。

が、原因が不明確であればまずは泌尿器科を受診して、原因を調べてもらうと良いです。二度手間のようですが確実です。


3. 夜尿症への対策

まずは何よりも、医療機関で原因の特定をされることをおすすめします。

その上で、主治医と相談し、以下のような自宅でもできる対策に取り組むようにしましょう。

  • 飲食物の摂取[内容と時間]制限
  • 尿道・膀胱括約筋の強化トレーニング
  • グッズでの対策

詳しくは以下のページでご紹介しているのであわせてご参考にしてください。

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最後に

あなたのおねしょの原因が把握できていれば幸いです。

また、敬遠しがちだった病院へ足を運ぶ動機にもなればさらに幸いです。もし敷寝具の汚れにお悩みでしたら以下のページで防水シーツの上手な選び方について説明しているのであわせてご参考にしてください。

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