こんにちは、加賀照虎です。
- 夏の熱帯夜はエアコンに除湿機
- 冬の寒い夜は暖房や加湿器
などを使われているかと思います。
しかし、そのようなとき「寝るときの温度と湿度ってどれくらいが最適なんだろう?」と疑問に感じたことはないでしょうか?寝室の温湿度が適切でないと、睡眠の質を下げることが実験により明らかになっています(体感としても明らかですが)。
そこで本日は、
- ケース別の睡眠に適した温湿度
- 温湿度に加えて大事な体温の動き
- 忘れていけない寝床内気象
などについて解説していきます。
※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。 |
Contents
3つのケース別|熟睡のための寝室の温湿度
睡眠に最適な寝室の温湿度といっても、
- 寝具・パジャマなしで眠る場合
- 夏季に寝具・パジャマ着用で眠る場合
- 冬季に寝具・パジャマ着用で眠る場合
のそれぞれで最適な数値は微妙に変わってきます。あなたの睡眠環境と照らし合わせて、どの温湿度が相応しいかお考えください。
①寝具なしで裸で眠る場合に最適な寝室の温湿度
春の終わりから秋の始まりにかけて、掛け布団もパジャマも使わずに裸一貫で眠る、という人も少なからずいるかと思います。
そのような眠り方をされている人は、室温29 ℃、湿度50%前後に調整して眠るようにしましょう。
裸になって寝具を用いずに眠る場合は、室温を29℃に設定すると、暑くも寒くも感じることなく、よい睡眠をとることができます。
(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)
29℃は中性温度と呼ばれおり、皮膚が暑くも寒くも感じないという温度としての存在感が低くなる数値なのです。この室温に保ったまま眠れれば、不快感なく眠れるはずです。
しかし同時に、湿度が50%であるよう調整する必要があります。
温度が29℃のときに湿度が50%だと快適ですが、温度が29℃であっても多湿環境だと暑く感じられることがあるためです。
実際、裸のままで室温を29℃にした中性温度で眠ってもらった場合、湿度を50%から75%へと上げると、夜間睡眠中であるにもかかわらず、体温は約0.1℃上昇しました。
(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)
そのため、エアコンを除湿モードで稼働させたり、除湿機能をもつ寝具を併用したりするなど、温度だけでなく湿度にも配慮して睡眠環境を整えましょう。
②夏に寝具・パジャマ着用で眠る場合に最適な寝室の温湿度
もしあなたが夏にブランケットや肌掛け布団を使ったり、夏用パジャマを着用して眠る場合、1つめのケースよりも温度をやや涼しめに設定する必要があります。
環境省は夏のオフィス空調の設定温度を28℃にするよう提唱していますが、寝衣や寝具を用いて眠る場合、室温はそれよりも2℃低い26℃、湿度は50~60%に設定すれば、睡眠は妨害されません。
(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)
温度は26℃、湿度は先ほどと同じく50%前後が最適です。湿度が高いと暑苦しく感じやすいためです。
私のおすすめは、エアコンを除湿モードにして就寝1時間前から3時間付けっぱなしで稼働させておくことです。
暑い時期の日中、建物は太陽から光を浴びて熱を吸収します。夜間になっても熱が建物に蓄積したままなので、エアコンで冷気を出しても部屋はすぐには冷めてくれません。そのために就寝の1時間前から部屋を冷やしておくと良いのです。
「さあ寝よう」というときに部屋(特に布団)が冷えているとスムーズに入眠できます。「夏季は暑くてなかなか寝付けない」という方には、特におすすめの方法です。
③冬に寝具・パジャマ着用で眠る場合に最適な寝室の温湿度
「夏に最適な室温が26℃ということは、冬はそれよりも暖かくするべきなのか?」と思われるかもしれませんが、冬季に最適な室温は、夏場のそれよりも低くなるのです。
※もちろん、冬用の掛け布団を使用しているのが前提の話になります。そうでないと寒くて眠れません。
(冬季に)寝具を用いて眠った場合、最も寝心地のよい室温は16~19℃です。…また、湿度は冬でも50~60%が理想的です。
(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)
理想的な温湿度が意外にも低くて驚かれたことと思います。「冬は寒くて眠れない」という声と同じくらい「冬なのに蒸し暑くて寝苦しい思いをした」という声を聞きます。
「冬=暖かくして眠るべき」という考えに固執しすぎて、
- 暖房、ヒーター
- 冬用の分厚い羽毛布団
- 毛布や獣毛パッド
などの暖かグッズを併用してはいないでしょうか?
これらはそもそも1つあればほとんど十分なほど暖かく眠れるので、併用してしまうと冬なのに暑くて寝苦しさを感じてしまうことがあります。そのため、冬は「冷え」だけでなく「暖めすぎ」にも注意して眠りましょう。
※1. 温湿度だけでなく睡眠前の体温の変化も最適化すべし
室温に加えて、睡眠前後の体温の変化も知っておくことで、睡眠をより快適にすることができます。
かいつまんで説明すると、夕方から睡眠前までの体温はやや上がりますが、入眠段階から明け方の間の体温は下がっていきます。
たとえ室温を最適化しても、あなたの体温が上がったままでは眠れません。そのため、温湿度を最適化すると同時に、やや上がった体温が下がりやすい状態にしておくことを心掛けましょう。
- 入眠直前に熱い風呂、シャワーを浴びない
- 入眠前に激しい運動をしない
- ゲーム、動画などに熱中しすぎない
などなど、眠る前はこのような体が(脳も)ヒートアップするようなことはくれぐれも避けましょう。寝苦しさや寝付きにくさの原因になります。
※2. 寝室の温湿度とあわせて大切な「寝床内気象」
「夏も冬も最適な温湿度にしているはずなのになぜか暑苦しく感じることがある。。。」とお悩みになったことはないでしょうか。
もし心当たりがあるとするならば、あなたは「寝床内気象(シンショウナイキショウ)(寝床内気候とも言う)」が最適化できていない可能性があります。
寝具と人との間にできる空間の温度や湿度のことを寝床内気候と呼びますが、温湿度をこのように設定すれば、快適に眠れる寝床内気候である温度32~34℃、湿度50±5%を保つことができます。
(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)
どういうことかと言うと、寝具やパジャマの素材が不適切だと、体温を下げるための発汗がうまくできないため、布団やパジャマ内部で熱がこもってしまい寝苦しさの原因になる、ということです。
睡眠中に人は200mlの汗をかく、と聞いたことがあると思いますが、その発汗は体温を下げるための生理現象です。あなたの寝具やパジャマの素材が、汗の吸い取りが悪い化学繊維(ポリエステルやアクリルなど)だと、布団内部が蒸れてしまいます。
素材 | イメージ | 柔らかさ | 滑らかさ | 吸湿性 | 放湿性 | 耐久性 | 洗濯性 | ||
天 然 繊 維 | 植 物 性 | 綿 (コットン) | ◯ | ◯ | ◎ | △ | ◯ | ◯ | |
麻 (リネン) | △ | △ | ◎ | ◎ | ◯ | ◯ | |||
動 物 性 | 絹 (シルク) | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ | △ | △ | ||
羊毛 (ウール) | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ | △ | △ | |||
化 学 繊 維 | 再 生 | レーヨン | ◎ | ◯ | ◎ | ◎ | △ | △ | |
合 成 | ポリ エステル | △ | ◯ | △ | – | ◯ | ◎ |
つまり、寝床内気象が高温多湿状態になり、不快で眠れなくなってしまいます。
寝具はなるべく天然素材が多く使われているものを使うこと、そして、暖かグッズ(毛布、電気毛布、獣毛パッド、ゆたんぽなど)は1つだけ、もしくは、多くとも2つだけの使用に留めることをおすすめします。
最後に
寝室と布団内の温湿度、そして、睡眠前の体温を最適化できれば、睡眠の質に大きな改善が見られると思います。
しかしもし「まだ睡眠の質に不満がある。。。」とお考えであれば、以下のページでこれまで紹介してきた、数々の研究で実証された良質な睡眠のために「するべきこと」と「してはいけないこと」を網羅的にまとめています。美味しいところ(結論)だけをつまみ食いできる構成になっています。是非ご一読ください。
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