夜尿症を治す可能性があるなら色々試してみたい、と夜尿アラームにも期待をしていると思います。
夜尿アラームは夜尿症の治療方法として世界的に認められている方法ですが、全ての人の夜尿症を改善させるほどの効果はなく、向き不向きがあります。
そこで本日は「夜尿症アラームの向き不向き、効果と具体的な使い方」をご紹介します。
Contents
1. 夜尿アラームって何?
夜尿アラームがどういうものか一言で言ってしまえば「パンツに取り付けたセンサーが夜尿に反応して知らせる仕組み」なのですが、「実際それで夜尿が治るの?」と半信半疑だと思います。
働きや向き不向きなどの特徴を具体的にご紹介していきます。
1−1. 夜尿アラームの目的
「夜起こしてトイレに行かせる」ことと「夜尿アラーム」とは似ているようですが、全く別物だということはご存知でしょうか?
- 夜起こしてトイレに行かせる
夜尿をしていない時でも決まった時刻に起こして排尿させるため、下手をすると夜中に排尿をする習慣を自ら作っていることになります。さらに、成長期の子供の場合、眠り始めの睡眠のコアタイム(成長ホルモンが多く分泌される時)を妨害するので、発育上よろしくありません。 - 夜尿アラーム
夜尿をするときだけ目を覚まさせる。そのため、夜間の排尿を習慣づけるものではないですし、睡眠を必要以上に妨害しません。
1−2. 夜尿アラームの効果
夜尿アラームを使ったらその日からすぐに夜尿時に目が覚める訳ではないですが、効果は徐々に現れてくると報告されています。
アラームを装着すると、その日から目覚めることはありませんが、少量の夜尿となり、数日後にはアラームにより覚醒して排尿するようになり、最終的には、朝まで夜尿をせずに過ごせるようになっています。(表)
(引用:「夜尿症 -その正しい理解のために-」 赤司俊二 著)
この表の30日間で何が起こったかと言うと、本人が眠っている間、無意識的にアラーム音に反応して夜尿を止めることを繰り返している内に排尿を制御する力が付いていき、夜間の膀胱の蓄尿量が増えていった結果、夜尿が改善されたと考えられています。
また、夜尿アラームが他と比べて優れている特徴として、夜尿アラームで症状を改善させられた場合、治療薬などと比べて再発率が低いという点があります。無意識とはいえ排尿を制御する力が付いていくからでは、と考えられます。
1−3. 人による向き不向き
ここまで読むと夜尿アラームで夜尿症が解決させられるように感じますが、人(症状の程度や環境)により向き不向きがあるので、あなたに合っているか考えてみる必要があります。
本治療(夜尿アラーム治療)は、約2/3の患者で有用とされているが、夜間多尿の患者より、覚醒困難の患者のほうがより有効と考えられている。
(引用:『夜尿症診断ガイドライン2016』 日本夜尿症学会 編集)
つまり、一晩に数回夜尿をする患者にはあまり効果が期待できないということです。
他にも、以下のようなケースだと、無効なことが多いと報告されています
- 飲食物の制限をしていない
- 夜尿者自身がアラーム治療を望んでいない
- 家族のサポートがない
例えば、子供の眠りは深いためアラーム音に気づかず起きられないことがあります。そのような時には家族が患児を起こしてサポートしなければなりません。
また、夜尿アラームの不快感が気に入らないため、使用をやめられるケースも少なからずあります。子供が強く嫌がるのであれば、夜尿アラーム以外の治療法を考えることをおすすめします。
1−4. 夜尿アラームの具体的な使い方
夜尿アラームは以下のように使います。
- アラーム音(もしくは振動)を覚え、その音で起きることをイメージしておく
- イラストのようにセンサーとアラームユニットを取り付ける
- 眠る
- アラームが鳴ったら起き、トイレで残りの排尿を済ませる
- 眠る(朝まで4と5を繰り返す)
使用者が子供の場合、使い始めはなかなかアラーム音で起きられないことが多いので、家族が起こしてあげるなどサポートするようにしましょう。
行動療法の補助としてのアラーム治療
「簡単に使えそうだから夜尿アラームを買ってみようかな」とお考えの場合は、少しお待ち下さい。
上記の説明の繰り返しになり恐縮ですが、「夜尿アラームはあくまで生活改善対策の補助的な役割」であり、夜尿アラームだけでは夜尿の改善は難しいです。
以下のチャートは医療機関での診療の流れですが、やはり生活改善対策が一番大事であることがお分かりいただけると思います。
また、夜尿の回数が多い場合にはあまり効果がないこともあり、あなたにとって本当に相応しい治療方法ではないこともあります。
そのため、夜尿外来や泌尿器科などの専門医と相談の上、使用するかどうかを決めることをおすすめします。
2. 夜尿アラームの入手方法
夜尿アラームの入方法は、購入とレンタルの2通りがあります。
嬉しいことに市販の夜尿アラームの価格は年々下がってきており、レンタルほどではないにしろ比較的リーズナブルなものも出てきました。
製品:おねしょモニターウェットストップ3
価格:8,590円
【当製品の販売ページ】
海外製品のようですが、日本語の説明書が付いているとのことなので、問題なくご使用いただけると思います。
製品:ピスコール2
価格:19,400円
【当製品の販売ページ】
できれば日本の製品がいいな、とお考えの方におすすめなのがこちらのピスコール2です。お値段こそはりますが岡山大学病院とアワジテック社が共同開発したものですので、より日本人に合わせた仕様になっています。また、購入ではなくレンタルプランも用意されており、レンタルなら4,039円から対応されているので、まずは試しに使ってみたい、という方はレンタルでのご利用から始められることをおすすめします。
2−1. 病院でレンタルもできる夜尿アラーム
夜尿外来や泌尿器科が、治療の一環として夜尿アラームを貸し出していることもあります。
例えば、東京都小平市の泌尿器科を持つ佐々木クリニックでは、本体0円(デポジット5,000円)、アラームセンサー2,100円、アラームパッド2,600円、でレンタルサービスを行っています。とても良心的な価格設定な上、医師に状況を診てもらいながら、導入から運用ができるのでとても有用です。
最後に
夜尿アラームがどういうものか理解する一助になっていれば光栄です。生活習慣の改善を行っている上で利用することを忘れないようにしましょう。
もし夜尿アラームだけでなく、生活習慣から改善を試みる行動療法や治療薬についても知りたいということであれば、こちらのページ『【図解】夜尿症の原因から治療までの体系的知識』で総括しているので併せてご参考にしてください。