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快眠のために!エアコン・扇風機を寝るときに使う5つのコツ

暑い夏の夜。

寝るときエアコンや扇風機を、何気なく使ってはいないでしょうか。

人の眠りにはメカニズムがあります。そのメカニズムに合わせてエアコン・扇風機を使えると、より快適に眠ることができます。

そこで今回は、

  • 睡眠の予備知識
  • エアコン・扇風機の使い方のコツ

をご説明します。

ぜひ参考にしてください。なお、エアコンなどの使い方のコツだけを知りたければ、いきなり2章から読み始めていただいても構いません。

※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。
著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。2,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。
取材依頼はお問い合わせから。
インスタグラムでも情報発信中⇒フォローはこちらから。


1. エアコン・扇風機を上手に使うための睡眠予備知識

まずは、知っておくと応用の利かせられる睡眠予備知識からご説明します。

1−1. 睡眠のための体温変化

人の体温は眠るときに大きく変化します。

このメカニズムを理解した上で、エアコン・扇風機を正しく使いましょう。

気持ち良く眠れて、爽快に朝を迎えられます。 

下のグラフをご覧ください。

眠る前、入眠から睡眠中、早朝時の体温変化を表しています。

眠る前、入眠から睡眠中、早朝時の体温の変化
眠る前、入眠から睡眠中、早朝時の体温の変化

このグラフで重要なポイントは、以下の3つです。

  1. 眠る前から深部体温(身体の内部の体温)は下がり始めている
    睡眠とは「脳の修復と回復」の時間です。その間、人の身体は省エネモードになります。その準備をするために、睡眠前から人の体温は低下し始めます。
  2. 入眠にともない、深部体温は下がり続ける
    眠りに入ってから早朝までの4時間の間に、1.5℃も深部体温が下がっています。、人は1晩にコップ1杯(200ml)の汗をかきますが、この発汗は体温を下げるのが目的です。寝室がムシムシして暑いと、このように体温が下げられず、真夜中に目覚めることになります。
  3. 体温は早朝に最低になり、起床に向かって上がる
    起床と活動の準備のために、明け方から体温が上昇し始めます。低血圧の方や、冬の朝が苦手な方は、この時間帯に体温が上がりづらいこともあります。

この体温のメカニズムに基づいた、エアコン・扇風機の上手な使い方を2章でご紹介します。

1−2. 睡眠中の最適な温湿度

睡眠に最適な温湿度を一言で表現するなら、「涼しくて、汗をかいてもサラッと乾く湿度」です。

これを数字で表すと、以下のようになります。

  1. 夏に最適な室温は26℃前後
  2. 布団の中の最適な温度は33℃度前後
  3. 理想的な湿度は、寝室・布団の中共に50%前後

(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)

つまり、まとめると、

  • 部屋の温度を26℃、湿度を50%前後に保つこと。
  • それと同時に、通気性・湿度管理にすぐれた寝具を使って、布団内の温湿度環境も33℃・50%になるようにすること。

この2点が大事になります。


2. エアコン・扇風機を使う5つのコツ

それではエアコン・扇風機を快眠のために、上手に使うコツをご紹介します。

①就寝前からエアコンで寝室を冷やしておく

「さあ寝るぞ」、というタイミングで寝室のエアコンをつけても、「涼しくなるまでに時間がかかり、なかなか寝付けなかった」という話をよく聞きます。

このような経験がある方は、就寝の1時間前から寝室を冷やしておくとスムーズに眠れます。

体温変化の1つ目のポイントを思い出してください。

1. 眠る前から深部体温(身体の内部の体温)は下がり始めている

そのため、部屋が暑いと深部体温の低下を妨げることになり、入眠しづらくなります。反対に、部屋の温度が涼しい状態だと、体温をスムーズに下がられます。その結果、寝入りもとてもスムーズになります。

また、寝室を冷やすときは、かけ布団をめくっておいてマットレス(敷き布団)やベッドシーツの熱がきちんととれるようにしましょう。

②エアコンは26℃で2時間のタイマー設定

眠る前にエアコンを消す方もいますが、暑い夜は眠ってからも2時間ほど、部屋を冷やし続けることをオススメします。

体温変化の2つ目のポイントを思い出してください。

2. 入眠に伴い、深部体温は下がり続ける

人の深部体温は、眠り始めから早朝までに1.5℃も低下します。睡眠中に室温が高くなると、以下のようなことが起こります。

  • 深部体温が下げられず、睡眠の質が下がる
  • 暑さで目が覚めてしまう(中途覚醒)

このようなことがないように、部屋の涼しさを保ちましょう。部屋を涼しく保ち、体温をスムーズに低下させることで睡眠の質をとても良くできます。

③暑さに敏感な人は早朝まで28℃の除湿設定

暑さに敏感だと、2時間タイマーでは物足りないかもしれません。

暑くて早朝に目を覚まして、エアコンのスイッチを入れ直したりしていませんか?

このような経験がある方は、起床予定時刻の2時間前までエアコンを28℃の除湿モードで稼動させてみてください。なぜ28℃の除湿なのかと言うと、

  • 長時間の冷気で身体を冷やしすぎないため
  • 湿度が低めの環境(50%前後)では、汗をかいても気化熱(汗が蒸発するときに肌から熱を奪う)により自然に涼しくいられるため

そして、なぜ起床予定時刻の2時間前にエアコンを停止させるのかというと、体温変化の3つ目のポイントと関係します。

3. 体温は早朝に最低になり、起床に向かって上がる

身体を休息から活動へと切り替えるには、体温を上げる必要があります。

そのため、早朝には体温が下がらず、上がりやすいようにするため、エアコンのオフタイマーを設定しましょう。スッキリと起床できます。

④冷気の直風を避ける

睡眠中にエアコンを使用する場合は、冷気が身体に直撃しないように配慮しなければなりません。

身体が冷えすぎてしまうと、目覚めたときの倦怠感やだるさにつながります。

そのためにできる対策は、以下の2つです。

  1. 風は上向きにする
    冷たい空気は重く下にたまり、暖かい空気は軽く上にたまります。そのためエアコンの風は上向きにし、暖かい空気を混ぜるようにしましょう。寝室の空気全体を万遍なく冷やすことができます。
  2. ベッドや敷布団は壁から離す
    意外と盲点ではないでしょうか。冷気の直風を避けたつもりで、エアコンの風を壁に当てていても、ベッドや敷布団が壁に接して置いてあると、エアコンの冷気が壁をつたって降りてきて、あなたの身体に直撃してしまいます。身体を冷やしすぎて睡眠の質を下げるだけでなく、体調を崩す恐れがあります。そのためベッドは壁から10~15cm程度離しましょう。

⑤扇風機は足元からそよ風を送る

エアコンだけでなく、扇風機にも使い方のコツがあるのでご紹介します。

そよ風を足元から送ると、湿度の高い環境でも快適に眠れます。驚愕の実験結果があります。

室温32℃、湿度80%の環境下で眠ると、暑くて何度も目が覚め、睡眠効率(※寝床にいる時間に対して実際に眠っている時間の割合のこと)が78%となりましたが、足元から秒速1.7mのそよ風を送ると中途覚醒が少なくなり、睡眠効率が95%へと大幅に改善しました。この結果は、室温26℃、湿度50%の快適環境下のもとで眠ったときの96%と同等でした。

(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)

なぜ風を当てるのが足元なのかと言うと、体温を下げるための放熱は足先と手先から行われるためです。

風を送り続けることによって、多少室温が高くても、身体の体温が下がられるのです。この方法も起床予定時刻の2時間前を目安にタイマーをかけることをオススメします。エアコンなしでも快適に眠れます。

また、風力の強弱が設定できない扇風機をお使いの場合は、風を部屋の壁に当てる方法をオススメします。 部屋の中で空気の流れが生まれ、結果的にそよ風を感じられます。熱のたまりやすい天井に向けて風を送り、空気を混ぜるのも良いでしょう。 

このときも、壁から降りてくる風が直撃しないよう気をつけてください。


まとめ

睡眠のメカニズムと併せてコツをご紹介したので、納得していただけたかと思います。今回ご紹介したコツで、あなたが熱帯夜を乗り越えられれば幸いです。

なお、以下のページでこれまで紹介してきた、数々の研究で実証された良質な睡眠のために「するべきこと」と「してはいけないこと」を網羅的にまとめています。美味しいところ(結論)だけをつまみ食いできる構成になっています。是非ご一読ください。

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