「夜中、ひどい寝汗でパジャマがベトベトになり目が覚めた」
このような経験はないでしょうか。
睡眠中に汗をかくことは、快眠の役割の1つです。
しかし、寝汗の量が多すぎると話は別です。べちゃっと蒸れてしまうと睡眠の質が下がるので、原因をつきとめて対策をする必要があります。
そこで今回は、
- 寝汗の5つの原因とピンポイント対策
- グッズなどでの対策方法
などについてご紹介します。ぜひご参考にしてください。
※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。 |
Contents
1. 寝汗のメカニズム|ひどい寝汗はなぜダメなのか
まず本題に入る前に、
- 寝汗のメカニズム
- なぜ寝汗をかきすぎるのがダメなのか
これらについてお話しさせてください。
そうすることで対策をより深く理解いただけるはずです。
まず、なぜ人は寝汗をかくのか?
これは体温を下げるためです。下のチャートにあるように、人は眠り始めから早朝までに体温が1.5℃も下がると報告されています。
そして、1.5℃も体温を下げるために、私たち人間は眠るときにコップ1杯分の汗をかいているのです。
下記のようなイメージです。
- 汗をかく
- 汗が肌から蒸発するときに熱も一緒に奪われる
- 体温を下げられる
こういう背景から、睡眠を快適にして深めるために、ある程度寝汗をかくことは大事なのです。
ただ、寝汗をかきすぎるのは問題です。
というのも、体が脱水気味になるからです。これは簡単にイメージしていただけるかと思いますが、汗をたくさんかいて体から水分が失われているのにもかかわらず、7時間も水分補給ができないまま過ごしているとなると、、、これは脱水気味になっても仕方ないですよね。
こういった理由から、寝汗をかきすぎてしまうと、
- 起床時の疲労感やだるさ
- 起床時の頭痛
などの症状を感じやすくなるのです。
1-1. 寝汗がひどい5つの原因とケース別対策
前置きがちょっと長くなってしまって恐縮です。
早速、寝汗がひどくなる5つの原因と対策について紹介していきます。
①暑いと感じる不快な刺激
暑いと感じるときに出る汗を、温熱性発汗と呼びます。
睡眠中の温湿度が適切でないと、体温を下げるために寝汗がひどくなります。
寝室の温湿度を最適化しましょう。
睡眠に適切な温湿度は、下記のようになります。
- 寝室温度:夏は26℃前後 、冬は18℃前後
- 寝室湿度:通年50%前後
- 布団内温度:通年33℃度前後
- 布団内湿度:通年50%前後
(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)
大事なポイントは3,4番目の布団の中の温湿度です。
というのも、いかにエアコンで寝室の温湿度を調整しても、寝具(主にパジャマ、シーツ、掛敷布団)の素材が不適切(主にポリエステル)だと蒸れてしまって、体温を下げにくくなるからです。そしてその結果、寝汗がひどくなります。
2章の対策をご覧ください。
②精神的刺激(ストレス)
緊張、不安、恐怖などのストレス(精神的刺激)が原因で出る汗を「精神性発汗」と呼びます。
精神的な刺激によって交感神経が優位になり汗が出るのは普通のことです。例えば、大勢の前でスピーチをするときに汗をかくようなときのことです。
ただ、こういった原因で寝汗がひどくなる場合、原因が1つのようで2つあるのです。
- 一次的なストレス
- 発汗を意識しすぎることによるストレス
例えば、「来月のプレゼンうまくいくかなぁ」という心配によって寝汗がひどくなってしまうのは一次的なストレスでの発汗ですが、それを心配しすぎてしまうことで二次的なストレスを生んでしまって、さらに寝汗をひどくすることにつながってしまう、ということがあるのです。
それでは対策はどうすればいいのかと言いますと、一次的なストレスについてはご自身でどうにかしてもらうしかありません。例えば、プレゼンに対する緊張でしたら準備やリハーサルを徹底的に行なったりするとか、他にも例えば、人間関係で悩んでいるということでしたら、心療内科とかでカウンセリングを受けてもらったりする、などしていただけると良いかと思います。
二次的なストレスについて言いますと、これは準備をすることである程度抑えることが期待できます。つまり、発汗への意識がストレスとなっているので、汗をかくことへの準備をすることで気持ちを落ち着けられて、結果的に発汗も落ち着けられるだろう、ということです。例えば、寝る前に水をやや多めに飲んでおいたり、それこそ、吸水性の良い寝具を揃えたりすることがおすすめです。
寝汗対策をすることで、気持ちが落ち着き安心できれば、症状が和らぐことが見込めます。
③アルコール
アルコールが原因で寝汗がひどくなる可能性もあります。
というのも、アルコール摂取の2~3時間後、体内でアルコールが分解されると「アセトアルデヒド」という物質になります。この物質は人体にとって有害なため、体が汗や尿として体外へ出そうとするのです。そのため、寝酒の習慣があると、眠り始めに寝汗をかきやすくなるのです。
そのため、飲酒は適量を、そして早い時間帯(就寝の3時間前)に飲むように心がけましょう。
厚生労働省によると、「節度ある適度な飲酒」のアルコール量は約20gとのことです。これを代表的なアルコール飲料で表すと、以下のようになります。
お酒の種類 | アルコール度数 | 適量 | |
ビール | 5% | 中瓶1本 | 500ml |
日本酒 | 15% | 1合 | 180ml |
ウィスキー | 43% | ダブル | 60ml |
焼酎 | 35% | 1合 | 180ml |
ワイン | 12% | 1杯 | 120ml |
缶チューハイ | 7% | 1缶 | 350ml |
(参考:厚生労働省(一部改変))
もちろん、この数値は一般的なものです。
お酒が弱い方や高齢者は、この数値よりも少なめが適量と捉えましょう。
④女性ホルモンの乱れ
女性に特有のケースです。女性の身体は男性と比べて、複雑で繊細な構造になっています。
二大女性ホルモンと言われる、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があります。「エストロゲンは美肌ホルモン」として、「プロゲステロンは妊娠をサポートするホルモン」として知られています。これらのバランスが乱れたとき、寝汗をかきやすくなります。
以下のような状況のとき、この2つのホルモンのバランスが乱れてしまいます。
- 更年期
女性が50代に近づくとエストロゲンの分泌量が急激に減少し始めます。このとき、女性ホルモンのバランスが崩れやすく、自律神経が乱れがちになります。そのため、普段、自律神経がコントロールしていた器官(体温、血圧、発汗、呼吸)が支障をきたします。そのうちの1つの症状が、ひどい発汗や寝汗なのです。 - 妊娠中、生理前、生理中
このようなとき、女性の体内でプロゲステロンが優位になります。プロゲステロンは睡眠作用があるといわれ、眠りやすくはなります。しかし、基礎体温が高くなるため、寝汗を促す原因になります。
ホルモンバランスの乱れを改善するには、以下の3つの方法がオススメです。
- ストレス発散
ホルモンバランスが乱れているときはイライラしてしまいがちです。後々後悔してしまうような暴飲暴食ではなく、爽快感やリラックス効果のある方法でストレスを発散しましょう。 - 軽い運動
身体を動かすことにより、血の巡りを改善し、爽快感も味わうことができます。長い間運動から遠ざかっていた人は、週1回のウォーキングから始めてみましょう。 - 十分な睡眠
ホルモンバランスや自律神経を整える上で、質の良い眠りを十分にとる必要があります。家事や育児に忙しいとしても、寝不足にならないように気をつけましょう。
しかし症状が深刻な場合は、婦人科を受診するなどして、専門医のアドバイスを受けることも大切です。
⑤病気
もし上の4つに当てはまらないとすると、発汗を伴う他の病気を患っている可能性があります。
ひどい寝汗以外に、以下のような症状がないかチェックしましょう。
- 首の腫れ、動悸、イライラ、眼球突出
甲状腺の病気のバセドウ病の可能性があります。内科もしくは内分泌科を受診しましょう。眼球が突出している場合は、眼科へも受診しましょう。 - 異常に口が乾く、尿の量が多い、急激な体重の減少
糖尿病の可能性があります。糖尿病内科もしくは内科を受診しましょう。 - 疲労、めまい、頭痛、動悸、肩こり、吐き気
自律神経失調症の可能性があります。精神科もしくは心療内科を受診しましょう。
もしこのような症状に心当たりがあれば、なるべく早い受診をお勧めします。
2. その他グッズなどでの対策
体質や精神面が原因となって寝汗がでているとなると、すぐには改善しません。
そのため、ある程度は寝汗を受け入れる必要があります。
とはいえ、ひどい寝汗のまま眠るのはツライですよね。
なので、寝汗対策グッズなども一緒に活用していきましょう。
2-1. 寝具素材は吸放湿性があるものを使う
- パジャマ
- ベッドシーツとカバー
- 掛布団
などの素材は、吸放湿性があるものを使いましょう。
素材 | イメージ | 柔らかさ | 滑らかさ | 吸湿性 | 放湿性 | 耐久性 | 洗濯性 | ||
天 然 繊 維 | 植 物 性 | 綿 (コットン) | ◯ | ◯ | ◎ | △ | ◯ | ◯ | |
麻 (リネン) | △ | △ | ◎ | ◎ | ◯ | ◯ | |||
動 物 性 | 絹 (シルク) | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ | △ | △ | ||
羊毛 (ウール) | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ | △ | △ | |||
化 学 繊 維 | 再 生 | レーヨン | ◎ | ◯ | ◎ | ◎ | △ | △ | |
合 成 | ポリ エステル | △ | ◯ | △ | – | ◯ | ◎ |
絶対に守ってください。
あなたがかいた汗をさっと吸収して発散してくれるかどうか、肌心地が大きく変わります。また、体温をスムーズに下げられるかどうかも影響します。特に、パジャマは体の一番近くにあるものですので、もっとも気をつけるようにしてください。
2-2. 汗取りパッドを使う
汗を取りパッドも大切です。
汗で蒸れずに快適に眠れるのはもちろんのこと、敷布団やマットレスを寝汗で汚すことを心配しなくて良くなるので気持ちがだいぶ楽になります。
商品 | 快眠タイムズ 除湿・消臭敷きパッド |
生地 | 綿100% |
中わた | ポリエステル100%(吸湿材シリカゲルB型入り) |
特徴 | 吸水性◎、吸湿性◎、放湿性◎、消臭◎ |
送料 | 無料 |
サイズ | シングル:約100×205cm、セミダブル: 約120×205cm、ダブル: 約140×205cm、クイーン: 約160×205cm、ワイドキング: 約200×205cm |
価格 | シングル:5,980円、セミダブル:6,980円、ダブル:7,980円、クイーン:8,980円、ワイドキング:9,980円 |
リンク | 商品ページはこちら |
肌触り | 吸水性・吸湿性 | 放湿性 | 体圧分散性 | お手入れ | その他 |
◎ | ◎ | ◎ | △ | ◎ | 消臭 |
寝汗の多い方におすすめの敷きパッドです。
自社製品で恐縮ですが、コーミング加工をした高品質な綿100%の敷きパッドです。お菓子の袋の中によく入っている除湿剤のシリカゲルを中材に詰めているため寝汗をとてもよく吸収します。熱帯夜でもカラッと爽やかに眠れます。また、シリカゲルには消臭効果もあるので、汗臭、加齢臭、タバコ臭などもスッキリ除去します。
2-3. 寝る前にリラックスする
副交感神経を優位にして自律神経を整えられるようなリラックス法を行うことで、寝汗の改善を期待できます。
あなた独自のリラックス法があればそれで十分ですが、私がおすすめするリラックス法の①筋弛緩法と②足湯をご紹介します。
筋弛緩法とは
筋弛緩法とは「筋肉を意図的に緊張させてから緩める」リラックス法です。詳細についてはこちらのページ『筋弛緩法でリラックス!イラストでわかるやり方3ステップ』に譲りますが、不眠指導の現場で採用されるほどリラックス効果に定評があります。
下のイラストとやり方を参考にして、行ってみてください。
筋弛緩法で手と腕のリラックス
- 拳をぐ〜っと握りながら、手首をゆっくり返していきます。
- そのまま5~6秒キープ。
- 脱力。10秒ほど力の抜ける感覚を味わう。
筋弛緩法で脚のリラックス
- 脚を伸ばした状態で、アキレス腱をぐ〜っと伸ばします。
- そのまま5~6秒キープ。
- 脱力。10秒ほど力の抜ける感覚を味わう。
足湯の方法
40度前後の少し熱めのお湯に、くるぶしまで足を入れましょう。
たった10分ほどでも身体全体が温まり、とてもリラックスできます。口の広いバケツにお湯を入れ、リビングの椅子やソファに座りながらの足湯でも大丈夫です。リラックスして環境で行いましょう。
足湯のリラックス・睡眠導入効果は実験でも証明されており、山梨大学医学部付属病院の研究チームにより以下のように報告されています。
…実際に足浴は入眠効果があると考えられる。その根拠として、本実験での足浴後の変化は、副交感神経活動の指標であるHFの増加、自律神経系の調節能力を示すBRSの増加、足部の皮膚温の上昇と血流量の増加、その維持といったものをあげることができる。
(引用:『日本看護技術学会誌 Vol. 8,No. 3』内「足浴が生体に及ぼす生理学的効果」金子健太郎、熊谷英樹、尾形優、竹本由香里、山本真千子 著)
是非、ご家庭でお試しください。
また、体が温まり発汗効果があるので、就寝2時間前に行うようにしましょう。
最後に
あなたの寝汗の原因の目星はつきましたか?
もちろん全ての対策を行う必要はありませんし、対策を全て完璧に行ったからといって寝汗が無くなることもありません。
あなたの寝汗状況に応じておすすめの対策をいくつか行い、寝汗の量が和らいだり、処理の手間が減らせられることを目指しましょう。
なお、以下のページでこれまで紹介してきた、数々の研究で実証された良質な睡眠のために「するべきこと」と「してはいけないこと」を網羅的にまとめています。美味しいところ(結論)だけをつまみ食いできる構成になっています。是非ご一読ください。
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