睡眠

寝不足の辛い症状を解消!睡眠の質を上げる3つのアプローチ

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22時まで残業。帰り道で夕食を済ませて23時過ぎに帰宅。友人とネットでソーシャルしながら家事をすませて、お風呂に入って、、、ベッドに入るときは1時過ぎ。

「明日6時半に起きないといけないのに。また寝不足だ。明日、仕事中に頭が回らなかったらどうしよ。」

あなたはこのような生活を繰り返しはいませんか?寝不足は、あなたの生活の質を下げるので、十分に眠らないといけません。とはいえ、たっぷりと眠る時間をとるのは難しいと思います。

十分な睡眠とは「睡眠時間 × 睡眠の質」です!時間が足りないなら睡眠の質を上げ、寝不足対策をしましょう!

今回は、寝不足により起こる症状を確認し、その次に、睡眠の質を上げる方法をご紹介します。
時間の足りないあなたでも、きっと寝不足による症状と別れられます!

1. 寝不足でこのような症状を感じていませんか?

寝不足による脳と身体への悪影響には、大きく分けると2つの原因があります。1つ目に、脳の修復と回復ができないため。2つ目に、自立神経が乱れるため。

それでは、1つずつ分かりやすく解説します!

1−1. 脳の修復と回復ができず現れる症状

睡眠の役割は、「日中に疲れた脳の修復と回復」です。睡眠が足りなくなると、脳の修復と回復ができずに、脳に疲労物質が溜まってしまいます。その結果、脳のパフォーマンスや免疫力が下がります。

  • ぼーっとする。
  • 物覚えが悪くなる。
  • 日中だるい。
  • ものごとを選ぶだけで疲れる。
  • 体調を崩しやすくなる。

さらに、頭が回っていない上に判断力も鈍っているので、ついついジャンクフードや甘いもの、味付けの濃いものを食べ過ぎてしまいます。その結果、

  • 肌が荒れる。
  • 太りやすくなる。

また、寝不足が極度のレベルの疲労に達すると、

  • マイクロスリープ(微小睡眠)

マイクロスリープとは、睡眠不足により脳が自己防衛手段として行うシャットダウンです。つまり、あなたの意志とは関係なく、眠りに落ちてしまうのです。1秒から数秒の短い眠りのため、マイクロスリープと呼ばれます。運転中や作業中に起こると非常に危険ですから、眠気が強いときは仮眠をしましょう。

1−2. 自立神経の乱れにより現れる症状

自律神経とは何か、簡単に説明すると、

・自律神経とは
あなたの身体全体に張り巡らされている神経。「あなたが意識しなくても活動している身体の器官」をコントロールしています。例えば、心臓が身体中に血液を送っていたり、ご飯を食べたら胃が消化してくれたり、これらは全て自立神経がコントロールしているんです。

そしてこの自立神経は、「交感神経」と「副交感神経」という2つの神経から成り立っています。この2つの神経は表裏一体の関係で、正反対の働きをします。

1. 交感神経
活動時や興奮・緊張しているとき、ストレス下で働く。瞳孔が広がる、心拍数が増える、覚醒度が上がる、という反応が身体に現れます。

2. 副交感神経
休息時やリラックスしているときに働く。脈拍を抑える、消化を促す、覚醒度を下げる、という反応が身体に現れます。

通常、夜に眠るとき「副交感神経」が優位になり、脳と身体が休息します。しかし、寝不足になると、「交感神経」が夜になっても優位になり続けます。その結果、自律神経が乱れてしまいます。

自立神経が乱れると、下のような症状が現れます。

  • めまい
  • 吐き気
  • 動悸

めまいは、血圧をコントロールする自律神経が乱れることで、脳に送られる血液が不足し、起こります。一方、周りがグルグルと回るめまいは、耳の奥の三半規管に問題がある可能性が高く、動揺性めまいと呼ばれています。この場合は、耳鼻科や神経外科に診察にいきましょう。

吐き気と動悸も同じく、自律神経が乱れることで、臓器の機能が低下したことによる不調のサインとして現れます。

  • 肩こり
  • 頭痛

交感神経がずっとオンの状態が続くと、体温が上がり微熱を感じます。さらに、頭・首・肩の筋肉が緊張し、血流が悪くなり、肩こりになります。また、筋肉が緊張することで、神経を刺激し、頭痛を引き起こします。

2. そもそも、あなたは寝不足なのか?

「最近、たまにめまいがするけど、忙しくて6時間しか眠れてないから、寝不足が原因かな?」と寝不足を理由にするのはお待ちください。

もし、あなたがこれまで6時間睡眠をずっと続けていて不調がなかったのなら、めまいの原因は寝不足ではなく、他にあるかもしれません。

2−1. 必要な睡眠時間は人によって異なる

必要な睡眠時間には個人差があります。そして、その差は意外と大きいのです。

全人口の80〜90%の人は、6〜9時間の睡眠を必要とします。6時間以下の睡眠でも十分、健康的な生活を過ごせる短眠者(ショートスリーパー)と9時間以上の睡眠をとらないと不調を感じる長眠者(ロングスリーパー)が、それぞれ5〜10%程度存在しています。

平成21年に日本で行われたアンケート調査でも、同じような結果が出ています。

アンケート調査:5417人の理想的な睡眠時間
アンケート調査:5417人の理想的な睡眠時間

2−2. 寝不足なのかチェックしよう

寝不足かどうかのチェック方法は1つ、「今より長く眠り、体調が改善されるか」で判断します。

例えばあなたが、

①平日に6時間睡眠②休日に8時間の睡眠をとっているとします。そして③日中、「以前より集中力が落ちた」、「肩こりが以前よりひどい」と感じており寝不足が原因なのか調べたい。

と仮定します。

平日は7時間、休日は9時間に睡眠時間を伸ばし、10日間続けてみてください。

①早朝の睡眠サイクルは短いので、平日は60分長く眠ります。
②身体のリズムを保つために、休日の起床時間は、平日と2時間以上ずれないようにします。
③すぐに改善はしません。10日間続け、「集中力の低下と肩こり」が改善されていたら、寝不足からの症状であったと断定できます。

もし何も改善していなければ、寝不足ではなく原因が他にある可能性が高いので、病院に診察にいきましょう。

3. 来週には元気!睡眠の質を上げて寝不足を解消する方法!

「なるほど、とにかく眠れば寝不足を解消できるのはわかった。でも現実問題として、時間がないから寝不足になっているんだ」と、あなたは考えているかもしれません。

それでは、睡眠の質に目を向けてみませんか。

つまるところ十分な睡眠とは、「 睡眠時間 × 睡眠の質」です!時間のない方は睡眠の質を上げることで、寝不足を解消に取り組みましょう!

次に、睡眠学に基づいた睡眠の質を上げるかんたんな方法を、下の3つのアプローチ順にご紹介します。

1. 身体と眠りのメカニズムからのアプローチ
2. 睡眠環境からのアプローチ
3. 寝具環境からのアプローチ

地道な方法ですが真面目に取り組めば、きっとあなたの睡眠の質が良くなることをお約束します。

※注:取り組み前のお約束
これから、睡眠の質を上げる方法をご紹介しますが、「全部やろう!」と意気込み過ぎないようにしましょう。また、「絶対にこの方法を1週間続けよう!」と完璧主義になってもいけません。意気込みすぎることで、無意識にストレスを感じ、その結果、睡眠の質が下がります。なので、できそうなことを1つか2つ選び、気楽に行ってください。

3−1. 身体と眠りのメカニズムからのアプローチ

身体と眠りのメカニズムに基づいた睡眠の質を高める方法です。習慣づける必要がありますが、大きな変化を実感できます。

3−1−1. 生活に運動を取り入れる

運動は3つの理由から、睡眠に良い影響を与えます。

1. 体温のリズムを睡眠モードにするため。
2. 副交感神経を優位にするため。
3. 適度に身体が疲れるため。

1つ目の理由の体温のリズムがどう睡眠モードになるのかというと、下のグラフをご覧ください。

人の体温のリズム(1日単位)
人の体温のリズム(1日単位)

人の身体は早朝に体温が最も低く、夕方に最も体温が高くなります。そして、夜になり身体が入眠の準備を始めると体温が下がり始めます。

そのため、就寝の2〜3時間前に運動により体温を上げておくことで、リズム通りに入眠に向けて体温が下がっていきます。その結果、自然に脳と身体が入眠モードになり、質の高い睡眠を得られます。

2つ目に、爽快感を得られる程度の運動は、副交感神経をオンにします。そのため、身体の緊張をほぐすリラックス効果があり寝つきが良くなります。一方、激しい運動は交感神経をオンにします。脳を活発にします。激しい運動を行う方は、睡眠の3時間前に済ませるようにしましょう。

3つ目に、身体が適度に疲れることで、眠りに入るまでの時間を早めるだけでなく、熟睡感が増します。限られた時間の中で眠る方には、嬉しいメリットですね。

手軽にできる運動をご紹介します。

・食後の運動
食後の運動を兼ねて、30分程度のウォーキングやスロージョギングはどうでしょうか。習慣づけれれば、睡眠の質を上げるだけでなく、ダイエット効果も期待できます。

・ながらエクササイズ
テレビや動画を見ながら腹筋運動、掃除をしながらスクワット、片足立ちや背伸びをしながら家事。時間がない方におすすめです。

・いつもの移動に+α
夕方以降はエスカレーターは使わず、階段を使う。歩幅を広くする。通勤の帰り道に最寄駅の1駅前で下車して歩く。

どうでしょうか。何か1つくらいは取り組めそうなものがあると思います。まずは気軽に試すところからスタートしてみてください。

3−1−2. 食事は睡眠の3時間前に済ます

満腹のときは眠りやすいから、という理由で、食後すぐに寝ていませんか?

食事により上がった血糖値を下げるために、インシュリン(休息ホルモン)が分泌されます。そのため、食後は眠気を感じるのです。しかしこのとき、体内の臓器は食べ物を消化するため活発になっています。なのでこの状態で眠ってしまうと、脳が休まりにくくなり、睡眠の質が大きく低下してしまいます。

なので、食事の時間が調整できれば、就寝の3時間前に夕食を済ましましょう。

3−1−3. ぬるま湯でリラックス

就寝の1〜2時間前に、39℃以下のぬるま湯に15分程度つかるのも睡眠の質を高めます。上で述べた、運動で上げた体温が下がっていくとき、スムーズに入眠モードになる、というのと同じ理屈です。

しかし、熱めのお風呂は、交感神経を優位にして、眠気を遠ざけてしまうので、もしあなたが、熱めのお風呂が好みであれば、入眠の2〜3時間前に入浴されることをオススメします。

・睡眠の質を上げる入浴法
39℃以下のぬるま湯をセッティングします。お風呂場をほの暗くします。脱衣所の明かりだけ付け、お風呂場の電気は消します。バスキャンドルを使うのも良いでしょう。太ももやふくらはぎ、肩をマッサージしたり、ストレッチをし筋を伸ばす。アロマがお好きな方は、浴槽にアロマオイルを数滴垂らすと良いでしょう。

お風呂の照明の照度は、わりと明るいので眠気を遠ざけてしまいがちです。ほの暗い環境での入浴を試してみてください。コロッと入眠でき、朝スッキリ起きられます。ただし、転倒や寝落ちしないよう、十分気をつけてから行ってください。

3−1−4. 寝酒をしない

アルコールの摂取は、入眠を促しますが睡眠の質は下げます。

アルコールが脳と身体の緊張をほぐし、体温が一時的に上がった後に下がるので、身体が完璧な睡眠モードに入ります。しかしこの後に、落とし穴があります。

アルコール摂取の2〜3時間後に、体内でアルコールが分解されると、アセトアルデヒドという物質になります。この物質が、交感神経を優位にする作用があります。そのため、アルコールを飲んでから眠ると、眠り始めの睡眠の質が激しく下がります。

例えば、お酒をたくさん飲んだ夜中、目を覚ましたことはありませんか。これは交感神経が優位になり、睡眠が浅くなった結果です。

さらに、眠り始めの3時間は、睡眠のゴールデンタイムやコア睡眠と呼ばれる睡眠の中でも大切な時間です。このときに、成長ホルモンが多く分泌されます。下の図の通りです。

睡眠と成長ホルモンの分泌の関係
睡眠と成長ホルモンの分泌の関係

(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)

成長ホルモンとは、脳下垂体前葉から分泌されるホルモン。骨の発達や、タンパク質の合成を促進し、身体の成長や修復、疲労回復のために重要な働きをします。肌や髪の毛、筋肉を美しく維持するためにも大切です。

寝酒は入眠には良いが、睡眠の質を大きく下げます。なので寝酒は極力控えましょう。

3−1−5. 起きたら太陽の光を浴びる!

朝起きたら、窓辺で太陽の光を浴びる時間を作ってみましょう。眠りホルモンを上手くコントロールすることで、あなたの睡眠の質を上げられます。

朝、光を浴びると、脳内で幸せホルモンのセロトニンが分泌されます。そして、その14〜16時間後にセロトニンが、眠りホルモンのメラトニンを合成します。体内のメラトニン量が増えると、深部体温が下がり、スムーズに深い睡眠に入りやすくなります。

例えば、朝7時に起床し太陽の光を浴びると、21〜23時に体内の睡眠ホルモンの量が増えます。図で表すと下のようになります。

時刻毎のメラトニン分泌量
時刻毎のメラトニン分泌量

注意点として、明るいところでは分泌が抑制される、という性質がメラトニンにあります。なので夜間に部屋が明るいと、朝の浴びた光の効果が弱ってしまうので、お気をつけください。

3−1−6. 週末の寝だめは起床時間のズレを2時間以内に抑える!

寝だめは2時間までが鉄則です。

「せめて休日くらいは、、、」と考えて、休日にお昼まで寝だめをすると、一時的には寝不足は解消されますが、体内時計のリズムが崩れます。その結果、また寝不足になってしまうことがあります。

具体的に説明します。「平日朝7時起床、夜23時就寝、休日は昼まで寝だめのケース」。

平日は、朝7時に太陽の光を浴びることで、脳内でセロトニンが分泌されます。そして、その14〜16時間後の21〜23時に、セロトニンが「眠りホルモンのメラトニン」を合成し、身体が入眠モードになります。下の図のようになります。

時刻毎のメラトニン分泌量
時刻毎のメラトニン分泌量

週末に寝だめをし11時に起床の場合、夜中の1時〜3時にメラトニン量がやっと増えてきます。そのため、いつも通り23時に眠ろうとしても、寝つきが悪くなってしまいます。

時刻毎のメラトニン分泌量(寝だめをした場合)
時刻毎のメラトニン分泌量(寝だめをした場合)

しかし翌日の月曜日は、7時には起きなければならず、結果として睡眠時間が短くなり、また寝不足になってしまいます。ちなみに、このように生体リズムが崩れたために体調が優れない月曜日のことを、ブルーマンデーと呼びます。

とはいえ、週末の朝くらいは、ゆっくり眠りたいという気持ちはわかります。そのような方は、休日の起床時間が平日と2時間以上ずれないようにしましょう。

また、昼に仮眠をしてもOKです。いったん朝に起きておけば、夜はスムーズに眠れます。

3−2. 環境からのアプローチ

1度、睡眠環境を整えてしまえば、のちのちの努力は要りません。セッティングをするだけで、これから毎日の睡眠の質が上げられます。

3−2−1. 光環境を整える

光環境は2つの場面で整える必要があります。

1. 夕食後のあなたの活動範囲の光環境
2. 眠るときの寝室の光環境

1つ目に、夕食後はリビングの照明を抑え、暗めの環境をつくりましょう。日本の一般的な室内照明の照度は、300〜500ルクス程度です。この照度でも、睡眠ホルモンのメラトニンの分泌を抑制し、眠気を遠ざけてしまいます。下の表をご覧ください。

照度(ルクス) 日常的な明るさの例
100,000lx 晴れた日の屋外
10,000 – 20,000lx 曇りの日の屋外
2,500 – 5,000lx 晴れた日のオフィスの窓際
1,000 – 2,500lx コンビニ・スーパー
500 – 1,000lx 一般的なオフィス
300 – 500lx 日本の一般的な家庭の室内
100 – 300lx 地下鉄の通路
9lx 豆電球
2lx iPhone4 最も照度が低い画面
0.2lx 晴れた満月の夜の屋外

もしあなたの部屋の照明の明るさが調節できるなら、夜はなるべく暗くしてみましょう。入眠をスムーズにし、睡眠の質を高められます。照明に調整機能がない場合は、暖色の間接照明器具を使い、部屋の照度を抑えられます。

2つ目に、就寝時の寝室の明るさも適切なものがあります。真っ暗よりも明りが少々ある環境(0.3lx)の方が、深い睡眠が得られた、との実験結果があります。よって、寝室の電気を消してカーテンを少し開け、月明かりが多少入る程度の明るさにすると良いでしょう。

余談ですが、「ベッドでスマートフォンを使用するのはいいのか?」という質問もたまに受けます。照度という観点からは睡眠の質に影響は与えない、との実験結果があります。

アメリカの精神科医、ルイス・クラーン氏が行った実験では、iPhone4の液晶画面の光度を最も下げ、ゼロ距離で照度を計ったところ、2lxと計測され、睡眠の質に影響を与えない、とのこと。

(引用:『In Bed With a Mobile Device: Are the Light Levels Necessarily Too Bright For Sleep Initiation? 』ルイス・クラーン 著)

しかしあくまで、照度という側面での話であり、スマートフォンを使用して脳がアクティブになることで眠気が遠ざかることは言及していません。

3−2−2. 室温・湿度を最適化する

室温と湿度は、睡眠環境の中でもとても重要な要素です。特に、亜熱帯化している日本の夏場は、なかなか寝つけなかったり、暑くて夜中に目がさめたりと睡眠の質が下がってしまいがち。「エアコンや扇風機の風で身体を冷やしすぎて、体調が崩れた。。。」という方もいるでしょう。

実は、温湿度も2つの場所で整える必要があります。

1. 眠る前の寝室
2. 睡眠中の布団の中

1つ目に、人が最も気持ちよく感じる室温は、冬では17〜18度、夏では25度。湿度は55%前後と言われています。個人差もあるので、これを目安に調整してください。

湿度の参考までに、気象庁のデータによると、2015年1月の東京の平均湿度が52%、同6月が75%、同8月が78%です。乾燥気味の状態が快適なのです。

寝床内気象 布団の中の最適な温度と湿度
寝床内気象 布団の中の最適な温度と湿度

2つ目の点が睡眠にとても重要です。布団の中の温湿度環境を「寝床内気象」と呼びます。

眠るときに実際に肌で感じている温湿度です。

これは年中変わらず、温度33度前後、湿度50%前後と、暖かく乾燥した状態が、最も気持ちよく感じられます。

眠るときに肌で感じる湿度が、睡眠に大きな影響を与える例として、以下の実験があります。

実際、裸のままで室温を29℃にした中性温度で眠ってもらった場合、湿度を50%から75%へと上げると、夜間睡眠中であるにもかかわらず、体温は約0.1℃上昇しました。さらに、室温を35℃に設定した場合、湿度を50%から75%に上げると、体温は約0.4℃上昇しました。

(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)

通常、眠りに入ると共に体温は下がっていきます。しかし湿度が上がってしまうと、身体は体温を下げられなくなります。その結果、暑くて夜中に目が覚めるなど、睡眠の質を下げてしまうのです。

では、どうすればいいのか?

寝床内気象の湿度を整えるためには、通気性・吸放湿性の良い寝具を選ぶと良いです。下の寝具からのアプローチで分かりやすく説明します。

また、エアコンを使用する際に、室温だけでなく湿度にも気を配るようにしましょう。なお、エアコンを上手に使うポイントが2つあります。

1. 就寝前にあらかじめ部屋を適温にする。
夏場、いざ眠るときにエアコンをつけても、「部屋の温度がおちつくまでに時間がかかり、暑くてなかなか眠りにつけなかった」という経験はないでしょうか。就寝の1−2時間前にエアコンをつけ、寝室のベッドや壁を冷やしておくと、スムーズに入眠ができ睡眠の質を高めることができます。冬場も同じく、事前に部屋を暖めて置いたり、ゆたんぽなどでベッドの中を暖めておくことで、寒さで身体が緊張することがなくなりスムーズに眠りに入れます。

2. ベッドを壁から10〜15cm離して置く。
ベッドが壁に接して置いてあると、エアコンの冷気や暖気が壁をつたって降りてきて、あなたの身体に直撃してしまうからです。夏は身体を冷やしすげてしまいますし、冬は乾燥でのどを悪くする原因になります。睡眠の質を下げるだけでなく、体調を壊す恐れがあるので、ベッドは壁から離しましょう。

さっそく今晩、試してみてください。

3−2−3. 音環境にも配慮しよう

音も睡眠に影響を与える主要因の1つです。一般的に、40デシベル以上の音が、眠りの質を下げると言われています。

音量(デシベル) 日常生活における音
0デシベル 無音
10デシベル 呼吸音
20デシベル 木の葉がふれあう音・時計の秒針の音
30デシベル ささやき声
40デシベル 昼の住宅街
50デシベル エアコンの室外機の音
60デシベル 通常会話の音量

そのため、ラジオや音楽プレイヤーを消してから、寝られると良いでしょう。静かな環境では落ち着いて眠れないという方は、タイマーをつけることをオススメします。リラックスのつもりが睡眠の質を下げてしまいます。

また、家の外からの騒音が気になる方は、防音カーテンで対策するのも良いでしょう。

3−3. 寝具からのアプローチ

眠るとき、あなたは1晩中、寝具に抱擁されます。

あなたは適切な寝具を使えていますか。

ドキっとしたなら是非、下へ読み進めてください。睡眠の質を上げる寝具がどのようなものか、わかるようになります。

3−3−1. 枕で睡眠の質を上げる

あなたの特徴・特性に合った枕を正しく使い、理想的な寝姿勢で眠れると質の良い睡眠に通じる、と私は考えています。

以前の記事で分かりやすく解説してあります。枕で睡眠の質を上げたい方は、

枕を選ぶとき、「これで解決!8つの特徴別、自分に合った枕の選び方!」を、枕がシックリこないとき、「すぐにわかって今日から快眠!あなたに合った枕の高さ!」をご一読ください。

3−3−2. 眠りの質を上げるマットレス

私どもが考える眠りの質を上げるマットレスとは、

横たわると、①上部の柔らかい層があなたの身体のカーブに優しくフィットしながらやんわりと抱擁するように受け止め、②その下の層があなたの身体をしっかりフワッと持ち上げるため、重量から解放されたかのようにラクに寝返りをうてて、さらに、③表面の生地は赤ちゃんの肌のようにキメが細かくなめらかなだけでなく、汗や湿気をサッと吸収するため爽やかに眠れるもの。

このようなマットレスをお使いいただけば、あなたの眠りは魔法がかかったかのように良くなります。

番号があるので気付かれたと思いますが、「眠りの質を上げるマットレスかどうか」は、これら3つのポイントで決まります。

そしてその3点を図解すると、以下のようになります。

快眠できるマットレスの3大要素

  1. 上部の「体圧分散性」
  2. 下部の「反発弾性」
  3. 側生地の「吸放湿性」・マットレス素材の「通気性」
※注:イラストを見ると、マットレスが2層構造のように見えますが、あくまでマットレスの重要な役割が上部と下部で異なるため、このようになっています。1層のウレタンマットレスで上部と下部の必要な要素を満たしているものもあれば、4層構造により実現しているものもあります。

それではこれら3つの要素が、どのように快眠に導くのか解説していきます。

3−3−2−1. 体圧分散性

体圧分散性はマットレスの最重要機能です。なんだったっけ?という方は以下をお読みください。

・体圧分散性とは?メリットは?
体圧分散とは、腰や背中に集中している圧力を身体全体に分散させること。この目的は、身体にかかる圧力を悪影響がないレベルにまで下げることです。人の身体は湾曲しています。このカーブにマットレスが優しくフィットしないと1晩中、腰や肩甲骨、脊柱などの出っ張っている部位に身体の重みが集中します。その結果、筋肉や筋が緊張したり、骨を歪めたり、毛細血管が閉塞したり、身体を痛めることになります。
体圧分散の測り方
体圧分散の測り方

こちらは通常の敷き布団の体圧分散の様子です。

体圧分散の悪い状態
体圧分散の悪い状態

「赤色と黄色」は圧力が強くかかっている部位を表し、「緑色と青色」は圧力があまりかかっていない部位を表します。腰や背中に強く圧力がかかっている様子がわかります。

一方、こちらは高品質なマットレスの体圧分散の様子です。

体圧分散の良い状態
体圧分散の良い状態

赤い部位が見当たりません。黄色の部位をごくわずかで、寝たときに身体にかかる圧力が見事に分散されています。

まとめると、体圧分散性の高いマットレスで眠るメリットは、以下のようになります。

  1. 湾曲した身体にフィットし、腰や背中への圧力を軽減する
  2. 筋肉や筋をリラックスさせられる
  3. 腰や背中の圧迫を防ぎ、血流を妨げない

しかし、注意点があります。いくら体圧分散性が良くても、反発弾性が高くなければ、「真に体圧が分散される」ことはないのです。

どういうことか、次の反発弾性の大切さと併せてご説明します。

3−3−2−2. 反発弾性

反発弾性とは何か?
一言でいうと「押し返す力」のことです。

マットレスの反発弾性の高さは、2つの理由で快眠に重要です。

  1. 「身体を押し返すため」
  2. 「寝返りを促すため」

1つ目の理由が、上での注意点の説明にもなります。

「反発弾性によって身体を押し返す力がないと、体圧分散が一時的なものになる」のです。

具体的に言うと、反発弾性のない低反発マットレスに横たわると、身体はゆっくり沈んでいきます。このとき、身体の重みは一時的に分散されます。しかし、低反発マットレスは押し返す力がないため、身体の重さで圧縮されます。圧縮された部分はそれ以上体圧を分散できないので、結局、身体は圧力を感じることになります。

一方、反発弾性の高いマットレスは身体を「押し返す力」があるので、身体の重い部位でも必要以上に沈み込みません。そのため体圧を1晩中、維持できるのです。睡眠は一瞬の行為ではありません。数時間寝転がり続けます。そのため、反発弾性があり、しっかりと身体をサポートする必要があります。

なお、反発弾性には以下のような測定基準があります。

試験用ウレタンに500mmの高さから直径16mm、質量16gの鋼球を落下させ、跳ね返った高さから反発弾性を求めます。

(引用規格:JIS K 6400-3)

例えば、10cm跳ね返ったら反発弾性は20%、という具合です。一般的に、低反発ウレタンの反発弾性は0〜10%、わた布団で10%前後、高反発ウレタンは40%前後です。反発弾性の良いマットレスを選ぶときの参考にしてください。

反発弾性の高さが快眠に重要な2つ目の理由は、マットレスの反発弾性が高いと「寝返りを促す」というメリットがあるためです。

寝返りの何が良いのか?
そもそも寝返りとは、「睡眠中の寝姿勢を無意識的に調整する働き」なのですが、これにより、

  1. 一定の部位に圧力がかかり続けないよう、負担を減らし、
  2. その結果、血液の流れをスムーズにします。
  3. また、寝具内の換気にもなり、ムレを感じにくくなります。
  4. さらに、利き手・利き足や、身体の癖から生まれる、身体の歪みを整える。

と、このように、寝返りは快眠に必要不可欠な働きなのです。

マットレスの反発弾性が低いと、身体がマットレスに沈み込んでしまうため、寝返りがしづらくなります。そして寝返りに多くのエネルギーを使うため、夜中に目が覚めてしまう「中途覚醒」につながる可能性があります。

なぜマットレスに高い反発弾性が必要か、ご理解いただけましたか?

再確認すると「身体を押し返し」て「寝返りを促す」ため、反発弾性は快眠にかかせない重要な要素なのです。

3−3−2−3. 通気性・吸放湿性

「人は1晩にコップ1杯分もの汗をかく」と言われますが、「吸放湿性・通気性」こそが、その大量の汗を処理する大切な役割を果たしています。

そもそも人はなぜ、コップ1杯分(200ml)もの汗を眠っている間にかくのか?横たわっているだけなのに発汗するなんて不思議ですよね。

下のグラフに答えがあります。人は眠るとき脳と身体を休めるために、身体を省エネモードにし体温を下げます。深部体温(身体の内部の体温)は、なんと、1.5℃も下がるのです。

睡眠中の深部体温の変化

これほど急激に体温を下げるために、身体は約200mlもの汗を出しているのです。つまり睡眠中の発汗とは、「脳と身体を休めて快眠をとる」ための大切な生理現象なのです。

そしてこの大量の汗は、30%は掛け布団へ、70%はマットレスへ吸収されます。

身体に接するマットレス表面の生地の吸放湿性が良いと、身体が効率よく汗をかき熱を下げられるので、快適な睡眠につながります。さらに、マットレス素材の通気性が良いと、熱がこもりにくくムレを感じにくくなります。反対に吸放湿性・通気性が悪いと、寝具内での湿度が上がり、体温がスムーズに下がらず、睡眠の質を下げることになってしまいます。

「なるほど!吸放湿性と通気性の重要性はわかった!しかし素材の種類が色々ありすぎて、何がどう良いのかわからない。」そんなあなたのために表を2つ用意しました。

  1. マットレスの側生地(表面の生地)に使われる素材の吸放湿性と特徴
  2. マットレスの内部素材の通気性と特徴

まず側生地素材の吸放湿性を紹介します。肌に触れる部分なので、肌触りなどの質感も重要です。

素材名 吸放湿性 特徴
麻 /
リネン
通気性・吸放湿性に優れる。汗を良く吸う上、乾きやすい。さらに清涼感があるので夏にぴったり。また、丈夫で洗濯機でも洗えるのもメリット。シャリシャリとした肌触りのため好みは分かれる。
絹 /
シルク
吸放湿性に優れる。肌触りが良い上に、汗を良く吸うので気持ち良く眠れる。光沢が美しい。手洗い推奨なので、お手入れが大変。
テンセル 吸放湿性に優れる。汗を良く吸い発散するので、さらっと快適。肌触りもなめらかで気持ち良く眠れる。縮みやすい。洗濯機でも洗えるが、長く使いたい方には手洗いを推奨。洗いにより若干縮む。
レーヨン シルク目指して開発された再生繊維。吸放湿性が高く、さらっとして肌触り良し。水洗いができますが、縮みやすいのが難点。
綿/
コットン
肌離れが良い。放湿性はやや劣るが、よく汗を吸ってくれ、夏に気持ち良く眠れる。また保湿性も良いので冬にも良い。強度もあるため洗濯機での洗いもOK。デメリットは縮みやすく、シワになりやすい点。
ポリエステル 吸湿性がなく肌触りも良いわけはありません。しかし、安価で丈夫、洗濯機洗いも可能でシワになりにくい。そして乾きやすい。使い勝手が非常に良い。
アクリル 羊毛を目指して開発された素材。羊毛に近い風合いをもつが、肌触り、吸湿性は劣る。静電気が起こりやすい。メリットは軽くて弾力性をもち安価な点。側生地には使われませんが、冬用の敷きパッドや毛布によく使われます。
3Dメッシュ ◎ 素材はポリエステルですが、通常のポリエステル生地とは大きく異なります。通気性が高く、クッション性があります。マットレスの通気性を高めるために側生地に使用されることが多いです。誤解を生む可能性があるため加えました。

もちろん、「側生地:ポリエステル100%」のように1種類の繊維で作られるものもありますが、繊維素材同士を組み合わせることによって、繊維の欠点を補いつつ良い点を引き出すこともできます。 

例えば、私どもが製造している枕の側生地で、ポリエステル55%、テンセル44%、ポリウレタン1%の組み合わせのものがあります。

この繊維の組み合わせ(と独自の編みの技術)により、テンセルのなめらかな肌触りを表面で味わえ、吸放湿性に優れるため汗をかいても良く吸いとり、快適な睡眠環境を維持します。そして通常、テンセルは洗いに弱いのですが、ポリエステルを組み合わせることにより、洗濯機で洗えるほどの耐久性になります。また、洗濯で多少縮んでも枕にぴったり被せられるように、ポリウレタン繊維を1%組み合わせています。

・マットレスの側生地の中綿
また、側生地にクッション性をもたせるために綿を挟んだものもあります。一般的にはポリエステル綿が使われます。高価なものには吸放湿性の高いウール綿が使用されることがあります。

つぎに、マットレスの内部素材の通気性と特徴をご紹介します。

素材の種類 イメージ 特徴
低反発ウレタン 低反発ウレタン 通気性が悪いため、ムレ感が強い。反発弾性が低いため、身体が沈み込みすぎる。そのため睡眠中の寝返りがしづらい。低反発ウレタンのみで構成されるマットレスはオススメできません。厚みが2cm程の低反発ウレタンを上部に使用しているマットレスは、若干蒸れやすいですが、体圧分散性が良いです。低反発ウレタンの感触が好みの方には、このようなものをオススメします。
高反発ウレタン 高反発ウレタン 一般的なものの通気性は高くはありませんが、ウレタンに気孔のあるオープンセル構造のものの通気性は良いです。また、表面に凸凹やウェーブの加工がされているものは、ムレ感が少なく、体圧分散性も良いのでオススメです。表面がフラットなものは若干硬く感じるものが多いと思います。ウレタンの密度がきちんと表記されており、25以上のものを推奨します。密度が25以下のものは耐久性が悪く3年程で、腰の部分がヘタれたりなど劣化が始まります。
ラテックス ラテックス 通気性が悪いので穴を開けてあるものが多いですが、それでも通気性が良いとは言えません。合成ゴムのものではなく、高品質な天然ゴム由来のラテックスマットレスであれば、体圧分散性も反発弾性も十分だと思います。ゴム特有の匂いがあります。ラテックスアレルギーをお持ちの方は使用をお控えください。また、水洗いできず天日干しができないので、お手入れが大変です。
ボンネルコイル ボンネルコイル ポケットコイルマットレスの安価版。リーズナブルなビジネスホテルでよく使用されています。マットレス内部の通気性は良いですが、コイルの上面に使用されるウレタンや詰め物の質によりムレ感が大きく左右されます。安価なものはコイル上面のウレタンと詰め物の質が悪く、使用に応じてヘタり、背中にコイルをゴツゴツと感じるようになります。コイルマットレスの購入を検討されている方は、数年の使用と割り切って安価なボンネルコイルマットレスを買うか、品質の良いポケットコイルマットレスを買うと良いです。
ポケットコイル ポケットコイル 通気性は良いですが、コイルが1つ1つ不織布で覆われているためボンネルコイルより若干劣ります。ボンネルコイル同様、安価なものはコイルが背中にあたる感覚があります。また、コイルの上面のウレタンや詰め物の質によりムレ感が左右されます。コイル1つ1つの点で身体を支えるため体圧分散性は良いです。また個々のコイルが独立しているため、振動が隣で眠っている人に伝わらないのも良い点です。
春雨タイプ 春雨タイプ 素材に空気の層が多いため、通気性は良いです。しかし、体圧分散性や体へのフィット感が物足りなく、寝心地は劣ります。この素材の上に直接寝る構造のものは、冬は側面から冷たい空気が入りやすく、寒いという声も聞きます。パッドや毛布を上に敷いて眠ることをオススメします。コイルのようにマットレス内部の素材としての使用に向いています。
わた布団 綿花 綿100%のものだと通気性はそこそこあります。吸湿性が高く汗や湿気を溜め込んでしまうため、天日干しをして乾燥させないと気持ちよく眠れません。また、3年程度に1度、打ち直しというメンテナンスが必要です。体圧分散性・反発弾性はやや物足りないレベルです。

まとめ

長くなりましたが、まとめると、「睡眠時間が足りなくて寝不足の方は、睡眠の質を上げよう」ということです。

睡眠時間を削るほど、やりたいことが多いときや、忙しい時期は誰にでもあると思います。
そのようなときは睡眠の質を上げ、寝不足対策をしましょう。

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