睡眠

寝る前のカフェインには注意!眠りの質を下げるメカニズム

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加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。1,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。取材依頼はお問い合わせから。インスタグラムでも情報発信中⇒フォローはこちらから

  • 寝る前にカフェインを摂ったらなんでダメなの?
  • カフェインで眠りの質が下がるっていうけどどうして?

などの疑問を感じられることがあると思います。私自身、コーヒーが大好きで1日に2~3杯は必ず飲むのですが、カフェインとの上手な付き合い方をマスターするまでは寝つきを悪くすることがありました。カフェインの作用メカニズムを理解して付き合えば、睡眠を改善することが期待できます。

そこで本日は「寝る前のカフェインには注意。眠りの質を下げるメカニズム」についてご紹介します(動画での解説を追加しました)。


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1. 寝る前のカフェインが眠りの質を下げるメカニズムとは

コーヒーブームもありカフェインはとても身近な存在になりました。

が、カフェインはれっきとした薬物です。世が世なら違法薬物になっていても不思議ではないほどの作用です(アルコールがイスラム圏で禁止されているように)。それほど人に対して強烈な覚醒作用を持ちます。

【カフェインの作用】
カフェインがアデノシンという鎮静効果のある神経伝達物質が脳内で伝達されるのをブロックすることにより、鎮静を妨げ覚醒効果をもたらします。カフェインを摂取すると、30~60分後に血中濃度が最高になります。つまり、この間に覚醒効果が最高になります。

分かりやすく言い換えると、脳からブレーキを取り払うようなイメージです。眠気(ブレーキ)を抑えて、睡眠(ストップ)を遠ざけるのです。

つまり、寝る前にカフェインを摂取するのは、スピードを落として止まろうとしているのにブレーキを外しているようなものなのです。ブレーキを外しているのだから止まれない(眠れない)のは当然ですよね。なので、カフェインが代謝されるまで眠気を感じられずに眠れなくなってしまうのです。

もちろん、人によりカフェイン耐性が異なるので、誰に対しても同じような効き目がある訳ではありません。コーヒー好きの人の中には寝る前の一杯を楽しまれる方がいますが、かなりカフェイン耐性が強いと考えられます。このような人の中に「寝る前にコーヒー飲んでも眠れるよ!大丈夫大丈夫!」と言われる人がいますがアテにしないようにしましょう。

また、カフェインには利尿作用があるためトイレが近くなります。そのため、夜間頻尿にお悩みの方だと、夜中や明け方に尿意で目を覚ます原因にもなりえます。

1−1. カフェインが眠りをどれくらい妨害するのか調べた実験

寝る前のカフェインがどれくらい睡眠を妨害するのか、この疑問に答えた実験があります。デトロイトのヘンリーフォード病院の睡眠障害研究センターによる実験です。かなり興味深い内容となっています。

健康な男女12名を対象に、プラシーボ(被験者に分からないようにカフェイン抜きの飲み物を与える)、入眠時にカフェイン摂取、入眠3時間前にカフェイン摂取、入眠6時間前にカフェイン摂取と条件を分けたうえで睡眠の評価すると同時に、この実験の面白いところなのですが、主観的評価(睡眠日記)と客観的評価(脳波を測るもの)でどのような違いが出るかが調べられました。ちなみに、カフェインの量は400mg(コーヒー約3杯分)とのこと。その結果が以下のチャートです。

Caffeine-Disturbs-sleep2

入眠潜時(ベッドに入ってから眠りに落ちるまで)がかなり伸びているのはカフェインの影響としては分かりやすいですね。入眠の6時間前にカフェインを摂取していたにもかかわらず入眠潜時がかなり長いのは正直信じられないほどの驚きです。

さらに睡眠中に起きていた時間(測定器が脳波で覚醒と捉えた時間)も伸びています。これは睡眠がカフェインにより浅くなってしまった結果目覚めてしまった、もしくは、かなり浅い睡眠状態になってしまったのだと考えられます。そして、これらの影響から睡眠時間が全体的に短くなっていますし、睡眠効率(ベッドにいた時間のうち実際に眠っていた時間の割合)が悪くなっているのもうなづけます。

さらにさらに、徐波睡眠(ノンレム睡眠ステージ3と4の深い睡眠)の割合が減っているのも驚きです。入眠6時間前にカフェインを摂取したケースにおいて他のケースよりも徐波睡眠が少ないのは謎なのですが、カフェインが徐波睡眠を少なくしているのは間違いないようです。

そして、この実験の面白いところが、主観と客観の誤差です。

Caffeine-Disturbs-sleep1

カフェインを摂取してから眠ると思ったよりも入眠に時間はかかっていないものの(実際に入眠潜時は伸びていますが)、睡眠は実感以上に害されており浅く短くなっているということです。睡眠不足だとパフォーマンスが落ちるものの、その変化に本人は気づけないのと似ています。

1−2. カフェインは摂取する「量」と「時間帯」に気をつけること

ただ、カフェインが睡眠に悪いと言われても、縁を切るのはなかなか大変ですよね。わたしはコーヒーが大好きなので、辞める気はさらさらありません。しかし、カフェインとは適切な距離感で付き合うようにはしています。つまり、摂取する「量」と「時間帯」にルールを設けています。

カフェインの摂取は1日400mg以下にする

日本の食品安全委員会が「一日当たりの健康に悪影響のないカフェインの最大摂取量」で成人は400mgと報告しているので、私はそれに従っています。

朝、ランチ、お昼すぎ、という感じで1日3杯飲んでます。盲目的に従っているというよりは、経験上、1日に4杯以上コーヒーを飲むと翌朝に疲れを感じやすいので3杯に抑えている次第です。

カフェインは夕方以降の摂取を控えること

カフェインは一度摂取すると長いあいだ体の中に残り続けます。1−1の実験データで見ていただいた通りです。摂取から6時間経っても作用しているほどでしたね。

それでは、どうすればいいのかというと、私の睡眠バイブルには以下のように書かれています。

健康な成人では、カフェインの血中濃度の半減期は2.5~4.5時間ですので、少なくとも寝る4時間前からは、カフェイン飲料を飲むのは控えたほうがよいでしょう。…子どもや高齢者は肝機能障害が低くカフェイン代謝が遅れますので、夕方6時間以降はカフェイン摂取は控えるべきです。

(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)

18時以降はカフェインを控えましょう、とのことです。

もちろん、人によりカフェイン耐性が異なるので誰にでも当てはまる訳ではありません。上記のアメリカの実験結果を見たあとだと違和感があるかもしれませんが、入眠6時間前にカフェイン400mgを取るのと、最後の1杯が18時前に終了するのとでは大違いです。また、日本人は緑茶文化が元々あったため欧米人に比べてカフェイン耐性が強めとの説もあります。

まずは夕方以降のカフェインの摂取を控えることから始めて、徐々に終了時刻を切り上げていって眠りが変わるか自己実験をするのもおすすめです。

1−3. 飲み物別|カフェイン含有量

カフェインといえばコーヒーですが、意外にもお茶やココア、エナジードリンクにも含まれています。

あなたは知らず知らずカフェインを摂取していないでしょうか?以下に身近な飲み物のカフェイン量を表したリストを用意しました。参考にしてください。

風邪の時に飲む栄養ドリンクにも無水カフェインが入っています。体がかなり疲れていれば問題なく眠れるかと思いますが、治りかけの頃だったり一日中たっぷり眠った日の夜に飲むとなると、やや寝入りが悪くなることもあります。体の疲れ具合を勘案して摂取するようにしましょう。

1−4. 眠る前におすすめの飲み物

意外と多くの飲み物にカフェインが入っていて驚かれたかと思います。

ではどんな飲み物ならいいのかと言うと、麦茶、そば茶、黒豆茶、ハーブティー、ルイボスティー、白湯、ノンカフェインコーヒーがおすすめです。これらにはカフェインが含まれないので、作用により寝つきを悪くすることはありません。


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最後に

カフェインと上手に付き合う参考になっていれば幸いです。

なお、以下のページでこれまで紹介してきた、数々の研究で実証された良質な睡眠のために「するべきこと」と「してはいけないこと」を網羅的にまとめています。美味しいところ(結論)だけをつまみ食いできる構成になっています。是非ご一読ください。

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