羽毛布団と羽根布団って何が違うのか、業界外の人からすると全くわからないと思います。
とはいえ、羽毛布団のほうが値段が明らかに高いことから、羽毛布団のほうがいいものなんだろうとは察しがついているかと思います。
実際、羽毛布団と羽根布団は、定義上明確に分けられていますし、はるかな性能の差もあります。
そこで本日は、羽毛布団と羽根布団の違いということで、
- 充填物の比率の違い
- 寝心地の違い
- ニオイの違い
- 取扱のしやすさの違い
- 寿命の違い
などについて分かりやすく解説していきます。
※羽毛と羽根の比率、ダウンパワー、充填量などのスペックを比較した選び方についてこちらのページ「羽毛布団の選び方とおすすめ9選【専門家直伝】」で徹底解説しています。羽毛の充填量だけでなくより網羅的に羽毛布団選びを進めたい方はぜひご参考にしてください。 |
Contents
1. 羽毛布団と羽根布団の5つの違い
それでは、それぞれの違いについてご説明していきます。
①充填物の比率の違い
布団の中に入っている素材は、中材または充填物(ジュウテンブツ)と呼ばれます。
羽毛布団と羽根布団の定義上の違いは、この充填物の比率にあります。
- 羽毛布団:羽毛(ダウン)の比率が51%以上
- 羽根布団:羽根(フェザー)の比率が50%以上
というように区別されています。
ちなみに、羽毛と羽根は以下のチャートからも分かるようにまったくの別物です。
羽毛(ダウン) | 羽根(フェザー) | |
画像 | ||
風合い | ふわふわ | 芯がある |
保温性 | ◎ | ◯ |
重量 | ◎ | △ |
フィット性 | ◎ | ◯ |
獣臭 | ◯ | △ |
価格 | △ | ◎ |
つまり、羽根布団といってもダウン50%、フェザー50%のものから、フェザー100%のものまでありますし、羽毛布団にもダウン51%、フェザー49%のものからダウン99%、フェザー1%のものまであります(ダウン100%というのは存在しません)。
そのため、羽根布団も羽毛布団も充填内容を無視して一括りに評価するのは困難です。
以下、私が意味する羽根布団・羽毛布団は市場に出回っている平均的なものを意味することを念頭においてください。
②寝心地の違い
寝心地がどう違うかがもっとも肝心ですよね。
大事な要素をざっくりとチャートにして比べると以下のようになります。
素材 | 画像 | 保温性 | 吸湿性 | 放湿性 | ドレープ性 | 価格目安 |
羽毛 (ダウン) | ◎ | ◎ | ◯ | ◎ | △ | |
羽根 (フェザー) | ◯ | ◎ | ◎ | ◯ | ◯ | |
ポリ エステル | ◯ | △ | – | △ | ◎ | |
綿 (コットン) | ◯ | ◎ | △ | ◯ | ◯ | |
真綿 (絹/シルク) | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | △ | |
羊毛 (ウール) | ◯ | ◎ | ◎ | ◯ | △ |
とはいえ、羽根布団の保温性自体も悪くはありませんし、近年の住宅事情(気密性の向上、暖房機器の普及)を考えると、羽根布団でも(粗悪品でない限り)十分あたたかく眠れます。
保温性はやはり羽毛のほうが高いです。
羽毛は羽根よりも空気をたくさん抱え込むことができるのがその理由です。
しかし、肌当たりには大きな差があります。
羽毛布団はふわっとした肌当たりで体によく馴染みますが、羽根布団は羽軸(羽根の芯)がゴツゴツと当たる感じがして決して気持ちよくはありません。また、重量が1kgほど変わってくるので重さの感じやすさも大きく異なります。
ただ稀に、「羽毛布団は軽いから睡眠中の呼吸が楽になる」と言われることがありますが、これはデータに基づいた話でもないですし、ちょっと言い過ぎかと思います。
③ニオイの違い
羽根布団は羽毛布団よりも獣臭が強いです。
羽根も羽毛も採取されてから布団に充填されるまでに「洗浄」という過程を通ります。その際に、羽根・羽毛に付着している油脂やゴミなどを洗浄することニオイも落とします。
ただ、羽軸の内部まで完全に洗浄することは困難のため、どうしても羽根の獣臭は強くなってしまうのです。
他にも、羽根布団は羽毛布団よりも「下のもの」として扱われているため、コストを削って作られているものが多いことも一因となっています。
例えば、羽毛布団用の原料であれば高く売るためにしっかりと洗浄されますが、羽根布団用の原料は高値で売れるわけでないので基準値ギリギリで洗浄が行われることが多いのです。
ダック | グース | |
画像 | ||
体のサイズ | 小さめ | 大きめ |
羽毛のサイズ | 小さめ | 大きめ |
保温性 | 普通 | 高い |
食事 | 雑食 | 草食 |
獣臭 | 強い | 弱い |
また、原料が採取された水鳥が、ダック(アヒル)なのかグース(ガチョウ)なのかでもニオイの強さは変わってきます。
大雑把な説明になりますが、ダックのほうが安価です。そして、グースは草食なのに対して、ダックは雑食なのでニオイが強めです。価格の安い羽根布団には、ダックの羽根が使われるケースがほとんどです。
こういった理由が全て重なり、羽根布団のほうが獣臭が強いのです。
④取扱性の違い
また、日々の取り扱いのしやすさも大きく異なります。
羽毛布団 | 羽根布団 | |
吊り干し | ◯ | △ |
洗濯性 | ◯ | △ |
打ち直し | ◯ | × |
チャートにするとこのようになります。以下、それぞれ具体的に説明します。
羽毛布団のほうが軽いので、日々のお手入れがしやすい
羽毛布団も羽根布団もできれば月に1度は干して乾かしてあげられると理想的です。その際、重量が2.3kgなのか3kgなのかで労力は少なからず変わってきます。こういう時にも軽い布団はいいなって実感できます。
羽根布団は洗濯がしづらい
また、羽根布団は中の羽根が側生地を突き破る恐れがあるため、クリーニングやコインランドリーを断られることもあるのが難点です。あなたが利用しているお店が羽根布団でも対応しているか事前に確認することをおすすめします。
羽根布団は打ち直しが出来ない
また、羽根布団は基本的に打ち直し(リフォーム)を拒否されます。とはいえ、打ち直しは1万数千円の費用がかかるので、羽根布団を打ち直すくらいだったら新しいのがもう一枚買えてしまいます。なので、そもそも長期間使うことは期待しないほうがよいです。
⑤寿命の違い
やや大雑把ですが、羽根布団は5年前後、羽毛布団は15年前後の寿命です。
この差は、布団に仕立て上げられたときの「品質」により生まれます。特に、側生地がキモになります。
どういうことかと言うと、羽根は羽軸があるため羽毛よりも側生地を痛めやすいです。しかし、安い羽根布団の側生地は強度が高くないため、羽根が生地を突き破ったり、羽根のダストが噴き出したりなど経年劣化が進みやすいのです。
もちろん、日々の手入れや取り扱い方でも寿命は変わります。
羽毛布団であればちょっと汚れた時にはクリーニング、側生地が痛んだ時には打ち直し、のようにプロにメンテナンスをしてもらうことができるので、大切に使えば20年以上快適に使うことも期待できます。羽毛布団の打ち直しについては以下のページで詳しく説明しているので、あわせてご参考にしてください。
関連記事最後に
羽根布団と羽毛布団の違いについて知る一助になっていれば幸いです。
なお、以下のページで最高の羽毛布団を選ぶために考えるべきポイント(ダウン率、ダウンパワー、充填量、水鳥の種類、側生地の品質など)とおすすめの羽毛布団についてまとめて解説しています。是非あわせてご参考にしてください。
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