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ASMRは睡眠に良い効果があると考えられる研究論文について

こんにちは、加賀照虎です。

  • 「ASMRって睡眠に良いの?」
  • 「むしろ睡眠障害になったりしないかな?」

ASMRが流行っている中で、このように感じられている方が多いです。

ということで本日は「ASMRが睡眠を促すかもしれない」という研究論文データを元にその是非について考察していきます。

※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。
著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。2,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。
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0. そもそもASMRとは

まず最初に、ASMRが何か分からない人のために概要をお伝えします。

ASMR(Autonomous Sensory Meridian Response)とは「自律感覚絶頂反応」と日本語では訳されます。

  • 耳元でのささやき声
  • モノが擦れる音
  • 水のチャプチャプした音

などのような音などにより生じる、ぞくぞくするような感覚のことを指します(音がメインですが、それ以外にもASMRを誘発させるトリガーはいくつもあります)。

(※詳細は下記の動画を参考にしてください)

なお、音から感覚までの内的反応の仕組みは、まだ解明されていません。

しかもさらにいうと、人により感じ方が変わってくることから、睡眠への効果を一般化して語ることが難しい状況となっています。


1. ASMRに睡眠導入効果があると考えられる理由はリラックス感

とはいえ、人によってはASMRによって睡眠を促す効果が期待できるのではと考えられる研究があります。

それが2018年に公開されたイギリスのシェフィールド大学による研究です(0章にある動画は同大学のものです。38秒目から喋っている人が同研究のリーダーです)。

この実験は下記のようにして行われました。

  • 被験者は男女110人
  • その内ASMR経験者55人、未経験者55人
  • 被験者にASMR動画と非ASMR動画を見てもらう
  • それぞれの反応を比較調査する

その結果、ASMR経験者のほうでは瞑想時に見られるような落ち着き感(calm)が促されていたと報告されていますし、

Calm-with-ASMR
ASMRで落ち着き感が促される

ストレス感が低下するのも確認できますし、

Stress-decreases-with-ASMR
ASMRによりストレスが低減している

さらに、心拍数が減少することも確認されています。

heart-rate-decreases-with-ASMR
ASMRで心拍数が減少

このような結果から、ASMRによりストレス感が減って、リラックス感が促されるため、入眠に効果があるのではと考えられるのです。

とはいえもちろん、このASMRには向き不向きがあるので、「もしあなたがAMSRに向いているのであれば」という但し書き付きで入眠への効果が期待できるとことと忘れないようにしてください。

1-1. どんな音•内容だとASMRを感じやすいのか

なお、人により向き不向きがあることに加えて、音などの内容(トリガー)によってもASMRを感じられるかどうか差があるとシェフィールド大学の同研究から報告されています。

それによると、下記のようにかなり大きな差があることが分かります(上から効果が感じられた順)。

  • 74%: 優しい話し声
  • 73%: 髪を撫でられる音
  • 70%: ささやき声
  • 65%: 接近
  • 56%: 散髪音
  • 55%: 顔や頭への擬似タッチ
  • 51%: 木などの硬い面を叩く音
  • 51%: じっと見つめる
  • 48%: 手の動き
  • 47%: ひっかく音
  • 36%: 水などの液体の音
  • 30%: 舌を鳴らす音
  • 20%: 咀嚼音

(引用:シェフィールド大学による研究

これについては個人の好みの問題にもなるかと考えられます。

そしてそれに加えて、入眠への効果を考えると、異性の人のささやき声や擬似タッチなどは興奮要素の強い反応になるはずなので、睡眠導入には向かないだろうと考えられます。

これらを総合して考えると、散髪音や硬い面を叩く音、ひっかき音などのASMR動画・音声などで睡眠が促されるか試してみると良いです。

1-2. ASMRを睡眠のために活用する注意点

上記のようにASMRは、睡眠に良い効果が期待できます。

とはいえ、注意しなければならない点が2つあります。

1つ目は、癖になってしまうことで、寝つきを悪くしてしまう可能性です。赤ちゃんがおしゃぶりなしでは眠れなくなってしまう症状のようなもので、これを入眠時関連型行動性不眠症と呼びます。楽しんでいられる内はいいですが、ASMRなしでは眠れないとなってしまうと困ったことになりますので適度に嗜む程度にしましょう。

2つ目は、動画・音声を再生したまま寝落ちしてしまって、眠りの質を下げてしまう可能性です。これはヒーリング音楽などについても言えることですが、入眠を促すといっても一度眠りに入ってしまえば、音は睡眠に対して妨害的に働くとされています。なので、入眠後には停止されるようにオフタイマーを利用するようにしましょう。

31%の学生が就床時に音楽を聴いていました。しかし、音楽が入眠に及ぼす効果を調べた研究のほとんどは、音楽が睡眠に妨害的に作用することを報告しています。

(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)


最後に

ASMRの睡眠への効果について知る一助になっていれば幸いです。

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