たかが鼻づまり、されど鼻づまり。
鼻が詰まっているだけで睡眠の質が低下し、翌日の疲れや怠さに繋がる恐れがあります。
どのようなメカニズムで起こっているのか、どのように自分が鼻づまりなのかをチェックすればいいのか、どのような対策をとればいいのかについてご紹介します。鼻づまりから睡眠を見直してみましょう。
※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。 |
Contents
1. 睡眠中の鼻づまりの悪影響|眠りの質を下げるだけではない
2007年にアメリカで老若男女404人に対して鼻づまりが睡眠にどのような影響を与えるか調べた研究があります。その報告とは以下の通りです(論文の結果の部分の翻訳です)。
鼻づまり単体となるとアレルギー性鼻炎よりやや小さな悪影響に収まるものの、患者の生活には重大な悪影響をもたらします。睡眠障害、疲労、息切れ、頭痛、日中の眠気の可能性を高めるからです。
(引用:『Relationship of nasal congestion with sleep, mood, and productivity.』 )
やはり想像通りですが、睡眠の質を下げることが分かります。さらに、睡眠の質が下がることにより、息切れしやすくなったり、頭痛を起こしやすくなったり、翌日に眠気を感じやすくもなります。
「鼻づまりから睡眠障害?」と思われるかもしれませんが、考えやすいものとしてはイビキがあります。鼻づまり→口呼吸→イビキという具合です。また、それがさらに酷くなったり、肥満などのようなその他の要因と組み合わさることで睡眠時無呼吸を起こしうるとまで報告されています。
肥満に加えて、顎顔面形態異常、扁桃肥大、鼻閉、仰臥位睡眠、そのほか(アルコール、タバコ、睡眠不足など)の要因が、単独または様々な割合で複合し睡眠時無呼吸を形成します。
(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)
脅しているわけではありません。が、鼻づまりに対して見直す機会にしていただけると嬉しいです。
1−1. 睡眠中の鼻づまりが睡眠の質を下げるメカニズム
それでは次に、より納得感を持っていただくために、鼻づまりがどのようなメカニズムで睡眠を害しているのか説明していきます。
ところで、そもそも人はなぜ鼻で呼吸をするのかご存知でしょうか?鼻が詰まってしまうと、代わりに口で呼吸をすることになりますが、口呼吸だと鼻呼吸の代替にならないのです。それはなぜか?鼻専門医の黄川田先生によると、
鼻呼吸の役割は主に4つあります。
- 空気中のほこりや細菌などの有害物質を取り除く「濾過機能」
- 吸い込んだ空気の温度や湿度を調整して肺の環境を一定に保つ機能
- のどから肺までの空気の通路を広げる機能
- 血液への酸素の取り込みを促進させる機能です。
(引用:『最新科学で解き明かす 最高の睡眠』 洋泉社 発行)
特に3と4が睡眠の質に直接的に影響を与えるとのことです。
今これを読みながら鼻から吸って口から吐く深呼吸と、口から吸って口から吐く深呼吸を比べてみてください。どうでしょうか?鼻から空気を吸ったほうがたくさん空気を取り込めている実感があるかと思います。さらに、意識はしづらいものの、酸素の取り込みも鼻呼吸のほうが能率的とのことです。
つまり、鼻づまり → 体に取り込める酸素量が減る → 血中酸素濃度が低くなる → 頭痛・疲れの原因、となっているのです。鼻で呼吸をすることがいかに大切かお分かりいただけるかと思います。
1−2. 睡眠中の鼻づまりチェックリスト
黄川田先生が紹介されている鼻づまりチェックリストをご紹介します。
- 口を開けて寝ている
- いびきをかいている
- 歯ぎしりをしている
- 呼吸が止まることがある
- 頻繁に寝返りをうつ
- 夜中に目を覚ますことがある
などに該当すると睡眠中に鼻が詰まっている可能性があります。「起床時の口やのどの乾燥具合」が分かりやすい指標になります。口呼吸をしていると口内が乾燥しやすくなります。
また、いびきや歯ぎしり、無呼吸の有無については、あなたが睡眠中にチェックするパートナー(もしくは第三者)がいないとなかなか難しいかもしれません。その場合はスマホアプリを使ってチェックすることをお勧めします。
【iPhone用ダウンロード / Android用ダウンロード】
アプリをダウンロードして、就寝前に起動させておくだけで簡単に睡眠中のいびきを記録できます。
1−3. 鼻づまり対策にするべきこと
まずは耳鼻科に診察されることをおすすめします。
程度によって取るべき対策が変わるはずです。まずは専門医に診てもらいましょう。
ちょっとした鼻づまりであれば鼻拡張テープで鼻腔を広げたり、口をテープで閉じておくのもいいかもしれません。また、寝室がホコリで汚れているのであれば、ベッド周りの掃除機がけ、布団カバーの洗濯洗いなども忘れずに行いましょう。
最後に
睡眠中の鼻づまりは軽んじてはいけない症状だとご理解いただけたかと思います。
まずは専門医に診てもらい、睡眠の質の改善に繋げていっていただければ幸いです。
なお、以下のページでこれまで紹介してきた、数々の研究で実証された良質な睡眠のために「するべきこと」と「してはいけないこと」を網羅的にまとめています。美味しいところ(結論)だけをつまみ食いできる構成になっています。是非ご一読ください。
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