羽毛布団はなぜ獣臭いのか?
その理由を知れば比較的ニオイの少ない羽毛布団を選べられるようになります。
また、ご使用の羽毛布団が獣臭くならないよう取り扱えるようにもなります。
そこで本日は、
- 羽毛布団が臭い5つの原因
- 日本製は臭くないのか
- 匂いを落とす唯一の方法
などについて解説していきます。
※羽毛と羽根の比率、ダウンパワー、充填量などのスペックを比較した選び方についてこちらのページ「羽毛布団の選び方とおすすめ9選【専門家直伝】」で徹底解説しています。羽毛の充填量だけでなくより網羅的に羽毛布団選びを進めたい方はぜひご参考にしてください。 |
Contents
1. 羽毛布団が臭い5つの原因
ご理解していただきやすい順にご説明していきます。
1-1. グースではなくダックの羽毛だから
羽毛布団の原料は、グース(ガチョウ)とダック(アヒル)で分けられます。
グースが草食なのに対し、ダックは雑食です。
そのため、ダックは羽毛の油脂が多めになりやすく、獣臭が強くなりがちです。
ダック | グース | |
画像 | ||
体のサイズ | 小さめ | 大きめ |
羽毛のサイズ | 小さめ | 大きめ |
保温性 | 普通 | 高い |
食事 | 雑食 | 草食 |
獣臭 | 強い | 弱い |
これは人間も同じことなので理解しやすいかと思います。
連日肉ばかり食べているどうしても体臭が気になりますよね。その結果が羽毛布団の臭いとして表面化しているのです。
ただ、このように説明するとグースの羽毛布団は全くニオイがないように思われるかもしれませんが、そんなことはありません。グースも生き物なのでやはり油脂がありそれが理由で少なからず獣臭はありますし、羽毛採取時の管理方法(1−4で詳述)によっても臭いの付き方が変わってきます。
1-2. 羽毛の洗浄が不十分
採取したばかりの羽毛には油脂だけでなく汚れも付いています。
そのため、羽毛布団に仕立て上げる前に、洗浄しなければなりません。そして、この洗浄が不十分だと、羽毛布団の獣臭を強める一因になります。
羽毛の洗浄は1度だけでなく何度も行われます。
そしてその過程で、透視度検査を行います。洗っている羽毛の1部を取り出して水の入ったビーカーに入れ、汚れがどの程度であるかを水の汚濁で調べます。日本の業界基準の500mm以上となっています。メーカーによってはこの洗浄度を1000mm以上に設定しているところもありますし、高品質な羽毛布団には1500mm以上の洗浄度をクリアした羽毛を使っているものもあります。
1-3. フェザーの比率が多い
ダウン95%フェザー5%の羽毛布団よりも、ダウン80%フェザー20%の羽毛布団のほうが獣臭が強めです。
なぜかというと、フェザーはダウンよりも油脂や汚れが落としにくいからです。
例えば、羽軸(フェザーの芯の部分)の中を洗浄するのはかなり困難だからです。
羽毛(ダウン) | 羽根(フェザー) | |
画像 | ||
風合い | ふわふわ | 芯がある |
保温性 | ◎ | ◯ |
重量 | ◎ | △ |
フィット性 | ◎ | ◯ |
獣臭 | ◯ | △ |
価格 | △ | ◎ |
また、フェザーはダウンよりも低価格なものであるため、ダウン比率が多い羽毛布団はその分低コストで作られることが多いのも一因です。
洗浄以外の工程も低コストで行われます。量販店で数千円で販売されている羽根布団(フェザー100%)のニオイを嗅いだことはありますでしょうか。全てそうだと断定はできませんが、陳列棚の近くに寄るだけで獣臭が漂っているものもあるほどです。
1-4. 羽毛採取から洗浄までの工程に時間がかかり過ぎている
ダックの羽毛は屠殺後に採取されます。
一方、グースは生きたまま羽毛を採取されることもあります。「採取」という言葉を使うとクリーンなイメージになりますが、要は水鳥から毛をむしり取っている訳です。
屠殺されるされないに関わらず、むしり取られたばかりの羽毛には油脂や汚れだけでなく、表皮の一部が付いていたりモノによっては血が付いていたりします。すぐに洗わなければニオイが強まるのはイメージに難くはありませんよね。
羽毛採取から洗浄までを一貫して行っている業者だったり、近場でスムーズに連携している業者なら良いですが、ここの行程に時間がかかっているとグースといえども獣臭は強まります。
1-5. 湿気による臭いの発生
ここまでは羽毛布団に仕上げる前の話でした。
そのあとの管理方法も羽毛布団のニオイに関わってきます。
購入後、とくに日本で問題となるのが湿気です。
湿度の高い日本でずさんな管理をしていると羽毛布団が湿気ってしまい、雑菌が繁殖してしまい獣臭が強まります。
購入時には臭くなかった羽毛布団が2年目にいきなり臭くなるのは、たいてい湿気が原因です。
押入れの中で湿気ってしまい雑菌が繁殖して獣臭が強まっているのです。
※日本製だから臭くないということはない
「日本製だからニオイ少なめ」
などというようにアピールしている販売者がいますが、日本製だから獣臭が弱いとは言い切れません。
ヨーロッパ製だから高品質とも言い切れないのと同様です。例えば、昔ながらの羽毛洗浄設備を使っている日本の工場よりも、最新鋭の設備で洗っている中国の工場のほうが洗浄力に長けていることがあります。
ただ、一番影響するのは製造責任者です。どういった仕様、品質基準を設けるか、そして、それを作り手(工員さん)に徹底して守ってもらえるようにするか、このような会社や個人のスタンスが一番品質に影響します。どんな製品にも言えることですが、羽毛布団のような天然素材を扱うものは特にこの傾向が強いです。
2. 羽毛布団の臭いを落とす方法
羽毛布団のニオイの原因をまとめると、
- 羽毛本来の動物臭
- 湿気りによりその動物臭が強まった
この2パターンです。
若干程度のニオイであれば日陰干しをしておけば徐々に消えていきますが、それどころではない場合どうすればいいのかについてご説明していきます。
2-1. 単独洗いのクリーニングがおすすめ
これが唯一おすすめできる方法です。
なお、クリーニングには「まとめ洗い」と「単独洗い」という洗い方があります。業者によって洗い方は分かれますが、ほとんど大抵の業者はまとめ洗いを行っています。それぞれ良し悪しがあるのですが、ニオイに敏感な方には、単独洗いを行っているクリーニング事業者をおすすめします。いろんな羽毛布団と一緒に洗われる場合、運が悪いと他の羽毛布団のニオイが移ってしまう恐れがあるからです。以下のページでおすすめの事業者を紹介しているのでご参考にしてください。
関連記事2-2. 自宅で羽毛布団を洗うのは非推奨
羽毛布団をクリーニングに出すと大きな出費になるから出来れば自宅で洗いたいとお考えではないでしょうか。
結論から言うと、それはおすすめできません。というのも、羽毛布団を乾かすのはかなり大変で、日陰干し(天日干しは生地が痛むので非推奨)をするとなると2,3日は要する上に、内部までしっかり乾かすことができないと逆にニオイが強まってしまう恐れがあるからです。乾燥機を使ったとしても同様に内部まで乾かすのは困難なので、おすすめできません。コインランドリーでの洗濯・乾燥ならまだ良いですが、費用はクリーニングと比べて大差はありません。以下のページで詳しく説明しているのでご参考にしてください。
関連記事最後に
羽毛布団の臭いの原因と臭いを落とす方法についてご理解いただけたかと思います。あなたが羽毛布団のニオイに悩まず快適に眠れるようになれば幸いです。
もし「せっかくだし新しい羽毛布団を買おうかな」とお考えなら、以下のページで最高の羽毛布団を選ぶために考えるべきポイント(ダウン率、ダウンパワー、充填量、水鳥の種類、側生地の品質など)とおすすめの羽毛布団について解説しています。是非あわせてご参考にしてください。
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