冬になると、
- やたらと長く眠ってしまう
- 朝起きれなくなってしまう
などのようなことがあるため、「冬の睡眠って他の季節とは何か違うの?」と疑問に思うことはないでしょうか。
事実、季節により睡眠は大きく変わります。変化を知らずに生活していると、やたらと長く眠ってしまったり、目覚めに苦労してしまいます。しかし、逆に言えば、冬の睡眠についてちょっと詳しくなるだけで、朝の目覚めから睡眠の質まで大きく改善させられることを期待できます。
そこで本日は、
- 冬の睡眠によくあるQ&A
- 冬の眠りを助ける行動と快眠グッズ
についてご紹介します。
※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。 |
Contents
1. 冬の眠りによくあるQ&A
まずはよくある疑問についてお答えします。他にも疑問があればコメントください。
1−1. 冬になると睡眠時間が長くなるのはなぜか?
冬は睡眠が長くなってしまうため「起床時がつらい」「つい寝不足気味になる」などの悩みをよくいただきます。
その最大の理由として、日が短いため眠りが浅く長くなることがあげられます。日光は人の眠りだけでなく、体のコンディションに大きな影響を与えています。
日の長さと関連した心身の季節性変化が著しくなると、生活に支障をきたす。秋から冬にかけて憂うつになり、睡眠がだらだらと長くなり、炭水化物の過食が起こり、春になると自然に治ってしまう冬季うつ病という病気がある。
(引用:『睡眠のはなし』 内山真 著)
というのも、人には光の刺激を受けると脳内で「セロトニン」という物質(いわゆる幸福ホルモン)を合成し、それが夜間になると「メラトニン」という物質(いわゆる睡眠ホルモン)になる仕組みがあるためです。
メラトニンとは、松果体より分泌される脳内ホルモンで、トリプトファンからセロトニンを経て合成される。昼間は少なく夜間睡眠時に分泌が上昇する。メラトニンは直接的に睡眠作用を持つほか、概日リズム(体内時計)に深く関係し、深部体温を低くする作用があり、睡眠・覚醒リズムの調整に重要な役割を果たしている。
(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)
日本の冬は、日照時間が少ない上に、光量も少なくなります。
そのため、どうしてもセロトニンとメラトニンの量が少なくなってしまうため、だらっとした長い眠りになってしまうのです(対策は2−1のご覧ください)。
1−2. 寝室の温湿度はいくつが最適?
寒いと眠れないのはもちろんですが、冬だからといって暖めすぎるのも問題です。
また、室内だけでなく布団内の温湿度も、適切に調えなければなりません。
- 寝室内の温湿度:16~19℃、50~60%
- 布団内の温湿度:33℃前後、50%前後
まずは、暖房機器や加湿器を利用して、寝室の温湿度が適切になるようにしましょう。
ただ、布団内の温湿度を調節するのは難しく感じられるかもしれません。が、寝室内の温湿度を調えた上で適切な素材・生地の寝具(2−2で説明)を使っていただければ、自然と適度な数値に近づけられます。
温湿度について、特に気をつけていただきたいのが朝です。
睡眠と体温の関係をグラフで見ると明らかですが、起床前の明け方に体温は一日の中でもっとも低くなります。そして、起床に向かって体温が上がっていっています。
そのため、起床時に寝室の温湿度が外気に合わせて低くなっていると、体温が上げづらくなり目覚めるのに大変な思いをします。
眠る前だけでなく、眠っているときや起床時にも温湿度が最適化できると理想です(方法論について2−3、2−4で説明)。
1−3. 冬は寝汗が減る?増える?
冬だからといって寝汗が特別少なくなることはありません。
むしろ、羽毛布団やあたたかパッド、暖房器具などで夏よりも体が暖められていることがあるため、冬に寝汗が多くなることも十分あります。
そのため、冬になるとベッドシーツやカバーなどの洗濯回数を減らされる方がいますが、できれば夏と同じ頻度で洗うことをおすすめします。
2. 冬の眠りを助ける行動と快眠グッズ
それでは次に、冬の眠りをメリハリあるものにするために、おすすめのするべきことと快眠グッズをご紹介します。
2−1. 午前中に光を浴びる
先にも述べたように、冬は浴びる日光量が圧倒的に少なくなります。
そのため、日中(特に午前中)積極的に光を浴びるようにしましょう。
ただ、光を浴びると言っても、日焼けをする必要はありません。2,500lx以上の光を目が感じればいいので、窓際で明るい空を眺めるだけで十分効果が見込めます。
他にも、朝食をとるときに部屋の中を明るくする、日当たりのよい通勤・通学路を選ぶ、などあなたなりに応用してみてください。
「なんか冬はやる気が出ない」のような冬季うつの改善にも効果が期待できます。
2−2. 適切な素材の寝具を使う
寒くて眠れなかったり、夜中に目が覚めてしまったり、朝布団から出られないのなら、羽毛布団やボア生地のパッドを使用するなどしてあたたか対策をしましょう。
ただその一方で、寝床が蒸れて暑くならないようにすることも同時に注意が必要です。どういうことかというと、
- ポリエステル生地の羽毛布団
- アクリルボアの敷きパッド
- 化繊ジャージのパジャマ
などを組み合わせて寝てしまうと、蒸れて暑苦しくて睡眠の質を下げてしまうからです。
ポリエステルやアクリルなどの化学繊維を含んだ寝具を0にする必要はありませんが、できるだけ少なくすることが望ましいです。
素材 | イメージ | 柔らかさ | 滑らかさ | 吸湿性 | 放湿性 | 耐久性 | 洗濯性 | ||
天 然 繊 維 | 植 物 性 | 綿 (コットン) | ◯ | ◯ | ◎ | △ | ◯ | ◯ | |
麻 (リネン) | △ | △ | ◎ | ◎ | ◯ | ◯ | |||
動 物 性 | 絹 (シルク) | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ | △ | △ | ||
羊毛 (ウール) | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ | △ | △ | |||
化 学 繊 維 | 再 生 | レーヨン | ◎ | ◯ | ◎ | ◎ | △ | △ | |
合 成 | ポリエステル | △ | ◯ | △ | – | ◯ | ◎ |
綿(コットン)、麻(リネン)、テンセル®︎などの吸水性・吸湿性のある素材を使った寝具を使うようにしましょう。
2−3. 寝室の温湿度の最適化にはオイルヒーターがおすすめ
寝室の温湿度の調整にはエアコン(暖房)を使われる方が多いと思いますが、私のおすすめはオイルヒーターです。
製品:山善オイルヒーター
価格:9,900円
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エアコンの暖かい風は空気を乾燥させやすく、喉を痛めたり鼻づまりの原因となることがあります。その点、オイルヒーターはあまり空気を乾燥させません。そのため、就寝前から朝まで「弱」のまま付けっ放しにしておいて、ずっと寝室を睡眠に適度な温度に保つことができます。とはいえ、空気の乾燥に非常に敏感なのであれば、別途、加湿器を導入するほうがよいですが。
2−4. 起床時の寒さ対策には電気毛布がおすすめ
低血圧の人は特にそうだと思いますが、冬の朝は布団から出るのがキツイですよね。
このようなお悩みのある方には、オンタイマー機能付きの電気毛布がおすすめです。
製品:KOIZUMI電気掛敷毛布
価格:5,810円
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例えば、こちらの電気毛布には「快眠タイマー」という機能があり、使用開始2時間後に自動でオフになり、6時間後に自動でオンになります。例えば、23:00からオンにすると01:00に自動的にオフになり、05:00~07:00の起床前の時刻に自動的にオンになります。
ただ、電気毛布を使うには注意が必要です。眠るときに体を暖めすぎると寝つきを悪くする点だけ念頭に置いてご使用ください。
最後に
あなたの冬の眠りがよくなる一助になれば幸いです。
なお、以下のページでこれまで紹介してきた、数々の研究で実証された良質な睡眠のために「するべきこと」と「してはいけないこと」を網羅的にまとめています。美味しいところ(結論)だけをつまみ食いできる構成になっています。是非ご一読ください。
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