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【断眠実験】人は寝ないとどうなるか?

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人から睡眠を奪うとどうなるか。

すぐに機嫌が悪くなり、その後体調が悪くなり、徐々に脳機能が低下して何でもないようなことが出来なくなっていきます。

とても恐ろしい話ですが、私たちが今こうして「人から睡眠を奪った結果」について分かっているのは、過去に断眠実験に挑戦した猛者がいるからです。

そこで本日は「人が寝ないとどうなるか?」について、

  • 過去に行われた実験とその際に人に何が起こっていたのかの考察
  • 眠らないと生じる悪影響

についてご紹介します。

※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。
著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。2,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。
取材依頼はお問い合わせから。
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1. 人は寝ないとどうなるのか?

断眠実験は数多く行われてきました。信憑性が薄いものがある中、これからご紹介するものは睡眠の研究者の立会いのもと行われており信頼性が高いとされています。

ランディ・ガードナー氏が断眠実験に挑戦したのは1964年で、彼は当時17歳の高校生でした。学校の冬休み期間中の自由研究として、当時の不眠記録に挑戦されたようです。

断眠中どのような症状が現れたかは以下のようになっています。

断眠日数症状
1日目午前6時起床。断眠実験スタート。
2日目目の焦点が定まらない。
3日目気分がかわりやすい。吐き気がする。
4日目集中力が欠如。幻覚が見える。
5日目断続的に空想にふける。
6日目物を立体的に見る能力が落ちる。
7日目明らかにろれつがまわらない。
8日目発音が不明瞭になっていく。
9日目思考が断片的。文章が最後まで話せない。
10日目記憶や言語に関する能力が低下。
11日目記憶や言語に関する能力が低下。
12日目午前6時就寝。断眠実験終了。

(引用:『ニュートン別冊「睡眠の教科書」』㈱ニュートンプレス)

ひょっとしたら断眠2日目くらいの症状なら、あなたも経験されたことあるのではないでしょうか。私自身のケースで言うと、徹夜での作業中にパソコンに向かってると焦点がぼやけてきてまともに対象を捉えられなくなったりしたことはあります。

私は一夜の徹夜(一徹)までしかしたことないがためこれ以上となると共感できませんが、断眠4日目には幻覚が見えるそうです。ランディ氏によると、道路標識が人間に見えたそうです。全く理解できませんが、かなり脳が混乱しているのでしょう。そして、この頃から集中力が欠け始め、記憶も曖昧になり始めたようです。

そして、7日目になるとろれつが回らず喋るという動作にすら支障が出て来ました。さらに、8日目には発音も不明瞭になったようでコミュニケーションがかなり困難になってきたようです。そして9日目以降は、考えも途切れ途切れの状態になってしまい、会話で一文最後まで話すことが出来なくなりました。本人曰く、若年性アルツハイマーになったようで、何も覚えておられずクレイジーな状態だったそうです。

なお、この実験は後半日から睡眠研究の権威であるウィリアム・デメント教授(睡眠界の世界的権威。1970年にスタンフォード大学に世界初の睡眠障害センターを設立した人)により観察されているため、実験内容に信頼性があると評価されているのです(実験に是非立会いと3日目からスタンフォードからサンディエゴまで駆けつけたそうです)。ただ、脳波を測定せずに目で見てどんな状態かを観察していただけなので、もしかするとマイクロスリープ(1秒から数秒未満の短い眠り)があった可能性は否定出来ません。

※ネズミは睡眠を奪われ死んだ

なお、ランディ氏は実験終了後、14時間40分眠り続けました。そして幸いなことに、なんの後遺症が残ることもなかったそうです(後年の疾患に影響があったとの説もあり)。本当に幸いです。

一方、1989年に行われたネズミから睡眠を奪う実験では、実験対象となった10匹のネズミは断眠後11-32日以内にすべて亡くなったと報告されています。寿命が70年ほどの人間と、寿命が2年ほどのネズミを比較するのは難しいですが、ある程度の指標にはなります(これらのラットはほぼ完全に断眠されていました)。過度の睡眠不足により衰弱、手足の障害、過食にもかかわらず体重の減少が起こった後、死んでいったとのことです。直接的な原因は分からないものの、免疫力の低下から肺の感染症が疑われているそうです。これらのネズミの死を無駄にしないよう、あなたはしっかりと眠るようにしましょう。


2. 眠らないと生じる悪影響

人がなぜ眠るのか根本的な理由はわかりません。

しかし、脳の回復に大きな役割を果たしていることはこれまでの実験で明らかになっています。例えば、以下のような役割です。

  • 情報の定着
  • 記憶の整理
  • 脳内の整備
  • 脳と体の休息

そのため、眠らないと(睡眠不足になると)これらの働きが出来なくなり、日中眠気が生じるだけでなく以下のようなリスクが増すと研究により報告されています。

  • 脳の生産性が落ちる
  • 脳の創造性が落ちる
  • 脳の保守力が落ちて認知症(アルツハイマー症)リスクが高まる
  • ストレス・不安を感じやすくなる
  • 太りやすくなる
  • 見た目(顔)の魅力が落ちる
  • 精子の量・質が低下する
  • 生理不順になりやすく妊娠に苦労する
  • 細胞レベルで老けやすくなる
  • 心血管障害が起きるリスク増大
  • 糖尿病発症リスクが高まる
  • 免疫力が落ちて感染リスクが3倍になり予防接種の効果が半分になる
  • 発ガンリスクが高まる

ランディ氏が実験で感じたような症状にも通じます。実社会でこのような症状があると生活に支障をきたします。怒りっぽい人とは誰も一緒にいたくないですし、仕事・勉強のパフォーマンスが下がり思うような成果があげられにくくなります。また、風邪をひきやすくもなり不健康です。百害あって一利なしです。個々のデータは今後紹介していく予定です。


最後に

人は寝ないとどうなるのか。パフォーマンスが落ちて健康に悪影響があることがご理解いただけたと思います。睡眠の重要性を再確認するきっかけになっていれば幸いです。

とはいえ、どれくらいの長さ眠れば適切なのか判断がつかないかと思います。下記のページであなたにとっての適切な睡眠時間を計算する方法をご紹介しています。是非参考にしてください。

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