睡眠

こたつで寝ると突然死の恐れも。直ちにやめるべき理由

こたつで暖まりながらみかんを食べてまったりと時間を過ごす。まさに日本の冬の風物詩です。冬の寒さの厳しい日本では、誰もが夢見る極上のひと時です。

しかし、快適だからといって、そのままこたつで寝ると危険です。

  • 睡眠の質を下げる
  • 脱水症状を起こす
  • 風邪・疾患リスクを高める
  • 低温やけどを起こす

などなど、「こたつ睡眠」は様々な観点からおすすめできません。そこで本日は「こたつ睡眠」の危険性についてご紹介します。

※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。
著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。2,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。
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1. 睡眠中の体温上昇が起こす「こたつ睡眠」の危険性

まずそもそもの話になりますが、「睡眠中に体温が下がることで睡眠が深くなっていく」という眠りのメカニズムがあります。そして、体温を下げるために、一晩に200mlもの汗を人は流します。

睡眠時に体温が下がる
睡眠時に体温が下がる

しかし、こたつの中で眠ってしまうと、脳が体温を下げるために汗を流すよう体に命令しても、一向に体温が下がっていきません。体温は高いままになります。

暑くて暑くて汗びっしょりで夜中に目が覚めてしまったり、たとえ朝まで眠れたとしても、深い睡眠がとれないために全然疲れがとれない、なんてことになります。

1−1. 寝汗のかきすぎにより脱水症の危険性も

とはいうものの、深い睡眠がとれないだけで済めば、まだ不幸中の幸いかもしれません。

というのも、こたつの中で寝てしまうことで「寝汗をかきすぎて脱水症状になってしまう可能性がある」と専門家により警告されているためです。神奈川県立がんセンターの谷口英喜医師によると、

温度が上がり過ぎたこたつに足を入れたまま寝てしまうと、体内から眠っている間にどんどん水分が放出され…、40℃のこたつで寝てしまうと、一晩で最大900ccもの水分を消失してしまう可能性が!!

(引用:フジテレビ 直撃LIVEグッディ

通常、一晩にかく寝汗は200mlと言われています。

しかし、こたつの中で寝ると、その4.5倍もの量の寝汗をかくことになるのです。こんなにも汗をかくともなると、脱水症状になってしまうのも理解できます。また、脱水状態になると、喉のひどい渇きから、めまい、吐き気、ぼんやりする、脱力感・疲労を感じるようになります。

水分
損失率
現れる症状例
1%大量の汗、喉の渇き
2%強い乾き、めまい、吐き気、ぼんやりする、重苦しい、食欲減退、
血液濃縮、尿量減少、血液濃度上昇3%を超えると、汗が出なくなる
4%全身脱力感、動きの鈍り、皮膚の紅潮化、いらいらする、疲労および嗜眠、
感情鈍麻、吐き気、感情の不安定(精神不安定)、無関心
6%手足のふるえ、ふらつき、熱性抑鬱症、混迷、頭痛、
熱性こんぱい、体温上昇、脈拍・呼吸の上昇
8%幻覚・呼吸困難、めまい、チアノーゼ、
言語不明瞭、疲労困憊、精神錯乱
10~
12%
筋痙攣、ロンベルグ徴候(閉眼で平衡失調)、失神、舌の膨張、
譫妄および興奮状態、不眠、循環不全、血液および血液減少、腎機能不全
15~
17%
皮膚がしなびてくる、飲み込み困難(嚥下不能)、目の前が暗くなる、
目がくぼむ、排尿痛、聴力損失、皮膚の感覚鈍化、舌がしびれる、眼瞼硬直
18%皮膚のひび割れ、尿生成の停止
20%生命の危機、死亡

(引用:『水分損失率と現れる脱水諸症状の関係、第5章スポーツと栄養』

ひどいケースでは、こたつ睡眠により突然死が起きたとの報告もあります。

大量の発汗→脱水状態→血流の悪化→血栓の発生→心筋梗塞というように、睡眠中の突然死が起きてしまったとのことです。もちろん、これは最悪のケースですが、悪い要因が重なれば誰にでも起こりうることなので、くれぐれもご注意ください。

「こたつ睡眠」で風邪をひく原因に

もちろん、突然死のようなケースは稀ですが、風邪をひく程度となるととても身近な話として聞くことはないでしょうか。

よくあるのが「頭寒足熱っていうし下半身だけこたつに入ればよく眠れるかも」といって1~2時間のオフタイマーを設定してこたつで寝るパターンです。一見すると睡眠の理論に則した賢い眠り方のように見えますが、以下のようにして風邪を引き起こすことがあります。

  1. 眠りはじめに体温が下げられない
  2. 全身に大量に寝汗をかく
  3. タイマーが切れる
  4. 上半身が一気に冷える

また、このようにこたつをオフタイマー設定していたとしても、若干脱水状態気味になるため、喉や気道が乾いた状態になります。気道が乾燥すると粘膜による防御機能が下がってしまうので、ウイルスが侵入・繁殖しやすくなるという観点からも風邪の原因になると考えられます。

1−2. 「こたつ睡眠」で低温やけどの恐れも

また、病気や風邪だけでなく、こたつで寝ると低温やけどを起こす恐れもあります。

子供や成人では少ないですが、高齢者は皮膚が薄く、また、感覚機能が低下するため、低温やけどになりやすい、と消費者庁から注意が促されています。

こたつで就寝し朝起きると、足指より出血しており熱傷に気付いた。左第1~3、右第 1足指に熱傷を認め入院。左第1、2足指切断、第3足指は皮膚移植を行った。 (医療機関ネットワーク、受診年月:平成 26 年 12 月、70 歳代・男性、要入院)

(引用:消費者庁News Release)

もちろん、これは非常に稀なケースなので、「おじいちゃんのこたつの使用を禁止」するほどのことではないです。しかし、低温やけどのリスクがあることから(もちろん脱水症状のリスクのためにも)、ご自宅に高齢者がいらっしゃる場合は、こたつで寝ることはやめるよう促すことをおすすめします。

1−3. 「こたつ睡眠」は体(腰・背中など)にも悪い

また、こたつで寝るということは敷布団やマットレスの上でなく、カーペットの上で寝ることになるため、腰や背中への圧迫が強くなりがちという点から体にあまり良いとはいえません。

しかも高齢者の場合、圧迫感がある状態の上、寝汗で体が蒸れていると、褥瘡(ジョクソウ、床ずれ)が現れやすくなるため、さらに気をつけなければいけません。


最後に

こたつ睡眠がいかに体に悪いのか、ご理解いただけていると幸いです。こたつは目覚めた状態でのみ使うようにしましょう。

なお、以下のページでこれまで紹介してきた、数々の研究で実証された良質な睡眠のために「するべきこと」と「してはいけないこと」を網羅的にまとめています。美味しいところ(結論)だけをつまみ食いできる構成になっています。是非ご一読ください。

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