仕事や家事が忙しくてついつい気がハリすぎてしまいますよね。
心と身体までガチガチに凝り固まってはいないでしょうか。
そんな時におすすめなのが、身体の芯から脱力しリラックスできる「筋弛緩法」です。
眠る前にベッドの上で行えば、入眠がラクになります。もちろん、仕事や家事の休憩中のエクササイズにもぴったりです。イラストを使いながら行い方をご紹介するので、生活に取り入れてみてください。
※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。 |
Contents
1. 筋弛緩法とは
筋弛緩法とは、「筋肉を意図的に緊張させてから緩める」ことで、心と身体をリラックスさせる方法です。
アメリカの内科・精神科医でもあり神経生理学者のエドモンド・ジェイコブソン博士が考案したリラクゼーション法です。正式には漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)と呼びます。
このリラックス法は1929年に書籍として正式に発表され、その後、世界に広まりました。今では、不眠指導の代表的なリラクゼーション技法として、世界中で知られています。
2. 筋弛緩法は入眠を促すのに効果的
筋肉の緊張をほぐすリラクゼーション法なので、以下の効果が期待できます。
- 身体の疲れをとる。
- 手足の体温を上げる。
- 呼吸を深くする。
- 眠りやすくする。
さらに、それに加えて、自分の身体に意識が向きやすくなるのも大事な点です。
筋肉を緊張させてから緩めるという一連の動作の中で、意識がずっと身体に向かいます。普段あまり意識しない自分の身体に対して、より敏感に気を遣えるようになります。私個人の経験でいうと、ちょっとした筋肉のこわばりだったり、姿勢の悪さや偏りを感じられるような気がしました。また、真の脱力ってこういうものか、と分かるようにもなります。
そしてもちろん、実際に入眠を促す効果があるとも報告されています。バージニア・コモンウェルス大学のモーリン教授らが行った研究によると、59の非薬物睡眠療法の中でも漸進的弛緩法(下チャート内の身体的弛緩法)は入眠にかかる時間を67.4分から40.6分にまで縮めると報告されています。
入眠にかかる時間がかなり短縮されているのも驚きです。そのため、もちろん効果サイズが0.83となっており「顕著な効果あり」とされています。
「これは是非試したい!」とお考えではないでしょうか。
3. 快眠のための筋弛緩法のやり方
それでは、筋弛緩法のやり方をご説明します。3つのステップで簡単にできます。
- 身体の特定の部位に、ぎゅ〜っと力を入れる。
(全力ではなく、70%の力で行ってください。) - そのまま5~6秒キープする。
- スーッと脱力し、10秒ほど力の抜ける感覚を味わう。
大切なポイントは、「脱力を思いっきり感じる」ことです。脱力感を意識することで、リラックス効果がさらに高まります。それでは次に、眠る前と仕事中の2つのケースにぴったりな部位別のやり方をイラストと共にご紹介します。
筋弛緩法が睡眠に効果的な理由とは
快眠のために筋弛緩法を行うのなら、弛緩させる部位選びにコツがあります。眠る前におすすめの部位は、手(腕)、足、顔です。
なぜかと言うと、「睡眠と体温の関係」のためです。
・睡眠と体温の関係 人は眠るときに脳の回復と修復のために身体が省エネモードになり、身体の内部の温度が下がります。このとき、体温を効率よく下げるために、手足や顔の表皮から放熱します。そのため、入眠前にこれらの部位を筋弛緩法によりリラックスさせながらやや体温を上げておくと、眠るときに身体の内部の体温を効率よく下げられます。そうすることでスムーズに眠りに入ることが期待できます。 |
それでは、1つずつご紹介します。
筋弛緩法で手と腕のリラックス
- 拳をぐ〜っと握りながら、手首をゆっくり返していきます。
- そのまま5~6秒キープ。
- 脱力。10秒ほど力の抜ける感覚を味わう。
筋弛緩法で脚のリラックス
- 脚を伸ばした状態で、アキレス腱をぐ〜っと伸ばします。
- そのまま5~6秒キープ。
- 脱力。10秒ほど力の抜ける感覚を味わう。
筋弛緩法で表情筋のリラックス
- 眉を上にあげ、口をとんがらせ、耳をあげるように力を入れます。
- そのまま5~6秒キープ。
- 脱力。10秒ほど力の抜ける感覚を味わう。
身体の各部位を別々におこなっても、一緒におこなってもOKです。どこの部位を何回やろうなどと決める必要もありません。脱力感を味わえれば、心も身体もリラックスできています。
仕事や家事の休憩にぴったりな筋弛緩法
筋弛緩法は、ちょっとした休憩にできる、という良い点があります。
あなたが仕事や家事で酷使している身体の部位をリラックスさせましょう。例えば、オフィスでパソコン作業をする方や、スマホをよく使う方は、筋弛緩法で肩をほぐすと良いでしょう。疲れを効果的にとることができます。
以下のイラストのように、座りながら行えます。
筋弛緩法で肩のリラックス
- 胸を張りながら、肩をすくめるように力を入れます。
- そのまま5~6秒キープ。
- 脱力。10秒ほど力の抜ける感覚を味わう。
動かずに簡単にできます。疲れがたまる前に、身体をリラックスさせましょう。
まとめ
眠る前の快眠ストレッチとしても良し、仕事や家事の休憩ストレッチとしても良し。身体の強張りがとれ、とてもリラックスできます。
是非、今晩から筋弛緩法を始めてみてください。
なお、以下のページでこれまで紹介してきた、数々の研究で実証された良質な睡眠のために「するべきこと」と「してはいけないこと」を網羅的にまとめています。美味しいところ(結論)だけをつまみ食いできる構成になっています。是非ご一読ください。
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