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寝るときの豆電球が睡眠の質を下げて太るかもとの研究結果

  • 寝るときに豆電球程度の明かりが付いているだけで睡眠の質が下がる
  • そしてその結果、肥満の原因になっているかもしれない

という研究データが出されました。

健康な生活を目指す人にとっては見過ごせない報告ですね。

本日はこの研究結果と、今後どうすればいいのかについてご説明します。

※睡眠の質を上げるための方法をこちらのページ「睡眠の質を高めるための方法(総まとめ編)」でまとめています。ぜひあわせて参考にしてください。
著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

上級睡眠健康指導士(第235号)。2,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を発信中。NHK「あさイチ」にてストレートネックを治す方法を紹介。
取材依頼はお問い合わせから。
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1. 豆電球の明るさ(9lx)が睡眠を妨害し肥満の原因に

この研究結果は、奈良県立医科大学の大林賢史教授の調査によるもので2013年に公開されました。

実験の対象となったのは、奈良県に住む528人の高齢者(平均72.8歳)です。睡眠環境別に以下の2つのグループに分けられ、肥満度、脂質異常症、糖尿病の状態について調べられました。

  • 照度が3lx以下(平均0.4lx)の環境で眠っている383人
  • 照度が3lx以上(平均8.7lx)の環境で眠っている145人

その結果、豆電球の明かりがある環境で眠っているグループでは、体重、BMI、胴回りサイズなどの値が高い傾向があることがわかりました(fpg(空腹時血糖値)、HbA1c(ヘモグロビンa1c)、tg(中性脂肪)など値も高かった)。

睡眠中の豆電球の明かりで肥満に
豆電球グループ(LAN)はより肥満気味

要点をまとめると、平均して

  • 体重が2.6kg重く
  • BMI値が0.6ポイント高く
  • 胴回りが1.9cm長く
  • fpg(空腹時血糖値)が4.9ポイント高く
  • HbA1c(ヘモグロビンa1c)が0.2ポイント高く
  • tg(中性脂肪値)が16.6ポイントも高く
  • HDL-C(高密度リポタンパク質)が3ポイントも低かった

と報告されています。

この結果だけ見ると「?」と思われるかもしれませんが、つまり、豆電球程度の明るさの環境で寝ることと肥満との相関関係があるということなのです。ちなみに、どちらのグループも睡眠時間や就寝・起床時刻に大きな差はありませんでした(豆電球グループのほうが裕福で学歴が高いという傾向はありましたが)。

大林教授によると、明るい環境で眠ることで体内時計が乱れ、睡眠の質が下がり、その結果、レプチン(満腹ホルモン)が減少し、グレリン(空腹ホルモン)が増加し、食欲が増えることで肥満になったのではないかとのことです。

豆電球の明かりで肥満になる流れ
豆電球の明かりで肥満になる流れ

さらに私の考えを付け加えますと、肥満になると睡眠の質が下がります。そうすることでこの負の循環から抜け出しにくくなり、結果として、全体としてここまで大きな差が生まれることになったのだと考えています。

肥満になLightAtNightMakesYouFat2ると
肥満→睡眠の質の低下→肥満の負のスパイラル

たかが豆電球、されど豆電球。就寝時の明るさには注意しましょう。

1−1. 豆電球の明るさではメラトニン分泌は阻害されなかった

専門的な話になりますが、9lxの明るさの中眠っていても、メラトニンやグルコースの値に有意差はなかったとのこと。一般的に、明るい光は睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を阻害しますが、就寝時に9lxの明るさなら問題ないそうです。当初、豆電球の明るさで、メラトニン分泌量が減り、そのせいで睡眠の質が下がったのかと私は推測しましたが、ここについての関連性はなさそうとのことです。

1−2. 就寝時は仄暗い(0.3lx)のが良い。真っ暗(0lx)はダメ

それではどのくらいの明るさがいいのかというと、0.3lxほどの仄暗さが良いと報告されています。

0, 0.3, 5, 30, 50, 120, 180, 300lxの8段階の照度の光が睡眠に及ぼす影響を調べた研究によると、0.3lxのときが睡眠の深さが最高で、目覚めたときの睡眠感も良好でした。…逆に、0lxのほうが0.3lxよりも睡眠深度が低下していました。

(引用:『医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック』宮崎総一郎・佐藤尚武 編著)

つまり、眠るときはカーテンを少し開けて月明かりが若干入るくらいの明るさ(0.3lx)がベストということです。

ただ、窓越しから街灯が差し込んでいるとすると、カーテンから漏れる光が必要(0.3lx)以上になってしまう可能性があります。カーテンを開けるスキマを極力狭くするなどして、調整しましょう。また、エアコンや空気清浄機、デジタル時計などの電化製品から発せられる光にも配慮しましょう。あまりにも眩しいのならシールを貼ったりして光を封じ込めるようにすることをおすすめします。

人類は数百万年もの間、仄暗い環境で眠るのが自然だったため、ちょっとした明かりがあることでも生体リズムが乱れてしまう可能性があるのです。さらにいうと、真っ暗というのも人間が生活してきた自然界ではかなり珍しい不自然な状況となるとめ、落ち着いて眠れなくなるのかもしれません。


最後に

豆電球程度の明るさでさえ、私たちの睡眠と健康の歯車をここまで狂わせるとは驚きですね。

気をつけるようにしましょう。

なお、以下のページでこれまで紹介してきた、数々の研究で実証された良質な睡眠のために「するべきこと」と「してはいけないこと」を網羅的にまとめています。美味しいところ(結論)だけをつまみ食いできる構成になっています。是非ご一読ください。

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