ベッドのシーツやカバーを選んでいる最中、「打ち込み本数200本」などの表記を見て、「打ち込み本数って何?」と疑問に思われたことはないでしょうか?
「打ち込み本数の数字が多いほど値段が高くなってるから品質を表しているんだろうな」と、なんとなく気づかれているかもしれません。
打ち込み本数は生地の肌当たりが変わってくるポイントなので、どのようなものか理解してからシーツやカバーを選ぶようにしましょう。
Contents
1. 生地の打ち込み本数とは
打ち込み本数とは、1インチ(2.54cm)四方の生地に織り込まれている糸の本数を表します。そのため、数値が高いほど細い繊維が高い密度で織られているため、肌触りが良い上に、丈夫でしっかりとしている傾向があります。
また、打ち込み本数とは英語では、スレッドカウント(Thread Count)と言います。海外では200TCなどのように表記してシーツ/カバーの打ち込み本数を表すことが一般的です。
1−1. 打ち込み本数は多いほど良いもの?
打ち込み本数が多いほど良い生地という傾向はあります。
例えば、寝具店に行くと「180TC」「200TC」「250TC」というようにシーツ製品がグレード分けされていて、数字が良いほどさわり心地が良く、価格も高くなっていることを目にされると思います。
TC | 目安 |
300TC | 高級品 |
250TC | 高品質 |
200TC | 普及品 |
が、必ずしも打ち込み本数が多ければ多いほど良い、という訳でもありません。繊維の質が良ければ200TCでも肌触りの良い生地に仕上がります。
それではなぜ「180TC」「200TC」「250TC」のように敢えてグレード分けをしているのかと言うと、消費者が品質を理解して買い物をしやすいように打ち込み本数を指標にしているのです。つまり、打ち込み本数が200代の生地にはそこそこの品質の糸を使い、300以上の生地には高品質の糸を使っているのです。消費者が品質を理解しやすくするためのマーケティングと捉えても結構です。
1−2. 打ち込み本数がトリックに使われることも
ただ一点ご注意いただきたいのが、打ち込み本数の数値がトリックとして使われる場合があることです。
アメリカの消費者リポートの報告によると、
23組のシーツを調査したところ、打ち込み本数の高さが必ずしも商品の良さを保証しているとは限らず、300TCのシーツが同シリーズの400-600TCのシーツよりも優れているケースがあった。
打ち込み本数自体は多くしているものの、使われている綿繊維の質は低いものだったり、打ち込み本数に応じた細さの繊維を使っていないばかりに生地がギッシギシになり使用感が悪くなったんだろうと想定できます。
日本国内にこのような業者が存在しているかは分かりませんが、数字に踊らされず生地に触って選ぶことが大切かと思います。
(追記)打ち込み本数のトリック方法
トリックの方法がどういうことかわかったのでご紹介します。
生地は繊維と繊維が交差して織られています。
画像の繊維は一本に見えると思いますが、実際は、細い繊維をよって一本の繊維にしているのです。通常、よった繊維を一本と数えるのですが、2本の繊維をよった繊維だから2本、3本の繊維をよった繊維だから3本、と数えられることがあるのです。1本のはずなのにもかかわらずです。
そうして数えられた生地の打ち込み本数は、2倍、3倍となり、200TCのはずなのに400TC、200TCのはずなのに600TC、というシロモノが出来上がるようです。
ご注意ください。
1−3. 打ち込み本数が多いと通気性が悪くなる?
仮に糸の太さが全て一緒であれば、打ち込み本数が多ければ多いほど、糸と糸の隙間が狭くなるため通気性は悪くなります。しかし、そんなことは実際になく、良いシーツは打ち込み本数が多くなるのに応じて、それ相応の細さの糸が使われます。
それではなぜ、「打ち込み本数が多いと通気性が悪くなる」なんてことが言われるのかと言うと、以下のようなケースがあるためです。
- 打ち込み本数を数字のトリックに使うため
上記1−2で紹介したアメリカの例です。 - 生地を高密度で織ることで防ダニ仕様にするため
繊維と繊維の隙間をダニが行き来しないように敢えて繊維の隙間を埋めています。
2のケースは通気性が悪くなることを承知で、打ち込み本数を多くし密度を高めています。若干の通気性を捨ててでも防ダニを優先する人のための製造方法です。
最後に
シーツ/カバーの打ち込み本数に関してご理解いただけていると幸いです。
もしあなたがシーツ/カバーを選んでいる最中であればより良いものを選ぶために、こちらの記事『布団カバー・ベッドシーツを上手に選ぶ/扱うための体系的知識』を繊維素材の知識などの再確認にお役立てください。