家庭内でくしゃみをすることが増えて、「もしかしてダニアレルギーの症状かな?」とお考えではないでしょうか。
ダニアレルギーをお持ちの場合、家庭でのくしゃみや鼻づまりはダニアレルゲンが増えていることのサインとなり得ます。症状がひどくなってしまう前に、簡単にできることから対策を取りましょう。
そこで本日は、「家庭のダニアレルギー対策」についてご紹介します。
Contents
1. 空気中のダニアレルゲンが症状の元
まずは、なぜあなたにダニアレルギー症状が出ているのかを知りましょう。そうすることで、取るべき対策が分かりやすくなります。
ダニアレルギー症状を引き起こすダニアレルゲン(ダニの死骸、糞など)は、時間の経過と共に乾燥して粉々になり非常に小さい微粒子になります。
元々の大きさはダニで0.3~1mm程度、ダニの糞で0.01mm程度なのですが、粉々になることで0.01mm以下のサイズの物質(浮遊粒子状物質)となります。
浮遊粒子状物質(SPM)は、大気中に浮遊する粒子状物質のうち、粒径が10μm(1μmは1mの100万分の1)以下のものをいいます。微小なため大気中に長期間滞留し、肺や気管などに沈着して、呼吸器に影響を及ぼします。
(参考:環境再生保全機構)
このようにダニアレルゲンはとても微細なため、ちょっとした風などで宙に舞い上がり空気中に浮遊し続けます。そしてあなたが呼吸した際に、粘膜や鼻毛を通り抜けて体内に入っていき症状を起こす のです。
上記の内容からお分かりの通り、家庭のダニアレルギー対策には以下の2点が大切となります。
- ダニアレルゲンを吸引しないための対策
- ダニ繁殖の予防対策
それでは次に、これら2点の具体的な内容をご紹介していきます。
なお、ダニアレルギーに関してこちらのページ『【保存版】ダニアレルギーの症状、原因、検査方法、対策の総まとめ』で総括していますので併せてご参考にしてください。 |
2. ダニアレルゲンへの対策
ダニアレルゲンを吸引しないための対策は、こまめに掃除をすることに尽きます。
とはいえ、闇雲に掃除機をかけることは逆にダニアレルゲンの吸引量を増やしてしまうので、掃除対象毎に適切な掃除 をしなければなりません。
そこで今後は、以下の3つの点を念頭に置きながら、家庭の掃除を行いましょう。
- フローリング・家具は水拭き
- シーツ、カバー、カーテンは洗濯
- 布団、畳、絨毯の掃除機がけ時の注意
「なんで?」と感じられると思いますので、以下に具体的な解説を加えます。
2−1. フローリング・家具の水拭き
フローリングや家具は硬く絞った雑巾やワイパーなどで拭き掃除 をしましょう。
また、窓を開けていたりエアコンを動かしていると、風でダニアレルゲンが舞った状態になるので効率的に拭き掃除ができません。
そのため、拭き掃除は朝一番に行うことをおすすめします。
夜間寝静まっている間に空気中のダニアレルゲンが幾分かフローリング・家具に降りてきます。そのダニアレルゲンが落ち着いている状態を見計らって拭き取りましょう。
2−2. シーツ、カバー、カーテンの洗濯
ベッドシーツや布団カバー、カーテンなどに付いているダニアレルゲンは家庭用の洗濯機 でほぼ100%洗い流すことができる ので、こまめに洗濯するようにしましょう。
ダニ 除去率 | ダニアレルゲン 除去率 | 評価 | |
シーツ、 カバー、衣類 | 90% | ほぼ100% | ダニが生地に潜り込む余地がないため、 洗濯機の水流でほぼ全て洗い流すことができる。 |
毛布、 厚いタオルケット | 50% | 90~100% | 家庭用洗濯機で50%程度のダニは除去でき、 ダニアレルゲンはほぼ大半を除去できる。 |
掛け敷布団 | 40% | 90% | 布団の中綿に潜り込んだダニは専門業者による 丸洗いでも簡単には除去しきれない。 |
1つ注意ですが、ベッドシーツや布団カバーを勢い良くバサッと取ると、ダニアレルゲンが空気中に舞ってしまいます。また、フケや皮膚などのダニの餌となる老廃物を布団・マットレスに撒き散らすことで、ダニに餌を与えることになってしまいます。
そのため、出来るだけそーっと外して洗うようにしましょう。
2−3. 布団、畳、絨毯への掃除機がけ
布団、畳、絨毯への掃除機がけは専用ノズルを活用しましょう。
例えば、以下のようなホースノズルを使用することで、絨毯の毛足に挟まるダニアレルゲンをより効果的に吸引できるようになります。
製品:コーナーノズル
価格:302円
【当製品の販売ページ】
あなたのお持ちの掃除機に合うものをご使用ください。
また、畳の掃除をフローリングのように水拭きで行われる方がいますが、畳が水分を吸収してしまうことでダニが繁殖しやすくなりますのでお控えください。
なお、掃除機を使用している間、ダニアレルゲンが相当舞うことが予想されます。そのため、以下の点を踏まえて掃除を行うよう心がけてください。
- 空気清浄機を稼働させながら行う
- 空気を吸い込まないようマスクを着用する
- 掃除後は飛散が激しいためその空間から離れる
ミイラ取りがミイラになってしまうように、ダニアレルゲン除去をしているのにダニアレルゲンを吸引してしまうことになります。くれぐれもお気をつけください。
※布団の上げ下げ時は注意
なお、あまり意識されないことが多いので1つ注意点を加えますが、布団の上げ下げの動作だけでも部屋のダニアレルゲン量は急増します。
家庭のダニアレルゲン量を調べた調査(参考:『室内微生物汚染 ダニ・カビ完全対策』小峰裕己 編著)によると、静的な状態では29.6pg/(㎥細塵)のダニアレルゲン量が、布団上げ下げ後には30,900pg/(㎥細塵)まで増加すると報告されています。
なので例えば、就寝直前に布団を敷くのではなく、就寝1~2時間前には布団を敷いておき、床に着く前までの間に換気や空気清浄機で空気をキレイにしておく、などの対策も行いましょう。
※布団の上を走り回るのも、同様の理由からお控えください。
※こまめな掃除で本当に症状は改善します
「ダニアレルギー対策のために掃除の徹底を!なんて当たり障りないこと言ってるだけじゃないの?」と思われているかもしれません。
しかし実際に、こまめな掃除をすることでアレルギー症状が改善すると調査により報告されているのです。
気管支喘息患者4名に連日の掃除を指導し、1名についてはカーペットの除去、全寝具の更新も行った結果によれば、ダニ密度が比較的低く、軽症であった症例3,4番では、連日掃除によって症例が改善し、掃除によるアレルゲン除去の影響が大きいことが推察された。
(引用:『室内微生物汚染 ダニ・カビ完全対策』 小峰裕己 編著)
アレルギー症状が比較的軽症であった2名は毎日の掃除により症状に改善が見られ、ステロイド依存性のある重症患者でもカーペットをフローリングに変更し、寝具を買い換えることにより症状が改善されたとのことです。
まずは毎日、適切な方法で掃除をするようにしましょう。そして、症状の具合を見て、さらなる対処が必要かどうかご判断ください。
3. ダニ繁殖の予防対策
ダニアレルゲンの除去と同時に、家庭内でダニが繁殖しないように予防対策を取ることも大切です。
『出費なしで可能!布団・マットレスのダニ予防法』でダニ予防方法を細かにご説明していますが、ダニを繁殖させないポイントは以下の2点に尽きます。
- ダニに餌を与えないようにする
- 湿気を溜まらないようにする
上記でご紹介したダニアレルゲン除去方法を行っていれば、ダニへの餌(フケ、アカ、皮膚、食べかすなど)も同時に掃除できるので、1については問題ないと思います。
そのため掃除と併せて、湿気を溜めないことも意識するようにしましょう。
- 部屋出来るだけ毎日換気する
- 畳の上に絨毯をしかない
- 布団を敷きっぱなしにしない
- マットレスは床に直置きしない
- 起床後、掛け布団はめくっておく
このような対策を地道に行っていただければダニが大発生することをほぼ避けられると思います。
最後に
家庭のダニアレルギー対策について、どこから手を付けていけばよいかお分かりいただけたと思います。
しかしもし、ダニに刺されるほどの状況であるならば、なによりも優先してダニ退治を行わなければなりません。
布団とマットレスのダニ退治について、こちらのページ『手軽で効果抜群!布団の正しいダニ退治方法』で10通りのダニ退治方法から、効果的なものをご紹介しているので併せてご参考にしてください。