「軽量羽毛布団」
あなたはこのワードを見てどう思いましたか?
「高品質な羽毛布団だから軽くて暖かいんだろうな」
このように思った方もいるかもしれません。
もちろん、そういった高品質商品もあります。
しかし、大半は睡眠の質を下げてしまうようなものばかりです。
その違いを見極められるようになるにはお勉強が必要です。
そこで本日は、
- 羽毛布団の一般的な重さとは
- 避けるべき軽量羽毛布団の内容
- おすすめできる真の軽量羽毛布団
などについて解説していきます。
ぜひご参考にしてください。
※羽毛と羽根の比率、ダウンパワー、充填量などのスペックを比較した選び方についてこちらのページ「羽毛布団の選び方とおすすめ9選【専門家直伝】」で徹底解説しています。羽毛の充填量だけでなくより網羅的に羽毛布団選びを進めたい方はぜひご参考にしてください。 |
Contents
1. そもそも羽毛布団の重さとは?
そもそも一般的な羽毛布団の重さとは2.5kg前後です。
内訳は羽毛の充填量が1.2kg前後で、側生地の重さが1.3kg前後です。
本掛け羽毛布団 | |
羽毛充填量 | 1.2kg前後 |
生地重量 | 1.3kg前後 |
総重量 | 2.5kg前後 |
羽根布団が3.0kg前後、羊毛布団が3.5kg前後、木綿布団が4.5kg前後です。
このように他素材と比べると羽毛布団は軽いということがわかりますね。
掛布団 | 重さの目安 |
羽毛掛け布団 | 2.5kg前後 |
真綿掛け布団 | 2.3kg前後 |
羽根掛け布団 | 3kg前後 |
羊毛掛け布団 | 3.5kg前後 |
ポリエステル掛け布団 | 2kg前後 |
木綿掛け布団 | 4.5kg前後 |
(※ちなみに、羽毛(ダウン)の比率が51%以上だと羽毛布団となり、羽根(フェザー)の比率が50%以上だと羽根布団となります。)
羽毛(ダウン) | 羽根(フェザー) | |
画像 | ||
風合い | ふわふわ | 芯がある |
保温性 | ◎ | ◯ |
重量 | ◎ | △ |
フィット性 | ◎ | ◯ |
獣臭 | ◯ | △ |
価格 | △ | ◎ |
1-1. 軽量羽毛布団の重量とは?
「軽量羽毛布団」には定義がありません。
とはいえ、私の肌感にはなりますが、軽量羽毛布団として販売されているものは重量が2.0kg以下のものが多いです。つまり、一般的なものより0.5kgほど軽量ということになります。
この差をどう捉えるかが重要です。
というのも、0.5kgとは片手で持つには重たいですが、体全体に分散されるとなると誤差程度の重さにしか感じられないからです。違いがわかる人はかなり限られるのではないか、と私は考えています。
2. 避けるべき軽量羽毛布団
とはいえ、「軽い羽毛布団はいいものだ」という風潮があるため、無理をして軽量に仕上げられているものが少なからずあります。
そういった羽毛布団だと睡眠の質を下げることにつながります。
どういうものなのか具体的に解説していきます。
2-1. 側生地がポリエステル素材(蒸れて寝苦しくなる)
まず1番多いのが側生地がポリエステル素材のものです。
一般的な綿100%の生地が1.3kgだとすると、ポリエステル100%の生地では0.7kg前後になります。
生地素材 | 生地重量 | 通気度 | 評価 |
綿100% (100番手) | 800g前後 | 3.0cc以上 |
|
綿100% (80番手) | 950g前後 | 3.0cc前後 |
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綿100% (60番手) | 1100g前後 | 2.0cc前後 |
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綿100% (40番手) | 1300g前後 | 1.5cc前後 |
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ポリエステル30% 綿70% | 900g前後 | 0.5cc前後 |
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ポリエステル85% 綿15% | 750g前後 | 0.5cc前後 |
|
これだけで0.6kgほど軽くなります。
羽毛の充填量が1.2kgだとしても合計重量が1.9kgとなるため軽量羽毛布団と言っても差し支えありません。
しかし、問題は蒸れやすさです。
上のチャート内にあるようにポリエステル素材だと生地の通気性は非常に低くなります。さらに、ポリエステル繊維には吸水性もないため、布団の中が蒸れて寝苦しくなりがちです。
素材 | イメージ | 柔らかさ | 滑らかさ | 吸湿性 | 放湿性 | 耐久性 | 洗濯性 | ||
天 然 繊 維 | 植 物 性 | 綿 (コットン) | ◯ | ◯ | ◎ | △ | ◯ | ◯ | |
麻 (リネン) | △ | △ | ◎ | ◎ | ◯ | ◯ | |||
動 物 性 | 絹 (シルク) | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ | △ | △ | ||
羊毛 (ウール) | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ | △ | △ | |||
化 学 繊 維 | 再 生 | レーヨン | ◎ | ◯ | ◎ | ◎ | △ | △ | |
合 成 | ポリ エステル | △ | ◯ | △ | – | ◯ | ◎ |
快眠は望めません。
軽さの代償として快眠を失うことになります。
このような軽量羽毛布団は避けるようにしましょう。
2-2. 充填量が少ない(保温性が足りない)
次に、羽毛の充填量が少ないものもあります。
例えば、中国産ダックダウン90%、350dp、充填量1.0kg、側生地ポリエステル100%(重量0.7kg)というものです。
総重量が1.7kgですので、軽量羽毛布団といえます。
上記のケースと同様にポリエステルの問題がありますが、さらにその上で、羽毛の充填量が少ないため保温性が足りない可能性が大です。
商品例1 | 商品例2 | 商品例3 | TOG値 | 寝室の温度 | 住居例 | |
ダウン率 | 85% | 12 | 16~18℃ | 年中、冷暖房で 調整されている部屋 | ||
ダウンパワー | 330dp | |||||
充填量 | 1.0kg | |||||
ダウン率 | 85% | 90% | 93% | 13 | 14~16℃ | 気密性の高いマンション |
ダウンパワー | 330dp | 350dp | 400dp | |||
充填量 | 1.1kg | 1.0kg | 1.0kg | |||
ダウン率 | 85% | 90% | 93% | 14 | 12~14℃ | コンクリートの アパートや戸建て |
ダウンパワー | 330dp | 350dp | 440dp | |||
充填量 | 1.3kg | 1.2kg | 1.0kg | |||
ダウン率 | 85% | 90% | 93% | 15 | 10~12℃ | 同上 |
ダウンパワー | 330dp | 350dp | 400dp | |||
充填量 | 1.4kg | 1.3kg | 1.1kg | |||
ダウン率 | 93% | 93% | 93% | 16 | 8~10℃ | 築年数の古い 木造一戸建て |
ダウンパワー | 400dp | 440dp | 440dp | |||
充填量 | 1.3kg | 1.2kg | 1.3kg |
(※TOG値:保温性レベルとお考えください)
このスペックだと機密性の高いタワーマンションなどに住まわれている方にはちょうど良いと考えられますが、木造の一軒家に住まわれている方には保温性が足りなく感じられる可能性がとても高いです。
寒くて眠れない、なんてことがないように住まいの暖かさに合わない羽毛布団は選ばないようにしましょう。
3. 真の軽量羽毛布団を買うなら10万円以上の出費を覚悟すること
では高品質な軽量羽毛布団とはどういうものなのか?
それは少量でも十分なくらい保温性の高い羽毛が充填されていて、なおかつ、側生地には細くて軽い綿(もしくはシルクなど)が使用されているものです。
羽毛の保温性はピンキリです。
保温性が高い大きな羽毛の1.0kgとそこそこの保温性の羽毛の1.2kgが同等の暖かさになることもしばしば。
また、細くて長い綿素材はただ軽いだけでなく通気性も高いため、羽毛の保温性や調湿性を存分に発揮させられます。
そのため、高品質な軽量羽毛布団は軽いだけでなく、適度に温かく、蒸れない調湿性もあり、また、体にもフィットしやすくとても快適な寝心地です。
なお、そのような羽毛布団を下記のページで紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。
関連記事最後に
軽量羽毛布団には低品質なものもあれば高品質なものもある、ということをご理解いただけましたでしょうか。
下手なものを避ける一助になっていれば幸いです。