
※羽毛と羽根の比率、ダウンパワー、充填量などのスペックを比較した選び方についてこちらのページ「【偽装に負けるな】羽毛布団の選び方とおすすめ9選」で徹底解説しています。水鳥の種類だけでなくより網羅的に羽毛布団選びを進めたい方はぜひご参考にしてください。 |
羽毛布団を選ぶとき、
- 「ダックとグース?」
- 「何がどう違うんだ…」
と疑問に思ったことはないでしょうか。
結論から言うと、一般的にはグースのほうが良いです。
保温性、弾力性、弾力性、復元性(ふっくら感)が高く、さらには羽毛特有の獣臭も控えめです。とはいえ、一部例外があったり、基準となる数値があるので、それらについても知ることでより満足のいく羽毛布団選びをすることができます。
そこで本日は、
- ダックとグースの羽毛の品質の違い
- 水鳥の種類以外にも気をつけるべきこと
- ホワイトとシルバーの違い
などについて解説していきます。
Contents
1. ダックとグース|羽毛原料としてのランク表
同じカモ目カモ科の水鳥ですが、ダック(アヒル)とグース(ガチョウ)は別の生き物です。
ダック | グース | |
画像 | ![]() | ![]() |
体のサイズ | 小さめ | 大きめ |
羽毛のサイズ | 小さめ | 大きめ |
保温性 | 普通 | 高い |
食事 | 雑食 | 草食 |
獣臭 | 強い | 弱い |
グースのほうが体が大きいため、採取される羽毛(胸の毛)もその分大きめです。
そのため、ダックよりもグースの羽毛のほうが保温性、復元性、弾力性にすぐれており、羽毛布団(その他ダウンジャケットなど)の原料として重宝されます。分かりやすく言うと、グースの羽毛のほうが少ない量で暖かく、軽くて体にふわっと沿う快適な寝心地だということです。
ただ、ダックの中にはグースの羽毛の質をはるかに凌駕する別格の種が存在したり、水鳥の発育段階によっては羽毛の大きさが変わってくることから、布団の原料となる羽毛は以下のように5つに分けられています。
アイダーダック | マザーグース | レギュラーグース | マザーダック | レギュラーダック | |
羽毛サイズ | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ | △ |
獣臭 | ◎ | ◎ | ◎ | △ | △ |
価格 | △ | △ | ◯ | ◯ | ◎ |
鋭い方ならお察しの通り、ダック/グースの品種や、羽毛が採取される時期によっても羽毛の質が変わってくるのですが、一般的にはそこまで細かくは分類されていません。
上記の5つは左から順によいものとされていますが、アイダーダックは別格の存在です。その他とは一線を画する質の羽毛を持っています。そして、マザーグースがその次によいもので、その次にレギュラーグース、マザーダック、レギュラーダックと続きますが、必ずしも全ての羽毛原料がこのランク順の品質である訳ではありません。
低品質なマザーグースよりは高品質なレギュラーグース、低品質なグースよりは高品質なマザーダック、低品質なマザーダックよりは高品質なレギュラーダックというふうに、その羽毛の品質により原料としてのランクが変わってきます。
1-1. 最高峰の羽毛を持つアイダーダックとは
アイダーダックが別格なんて言うと「どうして?何が違うの?」と気になられるかと思います。
アイダーダック(ホンケワタガモ)もダックとグースと同じくカモ目カモ科なのですが、寒さが非常に厳しい北極圏周辺に生息しています。そのため、非常に良質な羽毛を持っているのです。何よりも、羽毛同士が絡み合う性質があり、抱え込んだ空気を逃しにくいため保温性が抜群なのです。
その上、許可を持つ限られた事業者にのみ羽毛の採取が認められているので、希少性が非常に高くなり価格が高騰しているのです。
1-2. 水鳥の種類に加えてダウンパワー値もチェックすること
ただ、羽毛の種類が5つに分けられると言っても、良し悪しの基準がないと、品質が不透明で分かりにくいですよね。そこで役に立つのが、ダウンパワーという数値です。
ダウンパワー(dp)とは何か簡単に言うと、羽毛のかさ高を数値化したものです。水鳥の種類とこの数値を目安にすると、羽毛布団の品質を比較検討しやすくなります。
ラベル | ダウンパワー (フィルパワー) | かさ高 | ダウンの混率 | 清浄度 | 酸素計数 |
プレミアムゴールド | 440dp(807fp) | 18cm以上 | 93%以上 | 500mm以上 | 4.8mg以下 |
![]() | |||||
ロイヤルゴールド | 400dp(733fp) | 16.5cm以上 | 90%以上 | 500mm以上 | 4.8mg以下 |
![]() | |||||
エクセルゴールド | 350dp(642fp) | 14.5cm以上 | 80%以上 | 500mm以上 | 4.8mg以下 |
![]() | |||||
ニューゴールド | 300dp(550fp) | 12cm以上 | 50%以上 | 500mm以上 | 4.8mg以下 |
![]() |
例えば、レギュラーグースの380dpと400dpであれば、後者の羽毛のほうが暖かいです。
ただ、注意が必要なのが、ダウンとフェザーの比率や充填量によって羽毛布団の質が左右されることです。例えば、レギュラーグースダウン95%(フェザー5%)、380dp、1.2kgとレギュラーグースダウン90%(フェザー10%)、400dp、1kgであれば、トータルで考えると前者のほうが暖かいことがあり得るのです。
難しいのが、マザーダックとレギュラーグースの比較です。一概にどうだとは決めつけられませんが、基本的に、ダックダウンよりグースダウンのほうが羽毛の枝の数が多く、また枝に生えるヒダのような毛の数も多く、より密に空気を抱え込むことができるので、保温性、復元性、かさ高性が高い傾向があります。

1-3. ダックとグース|食生活の違いからダックは獣臭が強い
羽毛布団だけでなくダウンジャケットでもそうですが、羽毛のニオイって本当ピンからキリまでさまざまに感じられませんか?
実はその差は、ダックかグースかでも生じているのです。
ダックは雑食なのに対して、グースは草食です。ダックは肉も食べるため、体が油脂を蓄えやすくなり、ニオイが強くなるのです。私たち人間でも同じですよね。肉ばかり食べていると体臭がキツくなりがちです。
1-4. ホワイトダック?シルバーグースなどの色の違いとは
ダックとグースの違いを理解するだけでも一苦労なのに、ホワイトダック、シルバーダック、ホワイトグース、シルバーグースなどの色の違いに悩まされたことはないでしょうか?

結論から言うと、これらの色の違いが品質を左右することはありません。
ただ、シルバーダック/グースの羽毛は白い側生地に充填すると、うっすらと羽毛が透けて見えてしまいます。寝具は真っ白な清潔感があるものが好まれる傾向があるため、シルバーダック/グースはホワイトダック/グースよりも下のものとして扱われがちです。
「布団カバーを掛けたら見えなくなるのでは?」と言われればその通りです。色で寝心地が変わることはないので、好みで選んでしまって問題ありません。
(追記)偽装羽毛布団を避けるには信頼のあるメーカーものを選ぶこと
品質が偽装された羽毛布団の中には、グースダウン90%と表記されているのに中身が表記通りではないものがあります。
例えば、グースダウンが80%、ダックダウンが10%、スモールフェザーが10%といったように、ダックダウンが(故意か過失からか)ダックダウンが混ざっているものがあります。結論から言うと、グースダウンとダックダウンが少しばかり混ざってしまうのは製造の工程上避けられません。そのため、日本羽毛製品協同組合(日羽協)ではグースダウンに10%までダックダウンが混ざるのを許容範囲として設定しています。企業努力をしている会社はこの許容範囲をより少ない7%に設定しており品質工場に努めています。反対に、安かろう悪かろうなメーカーはコストを下げるために許容範囲ギリギリまでグースにダックを混ぜているかもしれません(グースの羽毛布団で臭いものはこういったものです)。
ちなみに、欧州ではこのグースとダックの混率の許容範囲を30%まで認めていると言われています。つまり例えば、グースダウン60%、ダックダウン30%、スモールフェザー10%の羽毛布団でさえ。グースダウン90%羽毛布団として販売出来るのです。恐ろしいですね。日本の品質基準はやはり世界でもトップランクです。
最後に
ダックよりもグースのほうが暖かくてニオイの少ない良いもの(アイダーダックは例外)、マザーと頭についていればより良いもの、色は品質と関係ない、と簡素化してでもいいので記憶に留めていただければ光栄です。
なお、以下のページで最高の羽毛布団を選ぶために考えるべきポイント(ダウン率、ダウンパワー、充填量、水鳥の種類、側生地の品質など)とおすすめの羽毛布団についてまとめて解説しています。是非あわせてご参考にしてください。
関連記事