突然、家でくしゃみや鼻水が出るようになったり、鼻が詰まりやすくなったとき、「もしかしてダニが原因でアレルギー症状が出てるのかな?」と、ダニを原因として疑ったことはないでしょうか?
もちろん、ダニがアレルギー症状の原因の可能性はあります。
しかし、どのようにダニが原因になっているのかメカニズムを理解していないと、上手に対策を取ることができません。
そこで本日は、「ダニがアレルギー症状を起こす原因と対策」についてご紹介します。
Contents
1. ダニアレルギーを起こす原因はダニの死骸や糞
まず最初に知るべき点が、生きているダニによってアレルギーを起こすことはほとんどない、ということです。
ダニアレルギーの原因となるのは、ダニの死骸や糞などです。
ダニ | ダニアレルゲン | |
定義 | 生きているダニ | ダニの死骸、糞、抜け殻など |
被害 | 刺されることにより肌が腫れたり強い痒みが生じます。 7~10日間程それらの症状は続きます。 しかし、寝具に潜むダニの約90%を 占めるチリダニは人を刺咬することはありません。 人を刺すツメダニは全体のたった1%弱です。 | ダニアレルゲンは接触・吸引してしまうことで、 アレルギーや喘息を起こす原因になります。 誰でも許容量を超えると症状を引き起こします。 ダニの被害とは異なり、一度発症すると、 完治まで数年かかることもあるのでより厄介です。 |
実際のところ、生きているダニは(偶発的に)人を刺すことがありますが、1週間程度赤く腫れて痒くなるだけです(これはこれで辛いですが)。
その一方ダニアレルギーは、被害が長引いたり、他のアレルギーを誘発する可能性があるため、より深刻に捉えるべきなのです。
1−1. ダニアレルゲンでアレルギーを起こす流れ
ダニアレルゲンはとても小さい物質のため、呼吸を通してアレルギー症状を起こすことが多いです。
家庭でのダニアレルギー症状は、以下のような流れで起こります。
- ダニ(0.3mm)の死骸や糞(0.01mm)が撒き散らかされる
- 乾燥して粉々になるとさらに微細になる
- 0.01mm以下の浮遊粒子状物質として空気中に漂う
- 呼吸を通して人の体内に入っていく
- 許容量を越すと免疫機能が過剰反応する(アレルギー反応)
宙に舞ったダニの死骸、糞などが呼吸により体内に入ることで、ダニアレルギー症状が出るのです。
もちろん、呼吸によりアレルゲンと接触し、肌の痒みや蕁麻疹が生じることもあります。
1−2. ダニアレルゲンは爆発的に増える
「でも、ダニの糞とか死骸ってそんなに大量に出るものなの?」と疑問に思われるかもしれません。
答えは、Yesです。特に、3つの条件(「25℃前後の暖かい温度」、「70%以上の湿った湿度」、「豊富な餌」)が揃ってしまうと爆発的に増えてしまうのです。
1990年に行われた実験では、多湿環境下において温度が20℃を超えると、ダニの発育スピードが急激に高まる様子が報告されています。
温度(℃) | 発育期間 (卵→成虫:日) | 生存日数 (成虫→死:日) | 総産卵数/雌(個) |
16 | 122.8 | – | – |
23 | 34 | 31.2 | 68.4 |
30 | 19.3 | – | – |
35 | 15 | 15.5 | 48 |
(引用:Arlian LG,Rapp CM,Ahmed SG. Development of Dermatophagoides pteronyssinus. J Med Entomol 1990;1035-40)
「1匹のダニが1ヶ月後に100匹になり、2ヶ月には10,000匹超になる」というのはありえない話ではないのです。
しかもその上、ダニ1匹が毎日3〜4個の糞を排泄するので、9月頃には数万〜数十万個単位のダニアレルゲンが家庭に撒き散らかされることになるのです。
1−3. 家庭でダニが繁殖しやすい3つの箇所に適切な対策を
「ダニアレルギーの症状が出てしまう原因は分かった。でも、どうやって対策したらいいの?」とお悩みだと思います。
結論から言うとダニアレルギー対策は、「掃除」と「換気」を徹底することです。こまめな掃除と換気でダニの餌を減らし、湿った空気が滞留するのを阻止しましょう。
特に以下の3つは、家庭で最もダニが繁殖しやすい場所です。
- ベッド
- 畳、絨毯、カーペット
- ソファ
洗濯と掃除機がけで徹底的にキレイにしましょう。
しかしもし、生きているダニがいる場合、「ダニを退治」してから「ダニアレルゲンを除去」する必要があります。こちらのページ『これで絶滅!ダニの発生原因、症状、駆除、予防の総まとめ』で正しい手順で行うダニ対策を紹介しているので、併せてご参考にしてください。
最後に
ここまで読んで、「もしかするとダニがアレルギー症状の原因ではないかも」と思われている人もいるかもしれません。
例えば、ダニアレルギーの時期は秋(9〜10月)なので、冬の場合は別のアレルギーの可能性が高いです。また、秋といっても、花粉によるアレルギーの可能性もあります。
それでもダニアレルギーを疑われる場合、ダニアレルギー検査を受けてみることをおすすめします。
こちらのページ『【保存版】ダニアレルギーの症状、原因、対策の総まとめ』でダニアレルギーの具体的な対策、アレルギー検査の概要などを含めて総括しているので併せてご参考にしてください。