習慣性のいびきは睡眠の質を下げるため、日中の眠気、だるさ、疲れなどの原因になります。
また、一緒に眠るパートナーの眠りを妨害することにもなりえます。
しかし、「いびきの原因も分からないし、何を直せばいいのかも分からない」とお考えだと思います。そこで今回は、
- いびきのメカニズム(図解)
- いびきの8つの原因
- 原因別のピンポイント対策
- 睡眠時無呼吸症候群になっていないかのチェック方法
をご紹介します。メカニズムと原因を理解すれば、あなたに合う改善方法がきっと分かるようになります。
0. 図解|いびきが起こるメカニズム
いびきとは、眠っているときに吸い込んだ空気が、喉を通るときに鳴る振動音です。
例えるなら、ラッパなどの管楽器から音が鳴るのと同じ原理です。
とはいえ、通常の呼吸では、イビキ音は鳴りません。
しかし、睡眠中になんらかの理由により上気道が狭くなると、いびきが起こるのです。
そのため、「上気道が狭くなっている原因」=「いびきの原因」と考えると、原因に応じてどのような対策をとればいいのか明確になります。また、いびきの症状がひどくなると、睡眠中に呼吸が止まること(睡眠時無呼吸症候群)もあります。そうなると、日中に強い眠気・倦怠感を催すことがあるので、生活に大きな支障をきたします。
そこで、いびきの状態を簡単にチェックできる方法を4章でご紹介します。3分もかからずに用意ができるので、必ずチェックされることをオススメします。
1. 慢性的ないびきの原因
それでは、いびきの原因(上気道が狭くなる原因)を紹介していきます。
(1) 肥満による首周りの脂肪が気道を狭める
太ると身体の内側に脂肪がつきます。脂肪はもちろん、首の周りにもつきます。そして、首の周りの体内脂肪により、上気道が狭くなります。
また、太ると舌にも脂肪がつき肥大します。舌が大きくなることで気道を塞ぎ狭くしてしまいます。この2つの側面から、肥満はいびきの原因になります。
(2) 加齢による筋力の低下で気道が狭まる
年齢を重ねることで、筋肉の機能が低下します。もちろん、気道の筋力も低下します。睡眠中に気道の筋肉が緩むことで、気道が狭くなりいびきの原因になります。
運動量により個人差がありますが、早い人では30代から兆候が見られます。生理的現象なので、ある程度は受け入れる必要がありますが、「舌回し」エクササイズなどのトレーニングにより改善が見込めます。
(3) 扁桃の肥大により気道が狭まる
肥満でない小児のいびきの原因は、扁桃の肥大が大半を占めます。成人の場合、いくつかの理由で扁桃が腫れ、いびきの原因になることがあります。
扁桃(ヘントウ)とは、喉にあるリンパ組織のことを意味します。主な扁桃として、以下の3つがあります。
- 口蓋扁桃(コウガイヘントウ:通称アデノイド)
- 咽頭扁桃(イントウヘントウ)
- 舌扁桃(ゼツヘントウ)
イラストで大まかな位置を示すと、各扁桃はこの辺りにあります。これらが肥大することで気道が狭くなり、いびきの原因になります。
目で見て分かるほど肥大していなくとも、これらの箇所が「ムズムズする」「痒い」「異物感がある」という場合、何かの原因で腫れている可能性(腫れの初期症状)があります。
(4) 口呼吸だと気道が狭くなりがちに
口で呼吸をすると、鼻で呼吸をするよりも気道が狭くなるのでいびきの原因になります。
睡眠中に口呼吸をしてしまう原因は2つあります。
- 口呼吸の習慣(癖)
- 鼻づまり
また、口呼吸をしていると、喉が乾燥しやすかったり、ホコリや菌が喉に付着しやすいことから喉が炎症を起こしやすくなります。そして、炎症による腫れで気道が狭くなり、いびきを引き起こすことにもつながります。
(5) 顎が小さい・細いと舌が喉に落ち込み気道を狭めることに
また、顎が小さかったり、細かったり、噛み合わせが悪かったりすると、寝ているときに舌が顎の中で収まりが悪くなり喉に落ち込んでいきます。
そして、その結果、気道が狭くなりいびきの原因になります。食生活の変化により、この原因でいびきをかく人が増えており、特に女性に多いと報告されています。他に原因が見当たらない場合、小ぶりでシャープな顎がいびきの原因かもしれません。
2. 一時的ないびきの原因
それでは次に、一時的ないびきの原因をご紹介します。最近、急にいびきをかくようになったという方は、まずは以下のような原因がないか確認しましょう。
(6) 悪い寝姿勢が気道を狭める
眠るときの姿勢(体位)がいびきの原因となることがあります。理由は大きく分けると、2つあります。
1. あごが引けて喉を圧迫している
昔ながらの中材がパンパンの枕、海外もののクッションのようなふかふかすぎる枕などの、高すぎる枕を使っている人によく見られます。あなたは眠るとき、こちらのイラストのような姿勢になっていませんか?
このような姿勢で眠ると、気道が圧迫されて狭くなるので、いびきをかきやすくなります。
2. 首が反り返っている
また反対に、首が反り返っていることもいびきの原因になります。枕の使い方が悪いと、首が反ってしまいます。下記のイラストのような状態です。
この体勢でも、気道が狭くなるのでいびきの原因になります。
また、舌や口蓋垂(コウガイスイ:のどちんこ)が喉に落ち込んでくるので、気道が狭くなりやすく、いびきの原因になります。さらに、鼻呼吸がしにくくなり口呼吸をしてしまいがちにもなり、いびきの原因にもなります。
3. 枕を使用していない
枕なしで寝ることが必ずしも悪いわけではありませんが、以下のような寝姿勢になっているとイビキを起こす原因となりえます。
この寝姿勢だとかなり気道を締めてしまいます。もし心当たりがあれば寝姿勢の改善を行ってみてください。
(7) 薬理学的要因により筋肉が弛緩・気道が狭くなる
アルコール、服用中の薬、たばこの人体への作用がいびきの原因にもなります。1つずつ原因をご紹介します。
○アルコール
人体への作用に「筋肉の弛緩」があります。アルコールが作用したまま眠ると、上気道の筋肉も緩んだままになるため、いびきの原因になります。
○薬剤
いびきをかくようになった時期と現在服用しているお薬が処方された時期が近い場合、処方薬が原因となっているかもしれません。お薬によっては筋肉の弛緩作用を持つため、いびきの原因になることがあります。
○たばこ
絶対的な原因であるとは断定されていませんが、喫煙者は非喫煙者と比べていびきの発症率が2倍以上との相関関係が認められています。煙により喉の粘膜を痛めることが主な原因と考えられています。
(8) 寝室の温湿度が口呼吸の原因に
室温が低くかったり湿度が低くかったりすることでも、いびきの原因になります。というのも、室温・湿度が低いと、鼻がつまりやすいからです。
そのため、睡眠中に気づかずに口呼吸になることもあります。いびきの症状が冬場にだけある人は、この原因に該当するかもしれません。
3. ピンポイント対策
それでは対策をご紹介していきます。あなたのいびきの原因となっているものに対する対策を行っていただければ、解消への効果が期待できます。
肥満・加齢への対策:首・顎周りのスリム化を図る
肥満・加齢がいびきの原因の場合、口内エクササイズに取り組んでみましょう。「舌回し」エクササイズが効果的です。口を閉じながら以下のように行います。
- 舌を内側の歯茎をなぞるように回します。
- 1周を1回として、右回りで20回、左回りで20回。これを1セットとします。
- 朝昼晩に1セット行い、1日3セットを目標に行いましょう。
喉元の脂肪のダイエット、舌のスリム化、筋肉トレーニングによる落ち込みの予防になるので、毎日続けて行ってください。(※小顔効果もあります。)
また、肥満気味の方は食事制限や習慣的に運動をして、脂肪を落とすことにも励みましょう。
扁桃の肥大への対策:耳鼻咽喉科を受診する
通常、扁桃は5~6歳で最大になり、その後、成長とともに小さくなっていきます。しかし、幼い頃に風邪などで喉に炎症が起こると、肥大したままになってしまうことがあります。
ひどい場合は手術で切除することもありますが、まずは耳鼻咽喉科でご相談をされることをオススメします。また、ウイルスや細菌などによる炎症によって一時的に肥大している場合も、耳鼻咽喉科への受診をオススメします。改善への1番の近道となります。
口呼吸の癖への対策:鼻呼吸促進アイテムを試す
いびきの原因が口呼吸の場合、口呼吸をしてしまう原因別に対策を講じましょう。
口呼吸の習慣がある場合
製品:スキナゲート
価格:205円
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眠る時に口呼吸をしてしまう習慣がある人は、睡眠中の鼻呼吸の習慣づけの方法として、口呼吸防止テープの使用をおすすめします。
寝る前に口にテープを貼り、口を強制的に閉じたままにすれば口呼吸ができなくなるため、鼻で呼吸せざるを得ません。
この製品は口呼吸防止テープではなく絆創膏なのですが、同等の使用感でランニングコストが1/13に抑えられるのでとてもおすすめです。
鼻づまりにより口呼吸をしてしまう場合
製品:ブリーズライト クール
価格:486円
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鼻がつまりやすい人は、以下のような鼻腔拡張テープを使うと、一時的な鼻づまりの解消が期待できます。また、こちらの製品は(若干ですが)メントールの香りがするので、通常のものより鼻の通りが良くしやすいです。
あくまで一時的な対処法になります。鼻づまりが長く続いている場合や、慢性的に鼻が詰まっている人は、アレルギー性鼻炎や蓄膿症の場合もありますので、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
小さく細い顎の対策:口腔外科医を受診、もしくは、エクササイズをする
顎がとても小さかったり細かったりして、歯並びにまで悪影響がある場合は、口腔外科医に相談することをオススメします。「そんなにひどくはないし、そこまでする必要はないかな」と、お考えの人は、以下の口内エクササイズを試してみてください。
- 食べながらエクササイズ
なるべく柔らかいものを避け、歯ごたえのあるものをしっかりと噛んで食べましょう。 - 喋りながらエクササイズ
アナウンサーになったつもりで、口を大きく動かして喋るようにしましょう。 - 舌回しエクササイズ
舌が落ち込みにくくなることを目指したエクササイズです。上記のやり方(押すと上に戻ります)をご参照ください。
これらのエクササイズを通して、顎周りを毎日少しづつ鍛えましょう。きっと改善が見込めると思います。
悪い寝姿勢への対策:理想的な寝姿勢で眠る
寝姿勢がいびきの原因となっている場合、まずは1つ目の対策として、眠る姿勢を見直してみましょう。
※寝姿勢の改善は「いびきの原因が身体的なもの(肥満・加齢・扁桃の肥大・顎の骨格)」の場合にも効果が期待できます。 以下のような姿勢で眠ることを目指しましょう。
この寝姿勢のポイントは2つです。
- 「肩口から頭が15度の傾斜」
気道を狭めない角度です。呼吸が楽にできます。また肩と首の筋がこわばることなくリラックスできます。 - 「顔面が5度の傾き」
顔が若干うつ向く程度だと、気道の通りが最も良くなり、睡眠中の呼吸がとてもラクになります。舌や口蓋垂も落ち込みにくくなります。その一方、太り気味の方やアゴの下に脂肪がついている方は、顔の傾きが0度の方が呼吸がしやすく眠りやすい、という報告もあります。0〜5度であなたが眠りやすい傾斜を見つけましょう。
このような寝姿勢で眠ることを心がければ、改善が見込めます。是非、お試しください。
悪い寝姿勢への対策:横向きで眠る
理想的な寝姿勢でもいびきをかく場合は、横向き寝をオススメします。仰向けで寝るとどうしても、舌や口蓋垂が気道を狭くしてしまいがちだからです。※横向き寝も「いびきの原因が身体的なもの(肥満・加齢・扁桃の肥大・顎の骨格)」の場合にも効果が期待できます。
とはいえ、横向き寝を1晩中キープするのは難しいです。身体の重みが片側だけにのしかかるため、圧迫感があり疲れます。そのため知らず知らずの内に、仰向け寝に戻ってしまいます。
そのような人にオススメなので、横向き寝をサポートする枕です。
製品:サイドウェイズ(Sidewayz)
価格:8,100円
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私どもが惚れ込んだ素材で開発したボディーサポートピローの1つです。横向き寝のときに背中をサポートしてくれるので、横向き寝を楽に維持したまま眠ることができます。腕や身体の側面に対する圧迫が軽減でき、一晩中リラックスして横向き寝をしていただけます。
薬理学的要因の対策:アルコール、たばこ、薬と上手に付き合う
○アルコール
飲酒をした日だけいびきをかくのであれば、飲酒を控えることでいびきの改善が見込みます。しかし、ほぼ毎日飲酒をする人は、原因の特定が難しくなります。飲酒をしない日を設け、いびきの症状があるか確認しましょう。アルコールを摂取していないにも関わらず、いびきの症状があれば、原因は別にあることが分かります。(※とはいえ、高頻度の飲酒は身体にも睡眠にも良いものではないので、控えることをオススメします。)
○薬剤
処方薬へ相談されることが1番の解決策になります。服用中のお薬に筋弛緩作用がないか、またはいびきの原因となりうる作用がないか確認しましょう。
○たばこ
たばこが原因と思われる場合は、1日に吸う本数を減らしたり、禁煙外来を受診し禁煙の対策をしましょう。
不適な温湿度の対策:空調で温湿度を最適化する
「寝室の空気環境があまり良くないかも」と思った方は、空調を調整しましょう。睡眠に理想的な室温・湿度は以下の通りです。
- 室温:夏場では25℃前後、冬場では18℃前後
- 湿度:年間を通して55%前後
一度、この数値を目安に調整してみてください。もし、それでも乾燥しているように感じたり、鼻がつまるように感じたら、加湿器で湿度を高くしてみましょう。加湿器をお持ちでない人は、眠るまえにバケツに熱めのお湯を張り、寝室に置いておきましょう。これだけでも湿度を上げられます。
4. いびき中に呼吸が止まっていないかチェックしよう。
もしあなたが日中に強い眠気や疲れを感じる場合、睡眠中に呼吸が止まっている(睡眠時無呼吸症候群)ためかもしれません。
睡眠時無呼吸症候だと睡眠中に低酸素状態になるので、高血圧、不整脈、心疾患、脳梗塞になるリスクを高め、生活に支障をきたします。例えば、2003年に居眠り運転をしていたと報道された運転士は、本人の自覚はありませんでしたが睡眠時無呼吸症候群だと、その後に診断されています。
なので、あなたのいびきを1度、測定しましょう。以下のスマホアプリを使い、無料で1人で出来るセルフチェック方法をご紹介します。
・いびきラボ(iPhone用ダウンロード/Android用ダウンロード)
まずはアプリをダウンロードしましょう。
そして、眠るまえにアプリを起動し、「スタート」させるだけで、睡眠中のいびきをピンポイントに録音してくれます。起きたら早速いびきをチェックしましょう。
睡眠時無呼吸症候群の場合、いびきに特徴があるので、録音したいびきを聞くとすぐに分かります。
通常のいびきの場合、「グォォ…グォォ…グォォ…グォォ…」のような音が繰り返されます。
しかし、睡眠時無呼吸症候群の場合、「グォォ…グォォ……(数秒停止)…ッゴァァ!!!…グォォ…グォォ…」と、いびきが停止するタイミングがあり、その後、一気に空気を吸うため轟音のようないびきがあります。そして、また元のいびきが繰り返されます。
このようないびき音が確認されたら、睡眠呼吸障害を専門に診ている「睡眠呼吸障害センター」や「睡眠時無呼吸外来」、「睡眠外来」を設置している医療機関に受診しましょう。録音データを持っていくと、症状を理解してもらいやすくなります。
あなたの今後の健康のためにも、1度チェックされることを強くオススメします。
まとめ
いびきは「上気道が狭くなる」ことで起こります。その原因さえ特定できれば、改善の対策もしやすくなります。
あなたのいびきの原因は分かりましたか?出来ることからいびき対策を行い、症状の悪化が止められれば幸いです。
なお、以下のページでこれまで紹介してきた、数々の研究で実証された良質な睡眠のために「するべきこと」と「してはいけないこと」を網羅的にまとめています。美味しいところ(結論)だけをつまみ食いできる構成になっています。是非ご一読ください。
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