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重いブランケットで睡眠の質がUP!?その理論と実験データ

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著者情報
加賀 照虎

加賀照虎(上級睡眠健康指導士)

株式会社篠原化学にてマットレスや枕の企画・開発を行っています。睡眠・寝具のプロとして あなたの眠りの質を向上させる情報を発信していきます。

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ここ最近、「重いブランケットを体に掛けて寝ると熟睡効果が!!」とメディアで言われることがあり「本当にそんなことがあるのだろうか?」と疑問に感じたことはないでしょうか?

驚くことに、実際に重いブランケットを掛けて寝るだけで、人によっては睡眠によい効果を体感されることもあるようです。もちろんその一方で、特に何も効果を感じられないという人もいます。

また、一部の人にはその重さが仇となって寝苦しさを感じることもあるため、全ての人におすすめできるというものでもありません。

そこで本日は「重いブランケットが睡眠によいと言われる理論の背景、その具体的な実験データ」についてご紹介します。


1. 重いブランケットに期待される安眠効果の理論とは

そもそも重いブランケットがどのような経緯で開発されたのかというと、テンプル・グランディン(Temple Grandin)というアメリカの動物学者の研究が元になっています。

実は、彼女自身、3歳のころから自閉症と診断されており、触感覚が過敏であったため、どうしたらそれを克服できるか試行錯誤をしている内に「締めつけマシーン(squeeze machine)」という体に強めの圧迫感(deep touch pressure)を与える機械の開発に至り、それにより自身の緊張を和らげることができたことに「圧迫→リラックス」という着想の端を発しているのです。

締めつけマシーンがどういうものか見たい方は、以下の動画をご覧ください。

このような背景から、自閉症(ASD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)を抱える人が眠るときにリラックスするための道具として、体にやや強めの圧迫感を与えられる重いブランケット(weighted blanket)が開発されるに至りました。

使用者の体重の8~12%程度の重さのブランケットを体に掛けると、適切な圧迫感が与えられると言われています。

チェーンブランケットという名称で呼ばれていることもあります。

1−1. 重いブランケットに期待できる熟睡効果

それでは実際に、睡眠に対してどのような効果があるのか、実際に行われた研究結果ベースでお話していきますと、以下のような効果があったと報告されています。

  1. 不安感の減少
  2. ぐっすりとより長く眠れる
  3. 安眠に適したホルモンバランスになる

1つずつ解説していきます。

①不安感の減少

2008年に公開された実験によると、32名の大人に13.6kgもの重さのブランケットを使って寝てもらったところ、

  • 33%の人の皮膚電位が低下(リラックス)した
  • 63%の人が使用後に不安感が減少した
  • 78%の人が落ち着いたと感じた

などなど、リラックスして眠るのに効果が期待できそうな結果が報告されています。また同時に、血圧や脈拍を測りながら、ブランケットの重さが体に悪影響を与えないかも観察されましたが、問題ないと報告されています。

さらに、2011年に公開された実験では、目の前の恐怖すら和らげてしまうとの報告もあります。

15名の女性(平均27歳、64.48kg)が歯科治療の際に重いブランケット(平均6.24kg)を使用するケースと、しないケースを比較した場合、重いブランケットを使用したケースでは心拍数の上昇が優位に少なく、不安感も少ないと評されました。

布団に入ってから色々と考えごとをしてしまう人にとって、不安感を和らげることができるのはとても嬉しいメリットですね。ストレスにお悩みの方にもよいのでは、と考えられます。

②不眠の人の睡眠の質を改善

また、2015年に公開されたスウェーデンの睡眠研究所で行われた実験では、不眠を抱える人の睡眠に対してどのような効果があるか調べられました。

健康的だが不眠症(入眠困難/中途覚醒/熟眠障害)を抱える20~66歳の男女33人に、1週間今までのように眠ってもらい、その後2週間重いブランケットで眠ってもらい、そして最後にまた1週間今までのように眠ってもらい、睡眠にどのような違いが出るか実験されました。

その結果、重いブランケットを使用した2週間の間、

  • (主観的に)より落ち着いて眠れた
  • (客観的に)睡眠時間が伸びた
  • (客観的に)夜中の動きが減った

などの睡眠によい影響が見られ、レポート内でも重いブランケットは睡眠の質を上げるための薬に頼らない革新的なアプローチだと結論付けられています。

睡眠時間が伸びたということは、寝付きがよくなり、夜間の目覚め(中途覚醒)が減ったことを意味します。

③安眠に適したホルモンバランスになる

なぜ上記のような研究結果になったのか、体内で起こったことをホルモンレベルで示唆する研究が2005年に公開されています。この実験データによると、体に圧迫が与えられた状態では、

  • ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」が31%低下
  • 幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」が28%増加

このため、不安感が和らぎ安心して眠れるに至ったのだと考えられます。

また、「セロトニン」は「メラトニン」という眠りを促すホルモンを合成するため、結果的に寝付きがよくなり、夜中の目覚めが減るに至ったと考えられます。

1−2. 重いブランケットはどんな人におすすめ?

上記で紹介した研究結果から重いブランケットは、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群)、SPD(敏感性感覚処理)、不眠症を抱える方々におすすめされています。

一般的な場合ではどうかなのか、もしかしたら熟睡効果があるのでは、と考えさせる実験データがあります。テンプル・グランディン女史が、健康的な大学生に40名に対して締めつけマシーンを5~10分行ったところ、

  • 45%はリラックス感や眠気を感じた
  • 40%は特に何も感じなかった
  • 5%は閉所恐怖症のため不快感から試験を中断した

とのことで、特に精神や眠りに問題を抱えていない人であっても、50%ほどの確率にはなりますが、リラックスや熟睡効果が期待できるためおすすめできます。

1−3. 重いブランケットをおすすめできない人

逆におすすめできない人はというと、以下のような方々です。

  • 圧迫感に対して苦手意識のある人
  • 呼吸器系、循環器系に問題を抱えている人
  • 術後で体が完全に回復されていない人
  • 体に衰えを感じている高齢者
  • 新生児、幼児など体が未発達の子供

実際にカナダの子供が誤った使い方をしてしまったがために死亡事故が起こってしまったこともあるようですので、子供の遊び道具にならないよう注意しましょう。


2. (追記)私が重いブランケットを使用した感想

たまたま取引先のメーカーがアメリカ向けに製造していたので、サンプル品を作ってもらい試してみました(2018年6~8月の間)。

私の体重は60kg前後なので8kgの重さのブランケットを用意していただきました。木綿敷布団が一枚4kg前後なので、その2倍の重さです。掛け寝具としてはかなり重いです。

ただ、手で持つと重く感じられますが、体に掛けると重さが全体に分散するので、圧迫感はそこまでありません。

また、誤解のないように言うと、重いブランケットと言うよりは、重い掛布団にブランケット風のカバーした構造になっています。一枚ものの重いブランケットではありません。

肝心の眠りへの効果について言うと、確かに寝入りのリラックス感はありました。圧迫によるリラックス効果ってこういうものなのかと。言葉で説明するのは難しいですが、マッサージで体を揉まれるor押されるときのリラックス感を、薄めに薄めたような感覚です。

もっとも期待していた熟睡感や起床時のすっきり感については、私は感じられませんでした。

ただ、これは時期が悪かったと考えています。カバー付きの重いブランケットはかなり保温力があるので、エアコンを付けて眠っているとしても、無意識のうちに暑さでブランケットを蹴り飛ばしていたかと思います。実際、朝起きると重いブランケットはいつもベッドの隅に寄っていました。この点については、秋以降に追跡調査を行い、再度報告いたします。


最後に

重いブランケットについてご理解いただけていれば幸いですが、重いブランケットを使えば眠りの問題が全て解決するわけではない点、ご了承ください。

眠りを良くするには、生活習慣を整えるのが近道だと私は考えています。

こちらのページ『今日からできて効果抜群!睡眠の質を高めるチェックシート』で眠りをよくするために何をすればいいのかすぐに分かって行動に移せるチェックシートを用意しているのでぜひお試しください。

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